最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十一章 フィアホルン攻防戦

91 番外編 7

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「すみません、ヒカリさま。感知の対応が遅れ、左方向より魔物の接近を許してしまいました」

スラリと背の高い男性騎士が、鳴神ひかりのやや後方で頭を下げた。

彼の示す左方向は、何も無い平原ながらも小高い丘になっており、若干見通しが悪い。

そしてその丘を越え、10数体の魔物がコチラに迫って来ていた。

直線距離に直したら、既に200メートルは切っている。ここまで接近を許しては、広域魔法の「イナズマサンダー」では仲間にも被害が出てしまう恐れがあった。

「おいお前っ、ひかりちゃんに何かあったら、どーする…」
「いーよ、そんなコトー。いつも色んな所、見張ってくれてアリガトねー」

怒りのままに喚く白石和真を制して、鳴神ひかりが笑顔を見せた。

「ちょっと、ひかりちゃん。こう言う時はもっとガツンと…」
「ウチの事はカズっぺが護ってくれるんだよね? 頼りにしてるよー」

「お…おう! オレに任せとけって!」

そのひと言に気を良くした白石和真は、背中から聖銀の大盾を下ろし鳴神ひかりの前に立つ。更にその横をカバーするように、3人の護衛騎士が両脇に立ち並んだ。

「それじゃー、いっくよーっ!」

鳴神ひかりが、冥杖バルキエラを勢いよく頭上に振り上げる。同時に彼女の背後に、数十の小さな魔法陣が浮かび上がった。

「カ・ミ・ナ・リ・ミサイルっ!」

そうして魔物の群れに向けて、ビシッと魔法杖を振り下ろす。

直後に全ての魔法陣から、雨のような無数の雷が魔物の集団に降り注いだ。

1体の大灰豚オークキングが率いる灰豚オークの部隊が、為す術なく討ち取られていく。

やがてモウモウと吹き上がる土煙りで視界が利かなくなった頃、鳴神ひかりは魔法杖を頭上に戻した。

同時に雷がピタリと止まり、魔法陣が沈黙する。

暫く様子を見ていたが、その土煙りを突破してくる魔物は1体も居なかった。

漸く鳴神ひかりたちに、安堵の空気が流れる。

その後魔法杖を頭上からゆっくり下ろすと、それに合わせて魔法陣がスッと消えていった。

「さっすが、ひかりちゃん。オレなんかの出る幕は無い…」

白石和真が振り返って鳴神ひかりに賞賛の声を送った時、未だ舞い上がる土煙りをバフっと抜けて、何かが自分たちの真横に着地した。

「え、なに…っ⁉︎」

鳴神ひかりの両目が、思わず驚きで丸くなる。

彼女の瞳に映ったその姿は、白いフリルのゴスロリ黒ドレスを着た、金髪縦ロールの少女であった。

   ~~~

「ちょうど良かった、そこな小僧。これをやるからチョイと手伝え」

そのときコチラに気付いたゴスロリ少女が、白いウエストポーチから取り出した、光沢のある黒い鞘に入ったダガーを白石和真に放り投げた。

「え…うわっ…とっと」

突然の事に慌てた白石和真は、左手に大盾を預けて何とかダガーを受け止める。

「来るぞ、油断はするなよ」

「は…⁉︎」

その瞬間、白石和真たち6人の前に、轟音とともに空から巨大な影が降って来た。
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