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青年期:法国
神に仕える女
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人はなぜ神に祈るのだろうか。
神が不在の世界で人が神に祈るのは、己を超越した存在がこの世界には存在し、その神のおかげで世界が成り立っていると思いたい人間がいるからだ。
では神が実在する世界においてなぜ人は神に祈るのだろうか。
利益を追い求めて?
本質的ではあるが直接的な要因にはなり得ないだろう。
利益と言ってもその形態は多種多様であり、神にそれらを願い出たところで叶えてもらえるとは限らない。
では安全な生活ならばどうだろうか。
神が実在することによって外敵が存在しない場所が作られれば、そこは人類にとっての楽園といって差し支えないだろう。
現に人類生存圏は公表される二柱の神と、その神達を裏から支えてきた三番目の神の存在によって他の種族の進行をある程度抑制していた側面があったのは間違いがない。
ならば安全な生活を求めて神に祈った人間達がそれを自力で手に入れられるようになった時、次に祈るのは必然的に前者の利益の享受である。
だがそらは神にだって叶えられるものと叶えられないものがある。
たとえば魔神であるエルピスに魔法の伝授をお願いすれば、そのものは望む魔法を手に入れる術を獲得したも同然だ。
だが同じく魔神であるエルピスに剣の教えを乞えばどうだろうか?
確かに彼も剣を扱うことに関しては人類の中では特筆すべきほどの技能を有していることは間違いではないが、それでも剣神と呼べるほどの力は持っていない。
魔神の頃と同じような方法で力を授けてもらえるかと聞かれればその答えは必然的に否定されるだろう。
そうして神にも出来る事と出来ないことがある事を知った時、人はついに神に叛逆を始める。
自分達を安全に守ってくれた、すくすくと育ててくれた神に対して。
人間は牙を剥き、恥知らずのその顔を大衆に晒しながらこう声高に叫ぶのである。
「神は既に死んだ──と」
そう言葉をこぼしたのは法衣に身を纏ったゲリシン。
いま彼がいるのはどことも知れぬ地下の一室であり、その目の前にはやはり縛られた法国の神がいた。
数ヶ月以上もの間縛られ、動けない状態で陽の光すら浴びられないような場所にありながら何も変わらない神とは対照的にゲリシンは目に見えて疲れ切っていた。
もはやその表情からは老いすら感じられ、この状況を見てもなお詳しいことを知らない人間であれば彼に対して同情的になってしまうほどだ。
自分の口にした言葉に耐えられなかったのか、膝を地面に投げ捨てたゲリシンは首を垂れて神の前にひれ伏す。
神をこんなところに拘束している罪人でありながら、彼のその姿は熱心な信者のそれである。
そんな彼を見る神の目は髪に隠れて見えないが、口元はどうやらかすかに笑っているようだ。
そうして微笑む神の前でゲリシンは自分の考えをまとめるためにポツポツと言葉をこぼし始めた。
「私は神が死んだと言われるのが我慢なりません……。我々を導いてくれるのは神に他ならないはず、神だけが私達を支配し、神にだけ支配された私達は楽園を追われることなく暮らせるはず」
「我々に支配されることを望んでいる時点で、お主の計画は間違っているのじゃ。我々の誰かが助けることをやめればお主らは死ぬのだぞ?」
「それで私はかまいません。ペットは飼い主に好かれようとありとあらゆる手法を用いて媚びるでしょう? 私はそれと同じだと思います。神に媚びることができなければ死ぬだけです」
「末期的な思考じゃな」
かつて多数の神が手を加えて作り出した人間の超大国があった。
いまやどの文献にも載っていない、神の目の前で首を垂れているゲリシンすらも知らない歴史の裏側だ。
多数の神によって作られた楽園とはまさにいま目の前でゲリシンが口にしたそれ、同じ神としてそこに参加していた法国の神はその行いが間違いであるとは思っていなかった。
