甘い恋をいただきます。

沢渡奈々子

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番外編

番外編1「厄介な男子の取扱説明書」5話

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「あ……はい……あっ」
 頬をさらに染めて返事をするや否や、花菜実は抱き上げられ、手を伸ばせば届くような位置に置かれたベッドへと下ろされた。幸希も次いでそこへ乗り上げる。
「おいで」
 手を取られて彼の脚の間に座らされ、後ろから抱きしめられるような体勢になる。幸希は肩まである彼女の髪をそっと片側にどかすと、首筋にキスを落としていった。
「は……っ」
 くちびるが触れたところから、ゾクゾクと快感が駆け抜ける。ちゅ、ちゅ、と何度も音を立ててくちづけられた後、そのまま移動して耳を食まれた。
「あっ、や……っ」
 思いのほか敏感なそこに、花菜実は首をすくめてしまう。
 幸希の手は前に回り、花菜実のパジャマのボタンを器用に外していく。あっという間にブラまで取り去られ、さらにはズボンやショーツも剥ぎ取られた。脱がされる時に腰を浮かせて彼を手助けしてしまう自分が少し恨めしいとさえ思った。けれど、幸希に暴かれるたびに身体はどんどん溶けていき、彼がなすことに抵抗など出来ない――するつもりもなかったけれど。
 両の胸を後ろから揉みしだかれ、天辺を押しつぶされて、全身が甘い感覚に支配される。舌は未だに耳の中を舐り続けている。
「あぁ……、んっ」
「花菜実……愛してる」
 耳の中に直接吹き込まれ、全身総毛立つ。胸を愛撫していた手は次第に下へとおりてきて、花菜実の脚をぐい、と両側に開いた。
「あっ、や、だぁ……っ」
 大きく開かれて思わず閉じようとするけれど、幸希の脚をまたぐ形で開かれてしまい、それも叶わず、膝頭だけをなんとか擦り合わせた。けれどそれすら彼の手によって阻まれてしまい、今花菜実は、自らの蜜口を盛大に空気に晒した状態になっていた。
 そこに容赦なく幸希の指が埋め込まれる。くちゅりと立った水音は、すでに秘裂がぬかるみへと変わっていることを示していた。
「あんっ、やっ」
「あぁ、もうだいぶ濡れてる」
 呟きながら、彼は溝から湧き出す愛液をかき混ぜ、襞や表層に塗りつける。
「やぁ……そんなこと、言わな、で……っ」
「本当のことを言ってるだけなんだけどな」
 くっと笑いを噛み殺す幸希に、花菜実はいやいやと首を振る。彼は変わらずにそこを愛撫し、蜜を次々にあふれさせる。たっぷりと水をまとった指で花芯をそっと撫でると、花菜実の身体は跳ね上がった。
「あぁんっ、あっ、そ、こ……っ」
「気持ちいい?」
 さっき横に振った頭を、今度は上下に振る花菜実。すると幸希は今度は濡れそぼった指をゆっくりと体内へ入れた。
「ぁ……っ」
「痛い?」
「い、たくない……」
 まだ少し違和感はあるけれど、痛みはもうなかった。十分に潤びているせいか、引きつる感じもない。
 幸希の筋張った指が、そっと行き来する。そのたびに手の平が花芯に押しつけられ、蜜口が反応してしまう。彼がクスクスと笑い出した。
「指なのにそんなに締めつけて……これで僕のが入ったらどうなるんだろう。楽しみだけど、少し怖いな」
「あ、あっ、ゃ……ぁん」
「花菜実、少し声を抑えた方がよくないか? ここはお世辞にも防音がしっかりしてるとは思えない」
 そんな風に口ではたしなめているくせに、指は容赦なく花菜実を追い上げる。内路と秘芯を同時に愛撫されて、甘い声を上げずにはいられない。
「あぁっ、や……っ、だ、めぇ……っ」
 思いのほか高く放たれた声に自分でも驚き、花菜実は慌てて両手で口元を覆う。秘裂は彼がくれる快感を余すところなく吸収し、全身を甘く溶かしていく。花菜実は時折背中を彼の大きな胸に押しつけるように預けては、強張らせた。
「んんっ、んーっ」
 次に幸希が秘芯を擦り上げた刹那、彼女の裸体が跳ね上がり、痙攣した。手は固く口を覆っているが、身体はそれを嘲笑うかのように大きく、幾度も弾んだ。そして――
「――大丈夫?」
 花菜実に静寂が訪れた頃、幸希が静かに尋ねた。彼女は目尻に涙を湛えてうなずく。
「僕の指を銜え込んだままだったから、花菜実がイッた様子がすごく伝わってきたよ。……まだひくひくしてる」
 彼が嬉しそうに囁いた通り、花菜実の蜜口はまだひくんひくんと疼いている。静けさをまとった身体の中、唯一そこだけがまだ快感の余韻を残していた。
「花菜実の乱れた姿を見せられたらもう、我慢なんて出来ないな」
 花菜実の身体から少し離れると、幸希は彼女の背後で服を脱ぎ、そして何やらパッケージを開封しているような音を立てた。
「え……どうして……」
 それが避妊具の箱だと気づいた花菜実は、思わずか細い声を上げた。昨日からずっと一緒にいたのに、何故それを用意出来たのだろう。昨夜は確か箱ごとなんて持っていなかったはずで、そして買いに行った様子もなかったのに。
「今朝、花菜実が寝ている間に買って来たんだよ。この部屋にも置いておかないと、と思ったから」
「そ、うですか……」
「……それとも、子供が欲しい?」
 耳元でそう囁かれ、反射的にかぶりを振った。
「ま、まだいいです……っ」
 少なくとも入籍しない内に妊娠するなんて、絶対にあってはならないと訴えると、幸希は笑った。
「僕もまだ子供は早いと思う。しばらくは花菜実と二人きりで過ごしたいし。でも――」
 そう言うと彼は花菜実を抱き上げ、そっとベッドの上に横たえた。
「――いずれは花菜実との子供が欲しいな」
「……私も、いつかは欲しい、です」
「でも、今日言ったけれど、花菜実にそっくりな娘が生まれたら、きっと嫁に出したくないと思うだろうな」
 幸希がクスクスと笑った。
「気が早すぎですよ、まだ結婚もしてないのに」
 花菜実も釣られて笑うと、幸希は彼女のくちびるにキスを落とした。
「ゆっくりするけど、もし痛かったら言って」
 そう言い残して花菜実の脚を広げ、彼はぬかるみにつぷりと屹立を押しつける。何度か表面を往復させた後、それは中に埋められた。
「ん……」
 宣言通りにゆっくりと隘路を入って来る熱に、花菜実の眉がわずかに歪む。
「痛い?」
「痛くないです……少し、苦しくて」
 花菜実の体内に侵入しようとしているそれは想像以上の質量で。昨日は痛みが勝っていたのであまり感じなかったけれど、今日は少しだけ気持ちに余裕があるせいか、逆にその硬さや大きさが下腹部をかなり圧迫してくるのが分かる。
「あぁ……ごめん、それは我慢してくれると嬉しい」
 屹立はさらに奥へと入っていく。そうして幸希の腰骨が花菜実の内腿にぴたりとついた頃、
「花菜実……大丈夫?」
 優しく尋ねる幸希に、花菜実は儚げな笑みを浮かべてうなずいた。
「平気……です。痛くないから……幸希さんの好きにしてください」
「……花菜実はとことん僕を甘やかすなぁ」
 目尻を下げて甘く笑い、幸希は緩やかに律動を始めた。
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