世界最強はガチャで引いた――無限排出スキルで現代を救え

羽蟲蛇 響太郎

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第1章 覚醒者たち

第3話 隣で戦う理由

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統制局の簡易拠点を出た直後、相馬迅は通信端末を確認して舌打ちした。

「……厄介だな」

「何かあったんですか?」

天城零の問いに、相馬は短く答える。

「市街地に近い工場跡でモンスター反応。
 ランクはD……だが、現地に向かってる能力者が一人だけだ」

「一人?」

「ああ。新人だ。しかも――」

相馬は一瞬、言い淀んだ。

「まだ、実戦経験が浅い」

零は自然と前に出ていた。

「俺も行きます」

相馬は即座に首を振る。

「お前は別枠だ。
 だが……」

少し考えた後、苦笑する。

「いや、逆か。
 “一緒に行かせた方が安全”かもしれん」



工場跡に到着した時、すでに戦闘は始まっていた。

「はぁっ!」

高い声と共に、衝撃波が走る。

瓦礫の向こうで、少女が必死にモンスターと対峙していた。
年は零と同じくらい。
肩までの黒髪を振り乱し、手には短槍を握っている。

「……ヒロイン枠だな」

零が思わず呟くと、相馬が小声で叱る。

「集中しろ」

モンスターは二体。
人型だが、皮膚は岩のように硬く、動きも鈍い。

「Dランク・重装型」

相馬が状況を分析する。

「だが、数が悪い。
 あの子、一人じゃ――」

その言葉を遮るように、少女が弾き飛ばされた。

「くっ……!」

地面を転がりながらも、すぐに立ち上がる。

逃げない。

その姿に、零は目を奪われた。

「相馬さん。俺、前に出ます」

「分かってる」

相馬はすでに炎を構えていた。

「だが、今回は“共闘”だ。
 お前が全部やるな」

零は頷き、駆け出した。



「後ろ!」

零の声に、少女が振り向く。

「え――」

零は彼女の前に滑り込み、拳を振るう。

衝撃と共に、モンスターの一体が吹き飛んだ。

「……!?」

少女の目が見開かれる。

「だ、大丈夫ですか!」

零は振り返り、手を差し出す。

「怪我は?」

「だ、大丈夫……です。ありがとうございます!」

息を切らしながらも、彼女は深く頭を下げた。

「私、ひいらぎみおです!
 能力者ランクDです!」

やけに元気な自己紹介だった。

「天城零です」

零が名乗ると、澪は一瞬きょとんとする。

「……あ、もしかして、昨日ニュースで話題になってた――」

「それは誤解です」

即答した。



残るモンスターが咆哮を上げる。

澪が前に出ようとするのを、零は止めた。

「一緒に行きましょう」

「え?」

「澪さんの能力、何ですか?」

澪は一瞬迷い、答える。

「《衝撃操作》です。
 触れたものに、衝撃を溜めて放出できます」

「溜める時間は?」

「……三秒くらい」

短い。
だが、使い方次第だ。

「じゃあ、俺が囮になります。
 合図で、全力を」

「分かりました!」

零は一歩前に出る。

(ガチャ……は使わない)

今回は、合わせる。

モンスターの攻撃を、あえて受け止める。

「零っ!」

相馬の叫びを背に、零は踏ん張った。

「今です!」

澪が槍を突き出す。

「――《衝撃解放》!」

圧縮された力が炸裂し、
モンスターの装甲が砕け散る。

露出した核を、零が打ち抜いた。

一体目、撃破。



戦闘は、すぐに終わった。

澪はその場に座り込み、荒く息をつく。

「……終わった……」

零は手を差し出す。

「お疲れさまです」

「……あの」

澪は手を取りながら、零を見上げた。

「私、Dランクで……
 正直、足手まといだったと思います」

零は首を振った。

「そんなことない」

澪は驚いた顔をする。

「溜め時間を把握して、
 自分にできる最大を出してました」

それは、零が最も評価する部分だった。

「逃げなかった。
 それだけで、十分すごいです」

澪の頬が、少し赤くなる。

「……ありがとうございます」

相馬が近づいてきて、腕を組む。

「柊澪。
 今日の連携、悪くなかった」

「ほ、本当ですか!」

「だが――」

相馬は零を見る。

「こいつは、規格外だ。
 比べるな」

澪は、改めて零を見る。

「……すごい人、なんですね」

零は苦笑した。

「まだ、始まったばかりです」

澪は、少し考えてから言った。

「……もし、よかったら。
 また一緒に、戦ってくれませんか?」

その言葉に、零は一瞬だけ迷い――

「もちろん」

と、答えた。

ガチャで手に入れた最強の力。
だが、隣で戦う誰かがいる。

それは、零にとって
初めての“理由”だった。
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