なにせこの世界で最初に制作された種族は神、そしてその次に生まれてきたのが人類だったから、神は人類を自分達の兄弟だと考えて大変な愛情を注いだのだ。
だが結果論的に口にするのであれば、愛を注がれ過ぎたことが原因でその国は滅んでしまった。
神とて知性を有する生命体、口の上手いものが相手であれば、さらに言えばその人物が自分にとって関係性のある信頼における人物であれば尚のこと騙される可能性は飛躍的に上がる。
長い年月の中で人間と自分の子供を作り出した多くの神達は、自分の家族や親族や子供達から自分達が王になることを望まれた。
自分の子供が、伴侶が一番可愛かった神達はそうしてそれらを王にしようとしたが、この世界の王として玉座に座れるのはただ一人。
譲り合うということを知らなかった神達はそこで国が一つ消えるだけの戦争をして、覇権国家の消滅と人類史の抹消、さらには神同士での多数の制約に加えて人類生存圏内の神の座を三席までという協定を結びようやく妥協点とした。
それを分かっているからこそ法国の神はその願いを否定する。
そしてそれは現法皇ゲリシンが最も理解しているところだ。
「そうです。だから我々は奇跡を手に入れる」
「──貴様、自分で自分の顔を剥いだのか!?」
土下座したままのゲリシンの周りに小さな水たまりができていく。
それは自らの顔を自らの手で持ってゲリシンが引きちぎり始めた事でできた血の水溜り。
尋常ではない行為にさしもの神も驚きの表情を隠すことができない。
ゲリシンが自らの顔を剥いだのは過去への決別と、個人ではなく人類の代行者としてなすべきことをなすために個人を捨てた結果だ。
「我々が神にとって成り変わり、我々が人類を導く奇跡となる。これはその覚悟の証です。我らの神アフクレイアス」
「……そうか、その名で私を呼ぶのであればもはや何も言わぬ。お主はもう本当に自由だ、どうとでもするがいい」
「それでは……これにてさらばです」
もはや自分の知る可愛かった子供はおらず、そこに立っていたのは己の意志でこの地に立っている男の姿だ。
その姿は王としてはこれ以上ないほどの素晴らしいものであり、そして神であるにはどうしようもなく縛られていた。
「愚か者め……」
時はもう戻らない。
たとえ神であろうとも確定してしまった運命を覆すのは不可能だ。
どうしようもなく確定的な運命が作られて、そうして場面は少し後へと転換する。
ゲリシンが立つのは法国地下に作られた巨大な空間。
元々は対神様に法国民を非難させるためのシェルターとして作られたそこは、神とその系列のものには感知されない特殊な素材を混ぜて作られているので元々この場所を知っていなければやってくることはできない。
「来たか姉上」
だがそんな場所を知る人間が敵側にいる以上はもはや無駄な事である。
ゲリシンの目の前に立つのは憤怒にかられた姉だ。
いつもならば彼女の力を押さえているメガネを外し、殺意をむき出しにするその姿は法国最強の聖人の姿としてあまりにも凛々しい。
「残念っす……残念っすよゲリシン」
「私こそ残念ですよ姉上、姉上のやり方では人類はこの世界で外敵に怯え続けなければいけない。人類救済を是とするべき我々が、優先順位を誤ることがあってはいけないのです」
「人類なんていまの私の怒りの原因に比べればどうでもいい。ゲリシン、なぜ家族に手を出した?」
「家族に手を? いったい何を言っているのかわかりませんね。私はいつだって人類の事を考えて生きています、そんな私が家族に手をかけることなどありませんよ」
ハイトの言葉に対してゲリシンは本当に何を言っているのか分からないという顔をする。
自分の妹を手にかけておきながらその事すら覚えていない事に一瞬思考すらできなくなるほどの怒りに飲まれて、ハイトは全力でもってゲリシンに攻撃を始める。
ハイトの持っている力は血統能力と先祖返り、そして神から預かっている権能の代行行使。
