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第八章 決闘!
64 番外編 5
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回復魔法と言えども万能ではない。
病気は治らないし、欠損部位も再生しない。
魔法を使えば瞬時に治る訳でもなく、術者の力量にも依るが、重傷であればある程時間がかかる。
そのため重傷者死亡のケースは、本人の体力が保たない事が殆どなのだ。
「あの二人…聞いたか?」
そのとき鳴神ひかりの近くに立っていた傭兵男性二人組が、泣き叫ぶ女性を見つめながら力無く呟く。
「…ああ。やっと先立つ物も貯まったから、来月結婚するんだと喜んでいた…」
「それが何で…クソっ、何も出来ないのかよっ」
男のひとりが腹立たしげに地面を蹴りつける姿を見て、鳴神ひかりの瞳から涙が一粒零れ落ちた。
「こんなの…可哀想だよー」
「うぉぉおおおおお!」
その涙を目撃した途端、白石和真が突然大声で吠えた。
「カ…カズっぺ、いきなり何っ⁉︎」
そのあまりの勢いに、鳴神ひかりの目が驚きで丸くなる。
「ひかりちゃん、オレに任せろっ」
白石和真は鳴神ひかりの手を両手でしっかり握りしめると、真っ直ぐに視線を合わせた。
「オレに…任せろぉぉおおおおお!」
その後、大声で叫びながら、女性の方へと一直線に駆けていった。
~~~
女性の膝上に頭を預けて横たわる男性は、呼吸も浅く顔色も蒼白い。腹部が異様にへこんでおり、重要な臓器が幾つも潰れている事が分かる。即死しててもおかしくないが、ここまで保ったのは、傭兵家業で鍛えた体力の為せる技であろう。
「あなた…は?」
そのとき現れた年端もいかぬ見知らぬ少年に、かすれた声で女性が呟いた。
「そのままジッとしてろ」
白石和真は二人のそばに膝をつくと、一度大きく深呼吸してから、男性にソッと右手をかざす。
「リカバー」
自然と口から言葉が溢れた。一番好きなゲームの回復呪文だ。
その時になって、先程の咲森勇人の言葉の意味をやっと理解する。
(何でもかんでもお見通しかよ)
白石和真は呆れたように笑顔を浮かべた。
その瞬間、光の粒子をまき散らしながら、男性の身体が光に包まれる。そうして光がゆっくりと収まった後、男性がパッと目を見開いた。
「えっ⁉︎」
女性が思わず声をあげる。男性はそのまま上半身を起こすと、自分の身体を不思議そうに眺めた。
「痛くない…もう、どこも痛くないぞっ!」
「まさか…っ、本当に…?」
「ああ本当だ、どこも痛くないっ!」
二人はお互い抱き合いながら、大粒の涙を流して喜び合った。
「これが、カズマさまの魔法…」
それをボンヤリと眺めていた白石和真の元に、不意に背後から声が届く。その声に白石和真が振り返ると、ユミルが両指を組み合わせて瞳を輝かせながら立っていた。
「カズっぺ、めっちゃカッコ良かったー」
そしてその横に、涙目で頬を真っ赤に染めた鳴神ひかりが目に入る。
「ひかりちゃん」
白石和真はスックと立ち上がり、ゆっくりと両腕を開いた。
「良かったー、ホントに良かったよー」
鳴神ひかりは「うわーん」と泣き声をあげると、直ぐそばに立っていた咲森勇人の胸に飛び込む。
「ちょ…ちょっとひかりちゃーん、そこはオレの胸でしょーーっ!」
白石和真の涙ながらの絶叫は、防壁に囲まれた円形の空へと吸い込まれていった。
病気は治らないし、欠損部位も再生しない。
魔法を使えば瞬時に治る訳でもなく、術者の力量にも依るが、重傷であればある程時間がかかる。
そのため重傷者死亡のケースは、本人の体力が保たない事が殆どなのだ。
「あの二人…聞いたか?」
そのとき鳴神ひかりの近くに立っていた傭兵男性二人組が、泣き叫ぶ女性を見つめながら力無く呟く。
「…ああ。やっと先立つ物も貯まったから、来月結婚するんだと喜んでいた…」
「それが何で…クソっ、何も出来ないのかよっ」
男のひとりが腹立たしげに地面を蹴りつける姿を見て、鳴神ひかりの瞳から涙が一粒零れ落ちた。
「こんなの…可哀想だよー」
「うぉぉおおおおお!」
その涙を目撃した途端、白石和真が突然大声で吠えた。
「カ…カズっぺ、いきなり何っ⁉︎」
そのあまりの勢いに、鳴神ひかりの目が驚きで丸くなる。
「ひかりちゃん、オレに任せろっ」
白石和真は鳴神ひかりの手を両手でしっかり握りしめると、真っ直ぐに視線を合わせた。
「オレに…任せろぉぉおおおおお!」
その後、大声で叫びながら、女性の方へと一直線に駆けていった。
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女性の膝上に頭を預けて横たわる男性は、呼吸も浅く顔色も蒼白い。腹部が異様にへこんでおり、重要な臓器が幾つも潰れている事が分かる。即死しててもおかしくないが、ここまで保ったのは、傭兵家業で鍛えた体力の為せる技であろう。
「あなた…は?」
そのとき現れた年端もいかぬ見知らぬ少年に、かすれた声で女性が呟いた。
「そのままジッとしてろ」
白石和真は二人のそばに膝をつくと、一度大きく深呼吸してから、男性にソッと右手をかざす。
「リカバー」
自然と口から言葉が溢れた。一番好きなゲームの回復呪文だ。
その時になって、先程の咲森勇人の言葉の意味をやっと理解する。
(何でもかんでもお見通しかよ)
白石和真は呆れたように笑顔を浮かべた。
その瞬間、光の粒子をまき散らしながら、男性の身体が光に包まれる。そうして光がゆっくりと収まった後、男性がパッと目を見開いた。
「えっ⁉︎」
女性が思わず声をあげる。男性はそのまま上半身を起こすと、自分の身体を不思議そうに眺めた。
「痛くない…もう、どこも痛くないぞっ!」
「まさか…っ、本当に…?」
「ああ本当だ、どこも痛くないっ!」
二人はお互い抱き合いながら、大粒の涙を流して喜び合った。
「これが、カズマさまの魔法…」
それをボンヤリと眺めていた白石和真の元に、不意に背後から声が届く。その声に白石和真が振り返ると、ユミルが両指を組み合わせて瞳を輝かせながら立っていた。
「カズっぺ、めっちゃカッコ良かったー」
そしてその横に、涙目で頬を真っ赤に染めた鳴神ひかりが目に入る。
「ひかりちゃん」
白石和真はスックと立ち上がり、ゆっくりと両腕を開いた。
「良かったー、ホントに良かったよー」
鳴神ひかりは「うわーん」と泣き声をあげると、直ぐそばに立っていた咲森勇人の胸に飛び込む。
「ちょ…ちょっとひかりちゃーん、そこはオレの胸でしょーーっ!」
白石和真の涙ながらの絶叫は、防壁に囲まれた円形の空へと吸い込まれていった。
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