超消滅士・蘇芳鞘の二度目の人生譚

心響

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第1話「双子と地下空間と棺の少女」

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 今から17年前、ひとりの少女が死んだ。
 名はさや、享年17。
 彼女は日本を魔物の類から守ってきた戦士の1人であり、その戦闘によって体に大きなケガを負ったのだ。
 体からはおびただしい真っ赤な血が流れ出ており、よくある表現だが血の海となり、セーラー服もたちまち赤く染まっていく。

 彼女の瞳に最後に映ったのは、泣き続ける2つ年上の恋人。
 恋人に抱きしめられた鞘の顔に、彼の頭上に束ねられたポニーテールの長いおくれ毛の一房がサラリとかぶさる。

 鞘は思う。最後に自分を見つめてくれたのが恋人でよかったと。

 そうして、彼女は目を閉じた。



 それから......17年。

「やっとたどり着いたな」
「うん」

 とある双子の兄妹が、洞窟に足を踏み入れるところから物語は始まる。

 その洞窟は今は滅亡した天葉てんよう一族の邸宅の地下空間へと続いていた。もちろん今は邸宅など跡形もなく更地になっているため家の中に入る事は出来ない。双子がいる洞窟への入り口は一族が逃げ出すために作ったもうひとつの入り口であった。

 ここで双子の兄妹を紹介しよう。
 兄は蘇芳すおう光琉ひかる、妹は音羽おとはという。
 見知らぬ女性を助けたら彼女が顔を赤らめるくらいはイケメンの兄に、長い黒髪に和風美人な顔立ちの妹。
 年齢は17歳。高校生だ。
 どちらも探検するのが大好きで、不思議な場所と知るやいなや、こうして足を運び自ら解明する。
 危険な目にはそれなりに遭ってるようだが、そこは光琉が音羽を守る事で回避している。
 ちなみに、天葉一族とはかつて日本を魔物から守ってきた者たちであったが、今から17年前に魔物の襲来に遭い、超消滅士~ハイパーアナイアレイター~と呼ばれる戦士たちは殺されてしまった。
 そのため一族は滅亡、生き残った者たちは邸宅に住む事を諦め、他へと移り住んだらしい。
 超消滅士は自らの生命を力に替えて戦うため、超生命~ハイパーライフ~という特別な生命を持っていないと超消滅士にはなれないというマイナスな部分がある。
 事実、天葉の者であっても超生命の持ち主は半分以下というデータもかつて記録されていた。この事も一族が滅んだ原因のひとつだ。

 話を戻して。双子は洞窟に足を踏み入れた。響くのは双子の足音とポタポタと天井から地面に落ちる雫の音だけ。
 そもそも、なぜ洞窟に入ったのか?
 それは天葉一族に伝わるある伝説を確認するため。
 それは「洞窟の先にある地下空間の奥深くに秘密の部屋があり、そこへつながる秘密の扉が開放される日がある」というもの。
 その開放日がまさしく今日らしいのだ。

 奥へ進むと一気に光が差し込み、パアッと視界が開けた。
 そして、現れた光景に双子は息を呑んだ。

 目の前に現れたのは幻想的な地下空間だった。あちらこちらで松明が焚かれて、天井に設置されてる電灯もついているので非常に明るい。天井ははるか高く階段もあり、いくつもの部屋も認められる。
 そのため、この地下空間にはその昔、天葉の先祖たちが住んでいたのではないかとも言われてる。
 

「スゴいなぁ。天葉邸の地下にこんなものがあったとは......」
「これだけいくつもの部屋があるんだもの。天葉のご先祖さまがこの地下に住んでいたのは本当かもしれないわね」

 興奮しっぱなしの双子が更に奥へ進むと、かなり広い部屋へとたどり着いた。広さは学校の体育館ほど。
 そこにはエメラルドグリーンの湖が広がっていた。ただし、こちらから湖のはるか先へと続く道があり、先端部分は円形の柱が何本もありそれに囲まれた形で、長細い大きな黒い箱らしきものが置かれていた。
 何だろう、あれはと双子は好奇心を抑えられず道をたどり、先にあるその物体へと近寄った。

「「......!!」」

 その箱には中が見える窓があり、なんとひとりの女性の姿があった。

「これ、棺なのか?」
「そうみたい。女性の遺体があるって事はそういう事だよね......」
「でも遺体にしてはキレイだ。いつからあるのかわからないけど、普通なら白骨化してるハズだし」
「それに、この女性......ずいぶん若い。もしかすると私たちぐらいじゃないかな。ほら、セーラー服着てるし」

 確かに。棺の中の女性はセーラー服姿だった。

「でも、どうしてこんな地下に。そもそもこの女性は誰なんだ?」

 思いがけない発見に驚愕する双子。

 しかし、双子は知らない。
 この直後、更に思いがけない事態に遭遇する事を。


 

 
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