怒りに全身を支配されているハイトだったが相手がどのような能力を保有しているかについてはある程度予想を立てているため、様子見で相手の戦力を図る様な真似はせずに最初から全開で己の力を披露する。
「死ね」
ハイトのもつ先祖返りの能力は不死身。
彼女に与えられた寿命が尽きるその時までどのような方法で殺害された場合においても、最も体が健康な状態に戻れるというものである。
これは一人で一軍を相手取れるほどの驚異的な能力であるが、ここに更に彼女の血統能力が上に乗っかってくる。
彼女が持つ血統能力は自分の所有物を操ることのできる〈傀儡〉と呼ばれるものであり、これは他者の自由意思を尊重している彼女だからこそ手に入れられた能力であるが、この〈傀儡〉の能力は己に使用することもできるのだ。
「これが自由の二つ名を持つ最高位冒険者としての力ですか」
能力のは半分ほどを使用して自分の体を操り、残った半分を使用して周囲の物質を操る。
そうすることによってハイトは密閉された空間内において非常識な挙動を可能にし、人間では反応不可能な挙動を起こすことが可能だ。
ゲリシンの周囲を動き続け一瞬視界から外れたことを確認したハイトは、己の身体能力に無理を言わせてゲリシンの顔を殴り飛ばす。
「――ハアアアアッッッツ!!」
「――グッ」
巨岩すらも粉砕するほどのハイトの身体能力でもって殴られれば、ある程度武術を修めた程度の人間では耐えられるはずがない。
だがゲリシンはあまりの威力に口から声を漏らしてしまっているとはいえ、完全にハイトの力を抑えきって見せた。
ましてやゲリシンは次期法皇として一切の武術を修めることを法律によって禁止されている立場であり、それを知っているハイトとしては自分の攻撃が止められたことに驚きを隠せない。
考えられるのは武術の差を超えるほどの圧倒的な身体能力の差があるのか、もしくはゲリシンが何らかの手法でもって短期間で圧倒的な武術力ともいえるものを手に入れたかである。
「神の力は良いものですよ姉上。それに聖人たちの記憶を組み合わせれば人は限界を超えられる」
「まさか希釈しないで記憶をそのまま自分に植え付けたって事っすか」
「そのまさかですよ姉上。私は神人になるために、人を辞めたのです」
人を聖人にする方法について様々な研究がなされたが、その中でも最も簡単に効率よくそれでいて危険度もなるべく抑えた方法で聖人になる方法は聖人の記憶を脳に移植することである。
これは外科的な方法で一度頭を開き、回復魔法を扱える魔法使い複数名と超級以上の魔法を扱える魔法使いの協力のもとに手術を行うことで手術を受ける人間に記憶を植え付けるのだ。
人間性とは記憶であるとの言葉はこの方法を生み出した名もなき天才の物であるが、実際その方法を用いれば疑似的に聖人に成れるのだから確かに彼は天才だったのだろう。
だがこの方法には致命的な問題があり、他者の人間性を己の中に入れることで拒否反応が起きたり自分の意志とは全く関係のない挙動をしてしまう事があるのだ。
後者に関してはまだマシで、前者の自分が自分であることを自覚できなくなった人間は廃人となってしまう。
傀儡兵こそその最たる例であり、最低限命令を受ける程度の認知能力しかない彼らはそうして作られた。
「いわば私は人のおもいの箱舟です。それを邪魔するのは姉上でもいただけませんね、人類の総意ですよ?」
「思い込みも甚だしい。聖人の力を持った人間が人間性も優れた人物ばかりではない事をお前は知っているとおもって居たっす」
「我々が人類をけん引する。我々こそが人類の希望になるのです」
ゲリシンが言葉を重ねるたびに、ゆっくりとその体から漏れでる魔力の量は増えていく。
それと同時に慣れ親しんだゲリシンの気配は徐々に変質していき、多種多様な気配が混ざっていくのが感じられる。
この場所にたどり着いた時から、ゲリシンという個人の思考は既にほとんどなかったのだろう。
いまやハイトの目の前に居るのは聖人達の意思の集合体であり、人類という種を救うためだけに動き続ける独善的な救済者である。
