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初恋の呪い
胸が……痛いくらいだ※
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ジェラルドはレオンの返事を待つことなく、噛みつくように口づける。そのキスは以前求め合ったときよりも激しく、性急なものであり、レオンはただそれを受け入れるだけだった。
(ああ……胸が……痛いくらいだ)
お互いが本能のままに絡め合う舌は決して器用ではなかったが、情動を強く揺さぶるものだった。
欲しい、欲しい、欲しい。
レオンはジェラルドの舌による愛撫に、息が上がり苦しくなっていく。唾液が零れれば、それを一滴の雫であっても失うまいと、ジェラルドは追いかけて啜った。
ソファーの座面に押し付けられ、ジェラルドの両腕に囲まれるという甘やかな拘束を受けながら、レオンの官能はキスだけで追い詰められていく。下半身が兆し、切ないほど疼く感覚に身を捩ると、ジェラルドが様子を確認するように唇を離した。
「ジェラルド……ここは、狭いだろう」
「……それもそうだ」
訴えると、ジェラルドは同意し、ソファーからレオンを抱き上げた。キスによって力が抜けたレオンは、横抱きのままベッドへと運ばれる。
「ジェラルド……!」
「すまない。待てない」
ジェラルドはレオンをベッドにそっと横たわらせた後、手早く自らの衣服を脱ぎ捨て、全裸となった。レオンは横目でその様子を窺いながら、自身のジャケットやシャツのボタンをのろのろと外していく。しかし、ジェラルドが戻ってくると、彼は待つことなく荒々しく、言ってしまえば乱暴な手つきでレオンの衣服を一瞬で脱がせてしまった。そして、馬乗りになった彼は逆光が生む影の中で、獲物を狙う獣のように目を光らせている。
「ここひと月貴方に飢えていた……触れる資格がないのではないかと思うと、辛くて……」
「そうか」
苦しげでありながらも静かな声で話すジェラルドは、内に秘めた思いを溢れ出さないように抑え込んでいるように見えた。レオンはその思いを解放してやりたくなり、彼の両頬を包むように手を当てる。
「全部あげるから……好きなだけ求めてくれて構わないから、優しくしてくれないか? きみ、顔が怖くなっているよ」
レオンが穏やかに宥めると、ジェラルドは自身の様子に気づいたようで、目を気まずそうに逸らす。
「……優しくする」
相変わらず言葉と声の調和が取れていなかったが、ジェラルドは約束をしてくれた。
レオンは久しぶりに触れ合う肌の感触にひどく胸が高鳴る。ここ一か月、ジェラルドのフェロモンは残り香でしか感じられなかったが、今は感情の高まりと連動して強く放たれており、レオンの理性は今にも突き崩されそうだった。彼はアルファ因子の強い五家のアルファだけあって、フェロモンの魅力も強く、王子様として気を張っていても容易く理性を剥がされてしまう。
「んっ……」
レオンは与えられる刺激に思わず鼻にかかった声を漏らした。ジェラルドはレオンの性器に腰を擦りつけ、硬度を試すように圧迫を繰り返しながら、こめかみにキスを落として低い声で囁いた。
「貴方のフェロモンが強く香る。万一を考えてネックガードを外していいか?」
「……っ、ああ」
レオンは言われるままに、ネックガードの魔石に触れて解除術式を発動した。続いてジェラルドも同じようにし、鍵の外れる音と共にネックガードが外れる。
レオンが他のアルファに鎖骨を見せるだけで殺気を放つジェラルドは、裏返して考えると、この部分に性的な興奮を得る性質なのかもしれない。露出した首に彼の刺すような視線を感じた。
「噛みついてしまいたい……」
「……っ」
レオンの身体はビクリと跳ねた。ジェラルドは繊細で優しい性格だが、五家のアルファとして恵まれた肉体と強いアルファ性も併せ持っている。彼であれば何をされてもいい、という覚悟はあるものの、本能が怯えを感じるのはやむを得ない。レオンは強張る腕を伸ばし、ジェラルドの頬を撫でながら彼を宥める。
「発情……したら、だ」
「……そうだな。どうすれば貴方は発情するだろう……私は貴方の側にいるだけで、いつもおかしくなりそうなのに……」
ジェラルドの熱に浮かされたような声が、ゾワリとレオンの耳朶を這った。発情中にうなじを噛まれることで成立する番関係だが、咬創は発情中であれば快感を得られると聞く。しかし、素面であれば噛み跡はただの外傷になり、『治癒』をかければ消えてしまい、痛みもあるという。
