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番外編
その後のグリード2《父》
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思い出すのも嫌なあのお手洗い騒動から少しして私には領地に小さい家が用意された。やはりどうあっても私を勘当した事は撤回されないらしい。
「自分の部屋に籠っているからここに置いて欲しい」と言った私の言葉はお母様によって却下された。
家事もした事がないし本当に死んでしまいますと言うとお母様はそれはそれは楽しそうに「人間・・・死ぬと思ったら案外何でも出来るものよふふふ」と笑っていた。
そんな訳で私は今1人この小さい家で生活している。
やった事も無い料理もお母様の言った通りで流石にやらなければ飢えて死ぬと思えば案外出来た。家の掃除もあの惨状の後の片付けを思い出せばなんて事は無かった・・・。うん(遠い目)
庭には小さい畑もあり、野菜も作っている。最初は何が何だか分からず、下げた事が無い頭を下げて街に住む他の人に野菜の作り方を教えて貰った。今ではすっかり街の仲間に入れて貰えたようだ。
コンコン
来客か?
「はい」
私は自ら扉を開けて来訪者を見るとお忍びで来たお父様だった。
「お父様?どうされたんですか?」
「いやぁお前が元気にしているかなぁと思ってね」
そう言ったお父様の左頬は微かに赤くなっていた。
「またお母様と喧嘩なさったんですね」
「いやぁ、へへへ」
私は溜息を着きながらお父様を家に入れた。
「しっかり生活出来ているようだな」
そう言って父親らしい事を言っているようだがその頬・・・。
「今日はどうなさったのです?」
実は父がこうして尋ねて来るのは初めてでは無い。この生活を初めて半年程になるが父がここにこうして現れたのはもう5回目だ。いつも左頬を腫らしながら・・・。
「で、今回はどこの誰に手を出したのです?」
私は父に椅子を勧めながらそう尋ねる。
「い、いや手を出すなんて人聞きが悪いな・・・」
そう言う父ジト目で見る。
「いや、ちょっと・・・ちょっとお話してただけなんだよ!」
慌てる父、父のちょっとお話は密室に2人きりで話をする事も含まれる。
うちの父と母は貴族の家にしては仲がいい方で私が小さな時は仲が良い2人の姿しか見た事が無かった、そもそも私があれ程に愛した女と結婚したいと思ったのも元を辿れば両親のように愛し愛される夫婦になりたいと思ったからだ。
しかし大きくなりこんな事になり蓋を開けたらどうだろう!自分の父がこんなにだらしない人だったとは・・・お母様の苦労が偲ばれます。
「お父様、愛していらっしゃるのはお母様だけなんですよね?」
「ああ」
この質問も何度目だろう。
そう、父は正真正銘母を愛している。
いるのだが!どうしても他の人にも目が行ってしまうという恐ろしい病気を持っているのだ。
「いい加減にしないと今度こそお母様に捨てられますよ」
お母様は怒らせるとマジで怖い。本当に怖い。あの人は悪魔である。
「いや、それは困る!」
「じゃあしっかりして下さい!」
「・・・・・・・・・・・・」
「返事!!!」
「はいいいいぃ!」
「じゃあ花とお菓子でも買って帰って下さい」
私は父を玄関へと向ける。
「お前もすっかりまともになったなぁ」
振り返りしみじみそう言うお父様。
・・・こんなにしょっちゅうお父様のこんな姿を見ていたら・・・私もこんなんだったのだろうかと落ち込まざるを得ない。
「はい、お母様とそれにアイリスのお陰で目が覚めました」
あと情けない姿のお父様のお陰で・・・。
「いつか改めて・・・アイリスには謝罪を
したいと、そう思っています。会ってくれたらですが・・・」
「そうか・・・そうだな」
お父様は1つ頷いた。
お父様が帰り家に1人になる。
「私もあんなんだったのだろうか・・・」
先程のお父様の姿を思い出す。キャスリーンを追いかけていた自分の姿が重なる・・・。ぶるり!寒気が。
あの姿は私への戒めだ!!!
