29 / 48
24
しおりを挟む
今日は夫とキャスリーンが子供を連れて帰って来る。
気付けば既に私と夫が結婚してから3年以上が経過していた。
この3年で夫婦として過ごした事が1度も無いと言う事実に笑いが込み上げる。
「まさに、偽装夫婦ね」
部屋の中で1人呟く。
コンコン、コンコン
あら?誰かしら?
「どうぞ」
すると扉を開けて入って来たのは弟だった。
「どうしたの?」
?どうしたのかしら?いつもと違ってちょっと怖い顔。
私は弟の頬をそっと撫でる。するとその手を弟に取られた。
「姉さん、知っているんでしょ?」
「何を?」
「誤魔化さないで!俺が本当の弟では無い事だよ」
「・・・貴方も知っていたの?」
そう聞いた私に弟は頷いた。
「たとえそうだとしても貴方の事は本当の弟だと思っているわ」
そう言って今弟に握られているのとは逆の手で頭を撫でようとするとそちらの手も取られてしまった。
私は困ったように微笑む。
「俺はもう弟では嫌なんだ!好きだった姉さん、ずっと!」
そして私は弟に抱きしめられた。
「ありがとう」
私は弟の背をトントン叩いた。小さな子供をあやすように。
「姉さん!もう、俺の物になってよ」
・・・薄々弟の気持ちには気付いていた。でも、家族としての気持ちなのか異性に対するそれなのか図りかねていた。
「姉さん!」
縋り付くように抱きしめてくる弟。
ごめんなさいね。私は心の中で謝る。
「やめて、私はまだあの男の妻なの」
私がそう言うと弟ははっとしたように私から離れた。
「ごめん・・・」
俯いて謝る弟に手を伸ばしかけて・・・やめた。
いつまでも子供扱いは駄目ね。
「ありがとう。貴方の気持ちは嬉しいわ、でも」
そこで弟が私の口元に手を当てる。
「その先はまだ待って」
耳元で囁かれて思わずゾクッとする。
耳を押さえ弟の顔を見るとイタズラが成功した子供のように笑っていた。
もう、しょうがないわね。私は少し赤くなっているであろう顔を隠すように弟に背を向けた。
「さて、姉さん。そろそろ厄介な旦那様の所に向かおうか」
そう言って差し出してきた弟の腕に自分の腕を絡め夫が待つ応接室へと二人で向かった。
「お待たせ致しました」
応接室に入ると両家の親と夫とキャスリーンそして夫の腕の中には赤ちゃん。
私の姿を見た途端夫の腕の中の赤ちゃんをキャスリーンが無理矢理奪い私の元へ駆け寄って来る。
私の前に立ちはだかる弟。
「邪魔よ退きなさいよ!」
弟は無言で私の前に立ったまま動かない。そんな弟の腕を後ろからそっと叩く。
「大丈夫よ」
私を庇ってくれている弟の横を通りキャスリーンの前に立つ。
「お久しぶりね、キャスリーンさん」
そう言った私にキャスリーンは無邪気な笑顔を向ける。
「見て!私の赤ちゃん。ほら!侯爵様にそっくりでしょう?」
・・・・・・これは・・・・・・・・・。
「・・・・・・ええ、そうね」
その腕の中にいた子供は黒髪に緑の目の夫とは似ても似つかない金髪に青い目の子供だった。
嬉しそうに子供を抱くキャスリーンから夫に視線を移す。
「・・・・・・子供を産んだ直後からこうなった。明らかに私の子供では無いだろう子供を・・・私の子供だと信じているようだ」
「そう・・・」
産まれて来た子が夫に似ていなかったせいでどうやら気が触れてしまったらしい、でも・・・可哀想とは言わないわ。酷なようだけど自業自得よ。
「キャスリーンさんと赤ちゃんを別の部屋へ」
私は執事にそう言いつける。
「かしこまりました。さぁキャスリーン様こちらへどうぞ」
「うふふ、これで私がこの侯爵家の女主人よ!」
そう言いながらキャスリーンは部屋を出て行った。
私はそれを見届けて夫の方へ向き直る。
「さて、これからの事を話し合いましょうか」
私がそう言ったのと同時にお義父様が夫を殴り飛ばしていた。
「この大馬鹿者が!」
お義父様の怒号が響き渡った。
この場に赤ちゃんがいなくて本当に良かった。
「父上何を・・・!」
殴られた頬を押さえながら夫は信じられないと言う顔でお義父様を見上げている。
・・・いや、むしろ何で殴られないと思ったのだろうか。不思議だ。
「もうお前の父ではない!正式にお前は侯爵家から勘当した!」
「なっ・・・では、この侯爵家はどうするんですか!」
「侯爵家は昨日お前の妻の弟の物になった。・・・これは確かお前が言い出した事だったはずだが?」
「まさか・・・そんな・・・」
夫が私の方を見る。
1年前、キャスリーンがこの屋敷に来た時は少しでも反省しているかと思ったのだけれど・・・やっぱりクズだったわね。
「お、俺は悪くない!全て全てあの女が!あの女が悪いんだ!!」
そう言いながら夫は私に向かって襲い掛かって来た。
気付けば既に私と夫が結婚してから3年以上が経過していた。
この3年で夫婦として過ごした事が1度も無いと言う事実に笑いが込み上げる。
「まさに、偽装夫婦ね」
部屋の中で1人呟く。
コンコン、コンコン
あら?誰かしら?
