甘い恋をいただきます。

沢渡奈々子

文字の大きさ
59 / 60
番外編

番外編1「厄介な男子の取扱説明書」6話

しおりを挟む
「ぁ……、はぁ……」
 探るように動く彼の雄に内壁を擦られ、艶めかしい吐息が漏れる。なるべく声を出さないように抑えてはいるが、どうしても呼気が色づいてしまう。
「もう全然痛くない?」
 力強くうなずく花菜実。昨日あれほど下腹部を苛んだ痛みは、今日はまったく感じられなかった。それどころか、こんなにも緩慢な抽挿なのに、そこから愉悦が生まれているのに驚いてしまう。
 彼女の返答を見て、幸希は動きを止めた。
「花菜実、僕にしがみつける? 脚も」
「ぁ……は、い」
 花菜実は両手両足を彼の首と腰に回した。同時に、幸希は彼女を抱えて起き上がる。もちろん、つながったままだ。そして花菜実を上にして先ほどのようにベッドの上に腰を下ろした。
「え……これ……」
 いわゆる騎乗位の状態だ。もちろん花菜実もそれは知っている。横になっている時よりも身体をつぶさに見られているような気になってしまい、すごく恥ずかしい。
 昨日も今も散々身体を見られて、触れられて、貫かれて――昨夜はシャワーまで一緒に浴びたのに。
 それでも、羞恥心が花菜実をちくちくと突き刺してくる。思わずもぞもぞと動いてしまう。
「花菜実は何もしなくていいよ。……僕が勝手に動くから」
 幸希は枕をヘッドボードに立てかけ、そこに軽く寄りかかる。少し離れたところから花菜実を眺める形になり、ますます恥ずかしさが彼女を襲うが、彼はかまわずに軽く下から突き上げた。
「あんっ……こ、れ……だ、め……っ」
「ん? どうして?」
 即座に反応を見せる花菜実に、探るような眼差しを差し向ける幸希。
「だ、って……っ、奥……」
「奥?」
「奥に入りすぎて……」
 自重で自然と幸希の雄を余すところなく受け入れることになり、昨日よりももっと身体が敏感になってしまうのが少し怖かった。
「痛い?」
「痛くは……ない、です」
「じゃあ、続けるよ。もし無理ならそう言って」
 幸希は再び下から穿ち出した。時折、花菜実の腰を捉え、彼女の代わりに上下に揺する。
「あっ、あ、あ……っ、ぁ、んんっ」
 途中でハッと気づいたように口を手で押さえる花菜実。貫かれるたびに、彼女の白い胸のふくらみが同期するように揺れ動く。媚肉はもたらされる快感を逃すまいと屹立に吸いついている。ふいに幸希が眉をひそめた。
「っ、そんなに締めつけられると本当にやばい。……少し力抜ける?」
「ゃ……っ、む、り……っ」
 締めたくて締めているわけではないから。抜けと言われて抜ける力なんてどこにあるのか、自分でも分からない。
「っとに……花菜実は可愛い顔して、身体は困惑するほどいやらしい。……もちろん、僕的には大歓迎だけど」
「ゃ……っ、ん……っ」
「分かる? 花菜実の中が僕のに容赦なく絡みついてきて離さない。僕のすべてを吸い取ろうとしてるみたいだ。……そんなに欲しい?」
 軽く揺さぶりながら、幸希は花菜実の胸の膨らみを口に含む。先端を吸い、そして甘噛みしてくる。
「んっ、ぁ……っち、が……っ」
 首を振ってみせると、彼は急に動きを止めた。
「違う? ……それじゃあ、いらない?」
 彼女の腰を上げて抜こうとする仕草を見せる幸希。花菜実は彼の首にぎゅっと抱きついた。
「やぁ……っ」
「ん?」
 答えを促しているのか、幸希は軽く彼女を突き上げた。
「んっ、ぁ……ほ、しい……」
 消え入りそうな声音で、花菜実が呟いた。すると幸希はクスリと笑い、彼女の耳元で囁いた。
「よくばり」
「っ、ぇ……」
 驚く花菜実に、幸希はさらに言葉を継いだ。
「僕はもうとっくに花菜実のものだって言っただろう? ……これ以上、何を欲しがるの?」
 幸希は彼女の背中に腕を回し、抱きしめた。
「だ、って……こ……きさん、が……」
 花菜実の口から『欲しい』と言わせたかったくせに、口にすればしたで『よくばり』だなんて――
「僕が何?」
「もう……」
 幸希の嬉しそうな声音に花菜実はため息をつく。そして少しだけ身体を離し、間近で彼の顔を睨めつけた――これ以上、私を翻弄してどうするの? と責める気持ちを込めて。
「――私がよくばりなら、幸希さんはいじわる」
 欲が溶け込んで潤んだ瞳では、とても睨んでいるようには見えないようだ。とろけきった花菜実の顔を見て、幸希は目を細めた。
「花菜実……そんな表情かお、どこで覚えてきた? 他の男の前ではしたらダメだ」
「幸希さんも……浮気しちゃダメですよ?」
 目の奥を覗き込むようにして念を押す花菜実。
