世界最強はガチャで引いた――無限排出スキルで現代を救え

羽蟲蛇 響太郎

文字の大きさ
13 / 15
第2章 魔神観測領域

第12話 深淵は、内側にあった

しおりを挟む
その異常は、統制局の警報よりも早く訪れた。

「……来る」

天城零が呟いた瞬間、
澪の眷属領域が展開される。

空気が、重い。

夜の高速道路跡。
すでに封鎖されたその場所で、
“それ”は姿を現した。

――A級モンスター。

人型に近いが、
輪郭は崩れ、
背中には黒い翼のような器官。

「……魔人に近い」

澪が、低く分析する。

「擬似知性体。
 学習、適応……再生あり」

零は、一歩前に出る。

「長引かせない」



A級は、DやBとは次元が違った。

踏み込んだ瞬間、
地面が陥没する。

澪が衝撃操作で迎撃するが、
弾かれる。

「硬い……!」

零は即座に判断する。

(……ガチャ)

だが――

引く前に、違和感が走った。

胸の奥。
ガチャとは別の“何か”が、
反応している。

(……気のせいか)

零は、思考を切り替える。

《能力ガチャ:起動》

視界が、黒に染まる。

だが今回は――
演出が、違った。

回転する輪の奥に、
“底”が見えない。

《警告》
《深層演出:未解放領域》

文字が、すぐに消える。

《獲得スキル》
・存在切断(限定)

理解した瞬間、
A級モンスターの“繋がり”が視えた。

「……澪さん」

「はい」

「三秒、守って」

「了解」

澪が、零の前に立つ。

《忠誠領域》が最大展開。

A級の攻撃が、
“零に届く前に”歪められる。

「……!」

澪の口から、血が零れた。

「澪さん!」

「大丈夫……
 まだ、立てます」

その声は、
震えていなかった。

零の拳が、固く握られる。



「――今だ」

零は、踏み込む。

存在切断。

それは、
破壊でも消去でもない。

“繋がっているはずのもの”を、
切り離す力。

A級モンスターの核と、
再生機構が、分断された。

咆哮。

世界が、揺れる。

次の瞬間――
A級は、崩れ落ちた。

完全沈黙。



戦闘は、勝利だった。

だが――

零は、膝をついた。

「……?」

頭が、痛い。

ガチャを引いた反動とは、違う。

(……今のは)

澪が、駆け寄る。

「零様!」

「……大丈夫」

だが、
心の奥で、誰かが“笑った”。

――引いたな。

声は、
自分のものに似ていた。

(……誰だ)

答えは、返らない。

代わりに、
記憶でも感情でもない“感覚”だけが残る。

――お前は、まだ気づいていない。

――ガチャは、入り口だ。

零は、無意識に胸を押さえた。

「……澪さん」

「はい」

「もし、俺が……
 俺じゃなくなったら」

澪は、即答した。

「それでも、隣にいます」

迷いは、なかった。

その言葉に、
胸の奥の“何か”が、静まる。



遠く。

世界の“裏側”。

闇の奥で、
何かが、目を開いた。

――まだ、早い。

――だが、近い。

魔神ではない。

神でもない。

零の内側に潜む、“真の魔神”。

それは、
まだ名を持たず、
まだ姿を持たず――

ただ、
ガチャが回るたび、
少しずつ、目覚めていた。

夜が、静かに更けていく。

戦いは、
もう外側だけのものではない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる

長月 鳥
ファンタジー
町の電気屋として細々と暮らしていた俺、轟電次郎(とどろき でんじろう)。 ある日、感電事故であっけなく人生終了──のはずが、目を覚ましたら異世界だった。 そこは魔法がすべての世界。 スマホも、ドライヤーも、炊飯器も、どこにもない。 でもなぜか俺だけは、“電力を生み出し家電を召喚できる”という特異体質を持っていて── 「ちょっと暮らしやすくなればそれでいい」 そんなつもりで始めた異世界ライフだったのに…… 家電の便利さがバレて、王族に囲まれ、魔導士に拉致され、気が付けば── 「この男こそ、我らの神(インフラ)である!」 えぇ……なんでそうなるの!? 電気と生活の知恵で異世界を変える、 元・電気屋おっさんのドタバタ英雄(?)譚!

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら

リヒト
ファンタジー
 現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。  そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。  その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。  お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。    ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。    お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?

処理中です...