ジェラルドは欲求を堪えるように、レオンの首筋に歯をあてて、引っ掻くように滑らせている。それだけで滾るものがあるのか、レオンの腹に触れている彼の熱い充溢は、その先から滲む粘液質な欲望をレオンの肌に塗りつけていた。
(あれ、が、私の中に……)
レオンは腹を擦り上げるそれが、内側に入り込んでいくのだと実感し、にわかに湧いてくる怯えに息を呑む。それはまさにアルファの本能を具現化したものであり、凶暴さを一切隠さないでいた。
前回の肌の触れ合いでは、彼は射精すらしなかったが、今回は違い、行くところまで行くつもりだと感じている。彼の荒々しい呼吸や、触れる指も、まるでジェラルドその人ではないかのようだった。
唇は何度も首筋にキスをし、レオンがくすぐったがって身を震わせると、ジェラルドは彼の姿をさらに見たいと思ったのか、舌を出して絶妙な加減で首筋を舐め上げる。
「あ……やっ……あ、ぁ」
レオンが抵抗するように身を捩るものの、ジェラルドは彼を舐めることをやめない。まるで禁断の果実を味わうかのように、ジェラルドはレオンの喉仏を舌でなぞり、散々な抵抗を煽った後で吸い出すつもりなのではないかと感じられるほど、彼は強くキスをする。唇を押し付けられれば息が詰まり、レオンは耐えながら呻いた。
(あ……なんで……)
ジェラルドの唇が首筋を圧迫するようなキスをするのは、苦しさしかないはずなのに、レオンの腰は疼きを募らせている。解消するためにもじもじと腰を揺らすと、ジェラルドは小さく笑った。
「おねだりか。かわいいな……」
ジェラルドは身体を起こし、サイドテーブルに置かれていた香油の瓶に手を伸ばし、蓋を開けて直接レオンの秘部に垂らした。指を使って塗り広げられる感覚は、マッサージのようで心地いい。
「貴方のここは慎ましやかだから」
「あっ……」
ジェラルドは指を浅く後孔に挿入し、揺らすことで閉じ具合をレオンに示す。レオンは自己処理の際に後孔が疼いても、触れることが怖く、自らそこを使って快感を得ることはしなかった。以前、ジェラルドにされたとき以来で、刺激に驚いて、思わず情けない声がレオンの口から漏れた。
「う……んっ……う」
「本当にかわいい……」
ジェラルドはうっとりとレオンを見つめ、そのまま後孔に入った指を差し込んだまま動かさず、代わりに胸先に口を吸い付かせた。
(ああ……胸が……痛いくらいだ)
お互いが本能のままに絡め合う舌は決して器用ではなかったが、情動を強く揺さぶるものだった。
欲しい、欲しい、欲しい。
レオンはジェラルドの舌による愛撫に、息が上がり苦しくなっていく。唾液が零れれば、それを一滴の雫であっても失うまいと、ジェラルドは追いかけて啜った。
ソファーの座面に押し付けられ、ジェラルドの両腕に囲まれるという甘やかな拘束を受けながら、レオンの官能はキスだけで追い詰められていく。下半身が兆し、切ないほど疼く感覚に身を捩ると、ジェラルドが様子を確認するように唇を離した。
「ジェラルド……ここは、狭いだろう」
「……それもそうだ」
訴えると、ジェラルドは同意し、ソファーからレオンを抱き上げた。キスによって力が抜けたレオンは、横抱きのままベッドへと運ばれる。
「ジェラルド……!」
「すまない。待てない」
ジェラルドはレオンをベッドにそっと横たわらせた後、手早く自らの衣服を脱ぎ捨て、全裸となった。レオンは横目でその様子を窺いながら、自身のジャケットやシャツのボタンをのろのろと外していく。しかし、ジェラルドが戻ってくると、彼は待つことなく荒々しく、言ってしまえば乱暴な手つきでレオンの衣服を一瞬で脱がせてしまった。そして、馬乗りになった彼は逆光が生む影の中で、獲物を狙う獣のように目を光らせている。
「ここひと月貴方に飢えていた……触れる資格がないのではないかと思うと、辛くて……」
「そうか」
苦しげでありながらも静かな声で話すジェラルドは、内に秘めた思いを溢れ出さないように抑え込んでいるように見えた。レオンはその思いを解放してやりたくなり、彼の両頬を包むように手を当てる。
「全部あげるから……好きなだけ求めてくれて構わないから、優しくしてくれないか? きみ、顔が怖くなっているよ」
レオンが穏やかに宥めると、ジェラルドは自身の様子に気づいたようで、目を気まずそうに逸らす。
「……優しくする」
相変わらず言葉と声の調和が取れていなかったが、ジェラルドは約束をしてくれた。
