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第九章 怪しいご招待
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「まさか、一撃とはのう」
白いフリルのゴスロリ黒ドレスを着た金髪縦ロールの少女が、金色のネコ科の瞳を見開いて感嘆の声をあげる。
「どうやら手助けなど、必要なかったようじゃな」
トルネ河に浮かぶ船のマストの天辺に立っていたエルアーレは、開いた黒い日傘をクルクルと回しながら、愉快そうにその眼を細めた。
「サシキトーコとコーヘーと言ったか…」
眼下に広がる光景では、街に戻ってきた二人と入れ違いに、数名の傭兵が岬の方へと駆けていく。
「英雄とやらも現れたようじゃし、儂もそろそろ身の振り方を決めんといかんようじゃの」
エルアーレは何かを考え込むように瞳を閉じると、愉悦の表情で口角を吊り上げた。
~~~
住民が徐々に日常に戻っていく中、傭兵だけは慌ただしそうに駆けずり回っている。
討伐対象の正確な状況把握に諸々の事後処理など、やるべき事はまだまだ沢山ある。
傭兵と言う響きに、ならず者の集団と言う印象を持っていた神木公平は、意外そうに周囲の様子を眺めていた。
「良かった、無事だったのね」
そのときグレイスが、二人を気に病む素ぶりで姿を現した。しかしその翡翠色の瞳からは、多分に探るような光が発せられている。
しかし全ての疑問を振り払うかのように、笑顔で両手を「パン」と叩いた。
「二人とも、傭兵になる気はない?」
「は…?」
グレイスの突然の勧誘に、神木公平の目が思わず丸くなる。
「チェルシーに付いててもらいたいの」
そう言ってグレイスは、右手を頬に添えながら小さな溜め息を吐いた。
「ほらあの子、傭兵辞めてくれないじゃない? だったら頼りになる人を付けようと思って」
「え…でも、あのザイードって人は?」
そこで神木公平は、いつもチェルシーと共にいた図体のデカい無精髭の男性を思い出す。
「ああ彼には、本人の希望でもあるので、フィアホルン支部に行って貰おうと思ってるの」
「フィアホルン…」
その都市名は確か、咲森勇人たちが向かった対魔物の最前線だ。
「すみません…私たち、メイさんのお店で…働いてますので」
そのとき佐敷瞳子が、俯き加減でそっと呟く。
「それも分かってるわ。彼女の元には改めて、私自らご挨拶に伺うつもりよ」
「でも…」
更に身体を縮こませる佐敷瞳子の耳元に、グレイスがそっと顔を寄せた。
「チェルシーが怖い?」
そのひと言に、佐敷瞳子は顔をあげて驚いたように目を見開く。
グレイスは佐敷瞳子の反応を見て、興味深そうに笑顔を浮かべた。
「二人揃ってのヨーイドンなら、あの子の積極性も強味でしょうが…今の彼にはどうでしょうね」
「……え?」
佐敷瞳子は不思議そうな顔で、身体を離したグレイスを目で追いかける。
「妹にしか、見えてないんじゃないかしら?」
そう言ってグレイスは、右手を頬に添えながら、困ったような笑顔を浮かべた。
白いフリルのゴスロリ黒ドレスを着た金髪縦ロールの少女が、金色のネコ科の瞳を見開いて感嘆の声をあげる。
「どうやら手助けなど、必要なかったようじゃな」
トルネ河に浮かぶ船のマストの天辺に立っていたエルアーレは、開いた黒い日傘をクルクルと回しながら、愉快そうにその眼を細めた。
「サシキトーコとコーヘーと言ったか…」
眼下に広がる光景では、街に戻ってきた二人と入れ違いに、数名の傭兵が岬の方へと駆けていく。
「英雄とやらも現れたようじゃし、儂もそろそろ身の振り方を決めんといかんようじゃの」
エルアーレは何かを考え込むように瞳を閉じると、愉悦の表情で口角を吊り上げた。
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住民が徐々に日常に戻っていく中、傭兵だけは慌ただしそうに駆けずり回っている。
討伐対象の正確な状況把握に諸々の事後処理など、やるべき事はまだまだ沢山ある。
傭兵と言う響きに、ならず者の集団と言う印象を持っていた神木公平は、意外そうに周囲の様子を眺めていた。
「良かった、無事だったのね」
そのときグレイスが、二人を気に病む素ぶりで姿を現した。しかしその翡翠色の瞳からは、多分に探るような光が発せられている。
しかし全ての疑問を振り払うかのように、笑顔で両手を「パン」と叩いた。
「二人とも、傭兵になる気はない?」
「は…?」
グレイスの突然の勧誘に、神木公平の目が思わず丸くなる。
「チェルシーに付いててもらいたいの」
そう言ってグレイスは、右手を頬に添えながら小さな溜め息を吐いた。
「ほらあの子、傭兵辞めてくれないじゃない? だったら頼りになる人を付けようと思って」
「え…でも、あのザイードって人は?」
そこで神木公平は、いつもチェルシーと共にいた図体のデカい無精髭の男性を思い出す。
「ああ彼には、本人の希望でもあるので、フィアホルン支部に行って貰おうと思ってるの」
「フィアホルン…」
その都市名は確か、咲森勇人たちが向かった対魔物の最前線だ。
「すみません…私たち、メイさんのお店で…働いてますので」
そのとき佐敷瞳子が、俯き加減でそっと呟く。
「それも分かってるわ。彼女の元には改めて、私自らご挨拶に伺うつもりよ」
「でも…」
更に身体を縮こませる佐敷瞳子の耳元に、グレイスがそっと顔を寄せた。
「チェルシーが怖い?」
そのひと言に、佐敷瞳子は顔をあげて驚いたように目を見開く。
グレイスは佐敷瞳子の反応を見て、興味深そうに笑顔を浮かべた。
「二人揃ってのヨーイドンなら、あの子の積極性も強味でしょうが…今の彼にはどうでしょうね」
「……え?」
佐敷瞳子は不思議そうな顔で、身体を離したグレイスを目で追いかける。
「妹にしか、見えてないんじゃないかしら?」
そう言ってグレイスは、右手を頬に添えながら、困ったような笑顔を浮かべた。
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