最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第九章 怪しいご招待

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神木公平と佐敷瞳子は、マリナジーテの街から外れると、小高い丘を駆け登っていく。その丘の先端が海に突出しており、目当ての岬となっていた。

高台の岬から海面までは、10メートル程はありそうだ。崖下部分には波が押し寄せ、白い飛沫を撒き散らす。

まるでサスペンス劇場の舞台になりそうな、見晴らしの良い景色である。

「勢いで来てみたけど、俺たちで勝てるのか?」

岬の先端で潮風を受けながら、神木公平が不安そうに佐敷瞳子に顔を向けた。

「公平くんなら…絶対大丈夫」

佐敷瞳子は風に暴れる髪を右手で押さえると、真っ直ぐな瞳で力強く頷く。

「まだ相手、見てないのにか?」

「それでも…絶対大丈夫」

そんな彼女の疑いのない視線に、神木公平は思わず「ハハッ」と吹き出した。

思えばこのルーティンも何度目だろうか……何の根拠もない筈なのに、不思議と肩の力も抜けて、何でも出来そうな気がしてくる。

「瞳子が言うなら信じるよ」

「うん」

二人はお互い顔を見合わせて、少し照れ臭そうに微笑んだ。

次の瞬間、沖の方で巨大な水柱が噴き上がり、辺りに大きな爆発音が響き渡る。

「来た…っ!」

佐敷瞳子の鋭い声を合図に、神木公平は風の刃エアブレードに手をかけた。

   ~~~

「沖に出してた囮の小舟が破壊されました!」

「…そう、やっぱり来るのね」

見張り役の女性からの報告を受け、グレイスは小さく溜め息を吐いた。

相手は、大型の水棲魔獣である。

念のため、船の類はトルネ河へと移動させ、住民も港付近からは避難させている。

しかしあれ程の巨体、討伐するにはどうしても陸上に誘き寄せるしかない。

人を襲う習性のある魔獣が、何も無い海岸線に上陸する筈もなく…出来る事と言えば、街への被害を最小限に抑える事だけだ。

「彼らの力もお借りしたかったけど、無い物をアテにしてもしょうがないものね」

心底残念そうに、グレイスは溜め息を吐いた。

その瞬間、沖の辺りで海面から凄まじい水柱が噴き上がった。一瞬の後、激しい爆発音が響き渡る。

「何が起きたのっ⁉︎」

グレイスの翡翠色の瞳が一杯に見開かれた。

「標的、進路変更! 向こうの岬に出ます」

感知スキル持ちの見張り役の彼女が指差す先に、グレイスも釣られて顔を向ける。

あっちは確か…⁉︎

グレイスの視線の先には見覚えのある岬が……しかし次の瞬間、突然海面が真っ二つに割れた。まるで何かに斬り裂かれたかのように…としか、表現のしようが無かった。

直後には海水がその隙間に流れ込み、まるで何事も無かったかのように、再び元の海面に戻っていく。

「標的の、反応消失。おそらく…討伐されました」

彼女の発した呟きに、周りの誰も、何の反応も返さない。

「……そう」

漸くグレイスだけが、何とか声を絞り出した。
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