レオンは久しぶりに触れ合う肌の感触にひどく胸が高鳴る。ここ一か月、ジェラルドのフェロモンは残り香でしか感じられなかったが、今は感情の高まりと連動して強く放たれており、レオンの理性は今にも突き崩されそうだった。彼はアルファ因子の強い五家のアルファだけあって、フェロモンの魅力も強く、王子様として気を張っていても容易く理性を剥がされてしまう。
「んっ……」
レオンは与えられる刺激に思わず鼻にかかった声を漏らした。ジェラルドはレオンの性器に腰を擦りつけ、硬度を試すように圧迫を繰り返しながら、こめかみにキスを落として低い声で囁いた。
「貴方のフェロモンが強く香る。万一を考えてネックガードを外していいか?」
「……っ、ああ」
レオンは言われるままに、ネックガードの魔石に触れて解除術式を発動した。続いてジェラルドも同じようにし、鍵の外れる音と共にネックガードが外れる。
レオンが他のアルファに鎖骨を見せるだけで殺気を放つジェラルドは、裏返して考えると、この部分に性的な興奮を得る性質なのかもしれない。露出した首に彼の刺すような視線を感じた。
「噛みついてしまいたい……」
「……っ」
レオンの身体はビクリと跳ねた。ジェラルドは繊細で優しい性格だが、五家のアルファとして恵まれた肉体と強いアルファ性も併せ持っている。彼であれば何をされてもいい、という覚悟はあるものの、本能が怯えを感じるのはやむを得ない。レオンは強張る腕を伸ばし、ジェラルドの頬を撫でながら彼を宥める。
「発情……したら、だ」
「……そうだな。どうすれば貴方は発情するだろう……私は貴方の側にいるだけで、いつもおかしくなりそうなのに……」
ジェラルドの熱に浮かされたような声が、ゾワリとレオンの耳朶を這った。発情中にうなじを噛まれることで成立する番関係だが、咬創は発情中であれば快感を得られると聞く。しかし、素面であれば噛み跡はただの外傷になり、『治癒』をかければ消えてしまい、痛みもあるという。
ジェラルドは欲求を堪えるように、レオンの首筋に歯をあてて、引っ掻くように滑らせている。それだけで滾るものがあるのか、レオンの腹に触れている彼の熱い充溢は、その先から滲む粘液質な欲望をレオンの肌に塗りつけていた。
(あれ、が、私の中に……)
レオンは腹を擦り上げるそれが、内側に入り込んでいくのだと実感し、にわかに湧いてくる怯えに息を呑む。それはまさにアルファの本能を具現化したものであり、凶暴さを一切隠さないでいた。
前回の肌の触れ合いでは、彼は射精すらしなかったが、今回は違い、行くところまで行くつもりだと感じている。彼の荒々しい呼吸や、触れる指も、まるでジェラルドその人ではないかのようだった。
唇は何度も首筋にキスをし、レオンがくすぐったがって身を震わせると、ジェラルドは彼の姿をさらに見たいと思ったのか、舌を出して絶妙な加減で首筋を舐め上げる。
「あ……やっ……あ、ぁ」
レオンが抵抗するように身を捩るものの、ジェラルドは彼を舐めることをやめない。まるで禁断の果実を味わうかのように、ジェラルドはレオンの喉仏を舌でなぞり、散々な抵抗を煽った後で吸い出すつもりなのではないかと感じられるほど、彼は強くキスをする。唇を押し付けられれば息が詰まり、レオンは耐えながら呻いた。
(あ……なんで……)
ジェラルドの唇が首筋を圧迫するようなキスをするのは、苦しさしかないはずなのに、レオンの腰は疼きを募らせている。解消するためにもじもじと腰を揺らすと、ジェラルドは小さく笑った。
「おねだりか。かわいいな……」
ジェラルドは身体を起こし、サイドテーブルに置かれていた香油の瓶に手を伸ばし、蓋を開けて直接レオンの秘部に垂らした。指を使って塗り広げられる感覚は、マッサージのようで心地いい。
「貴方のここは慎ましやかだから」
「あっ……」
ジェラルドは指を浅く後孔に挿入し、揺らすことで閉じ具合をレオンに示す。レオンは自己処理の際に後孔が疼いても、触れることが怖く、自らそこを使って快感を得ることはしなかった。以前、ジェラルドにされたとき以来で、刺激に驚いて、思わず情けない声がレオンの口から漏れた。
「う……んっ……う」
「本当にかわいい……」
ジェラルドはうっとりとレオンを見つめ、そのまま後孔に入った指を差し込んだまま動かさず、代わりに胸先に口を吸い付かせた。
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