あれはもはや救えぬ者、どうやっても救えぬものであるならばもはや殺してやるのが家族としての最後の手向けでだ。
「家族としてお前を殺してやるっす」
そうして法国の運命を決める戦闘は始まってしまう。
肉弾戦に特化した両名が戦いを始めれば、そこにあるのは人の体が壊れる音と爆音を鳴らしながら粉砕される周囲のみである。
戦況の有利を手に入れたのはハイト、攻撃事態はゲリシンに痛手を負わせることはできていないが、不死身であるという要素を持っている時点で彼女の優位性は揺らぐことがない。
聖人としての力を持って攻撃をしてくるだけのゲリシンは持久戦になれば負けることを理解しており、何度かハイトを気絶させることで無力化しようと画策していたが、聖人として長い間戦闘を行ってきたハイトにそんなみえみえの罠は通用しない。
神の力を保有していながらもゲリシンが徐々に不利になっているのは、単純に彼が神の力を扱いきれていないからだ。
更に言えば権能の使用は身体に尋常ではない負担を与える。
聖人達の記憶を手に入れた事で既に洒落にならない負担を背負っている上に、権能の使用によって負担を課せばもはや戦闘の結果は関係なくゲリシンの体が崩壊するのはほとんど間違いがない。
「ゲリシン……哀れっすね」
もはや勝敗は決したと言っていいだろう。
ここから先ゲリシンがどれだけ頑張ったところで、もはやハイトの勝機が疑われる様なことはあり得ない。
拳を万力の様な力で握り込み、一歩ずつ踏み締めて歩くハイトに対し、ゲリシンの表情は怯えたものに変わっていく。
「我々は怯えず、我々は逃げず、我々は絶えることがない。人類最初の盾として、人類最後の守り手として我々は人類を脅かす物を排除するべし」
彼の口から溢れた言葉は聖人達が訓示として代々受け継いできたもの。
人類への献身を聖人と判明したその瞬間から死後まで強制される呪いの様なそれをゲリシンの中にいる聖人達が叫び続けているのだ。
そんなくだらないのもを無くせばもっと多くの聖人が今の法国には存在し、人類はもっともっと繁栄することもできていただろうに。
だが実際問題こうなってしまってはもはやどうすることもできないのだ。
「眠るっす、ゆっくりと」
怯えながら聖人達に操られ、もはや自らの正義すらも失ってしまった弟を前にハイトは大粒の涙を流す。
そうしてハイトの手刀は抵抗するゲリシンの行動も虚しくその心臓を貫いた。
なんともあっけなく、そうしてゲリシンは膝をついてハイトが腕を引き抜いた事でできた空洞から大量の血を流す。
神人に近くなったとは言え、大元が人間である以上心臓を潰されれば回復しない限り死は確定的。
そして心臓を潰された当人であるゲリシンはといえば、どうやら己を癒すつもりもないらしい。
「姉様……私は…私はなんという……人類を…世界を……お願いします」
「任せるっすよゲリシン。可愛い弟のお願いならお姉ちゃんが聞いてやるっす」
「よかっ…………」
大粒の涙を流しながらゲリシンの手をとったハイトは、徐々に死んでいく弟の手を強く握りしめながら言葉を返す。
思い出されるのは小さかった頃の思い出。
一度道を踏み違えてしまえばこうなる事をお互いに分かっていたからこそ、死ぬ時は相手に夢を託すことを決めていたのだ。
死の間際でようやく正気を取り戻した弟を見て、ハイトは己の運命を怨む。
聖人として生まれていなければ、人類の守護者ではなくこの世界を守ることを己の正義としていなければ、弟が聖人達の思考に乗っ取られることがなければあるいは……。
だがどれだけもしもを考えたとしても、いま目の前にある現実だけはどうやっても変わることはない。
そうして己を悔いながら冷たくなっていく弟の亡骸の横で、ハイトは再び大きな泣き声を上げるのだった。
神が不在の世界で人が神に祈るのは、己を超越した存在がこの世界には存在し、その神のおかげで世界が成り立っていると思いたい人間がいるからだ。
では神が実在する世界においてなぜ人は神に祈るのだろうか。
利益を追い求めて?
