最弱ステータスのこの俺が、こんなに強いわけがない。

さこゼロ

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第十一章 フィアホルン攻防戦

97 番外編 13

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「それにしても…魔境の奥底に封じ込めていた筈の聖剣が、どうして此処にあるのかしら?」

ルサルサは、チラリと咲森勇人の持つ太陽剣に目線を向けると、溜め息混じりに呟いた。

「それは私が……聖剣とは知らずに、ですが」

そう言ってミサがニッコリと微笑む。

「…仕方ありませんね。今日のところは、退き上げる事にしましょう」

「逃げられるとお思いですか?」

「ええ勿論。女神族はお優しいですから」

その途端、ルサルサの足下から発生した大津波が、水の壁と化して押し寄せた。

「おいおい、マジかよ」

白石和真が呆然と、壁のような津波を見上げる。

「ミサっ!」

「分かっています」

咲森勇人はそんな白石和真の首根っこを右手で掴むと、左腕で鳴神ひかり抱き寄せ騎士団員の元へと駆け寄っていく。

同時にミサが大津波との間に立ちはだかり、小さな身体で両手を大の字に開いた。

直後に津波がその形を崩し、全員を一気に飲み込んでいく。

やがて激しい水の奔流が消え去ったとき、魔族の姿はどこにも見当たらなかった。

   ~~~

「まんまと、逃げられてしまいました」

ミサが広げていた両腕を下ろすと、全員を包んでいた半球状の光のドームが粒子となって消えていく。

「すまないな」

そんな少女の後ろ姿に向けて、咲森勇人がポツリと呟いた。

「あ、違います。配慮のない言葉ですみません。皆さんを助けられたことは、本当に良かったと思っています」

慌ててミサが、何度も何度も頭を下げる。

「ああ、さすがにこの惨状、ミサが居なければどうなっていた事か…」

咲森勇人は、ルサルサの津波の奔流によって抉り取られた大地の無残な姿に、若干の焦りの表情を浮かべた。

「勇人さんっ、いつまでひかりちゃんを抱えてんスかっ!」

そのとき白石和真が声を張り上げながら、ビシッと咲森勇人に指を差す。

気付けば咲森勇人は、鳴神ひかりの腰に左腕を回して抱えたままであった。しかもご丁寧に、鳴神ひかりも両腕を、咲森勇人の首に回している。

「あー、カズっぺ、今要らない事言ったー」

不意にストンと身体を下ろされ、鳴神ひかりは不服そうに口を尖らした。

「何でだよー、ひかりちゃん。そりゃ無いよー」

鳴神ひかりにツンとソッポを向かれ、白石和真が慌ててそばに駆け寄っていく。

そんな二人に苦笑いを向けながら、ミサがゆっくりと口を開いた。

「それにしても皆さん、よく魔族の猛攻を持ち堪えられましたね?」

「ああ、エルアーレの奴が頑張ってくれたからな」

ミサの疑問に、白石和真が思い出したようにその名をあげる。

「エルアーレ…?」

「何か初めから、魔族の二人と戦ってた感じなんだけど…あれ? そーいやアイツどこ行った?」

「ホントだー、エルアーレどこにも居なーい。お礼したかったのにー」

「私が来た時には、そんな方は居ませんでしたね」

白石和真と鳴神ひかりの話を聞いて、ミサは俯き加減で口元を押さえた。

「何者なんだ?」

「さあー? 何か魔族と知り合いのようにも見えたけど、このナイフもくれたし、悪い奴じゃないと思うッス」

そう言って白石和真は、黒い鞘に収められたダガーを咲森勇人に見せる。

「魔族と知り合いの謎の人物か…有り勝ちだな」

咲森勇人は愉しそうに「ククッ」と笑うと、右手の中指で眼鏡をクイッと持ち上げた。
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