契約結婚を申し込んできた夫にちっちゃく復讐しようと思う

きんのたまご

文字の大きさ
30 / 48

25

しおりを挟む
襲い掛かって来た夫と私の間に弟が立ち塞がる。
すると弟は先程お義父様が殴った所と同じ所を殴った。
ドゴッ!
やはりお義父様とは威力が違うわね。
夫は殴り返されて壁に激突していた。
「うぅ・・・」
起き上がった夫の顔・・・両方の鼻から鼻血が出ている。ぷっ!ヤバい笑いそう(笑)
笑いを堪えてプルプルしているのを泣いていると勘違いした弟が夫の床に着いている手を革靴で容赦無く踏んでいた。ああ、痛そう(笑)
「義兄上、自分のした事を棚に上げて姉に何をしようとしてるんですか?」
そう言いながらさらに手を踏んでいる足をグリグリする。
「うぅう」
さっきから旦那様呻いているだけですねぇ。
私は床に這いつくばって弟に手を踏まれている夫に近付く。
「旦那様、踏まれていない方の手でこちら、離縁証明にサイン頂けます?」
そう言って夫の目の前に紙とペンを置く。
周りの皆はえっ?今?と言う顔をしていた。痛みに苦しんでいるはずの夫でさえも
「えっ?今?」と呟いていた。
「はい、今ですわ。すぐ書いて下さいね」
私は笑顔で夫にペンを握らせる。
すると最後の抵抗のつもりなのかなかなかサインしなかった。
侯爵家を勘当されたのにも関わらず私との婚姻関係が解消されなければまだ何とかなるかもしれないなんて馬鹿げた事を思っているのかもしれないわね、この馬鹿は。
そこに騒がしい足音が聞こえて来る。
「私の赤ちゃん返しなさいよ!」
扉を開けて入って来たのは気が触れたはずのキャスリーンだった。
「ここの使用人!赤ちゃんのおしめを取り替えるって言って連れていったきり私に赤ちゃんを返さないのよ!あの子はこの侯爵家の跡取りよ!早く返して!」
「あら、キャスリーンさん。随分お元気そうですね」
「あんたが私の赤ちゃん盗ったんでしょ!自分に子供が産めないからって!」
勿論私ですよ。この部屋から出て行く執事にキャスリーンと赤ちゃんを別々にするように言ったのは。
この様子だとやはり気が触れたのは嘘だったのかしら。ふふふふふふ。
「!何笑ってるのよ!」
「夫の血をひいていないあの子が侯爵家の後の跡取り?ふふふ、有り得ないわ!・・・貴女もそう思ったから気の触れた振りまでしてここに現れたんじゃなくて?」
「なっ!キャスリーン嘘だったのか?」
私と彼女の会話を聞いて夫がそう叫ぶ。
えっ?まさか気付かなかったの?
「き、君がおかしくなってしまったと思って今まで子供の世話を1人でしてきたのに!そうじゃ無ければあんな、私の子供では無いあんな子供!育てなかったのに!私はあんなに私に似ていない子供を私の子供だと信じておかしくなったキャスリーンが不憫で!だからここまで頑張って来たのに!」
あらあらあら、随分勝手な事を仰ってますわね。思わず夫を見る目が鋭くなる。本当に虫以下だわ。
「キャスリーンさん・・・子育てもしないような貴女に子供は必要ありませんね?あの子はこちらで責任を持って処分致しますわ・・・それに、これからの生活・・・流石に子供を連れて男に身体を売るような事、出来ませんものね?感謝して下さいね?こちらでわざわざ処分して差し上げるのですから・・・いらない子供を」
私は耳元でそう囁き微笑んだ。
そして夫の方を見る。
「早く署名して下さい」
私は夫を見下しながらそう言った。それでも夫は署名しない。
「最早侯爵家からも勘当されて、尚且つこの侯爵家は昨日わたくしの弟が跡を継いだと言うのにわたくしと離縁しない限りまだ何とかなると思っていらっしゃるの?」
「は?どう言う事よ!何であんたの弟が侯爵家の跡取りなのよ!」
私の言葉を聞いたキャスリーンが横からうるさく喚いて来る。
「元々そう言う条件で夫と結婚しましたから、当然の事です。例えあの子供が本当に夫の子供であったとしてもこの侯爵家は弟の物だったんですよ」
「じゃあ私は何の為に身体のラインが崩れるのも我慢して子供を産んだのよ!」
知らんがな。・・・思わず口調が乱れてしまったわ。
「まぁ、いいですわ。貴方が署名しなくてもこれだけの不貞行為・・・ですものね?勝手にこちらで処理させていただきますわ」
私がそこまで言うとキャスリーンはドスドスと部屋を出て行こうとした。
「あら、お帰りですか?困りますよ。忘れ物ですわ」
そう言って夫をチラリと見る。
「要らないわよそんなお荷物!」
「そんな事言われましても・・・わたくしも要りません」
「ふんっ!知らないわよ!あの子供と一緒に処分すればいいんじゃないの?」
!まあまあまあ!なんて事仰るのでしょうね。
「・・・まだ有りましてよ」
「今度は何よ!」
そう言って振り向いたキャスリーンに紙を突き付ける。
「こちらはわたくしに対する慰謝料です。・・・きっちり払って下さいね」
そこまで言うと私はキャスリーンを屋敷から追い出した。





色々物議を醸しそうな内容ですが・・・。もう暫くお付き合い下さい<(_ _)>
しおりを挟む
感想 441

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする

夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、 ……つもりだった。 夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。 「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」 そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。 「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」 女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。 ※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。 ヘンリック(王太子)が主役となります。 また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。

婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!

みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。 幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、 いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。 そして――年末の舞踏会の夜。 「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」 エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、 王国の均衡は揺らぎ始める。 誇りを捨てず、誠実を貫く娘。 政の闇に挑む父。 陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。 そして――再び立ち上がる若き王女。 ――沈黙は逃げではなく、力の証。 公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。 ――荘厳で静謐な政略ロマンス。 (本作品は小説家になろうにも掲載中です)

【完結】恋が終わる、その隙に

七瀬菜々
恋愛
 秋。黄褐色に光るススキの花穂が畦道を彩る頃。  伯爵令嬢クロエ・ロレーヌは5年の婚約期間を経て、名門シルヴェスター公爵家に嫁いだ。  愛しい彼の、弟の妻としてーーー。  

いくつもの、最期の願い

しゃーりん
恋愛
エステルは出産後からずっと体調を崩したままベッドで過ごしていた。 夫アイザックとは政略結婚で、仲は良くも悪くもない。 そんなアイザックが屋敷で働き始めた侍女メイディアの名を口にして微笑んだ時、エステルは閃いた。 メイディアをアイザックの後妻にしよう、と。 死期の迫ったエステルの願いにアイザックたちは応えるのか、なぜエステルが生前からそれを願ったかという理由はエステルの実妹デボラに関係があるというお話です。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?

ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」 その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。 「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」

処理中です...