本質的ではあるが直接的な要因にはなり得ないだろう。
利益と言ってもその形態は多種多様であり、神にそれらを願い出たところで叶えてもらえるとは限らない。
では安全な生活ならばどうだろうか。
神が実在することによって外敵が存在しない場所が作られれば、そこは人類にとっての楽園といって差し支えないだろう。
現に人類生存圏は公表される二柱の神と、その神達を裏から支えてきた三番目の神の存在によって他の種族の進行をある程度抑制していた側面があったのは間違いがない。
ならば安全な生活を求めて神に祈った人間達がそれを自力で手に入れられるようになった時、次に祈るのは必然的に前者の利益の享受である。
だがそらは神にだって叶えられるものと叶えられないものがある。
たとえば魔神であるエルピスに魔法の伝授をお願いすれば、そのものは望む魔法を手に入れる術を獲得したも同然だ。
だが同じく魔神であるエルピスに剣の教えを乞えばどうだろうか?
確かに彼も剣を扱うことに関しては人類の中では特筆すべきほどの技能を有していることは間違いではないが、それでも剣神と呼べるほどの力は持っていない。
魔神の頃と同じような方法で力を授けてもらえるかと聞かれればその答えは必然的に否定されるだろう。
そうして神にも出来る事と出来ないことがある事を知った時、人はついに神に叛逆を始める。
自分達を安全に守ってくれた、すくすくと育ててくれた神に対して。
人間は牙を剥き、恥知らずのその顔を大衆に晒しながらこう声高に叫ぶのである。
「神は既に死んだ──と」
そう言葉をこぼしたのは法衣に身を纏ったゲリシン。
いま彼がいるのはどことも知れぬ地下の一室であり、その目の前にはやはり縛られた法国の神がいた。
数ヶ月以上もの間縛られ、動けない状態で陽の光すら浴びられないような場所にありながら何も変わらない神とは対照的にゲリシンは目に見えて疲れ切っていた。
もはやその表情からは老いすら感じられ、この状況を見てもなお詳しいことを知らない人間であれば彼に対して同情的になってしまうほどだ。
自分の口にした言葉に耐えられなかったのか、膝を地面に投げ捨てたゲリシンは首を垂れて神の前にひれ伏す。
神をこんなところに拘束している罪人でありながら、彼のその姿は熱心な信者のそれである。
そんな彼を見る神の目は髪に隠れて見えないが、口元はどうやらかすかに笑っているようだ。
そうして微笑む神の前でゲリシンは自分の考えをまとめるためにポツポツと言葉をこぼし始めた。
「私は神が死んだと言われるのが我慢なりません……。我々を導いてくれるのは神に他ならないはず、神だけが私達を支配し、神にだけ支配された私達は楽園を追われることなく暮らせるはず」
「我々に支配されることを望んでいる時点で、お主の計画は間違っているのじゃ。我々の誰かが助けることをやめればお主らは死ぬのだぞ?」
「それで私はかまいません。ペットは飼い主に好かれようとありとあらゆる手法を用いて媚びるでしょう? 私はそれと同じだと思います。神に媚びることができなければ死ぬだけです」
「末期的な思考じゃな」
かつて多数の神が手を加えて作り出した人間の超大国があった。
いまやどの文献にも載っていない、神の目の前で首を垂れているゲリシンすらも知らない歴史の裏側だ。
多数の神によって作られた楽園とはまさにいま目の前でゲリシンが口にしたそれ、同じ神としてそこに参加していた法国の神はその行いが間違いであるとは思っていなかった。
なにせこの世界で最初に制作された種族は神、そしてその次に生まれてきたのが人類だったから、神は人類を自分達の兄弟だと考えて大変な愛情を注いだのだ。
だが結果論的に口にするのであれば、愛を注がれ過ぎたことが原因でその国は滅んでしまった。
神とて知性を有する生命体、口の上手いものが相手であれば、さらに言えばその人物が自分にとって関係性のある信頼における人物であれば尚のこと騙される可能性は飛躍的に上がる。
長い年月の中で人間と自分の子供を作り出した多くの神達は、自分の家族や親族や子供達から自分達が王になることを望まれた。
