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2「人形館」
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その館は村の外れの森の中にあった。みた感じボロボロだ。人が住んでいたのはいつのことだろう? 門は開きっぱなしだし、雑草が生い茂っている。館の壁は植物の蔦が巻きついている上に、屋根は所々壊れていた。全体的に薄いピンク色をしているのが印象的な館で、かなり異様な雰囲気を醸し出している。
「もう朽ち果ててるな。手入れなんてできそうにないぞ……」
扉には鍵がかかっていた。開きそうにないので窓を割って中に入る。ああ、手入れをするはずなのに本末転倒だ。館の中は涼しくてじめじめしていたが、外観からは想像できないほど綺麗に整頓されていて、まだ人が住んでいるかのようだった。
「なんだか泥棒みたい」
「そうだな。館の中に金目のものがあるといいんだけど」
「盗むつもり?」
「もちろん」
二人でくっくっ、と笑い合う。その様子は兄妹、もしかして恋人に見えるかもしれないが、私たちは遠い親戚で、訳あって同じ家に住んでいる、それだけの間柄だ。
館の中を散策してみると大小様々な部屋があった。とりあえず目についた小さな部屋に入ってみる。
なんとそこには一糸まとわぬ姿の、裸の女が立っていた……、と思ったが違う、等身大の女の人形が何体も飾られていたのだ。妙にリアルで、女の匂いがしそうなくらいだった。それらは一つ残らず全て裸で、少女の人形から老婆の人形まで、同じ見た目のものは一体もない。
「へえー……。悪趣味ね」
他の部屋も見回ってみたが、どの部屋も裸の女の人形で一杯だった。それをみて私は冷静ではいられなかった。鳥肌がたつくらい興奮したのだ。この村にこんな場所があったなんて。なんて趣味が悪い館だ。ああ、今回の祖父の頼みごとはきいてよかった。人形も含めてたっぷり手入れしてやる……。
「美しいわね、この人形たち。すごくリアル……。何体か欲しいわ」
「そうだな。俺も欲しいよ……」
館の中を隅々まで見回った後、帰ることにした。日は暮れかかっていて、割れた窓から赤い夕日が差し込んでいた。
「もう朽ち果ててるな。手入れなんてできそうにないぞ……」
扉には鍵がかかっていた。開きそうにないので窓を割って中に入る。ああ、手入れをするはずなのに本末転倒だ。館の中は涼しくてじめじめしていたが、外観からは想像できないほど綺麗に整頓されていて、まだ人が住んでいるかのようだった。
「なんだか泥棒みたい」
「そうだな。館の中に金目のものがあるといいんだけど」
「盗むつもり?」
「もちろん」
二人でくっくっ、と笑い合う。その様子は兄妹、もしかして恋人に見えるかもしれないが、私たちは遠い親戚で、訳あって同じ家に住んでいる、それだけの間柄だ。
館の中を散策してみると大小様々な部屋があった。とりあえず目についた小さな部屋に入ってみる。
なんとそこには一糸まとわぬ姿の、裸の女が立っていた……、と思ったが違う、等身大の女の人形が何体も飾られていたのだ。妙にリアルで、女の匂いがしそうなくらいだった。それらは一つ残らず全て裸で、少女の人形から老婆の人形まで、同じ見た目のものは一体もない。
「へえー……。悪趣味ね」
他の部屋も見回ってみたが、どの部屋も裸の女の人形で一杯だった。それをみて私は冷静ではいられなかった。鳥肌がたつくらい興奮したのだ。この村にこんな場所があったなんて。なんて趣味が悪い館だ。ああ、今回の祖父の頼みごとはきいてよかった。人形も含めてたっぷり手入れしてやる……。
「美しいわね、この人形たち。すごくリアル……。何体か欲しいわ」
「そうだな。俺も欲しいよ……」
館の中を隅々まで見回った後、帰ることにした。日は暮れかかっていて、割れた窓から赤い夕日が差し込んでいた。
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