最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第三章 南の森

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鉄牙狼の牙を抜き取り研磨材を収集した後、メイたち3人は王都アインベルへと戻ってきた。

裏門を抜け中の広場に馬車を停めると、同じように停まっている10台ほどの馬車が目に入る。そしてその馬車の周りには、それぞれ数人の人集りが出来ていた。

「何かあるんですか?」

何やらワイワイと盛り上がっている様子を見て、神木公平が不思議そうな顔をする。

「素材の買い取りをしてるんだ」

「え…⁉︎」

メイの返答に、神木公平は思わず振り返った。

「そういうのって、ギルドとかに持っていくんじゃないんですか?」

「ギルド…? ああ、組合のことか」

メイが察したように頷く。

「まあ確かに、特定の素材の流通量が不足すれば、高価買取をエサに組合が優先的な依頼を出すことはたまにある」

(ん…?)

思ってた内容と若干食い違うメイの説明に、神木公平は両腕を組んで首を傾げた。

「だけど基本的には、個人での売買だ。買い手もより良い素材は自分の所で扱いたいんだから、自然とこういう形になるのは分かるよな?」

「はい、まあ…」

言ってる事は分かる。しかし納得出来ない顔で、神木公平は人集りの方に目を向けた。

「それじゃ売り手の側は、どういう人たちなんですか?」

「私みたいな技術屋もいるけど、基本は狩人だな」

「その狩人に組合は?」

神木公平の様子に何かを察したのか、メイが大袈裟に溜め息を吐く。

「あのな…言っとくけど、買い取りなんかはやらないぞ」

「え、何で?」

「知識がないからさ。結局その道のプロに任せるしかないんだから、間に入る意味が何もない」

「そうですか…」

メイは何もおかしな事は言っていない。おかしいのは自分の方だと、神木公平は渋々納得する。

何となく事情の分かる佐敷瞳子だけが、察したように二人の会話を眺めていた。

   ~~~

「お、メイさん。今日は外に出てたんですね」

グレーの「つなぎ」に青のゴムエプロンを着けた40代くらいの男が、メイの馬車に近付いて来た。

「なんだお前か、バンデル」

男を値踏みをするように、メイが目を細める。

「お前、漢気はあるか?」

「不肖このバンデル、漢気の塊りでごさいます」

「言ったな…」

メイは不敵な笑みを浮かべると、リュックから巾着袋を取り出し、バンデルに中身をチラリと見せた。

「分かるか?」

「これは…アオツメソウ」

バンデルから、ゴクリと息を飲む音が聞こえる。

「2本ある」

「2本っ⁉︎」

「いくら出せる?」

「ま、待ってください」

バンデルは腰のポーチから電卓のような携帯端末を取り出すと、何やら打ち込んでメイに見せた。

メイはその画面を確認すると、突然大きく息を吸い込む。

「あーーっ、今日は大漁だーっ! 何てったってアオツメソ…」

「ワーッ待ってくださいっ! 分かりました、分かりましたからっっ」

バンデルは慌ててメイの口を押さえると、こちらに注目している同業者に愛想笑いを振りまいた。
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