世界最強はガチャで引いた――無限排出スキルで現代を救え

羽蟲蛇 響太郎

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第1章 覚醒者たち

第2話 最初の一回転は、世界を壊す色だった

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統制局能力者・相馬迅の案内で、天城零は街外れの臨時封鎖区域に連れて来られていた。

元はショッピングモールだった場所。
今はバリケードと警告テープに囲まれ、人の気配はない。

「ここは最近、低級モンスターが頻発している」

相馬は端末を操作しながら説明する。

「新人能力者の実地確認にも使われてる。……本来は、な」

意味深な視線が零に向けられる。

「俺、場違いじゃないですか」

「正直に言う。
 お前を“新人枠”に入れていいか、上が揉めてる」

零は苦笑した。

「ですよね」



モンスターにはランクがある。
相馬は簡易ホログラムを表示した。

「能力者・モンスター共通の危険度ランクだ」

――E・D・C・B・A・S・EX。

「一般人が対処できるのはEまで。
 D以上は能力者案件だ」

「能力者側も同じ?」

「ああ。
 能力者の初期覚醒は、ほぼEかD。
 努力と実戦で上がっていく」

相馬は一拍置き、続けた。

「俺はC。炎系能力者としては、上の下だ」

零は頷いた。

「……俺は?」

相馬は即答しなかった。

「測定不能、だ」

「え」

「能力が多すぎる。
 通常、ランク測定は“主能力”基準だが――」

相馬は零を見据える。

「お前には、主が存在しない」

その言葉の重みを、零はまだ理解しきれていなかった。



その時だった。

――ギィィ……。

金属が引き裂かれる音。

ショッピングモールの自動ドアが、内側から歪む。

「来るぞ」

相馬が前に出る。

だが、零は足を止めなかった。

「……俺に、やらせてください」

相馬が振り返る。

「初戦だぞ」

「だからです」

零は自分の胸の鼓動を感じていた。
恐怖はある。
だが、それ以上に――確かめたかった。

(俺は、どこまでできる)

ドアが吹き飛び、
四足のモンスターが姿を現す。

犬に似た体躯。
だが皮膚は黒く硬質で、目は赤く濁っている。

「Dランク・魔獣型だ」

相馬が低く告げる。

「油断するな」

零は一歩、前に出た。

「……ガチャ」

心の中で念じる。

《能力ガチャ:起動》

その瞬間。

――世界が、暗転した。



いつもと違う。

今までのガチャは、
即座に文字が表示されるだけだった。

だが今回は違った。

暗闇の中、
巨大な“筐体”が現れる。

金、銀、赤、青――
無数の光が渦を巻き、
スロットのように回転する。

《レア演出:確定》

相馬が息を呑む。

「……おい。今の反応、見たか?」

零の耳には、別の音が聞こえていた。

――ゴトン。

何かが“落ちた”音。

《排出完了》

暗闇が晴れ、
文字が浮かび上がる。

《獲得スキル》
・破壊権限(限定)

一瞬、理解できなかった。

「……破壊?」

次の瞬間、
情報が脳に流れ込む。

――対象の構造的弱点を認識し、
――存在の“壊し方”を理解する。

零の視界が変わった。

モンスターの身体が、
無数の“線”で分解されて見える。

「……見える」

相馬が叫ぶ。

「零! 来るぞ!」

モンスターが跳躍した。

速い。
だが――遅く見える。

零は、ただ一歩踏み出した。

拳を、突き出す。

衝撃は、なかった。

触れた瞬間、
モンスターは“崩れた”。

血も、悲鳴もない。
存在そのものが、分解され、消失する。

……静寂。



相馬は、言葉を失っていた。

「……Dランクを、素手で……?」

零は自分の手を見る。

震えてはいない。

「今の……俺がやったんですよね」

「ああ」

相馬は、ゆっくり息を吐いた。

「間違いなく」

沈黙の後、相馬は端末を操作する。

「討伐記録、完了。
 ……ランク評価は――」

彼は画面を見て、固まった。

「……EX?」

零が首を傾げる。

「EX?」

「本来、測定不能や災害級に使われる暫定ランクだ」

相馬は、乾いた笑いを漏らした。

「新人で、これは前例がない」

零は苦笑する。

「やっぱり、危険ですか」

相馬は、はっきりと頷いた。

「危険だ。
 だが同時に――」

彼は真剣な目で言った。

「世界を救える、唯一の可能性でもある」

零は空を見上げた。

モンスター。
能力者。
魔人。
そして、神。

(全部、相手にすることになるんだろうな)

だが、不思議と恐怖はなかった。

胸の奥で、
ガチャが回る音がする。

――次は、何が出る?

世界最悪の能力は、
まだ、始まったばかりだった。
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