もうお前は勇者じゃないと追放されました。はい、最初から勇者じゃありません!

sanana

文字の大きさ
8 / 23

7話

しおりを挟む
 アイザックとアイリスはこのロベ村でともに育ってきた。
アイザックとアイリスの両親はそれぞれ亡くなっている。
両親は村の外の人間で、二人が赤ん坊のときにロベ村にある森で魔物に襲われた。
二人はそれぞれかごの中で、さらに茂みに隠されていたため、魔物に襲われずにすんだ。
そこを見つけたのは、森に定期的に魔物退治に来ている村長であった。
村長は、独身で子供がいないにも関わず、二人を育てた。
しかし、男一人で育て上げるのは一苦労ではあったので、村全員で育て上げた。
しばらく、子供が生まれてこなかったこともあったので、アイザックもアイリスもみんなに愛されてきた。
なので、二人は幼なじみだけでなく、きょうだいで家族であった。
その生活もしばらくして変わる。
村長が40代半ばになってから、結婚したのである。
相手は二人も世話になった村の女性で、村長の長年の片思い相手であった。
村長と二人が暮らしていた家は広くて、村長と結婚相手と二人が暮らしていくこともできたが、新婚の邪魔をするのは憚れた。
そのため、子どもの頃から秘密基地としていた森の中の山小屋で二人で暮らすことを決めたのだった。
親元から離れたとしても生活は変わらなかった。
森で大人たちと魔物狩りをしたり、農作業を手伝ったり。
そんな日常も一変してしまう出来事があった。
魔物狩りのさなか、アイザックもアイリスも森の中を彷徨ってしまったのだった。
子供のときから遊び場だったはずだったので、初めてのことに戸惑いを隠せない。
しかし、すぐに森の外れに出ることができた。
まだ日中、陽の出ている時間であった。
森の中に戻ればまた暗いが、かろうじて見える太陽を方角の手がかりにしようと考えたのだった。
日暮れる前に森へ戻ろうとする。
「あれ、何だろう?」
アイリスは崖の下で何かきらりと輝いているものが見えた気がした。
崖の下がどうなっているのか分からないので、そーっと慎重に見下ろす。
そこには塚の中に剣が埋まっているのが見えた。
「何でこんなところに剣が」
「これ売ることができたら、お父さんたちに何か贈れるかな」
というアイリスの一言で剣を取ることにした。
塚のある岩盤に慎重に降りることができた。
岩盤は脆くなく、落ち着いて立つことができた。
アイザックが持ち手をつかみ、ぐいぐいと引っ張るが、びくともしない。
「アイちゃん、これすごく固いよ」
「私も手伝うね」
アイリスも一緒に持ち手をつかむ。
ともにぐいぐい動かしていくと、その剣はすぽっと抜けた。
明るい日中ではあったが、剣が光ったようにも見えた。
「何だったんだ、今の?」
「私も分からない」
疑問を感じた二人であったが、夕方になり本格的に遭難してしまう前に村へと戻っていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

【土壌改良】で死の荒野がSランク農園に!食べただけでレベルアップする野菜で、世界最強ギルド設立

黒崎隼人
ファンタジー
「え? これ、ただのトマトですよ?」 「いいえ、それは食べただけで魔力が全回復する『神の果実』です!」 ブラック企業で働き詰めだった青年は、異世界の名門貴族の三男・ノアとして転生する。 しかし、授かったスキルは【土壌改良】という地味なもの。 「攻撃魔法も使えない役立たず」と罵られ、魔物すら寄り付かない死の荒野へ追放されてしまう。 だが、彼らは知らなかった。 ノアのスキルは、現代の農業知識と合わせることで、荒れ果てた土地を「Sランク食材」が溢れる楽園に変えるチート能力だったことを! 伝説の魔獣(もふもふ)をキュウリ一本で手懐け、行き倒れた天才エルフを極上スープで救い出し、気づけば荒野には巨大な「農業ギルド」が誕生していた。 これは、本人がただ美味しい野菜を作ってのんびり暮らしたいだけなのに、周囲からは「世界を救う大賢者」と崇められてしまう、無自覚・最強の農業ファンタジー!

#密売じゃありません!ミツバイギフトで最高に美味しい果物作ったら、領主令息が夫になった件について

国府知里
ファンタジー
「がんばっても報われなかったあなたに」“スローライフ成り上がりファンタジー”  人生に疲れ果てた北村めぐみは、目覚めると異世界の農村で少女グレイスとして転生していた。この世界では6歳で神から“ギフト”を授かるという。グレイスが得た謎の力「ミツバイ」は、果物を蜜のように甘くするという奇跡の力だった!村を、領地を、やがて王国までも変えていく果樹栽培の物語がいま始まる――。美味しさが未来を育てる、異世界農業×スローライフ・ファンタジー!

【完結】アラフォー聖女、辺境で愛されます。~用済みと追放されましたが私はここで充実しています~

猫燕
恋愛
聖女エレナは、20年間教会で酷使された末、若い新聖女に取って代わられ冷淡に追放される。「私の人生、何だったの?」と疲れ果てた彼女が流れ着いたのは、魔物の呪いに苦しむ辺境の村。咄嗟に使った治癒魔法で村人を救うと、村の若者たちに「聖女様!」とチヤホヤされる。エレナの力はまだ輝いていた――。追放されたアラフォー聖女が、新たな居場所で自信と愛を取り戻す、癒やしと逆転の物語。

スキル『農業』はゴミだと追放されたが、実は植物の遺伝子を書き換える神スキル【神農】でした。荒野を楽園に変えて異世界万博を開催します!

黒崎隼人
ファンタジー
「そのスキル『農業』?剣も魔法も使えないクズはいらん、失せろ!」 勇者召喚に巻き込まれて異世界へ転生した植物オタクの青年カイルは、地味なスキルを理由に王都を追放され、死の荒野へと捨てられた。 しかし、誰も知らなかったのだ。 彼のスキルが、ただの農業ではなく、植物の遺伝子さえ書き換え、不毛の大地を瞬く間に聖域に変える神の力【神農】であることを。 荒野を一瞬で緑豊かな楽園に変えたカイルは、伝説の魔獣フェンリルを餌付けして相棒にし、傷ついた亡国の美姫ソフィアを助け出し、自由気ままなスローライフを開始する。 やがて彼が育てた作物は「エリクサーより効く」と評判になり、その噂を聞きつけた商人によって、彼の領地で世界規模の祭典――『異世界万博』が開催されることに!? 一方、カイルを追放した王国は深刻な食糧難に陥り、没落の一途をたどっていた。 「今さら戻れと言われても、この野菜は全部、俺とソフィアのとフェンのものですから」 最強の農民が送る、世界を揺るがす大逆転・万博ファンタジー、ここに開幕!

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話8話。

処理中です...