玉座の檻

萌於カク

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我が名3

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 その場は静まり返っていた。
 アデレートの扇子を仰ぐ手は止まり、青髭も、家臣らも、議会のメンバーらも、押し黙っていた。

 アミーユはあふれかえる議員らを、涙でにじんだ視界ごしに眺めていた。

 これがダンの仲間。
 国のため、人々のため、そして自分のため、彼らは戦っている。

 彼らは皆一様に血気にあふれ、希望に夢に満ちている。

 探せば、赤毛も紛れ込んでいる気がした。ああ、きっと紛れ込んでいる。あいつはどこにでも紛れ込むのだから。

 ダンの優しい声がよみがえる。

 ―――仲間の顔は忘れたこともない。彼らは俺の勇気だ。
 ―――俺は彼らに生かされている。俺はやめない。

 彼らはダンそのもの。ダン自身だ。
 
 ―――俺にはしなきゃならないことがある。果たさなきゃならないことがある。

 ダン、お前は本当に馬鹿だ。恐ろしく頑固にずっと長い一本の道を歩んできた。

 ―――俺が果たすのは無血革命だ
 ―――革命は長い期間をかけて、暴力ではなく理解を深め合うことで行う。

 俺は自分とお前とのささやかな幸せさえ手に入ればいいと思っていた。それに謙虚さすら感じていた。俺は傲慢だった。
 俺は、何も見ず、何も考えず、翻弄されるがまま、愚かに生きてきた。
 馬鹿なのは俺だ。

 ―――俺にはこの国も愛おしくてたまらないんだ。
 ―――俺は、この国を民衆のものにする

 アミーユはにじんだ視界で人々を見つめていた。

 ダンは今もここにいる。

 ―――大丈夫だ、俺は死なない。

 ダンは死なない。ダンの遺志が続く限り、ダンは生きる。俺がダンを生かす。

 ―――アミーユ、ともに、この国を変えよう。

 ああ、そうしよう。

 アミーユは力の限り叫んだ。

「我こそがアクランドの国王アーサーである!」








 アミーユの声は王宮じゅうに響き渡った。こだまして、『王の間』から、バルコニーへ、渡り廊下へ、王宮前広場へと。王宮の内と外に、伝搬していく。

 王宮の内外にリレーで伝わっていく。

「英雄アミーユは、アーサー国王だって」
「守護天使はアーサーさまってことだな」






 アミーユは叫ぶ。

「アーサー国王の名において全権を議会に委ねる!」





 広場と王宮じゅうが鳴り響いた。歓喜で鳴り響いた。やがて、人々の声は一つの声へと収束していく。

「アーサー国王、万歳! アーサー国王、万歳!」

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