もう絶対に同じ轍は踏むものか!!!
「自分の部屋に籠っているからここに置いて欲しい」と言った私の言葉はお母様によって却下された。
家事もした事がないし本当に死んでしまいますと言うとお母様はそれはそれは楽しそうに「人間・・・死ぬと思ったら案外何でも出来るものよふふふ」と笑っていた。
そんな訳で私は今1人この小さい家で生活している。
やった事も無い料理もお母様の言った通りで流石にやらなければ飢えて死ぬと思えば案外出来た。家の掃除もあの惨状の後の片付けを思い出せばなんて事は無かった・・・。うん(遠い目)
庭には小さい畑もあり、野菜も作っている。最初は何が何だか分からず、下げた事が無い頭を下げて街に住む他の人に野菜の作り方を教えて貰った。今ではすっかり街の仲間に入れて貰えたようだ。
コンコン
来客か?
「はい」
私は自ら扉を開けて来訪者を見るとお忍びで来たお父様だった。
「お父様?どうされたんですか?」
「いやぁお前が元気にしているかなぁと思ってね」
そう言ったお父様の左頬は微かに赤くなっていた。
「またお母様と喧嘩なさったんですね」
「いやぁ、へへへ」
私は溜息を着きながらお父様を家に入れた。
「しっかり生活出来ているようだな」
そう言って父親らしい事を言っているようだがその頬・・・。
「今日はどうなさったのです?」
実は父がこうして尋ねて来るのは初めてでは無い。この生活を初めて半年程になるが父がここにこうして現れたのはもう5回目だ。いつも左頬を腫らしながら・・・。
「で、今回はどこの誰に手を出したのです?」
私は父に椅子を勧めながらそう尋ねる。
「い、いや手を出すなんて人聞きが悪いな・・・」
そう言う父ジト目で見る。
「いや、ちょっと・・・ちょっとお話してただけなんだよ!」
慌てる父、父のちょっとお話は密室に2人きりで話をする事も含まれる。
うちの父と母は貴族の家にしては仲がいい方で私が小さな時は仲が良い2人の姿しか見た事が無かった、そもそも私があれ程に愛した女と結婚したいと思ったのも元を辿れば両親のように愛し愛される夫婦になりたいと思ったからだ。
しかし大きくなりこんな事になり蓋を開けたらどうだろう!自分の父がこんなにだらしない人だったとは・・・お母様の苦労が偲ばれます。
「お父様、愛していらっしゃるのはお母様だけなんですよね?」
「ああ」
この質問も何度目だろう。
そう、父は正真正銘母を愛している。
いるのだが!どうしても他の人にも目が行ってしまうという恐ろしい病気を持っているのだ。
「いい加減にしないと今度こそお母様に捨てられますよ」
お母様は怒らせるとマジで怖い。本当に怖い。あの人は悪魔である。
「いや、それは困る!」
「じゃあしっかりして下さい!」
「・・・・・・・・・・・・」
「返事!!!」
「はいいいいぃ!」
「じゃあ花とお菓子でも買って帰って下さい」
私は父を玄関へと向ける。
「お前もすっかりまともになったなぁ」
振り返りしみじみそう言うお父様。
・・・こんなにしょっちゅうお父様のこんな姿を見ていたら・・・私もこんなんだったのだろうかと落ち込まざるを得ない。
「はい、お母様とそれにアイリスのお陰で目が覚めました」
あと情けない姿のお父様のお陰で・・・。
「いつか改めて・・・アイリスには謝罪を
したいと、そう思っています。会ってくれたらですが・・・」
「そうか・・・そうだな」
お父様は1つ頷いた。
お父様が帰り家に1人になる。
「私もあんなんだったのだろうか・・・」
先程のお父様の姿を思い出す。キャスリーンを追いかけていた自分の姿が重なる・・・。ぶるり!寒気が。
あの姿は私への戒めだ!!!
もう絶対に同じ轍は踏むものか!!!
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