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ポッキーの日
しおりを挟む「実は俺今日いいもの買ってきたんだよね~」
俺、竹中 夕の部屋でニヤニヤしながら鞄を漁っているのは同級生の佐多だ。佐多とは高校の入学式の時に知り合い、今ではお互いの家でお泊まり会をするくらい仲良くなった。今日は俺の家でお泊まり会だ。
「どうせまた変なもの買ってきたんだろ?」
「なんでそんなこと言うんだよ~」
ぶーぶーと言いながら頬を膨らませる。少し可愛いと思ってしまった。正直に言うとこいつは顔が良い。女子に告白されている所をよく見かける。
ズキッ
ん?なんか胸らへんが痛んだ。なんだろう。
「どうした?」
「っ!?」
佐多が俺の顔を覗き込んできた。くりっとした猫目で俺を見つめる。男の俺でも驚いてしまうほどに顔が整っていて、その顔の良さに腹が立ったので俺は佐多の頬をつねった。
「いっへ、なにふふんはほ!!」
みょーんと頬を引っ張ってから手を離してやる。佐多は「ひでぇ!!」と言って頬を摩りながら、何かを手の後ろに隠した。そして俺の方を見てニヤニヤしている。
「さぁ、俺は今何を持っているでしょ~か!!」
「えー、何を持ってるんだ?」
「10秒以内に当てないと罰ゲームだからね」
悪そうな顔をしてそう言った彼はカウントダウンを始めた。
「じゅーう、きゅーう、はーち」
やばい、全然分からない。今日って何か特別なことなんてあったっけ?
やばい、なんだ、何を持っているんだ。
「よーん、さーん、にーい」
わ、分からない!!こうなったらダメ元で!!
「虫のおもちゃ!!」
こいつは前に俺に嫌がらせをしようと蛇のおもちゃを持ってきたことがあったからそういう類の物だと思った。だが、俺の予想は外れたようだ。すごい嬉しそうな顔をしている。
「ぶっぶー笑 正解は...じゃーん!!」
そう言って彼が取り出したのはポッキーだ。
そうか、今日はポッキーの日だってクラスの女子が騒いでいたな。
「じゃあ罰ゲームは俺とポッキーゲームね!!」
「え?本気で言っているのか?」
こいつは頭のネジをどこかに置いてきたのか?男同士でポッキーゲームなんて何が面白いんだ...。だが、俺が負けてしまったからしょうがない。腹をくくろう。
「じゃあこれ咥えて?」
ぱくっ
俺が咥えると佐多も咥える。
思ったより距離が近いな...。じーっと佐多の顔を見ているとバチッと目が合った。
「っ」
俺はなんだか恥ずかしくなって急いで食べ進める。そしていつの間にか残り1センチくらいになっていた。どうしよう...。
折るべきかどうか悩んでいると佐多は俺の頭を押さえた。そしてその瞬間俺とこいつの唇が触れた。
「んむっ!?」
俺は一瞬意味がわからなかった。しかし、今置かれている状況に気づいた俺は離れようとする。しかし、佐多の力は強く、離れられない。
「んんんっ!!んんっ!!」
すると佐多の舌が俺の唇を割って入ってきた。
「んんっ!?」
佐多の舌は俺の舌を追いかける。そして俺の舌はすぐに捕まってしまった。
「んんんんっ!!」
佐多は俺の舌を舐め、軽く吸う。そして俺の口の中を掻き乱し続ける。
「んんっ、んん、ん」
ジュルジュルと水の音が部屋に響く。
恥ずかしすぎて頭がどうにかなりそうだ。
俺は息が苦しくなって佐多の胸を叩く。
「んんっ!!んんんん!!ぷはっ!!」
はぁはぁ...。
俺の肺に酸素がドッと送り込まれる。
「ねぇ、嫌だった?」
「...へ?いや、そんなことはないが...」
「そっか!!」
そう言ってすごい嬉しそうな眩しい笑顔で俺に抱きついてきた。
「俺ね、ずっと夕のことが好きだったんだ。」
「えっ!?え、告白なのかこれは」
「そうだよ」
佐多はそう言うと真剣な眼差しで俺を見つめる。俺の心臓がバクバクしてうるさい。もしかして俺はこいつが好きなのか?こいつが他の奴と話している時にイライラしてたのはもしかして嫉妬だったのか?
俺の中で点と点が繋がっていく。
そしてボンッと俺の顔は赤くなった。
「えっ、いやっ、で、も」
佐多は俺の顔を見て一瞬目を見開き、すぐに嬉しそうな顔になった。
「初めてのキスってチョコの味なんだね、知らなかった。...ねぇ、もういっかいしよ?」
俺は顔を真っ赤にしながら小さく頷いた。
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