「僕は花菜実しか見ていないから大丈夫」
 幸希は笑ってそう言うと、彼女にキスをした。すぐにそれは深くなる。時折思い出したように下から揺さぶられて身体が震えてしまう。
「んっ、ん……っ」
 それを繰り返されている内、無意識に自分も腰を揺らしていた。
 ベッドが軋む音と、二人がつながっていることを示す蜜音とキスの音、それから花菜実の鼻から抜ける甘い声が、否が応にも広くはない彼女の部屋に響く。
「ん、んんっ、ぁっ、あん……あぁっ」
 ついには我慢出来ずに声を上げてしまった。おまけに幸希に花芯を捏ねられてしまい、悲鳴のような喘ぎ声まで。執拗なまでにあちこち愛撫され、感じないはずがない。
「あっ、あ、ゃ……っ、もう……っ」
 花菜実がそう口走った後、幸希に下腹部を手の平で押された瞬間、目の前が白くなった。
「やぁっ、あぁっ」
 昨日と同じだ。内壁の奥が切なく痺れるように激しく疼き、全身を大きく震わせた。外側だけで達するのとは違う、大きなうねりが花菜実を襲う。
 体内が収縮し、彼女が昇りつめたことを幸希の雄に伝えた。
「……っ」
 幸希が眉根を寄せている。花菜実がもたらす波に耐えているようにも見えた。同時に、彼女は力尽きたように彼の胸に身体を預ける。どれくらいの時間が経っただろう――花菜実の呼吸が平静を取り戻した頃、幸希が彼女の髪を撫でながら告げた。
「花菜実……気づいていた? 最後、僕はほとんど動いていなかったの」
「……?」
「途中からは、ほぼ花菜実だけが動いてくれていたよ。僕はちょっと手助けしただけだ」
「う、そ……」
 そう反論はしてみるものの、気持ちよくて脳みそが焼けそうな中、幸希にしがみついて腰を揺らしていた気がする。動くのをやめてしまえば快感の供給が止まってしまうと、身体が分かっていたのかもしれない。それを手放したくなくて、夢中で律動していたようだ。
「上手に出来ていたから。……ちゃんとイケただろう? たいへんよくできました、花丸をあげる」
「や……恥ずかしい……」
 これではなんだか淫乱な女みたいだと、自己嫌悪に陥りそうになる。けれど恐る恐る見上げた先には、愛情でとろけた表情が待ち構えていた。
「さっきも言っただろう? そういういやらしい花菜実も大歓迎――当然、僕限定。絶対に誰にも見せたらダメだから」
「あ、当たり前、です……」
 ちゅ、とくちびるを啄まれながら囁かれ、花菜実はかぁっと頬を染めた。
「いやらしい花菜実は体内なかもすごく締まっていて、僕としてはもう、搾り取られた、って感じだったな。……いや、正確に言えば『搾り取られそうだった』か」
「え?」
「もう少し楽しみたくてなんとか耐えたから、花菜実もあとちょっと頑張ってくれるか? 今度は本当に動かなくていいから」
「ぁ……え、と……きゃっ」
 花菜実の返事を待たずに、幸希はつながったまま再び体勢を入れ替え、彼女の裸体をベッドに横たえた。
「花菜実の中が気持ちよすぎて、狂ってしまいそうだ。……花菜実も同じなら嬉しいけど」
 蠱惑的な笑みを上から落とされ、心臓が逸る花菜実。すぐに幸希は、彼女が一番感じる角度で内壁を穿ち出した。
「あぁんっ、あぁっ、ゃ、また……っ」
「ここを擦られるのが一番好きだね、花菜実は……すごい鳥肌立ってる」
 一般的に性感帯と言われる場所を突かれた途端、全身がぶわりと総毛立ったのを幸希には見られていたのか、二の腕をするりと撫でられた。
「んっ、ぁ……っ」
 思い出すたびに口元を押さえるけれど、あまりにも気持ちがよくて、ついおろそかになってしまう。
「花菜実……セックスは、好き?」
 唐突の質問に驚こうにも、同時に強烈な刺激を与えられ、何も答えることが出来ない。口からは抑えた喘ぎ声しか出て来ない。けれどすぐにまた同じ質問をされて、誘導されたようにうなずいてしまった。
「そうか……よかった。気持ちよくなってくれてる、ってことだ」
 幸希は満足げに抽挿を強くした。突かれるたびに秘部から蜜液があふれて止まらず、ぐちゅりとはしたない音を立ててしまう。
「んんっ、あぁ……っ、だ、め……っ、お、かしく、なっちゃう……っ」
「……それで、いいよ。もっともっと、僕がいないと……ダメになってくれたら、嬉しい」
 息を若干荒らげながら、わずかに狂気を覗かせたような言葉を紡ぐ幸希。潤んだ瞳をうっすらと開き、彼の陶酔した顔を見つめた瞬間――
「はぁっ、っ、あぁっ――」
 三度目の絶頂が、花菜実の感覚と意識を根こそぎ奪っていった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

