32 / 48
番外編
踏まれる息子を見る父の気持ち
しおりを挟む
私はグリードの父、前侯爵だ。
今回馬鹿な息子が本当に馬鹿な事をしでかして各方面に色々迷惑を掛けたと思う。
自分から婚約の打診をして結婚し当初は幸せそうにしていたはずなのに・・・。
婚約の時点であんなに馬鹿な事を持ちかけていたとは!
馬鹿な息子の馬鹿な仕打ちを知って頭に来て家の事や、お金の事など侯爵家の事を一切アイリスに任せた。
それから特に気になる報告もアイリスから上がって来なかったので少しは態度を改めたのかと思っていたが・・・。
あの悪夢のパーティーが・・・・・・!
妻同伴で行ったパーティーで他の女と駆け落ちするなんて!
怒った妻もとうとう息子を勘当すると言い出した。1人息子なので私は迷わないでも無かったが・・・やはり妻には逆らえない。すると酷い目に合わされたはずのアイリスがもう少しあの子を待つので勘当はしないでいいと言ってくれた。
マジ神!
息子が駆け落ちして2年と半年・・・。
領地にアイリスから便りが届く。
グリードが彼女を連れて帰って来るので私達にも来て欲しいとの事だった。
あれから2年半・・・もしかしたら何処かでの垂れ死んでいるかもと思ったりもしていたのだが、どうやらしっかり生活出来ていたらしい。
しかし次の1文に目を見開く。なんと例の女に子供がいるらしい。
私は少し興奮気味に妻にグリードに子供が出来たらしいと言うと妻は妙に疑ったような顔をしていた。
「何を喜んでいらっしゃるの?」
「だってお前、あの女に子供と言うことはグリードの子供だぞ?私達の孫だ!」
「ええ、そうですわね。それで?」
「それでって・・・」
「グリードの子供だとしてそれがどうしたのです?妻のアイリス以外に子供が出来てどうするのです?アイリスを追い出してどこの馬の骨とも分からぬ女をグリードの妻として迎えるのですか?」
「・・・いや、その・・・」
「それともアイリスとグリード二人でその子供を育てさせる?」
「あ、ああそれがいい!」
「何がいいのです?出て行った夫とその浮気相手の子供を何故アイリスが育てないといけないのです?」
妻の目がとても鋭くなった。
「でも、孫だぞ?」
なおも言い募る私に妻もますます冷たく鋭くなる。
「そもそもその子供がグリードの子供であると決まった訳ではありません。もしそうだったとしても侯爵家で引き取る訳には行きません。グリードは1度勘当する事を決めたんですよ?それをアイリスの情けで離縁もされず一応侯爵家に籍を置いているだけなのです。あの二人の騒動は社交界に広まっています、そんな中でそんな得体の知れない子供・・・アイリスを追い出して引き取るなんて・・・有り得ませんわ!」
・・・分かるよ。うん、言いたい事は分かるんだけど。でも、孫だよ?可愛いんだよ?
正直、貴族社会じゃ外に子供がいるなんてザラだよ?そうは思ったけどその時は妻が怖すぎて言えなかった。
そして今日、約束の1年の1日前。
私達夫婦は衝撃の事実を知らされる事になる。
孫だと喜んでいた私も流石の事に息子に怒りが込み上げて侯爵家からは勘当した。
「お二人の娘になれたことは夫と結婚して良かった数少ない事の1つです」
とアイリスは言ってくれた。その言葉を聞いて私も妻も流石にグリードを許す事は出来なくなった。昨日までの愚かな私を許して欲しい。
次の日久々に会うグリードは少しやつれているように見えた。
私は怒りのままグリードに殴り掛かる。
痛いだろう、グリード!だが、私の拳も痛いんだ!お前がこんな馬鹿な事をしなければ・・・。
私がお前は侯爵家から勘当したと言うと、なんと!アイリスに襲い掛かった!
なんて事を!何がお前が悪いだ!どう見ても悪いのはお前だろグリード!
しかしグリードはアイリスの弟に呆気なく殴り飛ばされた。
痛そう。・・・でもそれは自業自得。
そしてとうとう動けないように手まで踏まれてしまった。革靴でグリグリされて・・・痛っ!
もう、見ていられない!痛そうな息子もそしてとてつもなく馬鹿な息子も!そう思い顔を背けるその瞬間見た妻の顔は無表情だった。怖っ!
えっ?その顔ってどんな感情なの?
・・・ダメだ深く考えちゃ・・・。
話は進みグリードとアイリスが離縁した。これで終わると思った時グリードがまさかのやり直してくれ宣言!
この愚かな父にでも分かる。
それは絶対にやっちゃダメなやつ!
そして背中まで踏まれるハメに。
流石に踏み過ぎじゃない?いや、踏まれ過ぎ?
分かる!分かるよ!腹立つよね?分かるけど!