自分の子供が、伴侶が一番可愛かった神達はそうしてそれらを王にしようとしたが、この世界の王として玉座に座れるのはただ一人。
譲り合うということを知らなかった神達はそこで国が一つ消えるだけの戦争をして、覇権国家の消滅と人類史の抹消、さらには神同士での多数の制約に加えて人類生存圏内の神の座を三席までという協定を結びようやく妥協点とした。
それを分かっているからこそ法国の神はその願いを否定する。
そしてそれは現法皇ゲリシンが最も理解しているところだ。
「そうです。だから我々は奇跡を手に入れる」
「──貴様、自分で自分の顔を剥いだのか!?」
土下座したままのゲリシンの周りに小さな水たまりができていく。
それは自らの顔を自らの手で持ってゲリシンが引きちぎり始めた事でできた血の水溜り。
尋常ではない行為にさしもの神も驚きの表情を隠すことができない。
ゲリシンが自らの顔を剥いだのは過去への決別と、個人ではなく人類の代行者としてなすべきことをなすために個人を捨てた結果だ。
「我々が神にとって成り変わり、我々が人類を導く奇跡となる。これはその覚悟の証です。我らの神アフクレイアス」
「……そうか、その名で私を呼ぶのであればもはや何も言わぬ。お主はもう本当に自由だ、どうとでもするがいい」
「それでは……これにてさらばです」
もはや自分の知る可愛かった子供はおらず、そこに立っていたのは己の意志でこの地に立っている男の姿だ。
その姿は王としてはこれ以上ないほどの素晴らしいものであり、そして神であるにはどうしようもなく縛られていた。
「愚か者め……」
時はもう戻らない。
たとえ神であろうとも確定してしまった運命を覆すのは不可能だ。
どうしようもなく確定的な運命が作られて、そうして場面は少し後へと転換する。
ゲリシンが立つのは法国地下に作られた巨大な空間。
元々は対神様に法国民を非難させるためのシェルターとして作られたそこは、神とその系列のものには感知されない特殊な素材を混ぜて作られているので元々この場所を知っていなければやってくることはできない。
「来たか姉上」
だがそんな場所を知る人間が敵側にいる以上はもはや無駄な事である。
ゲリシンの目の前に立つのは憤怒にかられた姉だ。
いつもならば彼女の力を押さえているメガネを外し、殺意をむき出しにするその姿は法国最強の聖人の姿としてあまりにも凛々しい。
「残念っす……残念っすよゲリシン」
「私こそ残念ですよ姉上、姉上のやり方では人類はこの世界で外敵に怯え続けなければいけない。人類救済を是とするべき我々が、優先順位を誤ることがあってはいけないのです」
「人類なんていまの私の怒りの原因に比べればどうでもいい。ゲリシン、なぜ家族に手を出した?」
「家族に手を? いったい何を言っているのかわかりませんね。私はいつだって人類の事を考えて生きています、そんな私が家族に手をかけることなどありませんよ」
ハイトの言葉に対してゲリシンは本当に何を言っているのか分からないという顔をする。
自分の妹を手にかけておきながらその事すら覚えていない事に一瞬思考すらできなくなるほどの怒りに飲まれて、ハイトは全力でもってゲリシンに攻撃を始める。
ハイトの持っている力は血統能力と先祖返り、そして神から預かっている権能の代行行使。
怒りに全身を支配されているハイトだったが相手がどのような能力を保有しているかについてはある程度予想を立てているため、様子見で相手の戦力を図る様な真似はせずに最初から全開で己の力を披露する。
「死ね」
ハイトのもつ先祖返りの能力は不死身。
彼女に与えられた寿命が尽きるその時までどのような方法で殺害された場合においても、最も体が健康な状態に戻れるというものである。
これは一人で一軍を相手取れるほどの驚異的な能力であるが、ここに更に彼女の血統能力が上に乗っかってくる。
彼女が持つ血統能力は自分の所有物を操ることのできる〈傀儡〉と呼ばれるものであり、これは他者の自由意思を尊重している彼女だからこそ手に入れられた能力であるが、この〈傀儡〉の能力は己に使用することもできるのだ。
