最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第三章 南の森

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「ただなー、感応金属オリハルコンの精製技術は、現代には受け継がれてないんだよ」

「え…っと?」

メイの言葉の意図が分からず、佐敷瞳子が不思議そうな顔で小首を傾げた。

「つまりは、解体バラす事が出来ないって訳だ」

どうやら魔核を取り付ける事は出来ないという事らしい。それを知って佐敷瞳子は、肩を落としてションボリする。

「ところでその魔法道具ってのは、俺や瞳子にも扱える物なんですか?」

落ち込む佐敷瞳子の肩を優しくポンと叩いて、神木公平がメイの方に顔を向けた。

「例え魔法の適性がなくても、魔力は誰にでもあるからねー」

メイはリュックからハンマーを取り外すと、テニスのラケットのようにクルクルともてあそぶ。

「多少の相性はあるにしても、基本的には誰でも問題なく使える筈だよ」

「そうですか」

少し安心したように、神木公平が軽く微笑んだ。

「欲しいのかい?」

「出来れば…」

「素直だね」

その返答に満足したのか、メイがハンマーを右肩に担いでニッと笑う。

「明日の夕方で良ければ、私がオススメの店に案内してやるよ」

「ホント…ですかっ?」

メイの発言に、佐敷瞳子が勢いよく反応する。

「ああ、旦那のために、良いのを見つけてやんな」

ニヤニヤと自分を見てくるメイの視線に気付いて、佐敷瞳子は恥ずかしくなって顔を伏せた。

   ~~~

その日の夜。

神木公平と佐敷瞳子は、自室で二人並んで立ち尽くしていた。

晩ご飯のときに、神木公平がそれとなく相談してみたのだが…

「夫婦のくせに、何を恥ずかしがってんだい!」

と、何度訂正しても取り付く島もない。

仕方がない。

神木公平は意を決した。

「瞳子はベッド、俺はソファー、オーケー?」

突然大きな声を出しながら、パッパとそれぞれを指し示す。

佐敷瞳子はやや見上げるように神木公平に顔を向けると、何度もコクコクと頷いた。

そして今に至る。

慣れない環境に晒されて疲れていたのだろう。いつのまにか神木公平から、スースーと規則正しく寝息が聞こえ始めた。

暫くして、佐敷瞳子がムクリと上半身を起こす。

眠れる訳がない…

そっとベッドから下りると、神木公平のそばに座り込んだ。目の前の寝顔を、愛おしそうに真っ直ぐに見つめる。

それから自分の側に投げ出されている左腕に、ちょこんと頭を乗せてみた。何だかスゴく心地良い。

不意にウトウトと睡魔が襲いかかる。

イケナイ、ベッドに戻らないと…

佐敷瞳子は残念そうに、そう自分に言い聞かせた。

   ~~~

翌朝…

神木公平が目を覚ますと、顔のすぐ横に黒いケムクジャラの物体があることに気が付いた。

何事かと身体を起こそうとするが、左腕に抵抗を感じて動かせない。

やがて意識がハッキリしてくると、それがルームメイトの少女であると確信した。

「と、瞳子っ⁉︎」

反動で、左腕が大きく動く。

「ふえ…?」

その刺激で佐敷瞳子が目を覚ました。それから寝ぼけまなこで身体を起こす。

「あ、わ、わ…私」

徐々に状況を理解したのか、みるみる顔が真っ赤に上気していく。

それから観念したかのように顔を伏せると、か細い声で言葉を発した。

「おはよう…ございます」

「うん…おはよう」

神木公平もそれ以外に、発する言葉が見つからなかった。
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