そんな踏む?隣から冷気を感じる。流石に妻も踏みすぎと思っているだろうと思いチラリと見るとその目はグリードをずっと鋭く見つめていた。ごめんグリード母さんはお前に怒っているみたいです。ごめんアルフ君踏みすぎでも無かったようです。
全て終わりアイリスも出て行きアルフ君も出て行く。私がグリードに何か言おうか迷っていると妻がグリードの方に向かって歩き出した。
おお、やっぱり何だかんだ言っても母親。グリードを許してあげるのだろう、しょうがないなぁ。とか思っていたらグリードに平手打ちをお見舞いしていた。
「貴方は侯爵家の人間としてだけではなく普通の人間としても最低です。ここを追い出されてもどこにも行く宛てなど無いのでしょう?あの女にも捨てられた事だし。一緒に領地に来なさい、貴方には一領民として私達の監視下で生活してもらうわ。野放しにして他に迷惑掛けられたらたまったものじゃないわ!そして一生アイリスにお詫びしながら生きるのです」
そう言い放つと執事にグリードが逃げないように拘束して連れて来るようにと命じていた。
やっぱりごめんグリード。父の平和な生活の為にお前を許す事は出来ません。
1文なしで放り出されなかっただけマシだと思って頑張って生活して下さい。
そしていつか本当に反省して下さい。
私は心を落ち着かせるように遠くを見ていた。
今回馬鹿な息子が本当に馬鹿な事をしでかして各方面に色々迷惑を掛けたと思う。
自分から婚約の打診をして結婚し当初は幸せそうにしていたはずなのに・・・。
婚約の時点であんなに馬鹿な事を持ちかけていたとは!
馬鹿な息子の馬鹿な仕打ちを知って頭に来て家の事や、お金の事など侯爵家の事を一切アイリスに任せた。
それから特に気になる報告もアイリスから上がって来なかったので少しは態度を改めたのかと思っていたが・・・。
あの悪夢のパーティーが・・・・・・!
妻同伴で行ったパーティーで他の女と駆け落ちするなんて!
怒った妻もとうとう息子を勘当すると言い出した。1人息子なので私は迷わないでも無かったが・・・やはり妻には逆らえない。すると酷い目に合わされたはずのアイリスがもう少しあの子を待つので勘当はしないでいいと言ってくれた。
マジ神!
息子が駆け落ちして2年と半年・・・。
領地にアイリスから便りが届く。
グリードが彼女を連れて帰って来るので私達にも来て欲しいとの事だった。
あれから2年半・・・もしかしたら何処かでの垂れ死んでいるかもと思ったりもしていたのだが、どうやらしっかり生活出来ていたらしい。
しかし次の1文に目を見開く。なんと例の女に子供がいるらしい。
私は少し興奮気味に妻にグリードに子供が出来たらしいと言うと妻は妙に疑ったような顔をしていた。
「何を喜んでいらっしゃるの?」
「だってお前、あの女に子供と言うことはグリードの子供だぞ?私達の孫だ!」
「ええ、そうですわね。それで?」
「それでって・・・」
「グリードの子供だとしてそれがどうしたのです?妻のアイリス以外に子供が出来てどうするのです?アイリスを追い出してどこの馬の骨とも分からぬ女をグリードの妻として迎えるのですか?」
「・・・いや、その・・・」
「それともアイリスとグリード二人でその子供を育てさせる?」
「あ、ああそれがいい!」
「何がいいのです?出て行った夫とその浮気相手の子供を何故アイリスが育てないといけないのです?」
妻の目がとても鋭くなった。
「でも、孫だぞ?」
なおも言い募る私に妻もますます冷たく鋭くなる。
「そもそもその子供がグリードの子供であると決まった訳ではありません。もしそうだったとしても侯爵家で引き取る訳には行きません。グリードは1度勘当する事を決めたんですよ?それをアイリスの情けで離縁もされず一応侯爵家に籍を置いているだけなのです。あの二人の騒動は社交界に広まっています、そんな中でそんな得体の知れない子供・・・アイリスを追い出して引き取るなんて・・・有り得ませんわ!」
・・・分かるよ。うん、言いたい事は分かるんだけど。でも、孫だよ?可愛いんだよ?
正直、貴族社会じゃ外に子供がいるなんてザラだよ?そうは思ったけどその時は妻が怖すぎて言えなかった。
そして今日、約束の1年の1日前。
私達夫婦は衝撃の事実を知らされる事になる。
孫だと喜んでいた私も流石の事に息子に怒りが込み上げて侯爵家からは勘当した。
「お二人の娘になれたことは夫と結婚して良かった数少ない事の1つです」
とアイリスは言ってくれた。その言葉を聞いて私も妻も流石にグリードを許す事は出来なくなった。昨日までの愚かな私を許して欲しい。
次の日久々に会うグリードは少しやつれているように見えた。
私は怒りのままグリードに殴り掛かる。
痛いだろう、グリード!だが、私の拳も痛いんだ!お前がこんな馬鹿な事をしなければ・・・。
私がお前は侯爵家から勘当したと言うと、なんと!アイリスに襲い掛かった!