皇太子夫妻の歪んだ結婚 

夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。 その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。 本編完結してます。 番外編を更新中です。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

大人になったオフェーリア。

ぽんぽこ狸
恋愛
 婚約者のジラルドのそばには王女であるベアトリーチェがおり、彼女は慈愛に満ちた表情で下腹部を撫でている。  生まれてくる子供の為にも婚約解消をとオフェーリアは言われるが、納得がいかない。  けれどもそれどころではないだろう、こうなってしまった以上は、婚約解消はやむなしだ。  それ以上に重要なことは、ジラルドの実家であるレピード公爵家とオフェーリアの実家はたくさんの共同事業を行っていて、今それがおじゃんになれば、オフェーリアには補えないほどの損失を生むことになる。  その点についてすぐに確認すると、そういう所がジラルドに見離される原因になったのだとベアトリーチェは怒鳴りだしてオフェーリアに掴みかかってきた。 その尋常では無い様子に泣き寝入りすることになったオフェーリアだったが、父と母が設定したお見合いで彼女の騎士をしていたヴァレントと出会い、とある復讐の方法を思いついたのだった。

愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました

蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。 そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。 どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。 離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない! 夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー ※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。 ※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

第3皇子は妃よりも騎士団長の妹の私を溺愛している 【完結】

日下奈緒
恋愛
王家に仕える騎士の妹・リリアーナは、冷徹と噂される第3皇子アシュレイに密かに想いを寄せていた。戦の前夜、命を懸けた一戦を前に、彼のもとを訪ね純潔を捧げる。勝利の凱旋後も、皇子は毎夜彼女を呼び続け、やがてリリアーナは身籠る。正妃に拒まれていた皇子は離縁を決意し、すべてを捨ててリリアーナを正式な妃として迎える——これは、禁じられた愛が真実の絆へと変わる、激甘ロマンス。

処理中です...