「これが自由の二つ名を持つ最高位冒険者としての力ですか」
能力のは半分ほどを使用して自分の体を操り、残った半分を使用して周囲の物質を操る。
そうすることによってハイトは密閉された空間内において非常識な挙動を可能にし、人間では反応不可能な挙動を起こすことが可能だ。
ゲリシンの周囲を動き続け一瞬視界から外れたことを確認したハイトは、己の身体能力に無理を言わせてゲリシンの顔を殴り飛ばす。
「――ハアアアアッッッツ!!」
「――グッ」
巨岩すらも粉砕するほどのハイトの身体能力でもって殴られれば、ある程度武術を修めた程度の人間では耐えられるはずがない。
だがゲリシンはあまりの威力に口から声を漏らしてしまっているとはいえ、完全にハイトの力を抑えきって見せた。
ましてやゲリシンは次期法皇として一切の武術を修めることを法律によって禁止されている立場であり、それを知っているハイトとしては自分の攻撃が止められたことに驚きを隠せない。
考えられるのは武術の差を超えるほどの圧倒的な身体能力の差があるのか、もしくはゲリシンが何らかの手法でもって短期間で圧倒的な武術力ともいえるものを手に入れたかである。
「神の力は良いものですよ姉上。それに聖人たちの記憶を組み合わせれば人は限界を超えられる」
「まさか希釈しないで記憶をそのまま自分に植え付けたって事っすか」
「そのまさかですよ姉上。私は神人になるために、人を辞めたのです」
人を聖人にする方法について様々な研究がなされたが、その中でも最も簡単に効率よくそれでいて危険度もなるべく抑えた方法で聖人になる方法は聖人の記憶を脳に移植することである。
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人間性とは記憶であるとの言葉はこの方法を生み出した名もなき天才の物であるが、実際その方法を用いれば疑似的に聖人に成れるのだから確かに彼は天才だったのだろう。
だがこの方法には致命的な問題があり、他者の人間性を己の中に入れることで拒否反応が起きたり自分の意志とは全く関係のない挙動をしてしまう事があるのだ。
後者に関してはまだマシで、前者の自分が自分であることを自覚できなくなった人間は廃人となってしまう。
傀儡兵こそその最たる例であり、最低限命令を受ける程度の認知能力しかない彼らはそうして作られた。
「いわば私は人のおもいの箱舟です。それを邪魔するのは姉上でもいただけませんね、人類の総意ですよ?」
「思い込みも甚だしい。聖人の力を持った人間が人間性も優れた人物ばかりではない事をお前は知っているとおもって居たっす」
「我々が人類をけん引する。我々こそが人類の希望になるのです」
ゲリシンが言葉を重ねるたびに、ゆっくりとその体から漏れでる魔力の量は増えていく。
それと同時に慣れ親しんだゲリシンの気配は徐々に変質していき、多種多様な気配が混ざっていくのが感じられる。
この場所にたどり着いた時から、ゲリシンという個人の思考は既にほとんどなかったのだろう。
いまやハイトの目の前に居るのは聖人達の意思の集合体であり、人類という種を救うためだけに動き続ける独善的な救済者である。
あれはもはや救えぬ者、どうやっても救えぬものであるならばもはや殺してやるのが家族としての最後の手向けでだ。
「家族としてお前を殺してやるっす」
そうして法国の運命を決める戦闘は始まってしまう。
肉弾戦に特化した両名が戦いを始めれば、そこにあるのは人の体が壊れる音と爆音を鳴らしながら粉砕される周囲のみである。
戦況の有利を手に入れたのはハイト、攻撃事態はゲリシンに痛手を負わせることはできていないが、不死身であるという要素を持っている時点で彼女の優位性は揺らぐことがない。
聖人としての力を持って攻撃をしてくるだけのゲリシンは持久戦になれば負けることを理解しており、何度かハイトを気絶させることで無力化しようと画策していたが、聖人として長い間戦闘を行ってきたハイトにそんなみえみえの罠は通用しない。
神の力を保有していながらもゲリシンが徐々に不利になっているのは、単純に彼が神の力を扱いきれていないからだ。
更に言えば権能の使用は身体に尋常ではない負担を与える。
聖人達の記憶を手に入れた事で既に洒落にならない負担を背負っている上に、権能の使用によって負担を課せばもはや戦闘の結果は関係なくゲリシンの体が崩壊するのはほとんど間違いがない。
「ゲリシン……哀れっすね」
もはや勝敗は決したと言っていいだろう。
ここから先ゲリシンがどれだけ頑張ったところで、もはやハイトの勝機が疑われる様なことはあり得ない。
拳を万力の様な力で握り込み、一歩ずつ踏み締めて歩くハイトに対し、ゲリシンの表情は怯えたものに変わっていく。
「我々は怯えず、我々は逃げず、我々は絶えることがない。人類最初の盾として、人類最後の守り手として我々は人類を脅かす物を排除するべし」
彼の口から溢れた言葉は聖人達が訓示として代々受け継いできたもの。
人類への献身を聖人と判明したその瞬間から死後まで強制される呪いの様なそれをゲリシンの中にいる聖人達が叫び続けているのだ。
そんなくだらないのもを無くせばもっと多くの聖人が今の法国には存在し、人類はもっともっと繁栄することもできていただろうに。
だが実際問題こうなってしまってはもはやどうすることもできないのだ。
「眠るっす、ゆっくりと」
怯えながら聖人達に操られ、もはや自らの正義すらも失ってしまった弟を前にハイトは大粒の涙を流す。
そうしてハイトの手刀は抵抗するゲリシンの行動も虚しくその心臓を貫いた。
なんともあっけなく、そうしてゲリシンは膝をついてハイトが腕を引き抜いた事でできた空洞から大量の血を流す。
神人に近くなったとは言え、大元が人間である以上心臓を潰されれば回復しない限り死は確定的。
そして心臓を潰された当人であるゲリシンはといえば、どうやら己を癒すつもりもないらしい。
「姉様……私は…私はなんという……人類を…世界を……お願いします」
「任せるっすよゲリシン。可愛い弟のお願いならお姉ちゃんが聞いてやるっす」
「よかっ…………」
大粒の涙を流しながらゲリシンの手をとったハイトは、徐々に死んでいく弟の手を強く握りしめながら言葉を返す。
思い出されるのは小さかった頃の思い出。
一度道を踏み違えてしまえばこうなる事をお互いに分かっていたからこそ、死ぬ時は相手に夢を託すことを決めていたのだ。
死の間際でようやく正気を取り戻した弟を見て、ハイトは己の運命を怨む。
聖人として生まれていなければ、人類の守護者ではなくこの世界を守ることを己の正義としていなければ、弟が聖人達の思考に乗っ取られることがなければあるいは……。
だがどれだけもしもを考えたとしても、いま目の前にある現実だけはどうやっても変わることはない。
そうして己を悔いながら冷たくなっていく弟の亡骸の横で、ハイトは再び大きな泣き声を上げるのだった。
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しかし神は転生先のステータスの平均設定を勘違いして気付いた時には100倍の設定になっていた。
さらにミハエルは〈光の加護〉を受けておりステータスが合わせて1000倍になりスキルも数と質がパワーアップしていたのだ。
これは神の手違いでミハエルがとてつもないステータスとスキルを提げて世の中の悪と理不尽と運命に立ち向かう物語である。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
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やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
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まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
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