なんて事を!何がお前が悪いだ!どう見ても悪いのはお前だろグリード!
しかしグリードはアイリスの弟に呆気なく殴り飛ばされた。
痛そう。・・・でもそれは自業自得。
そしてとうとう動けないように手まで踏まれてしまった。革靴でグリグリされて・・・痛っ!
もう、見ていられない!痛そうな息子もそしてとてつもなく馬鹿な息子も!そう思い顔を背けるその瞬間見た妻の顔は無表情だった。怖っ!
えっ?その顔ってどんな感情なの?
・・・ダメだ深く考えちゃ・・・。
話は進みグリードとアイリスが離縁した。これで終わると思った時グリードがまさかのやり直してくれ宣言!
この愚かな父にでも分かる。
それは絶対にやっちゃダメなやつ!
そして背中まで踏まれるハメに。
流石に踏み過ぎじゃない?いや、踏まれ過ぎ?
分かる!分かるよ!腹立つよね?分かるけど!
そんな踏む?隣から冷気を感じる。流石に妻も踏みすぎと思っているだろうと思いチラリと見るとその目はグリードをずっと鋭く見つめていた。ごめんグリード母さんはお前に怒っているみたいです。ごめんアルフ君踏みすぎでも無かったようです。
全て終わりアイリスも出て行きアルフ君も出て行く。私がグリードに何か言おうか迷っていると妻がグリードの方に向かって歩き出した。
おお、やっぱり何だかんだ言っても母親。グリードを許してあげるのだろう、しょうがないなぁ。とか思っていたらグリードに平手打ちをお見舞いしていた。
「貴方は侯爵家の人間としてだけではなく普通の人間としても最低です。ここを追い出されてもどこにも行く宛てなど無いのでしょう?あの女にも捨てられた事だし。一緒に領地に来なさい、貴方には一領民として私達の監視下で生活してもらうわ。野放しにして他に迷惑掛けられたらたまったものじゃないわ!そして一生アイリスにお詫びしながら生きるのです」
そう言い放つと執事にグリードが逃げないように拘束して連れて来るようにと命じていた。
やっぱりごめんグリード。父の平和な生活の為にお前を許す事は出来ません。
1文なしで放り出されなかっただけマシだと思って頑張って生活して下さい。
そしていつか本当に反省して下さい。
私は心を落ち着かせるように遠くを見ていた。
84
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください
LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。
伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。
真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。
(他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…)
(1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)
白い結婚を告げようとした王子は、冷遇していた妻に恋をする
夏生 羽都
恋愛
ランゲル王国の王太子ヘンリックは結婚式を挙げた夜の寝室で、妻となったローゼリアに白い結婚を宣言する、
……つもりだった。
夫婦の寝室に姿を見せたヘンリックを待っていたのは、妻と同じ髪と瞳の色を持った見知らぬ美しい女性だった。
「『愛するマリーナのために、私はキミとは白い結婚とする』でしたか? 早くおっしゃってくださいな」
そう言って椅子に座っていた美しい女性は悠然と立ち上がる。
「そ、その声はっ、ローゼリア……なのか?」
女性の声を聞いた事で、ヘンリックはやっと彼女が自分の妻となったローゼリアなのだと気付いたのだが、驚きのあまり白い結婚を宣言する事も出来ずに逃げるように自分の部屋へと戻ってしまうのだった。
※こちらは「裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。」のIFストーリーです。
ヘンリック(王太子)が主役となります。
また、上記作品をお読みにならなくてもお楽しみ頂ける内容となっております。
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
【完結】恋が終わる、その隙に
七瀬菜々
恋愛
秋。黄褐色に光るススキの花穂が畦道を彩る頃。
伯爵令嬢クロエ・ロレーヌは5年の婚約期間を経て、名門シルヴェスター公爵家に嫁いだ。
愛しい彼の、弟の妻としてーーー。
いくつもの、最期の願い
しゃーりん
恋愛
エステルは出産後からずっと体調を崩したままベッドで過ごしていた。
夫アイザックとは政略結婚で、仲は良くも悪くもない。
そんなアイザックが屋敷で働き始めた侍女メイディアの名を口にして微笑んだ時、エステルは閃いた。
メイディアをアイザックの後妻にしよう、と。
死期の迫ったエステルの願いにアイザックたちは応えるのか、なぜエステルが生前からそれを願ったかという理由はエステルの実妹デボラに関係があるというお話です。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
〈完結〉だってあなたは彼女が好きでしょう?
ごろごろみかん。
恋愛
「だってあなたは彼女が好きでしょう?」
その言葉に、私の婚約者は頷いて答えた。
「うん。僕は彼女を愛している。もちろん、きみのことも」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる