最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第三章 南の森

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「ステータスが低いと聞いてたけど、なかなかどーして戦えるじゃないかいっ!」

メイが驚きで目を見張る。しかし当の神木公平自身も驚いたように、両手にある感応金属オリハルコン製の籠手を見つめていた。

そのとき「キキーーッ」と大きな鳴き声が響き、枝葉の鳴る音が遠のいていく。

「どうやら逃げたようだね」

辺りの様子を伺っていたメイが、「ふー」と大きく息を吐き出した。

「毛針猿の体毛は、針のように硬くて鋭いんだ。不用意に触れると手がボロボロになってた筈さ。それを選んでくれたトーコに感謝するんだね」

「そう…ですね」

メイの言葉に神木公平は、籠手を見つめながら若干うわの空に頷く。

信じられないくらいに、身体が軽く動いた…

どうやらこの籠手には、何らかのステータス上昇系の能力が付加されているのかもしれない。そして佐敷瞳子は、その能力を見抜いていたのだろう。

「瞳子、コレありがとな」

姿が見えないので、呟くように感謝の意を伝えた。

「う、うん。役に立ったのなら、スゴく…嬉しい」

ヘッドホンから聞こえる佐敷瞳子の声に、神木公平は思わず苦笑いをしてしまう。

彼の黒い双眸には、まるで俯き加減でモジモジする佐敷瞳子の姿が見えるようであった。

   ~~~

それなりの素材になるとかで、毛針猿の体毛を剥ぎ取っておく。

それから3人は森の中を暫く進み、やがて木々の開けた場所に出た。久しぶりの太陽光に、何だか気持ちがホッとする。

そこは地盤の隆起でもあったのか、旧い断層が壁のようにあらわになっていた。

「もしかして、化石とか探しに来たんですか?」

神木公平の瞳が、男のロマンにキラリと輝く。

「そんなのは、とっくの昔に調べ尽くされてるよ」

「で…ですよね」

しかしメイのそのひと言に、神木公平はシュンと肩を落とした。

「ここには研磨材を取りに来たんだ。ここの砂は粒が細かくてね、磨くのに丁度いいんだよ」

「あー、そういえば…」

その言葉を聞いて、神木公平が浮かんだ疑問を口にする。

「メイさんは普段、何をされてるんですか?」

「再生屋だって言ったろ?」

メイは、腰に両手を当ててニッと笑った。

「客から不要品を買い取って、手直ししてからまた売るんだ」

「ああ、リサイクルショップですか」

「リサ…? まあ理解出来たのならそれで良いさ」

そのとき、二人の会話を眺めていた佐敷瞳子の視界左端に、黄色いタグがピンと跳ねた。反射的に左を振り向く。しかしタグは左端から動かず、それを追いかけるように後ろにまで振り返った。

森の暗がりのその奥に、黄色いタグが3個表示される。

「公平くん…後ろっ」

ヘッドホンから届いた佐敷瞳子の声に、神木公平は透かさず後ろに振り返った。

「魔獣かい?」

察したメイも、両手でハンマーをスッと構える。

「鉄牙狼ってのが3体らしいです」

「またトーコかい? 全くとんだ拾い物だよっ」

そう言ってメイは、愉しそうに口の端っこで微笑んだ。
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