「どうぞ」
すると扉を開けて入って来たのは弟だった。
「どうしたの?」
?どうしたのかしら?いつもと違ってちょっと怖い顔。
私は弟の頬をそっと撫でる。するとその手を弟に取られた。
「姉さん、知っているんでしょ?」
「何を?」
「誤魔化さないで!俺が本当の弟では無い事だよ」
「・・・貴方も知っていたの?」
そう聞いた私に弟は頷いた。
「たとえそうだとしても貴方の事は本当の弟だと思っているわ」
そう言って今弟に握られているのとは逆の手で頭を撫でようとするとそちらの手も取られてしまった。
私は困ったように微笑む。
「俺はもう弟では嫌なんだ!好きだった姉さん、ずっと!」
そして私は弟に抱きしめられた。
「ありがとう」
私は弟の背をトントン叩いた。小さな子供をあやすように。
「姉さん!もう、俺の物になってよ」
・・・薄々弟の気持ちには気付いていた。でも、家族としての気持ちなのか異性に対するそれなのか図りかねていた。
「姉さん!」
縋り付くように抱きしめてくる弟。
ごめんなさいね。私は心の中で謝る。
「やめて、私はまだあの男の妻なの」
私がそう言うと弟ははっとしたように私から離れた。
「ごめん・・・」
俯いて謝る弟に手を伸ばしかけて・・・やめた。
いつまでも子供扱いは駄目ね。
「ありがとう。貴方の気持ちは嬉しいわ、でも」
そこで弟が私の口元に手を当てる。
「その先はまだ待って」
耳元で囁かれて思わずゾクッとする。
耳を押さえ弟の顔を見るとイタズラが成功した子供のように笑っていた。
もう、しょうがないわね。私は少し赤くなっているであろう顔を隠すように弟に背を向けた。
「さて、姉さん。そろそろ厄介な旦那様の所に向かおうか」
そう言って差し出してきた弟の腕に自分の腕を絡め夫が待つ応接室へと二人で向かった。
「お待たせ致しました」
応接室に入ると両家の親と夫とキャスリーンそして夫の腕の中には赤ちゃん。
私の姿を見た途端夫の腕の中の赤ちゃんをキャスリーンが無理矢理奪い私の元へ駆け寄って来る。
私の前に立ちはだかる弟。
「邪魔よ退きなさいよ!」
弟は無言で私の前に立ったまま動かない。そんな弟の腕を後ろからそっと叩く。
「大丈夫よ」
私を庇ってくれている弟の横を通りキャスリーンの前に立つ。
「お久しぶりね、キャスリーンさん」
そう言った私にキャスリーンは無邪気な笑顔を向ける。
「見て!私の赤ちゃん。ほら!侯爵様にそっくりでしょう?」
・・・・・・これは・・・・・・・・・。
「・・・・・・ええ、そうね」
その腕の中にいた子供は黒髪に緑の目の夫とは似ても似つかない金髪に青い目の子供だった。
嬉しそうに子供を抱くキャスリーンから夫に視線を移す。
「・・・・・・子供を産んだ直後からこうなった。明らかに私の子供では無いだろう子供を・・・私の子供だと信じているようだ」
「そう・・・」
産まれて来た子が夫に似ていなかったせいでどうやら気が触れてしまったらしい、でも・・・可哀想とは言わないわ。酷なようだけど自業自得よ。
「キャスリーンさんと赤ちゃんを別の部屋へ」
私は執事にそう言いつける。
「かしこまりました。さぁキャスリーン様こちらへどうぞ」
「うふふ、これで私がこの侯爵家の女主人よ!」
そう言いながらキャスリーンは部屋を出て行った。
私はそれを見届けて夫の方へ向き直る。
「さて、これからの事を話し合いましょうか」
私がそう言ったのと同時にお義父様が夫を殴り飛ばしていた。
「この大馬鹿者が!」
お義父様の怒号が響き渡った。
この場に赤ちゃんがいなくて本当に良かった。
「父上何を・・・!」
殴られた頬を押さえながら夫は信じられないと言う顔でお義父様を見上げている。
・・・いや、むしろ何で殴られないと思ったのだろうか。不思議だ。
「もうお前の父ではない!正式にお前は侯爵家から勘当した!」
「なっ・・・では、この侯爵家はどうするんですか!」
「侯爵家は昨日お前の妻の弟の物になった。・・・これは確かお前が言い出した事だったはずだが?」
「まさか・・・そんな・・・」
夫が私の方を見る。
1年前、キャスリーンがこの屋敷に来た時は少しでも反省しているかと思ったのだけれど・・・やっぱりクズだったわね。
「お、俺は悪くない!全て全てあの女が!あの女が悪いんだ!!」
そう言いながら夫は私に向かって襲い掛かって来た。
100
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。
ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。
ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。
対面した婚約者は、
「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」
……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。
「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」
今の私はあなたを愛していません。
気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。
☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。
☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)
【完】貴方達が出ていかないと言うのなら、私が出て行きます!その後の事は知りませんからね
さこの
恋愛
私には婚約者がいる。
婚約者は伯爵家の次男、ジェラール様。
私の家は侯爵家で男児がいないから家を継ぐのは私です。お婿さんに来てもらい、侯爵家を未来へ繋いでいく、そう思っていました。
全17話です。
執筆済みなので完結保証( ̇ᵕ ̇ )
ホットランキングに入りました。ありがとうございますペコリ(⋆ᵕᴗᵕ⋆).+*
2021/10/04
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月@騎士の夫〜発売中です
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる