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幼少期:共和国編
三年後
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いつもの様に身体をベッドから転がりながら落とし、そのまま洗面台の近くまで移動してエルピスは顔を洗う。
この王城生活も早いもので既に三年が経過した。
エルピスがこの城に来たのは、十歳の頃だったか十一歳の頃だったか。
詳しい事までは覚えてないが、それでも三年という月日はエルピスがこの生活に慣れるには十分過ぎるほどの期間だった。
森での生活とは違いやらなければいけないことが多いので、こうして朝早くから起きなければいけないのは少し窮屈に感じることもあるが、それも顔を洗って少しすれば気にならなくなっている。
「……もうそんな日か」
カレンダーを見てみれば大きく書かれた予定が目に留まる。
今日はグロリアスが正式に次期国王として認められる記念日であり、街がいつもよりほんの少し騒がしいのは昼から始まる祭りの準備をしているからだろう。
英雄の息子として、また王族に魔法を教えてきた家庭教師として、エルピスは王位継承が確定する儀式への同席を許可されている。
慣れない正装に身を包み、なるべく背筋を伸ばしながらエルピスは食堂へと向かう。
朝早くとはいえ王城の食堂は人が多く、空いている席を探しながらウロウロしていると見知った人間が手を振っているのが目に止まる。
というより明らかにその周囲だけ席がぽっかりと空いており目立ってはいたのだが、なんとなく気まずくて避けていたのだ。
だが呼ばれてしまったからには行かないわけにもいかず、エルピスは腕をブンブン振るうルークの元へと足を向ける。
「エルピスせんせー」
「行儀悪いですよ。王族があまりそう言うことをしてはなりません」
「硬いこと言わないでよ。せっかく兄貴の継承記念なんだからさ、たまには普段できない事をね」
ちらりと視線を移した先には少し恥ずかしそうにしている他の王族面々がいた。
普段城に住むもの達が何を食べているのか気になって食堂に来たのだろうが、なかなか思い切った事をするものだ。
「だからですか。王族勢揃いでご飯を食べてるのは。グロリアス様は?」
「父さんと二人で飯食ってるよ。積もる話もあるんでしょ。あといい加減敬語やめてよエルピス先生」
国王と次期国王、確かに話す事はいくらでもありそうだ。
帝王学を学んでおらず国をどうやれば運営できるかも知らないエルピスとしては、どんな話をするのか少し気になるところもある。
ただ他所様の家の会話に首を突っ込むのが野暮なことくらいは流石に分かるので自重するが。
「公衆の面前でなければ考えますよ。失礼ですがご随伴させていただいても?」
「ここ空いていますよ」
「では失礼して」
エリーゼに案内されるままに横に座りエルピスは食事を始める。
すでにほとんど食べ終えているペディなんかは、何か気になるのかエルピスが食事をしている様をじっと見つめていた。
テーブルマナーには流石に慣れてきた自覚はあるので早々粗相はしないと思っているが、王族から見ればアラは目立つのだろうか。
なんとなく食べにくさを感じつつ、エルピスはそう言えばと考えていた事を口に出す。
「ルーク様、近衛の件については上手くいきそうですか?」
「うーん……正直まだまだかな。剣術も戦術眼も、まだまだ遠いよ」
「目標までの距離が明確に分かったのなら、きっと大丈夫ですよ。他の面々も自分の胸に向かって進まれているようで、教師として微力ですがそれに協力できたのは嬉しい限りです」
実際やっていたこととしては魔法やその他戦闘について少々教えた程度。
エルピスは自分がやっていなくとも彼等なら遅かれ早かれいまの場所に辿り着いていただろうと、そう考えている。
彼等を教えていたこの三年間はエルピスにとって自分に足りないものを教えてもらう良い機会であり、人間として大きく成長できた要因でもあった。
懐かしさとほんの少しの寂しさを感じながらエルピスがそんな事を口にすると、察しのいいエリーゼはエルピスの真意を読み取る。
「……私もまだまだ魔法を修めねばなりませんし。これからも、エルピスさんにはお世話になりますね」
「あーっと、その事についてなんですけど……俺引き継ぎ終わったらタイミングもいいので一旦王国を出ようかと」
「「えぇっ!?」」
食堂内のあちらこちらから悲鳴のようなものが上がるのを聞きながら、エルピスは流石にもう少し早く伝えておくべきだったかと考える。
実際こちらの話に聞き耳を立てていたであろう周囲の人間は途端に慌ただしくなり、特に魔法に関係する部署の慌てようたるや大変なものだ。
エルピスに任せられている魔法研究はこの国の魔法省がもう一つ建てられるほど。
最近ようやく後任も育ち始め国の機関として運用がスムーズになり始めた頃合いではあるが、それでもまだいくらか粗は目立つ。
その粗を埋めていた人材が急に消えるとなれば焦るのは無理もない。
「な、なんでですか?」
「俺が転生者なのはご存知ですか?」
「ええ。父から聞きました」
さらりとルークから告げられる爆弾発言。
そういう事は共有しておけよ国王と言いたくなる気持ちを抑え、エルピスは話を続ける。
「それなら話は早いですね。知り合いがこの世界に転移してきたようなので、様子を見に行こうかと」
「どれくらい行かれるんですか?」
「結構人数多いので数年は帰って来れないかなと」
ある程度この三年間で彼等について情報を探っており、実際何人かはどこにいるのか調べもついている。
ただ不思議な事にクラスの半分ほどは未だ消息が掴めておらず、その中にはエルピスと仲の良かった幹や雄二などがいた。
全員を探すとなるとかなり時間がかかるのは火を見るより明らかで、いつ帰って来れるのかと聞かれれば分からないというのがエルピスの答えだ。
最悪死んでいたなら、遺体を見つけるまで何十年とかかる可能性もある。
「ちなみに兄さんはその事知ってます?」
「いや。グロリアス様にはまだ言ってないね。最近忙しそうだったし」
「そりゃマズイな。姉さんどうする?」
「私の方からそれとなく伝えるとして、エルピスさんには一旦外に出る事は隠しておいてもらわないと」
「え? なんでですか?」
「逆になんでそれは分からないんですか!」
国王として正式に王位継承が確定したその日に、担当していた家庭教師が退職を願い出る。
普通に考えればエルピスとグロリアスの間に何かあったと考えるのが普通だ。
二人が仲良くしているのを知っている他の王族としてはそんな世間の目も気になるところだが、エルピスが居なくなることをしって落ち込むだろうグロリアスのことも気がかりである。
せっかく王族としてこれから花開こうというその時、一歩目を躓いてしまっては大問題だ。
王族たちの見解は言葉など用いずとも一致する。
なんとしてもいまエルピスとグロリアスを引き合わせるわけには行かないと。
「――そういえばそろそろ儀式の準備が始まる時間ですね。私はここらへんで」
「止めなさいルーク!」
「分かってるよねぇさん!」
「なんですか急に。みなさんそんな出入り口に固まって」
エルピスをとりあえず他の面々が事情を話すまではグロリアスと合わせない。
その目的を瞬時に理解した食堂の人間は徒党を組んでエルピスが外に出るのを邪魔し始める。
止められている側のエルピスもなぜ止められているのか理解していないので動揺こそしているが、力惜しで強引に進むには状況があまりにも奇怪すぎて対処しきれていないようだ。
「とにかくダメったらダメなの!」
「アデル様までそんな事言って。グロリアス様の儀式に乗り遅れるのはさすがにまずいですよ」
「なんでそれは分かってこれは分かんないんだうちの先生は!」
「先生はいま行っちゃダメなの!」
「なんでですか?」
「「いいから黙って座ってて!!」」
食堂に王族達の絶叫が響き渡る。
若干一名何が起きているのか理解できず現実に置いて行かれた哀れな龍の子供を無視すればいつも通りの日常。
今日も王国は平和であった。
/
時刻は昼過ぎ。
王国内に存在する大小様々な家の代表が集まり、一堂に会する今日という日。
王城ではなく代々王位継承権を持つ王族達がその王位を継承するために利用されている特別な施設の一角で、エルピスはいつになく緊張した面持ちのグロリアスの顔を眺めていた。
年のほどは17歳。
身体も立派に成人し、少し顔たちに幼さが残っているがそれでも随分と大きくなったものだ。
いまだに女性に間違えられるのが本人の苦悩らしいが、いまはエルピスの目から見ても確かにひとりの大人だった。
王城と比べてもそん色ないほど豪華絢爛な装飾が施された室内は歴史を感じさせる調度品がいくつも鎮座しており、数千人規模の人間を難なく収容するだけの箱の大きさは王国をしても他にない。
大貴族の結婚式などでも使用されていると聞くこの場所は王国に関係するものや他国の重鎮しか立ち入ることを許されていない言わば聖域のようなものである。
次期国王が確定するというイベントがどれほど大きなものなのか、どれほど王国の未来を左右する一大事なのかこの場を見れば馬鹿でも理解できるだろう。
「グロリアスよ、前に」
いつもはどことなくふざけた調子の国王も、今日この日この場所に限っては真面目そのもの。
普段は着用しているところを見たことすらない王の衣装に身を包み、父ではなくこの国を代表する王としてこの場に立っていた。
両脇に控える王妃達も普段は表舞台に出てこない人物たちだが、今日はその素顔をさらし王族としての気品に満ち溢れた表情でグロリアスの事を見つめている。
慣れたつもりではいたが、それでも一般人的な感情が抜けきっていないエルピスは気が付けばこの場の空気に吞まれそうになっていた。
「王位継承権第一位、グロリアス・ヴァンデルグよ。国王として、またお前の父として。今日に至るまで王としての自覚と才覚を持ち、民草を統べる王として努力を重ねたお前が。健やかに育ち今まさにこの場に立つことを、心から誇らしく思う」
国王の目じりにはほんの少しだけ涙が宿っていた。
息子の立派な晴れ姿を最も近くで見れる事、これ以上の喜びはない。
国王が号泣せずに済んでいるのは他の貴族たちの目もあるからで、もし公衆の面前でなければいまここで泣き崩れていただろう。
「ただいま、現時点を持って! 次期国王をグロリアス・ヴァンデルグに任命する!!」
「――はいっ!!!!!!」
万雷の拍手が鳴り響く。
いまここに、皆から待ち望まれて新しい王が誕生した。
そうしてこらえきれなくなったのか、国王もグロリアスも両者共に涙が零れ落ちる。
感動の拍手はそれから数分は鳴りやまないのだった。
/
その後も粛々と儀式は続き、途中他の王族達の新しい役職が発表されたりと大きなイベントをこなす道中。
エルピスはふらふらと歩き回っているアルキゴスとマギアの姿を見つける。
「エルピス君か。今日は手伝ってもらって悪いの」
「構いませんよ。かわいい弟子の記念日ですからね」
王族の重要人物が一堂に会している関係上、ここを襲われると非常にまずい。
普段は周辺数十キロ単位で警戒網を張り巡らし、数カ月前から蟻一匹通さないほどの警備を行っているとの事だったが、今回はそのあたりの警備をエルピスが一手に引き受けたのだ。
この建物周辺で魔法が使えないように魔方陣を展開し、罠などを用意できないように魔法による対抗策を準備。
加えて邪伸の障壁を王族全員に展開すると同時に、空を龍の森に協力要請した龍達に守ってもらっている。
神でもなければこの場所を攻め落とすのはまず無理で、理想的な環境だといっていい。
「本当は魔法で盛大にお祝いしようとも思ってたんですけどね」
「これ以上お前が公的に魔法行使すると他の国からの目が厳しくなるからな。今回これだけやってくれただけでも王国としては100年続く恩義だぞ」
「喜んでくれたなら何よりです」
当初の予定では王国全土の天候を快晴に変え、王国の国花を辺り一帯にまき散らし、擦り傷を癒す程度の効果のある回復魔法を王国全土にかけることでお祝いにしようとしていたエルピス。
ただあまりにも範囲が広大すぎること、魔力消費量が多すぎて周辺国家の魔力関係の機器を全て壊してしまう事、中立という名目のあるアルへオ家の長男であるエルピスが王国に入れ込み過ぎるとマズイことなどから没になった。
この場所の護衛を名乗り出たのも、エルピスにしてみれば魔法が断られたのでせめてもの抵抗として用意したものである。
「そう言えばエルピス、あの噂本当か?」
ふとアルキゴスがエルピスに対して気まずそうにしながらそんなことを問いかけてくる。
聞かれた当人としては何の事かも分からず、不思議そうに首を捻るばかり。
付き合いの長いアルキゴスはそれだけでエルピスが何も理解していないことを理解する。
「王国から出ていくって話だ」
「ああ、何のことかと思ったらそれですか。王族の方から誰にも言うな、と口留めされているので……」
「ほぼ答えだぞそれ。まぁお前もそろそろ世界中を回る年だ、悪くないとは思うがタイミングはもう少しなんとかならなかったのか?」
「家庭教師としての仕事に区切りをつけるという意味ではいまが一番ちょうどよかったので。何か不味かったですか?」
「グロリアス次第ってとこだが……」
言葉に詰まるアルキゴス。
なんとも言えない表情をしていた彼は、こちらに向かってくる人物の姿を見つけるとさらに苦虫を嚙みつぶしたような表情に変わる。
話題の人物であるグロリアスその人がこちらに向かって歩いてきているのを確認したからだ。
「おはようございますエルピスさん」
「おはようございます。さんはやめてくださいよ、いまや正式に未来の国王として確定したんですから」
次期国王として正式に決定されたグロリアスとエルピスが会話をするのは、それだけで多分に政治的な意味を持ってしまう。
場が場であるだけに好機の目はエルピス達に降り注ぎ、中々気まずい空間がこの場所に形成される。
そんな状態でもグロリアスはいつもと変わらず人懐っこい笑みを見せていた。
「寂しいこと言わないで下さいよ。僕とエルピスさんの仲じゃないですか」
「公の場では、ですよ。勘弁してください」
「まぁ良いですよ。そう言えばエルピスさん、王国から居なくなるとか?」
場の空気が少しだけ冷たくなる。
アルキゴスとマギアもえらい現場に出くわしてしまったと少しだけ困った顔だ。
エルピスとしては他の王族達に口止めされたことをなぜグロリアスが知っていたのか不思議でならない。
「知ってたんですか?」
「最近のエルピスさんの動きを見てたら分かりますよ。何やら人探しされてるとか」
「前世の関係でちょっと。異世界人絡みでこの世界の人に迷惑をかける訳にもいきませんし、なるべく早く見つけますよ」
積極的に問題行動をとる人間には一人しか心当たりがなかったが、突如として強大な力を手に入れた人間がどのように変わるかはエルピスは予想ができない。
自分の場合は周囲の人物たちが悪い方向に行かないように調整してくれていたからまだなんとかなったが、煽てられいいように利用されて気が付けば引き返せないところまで行ってしまう子だっているだろう。
そういう人物を早急に回収し、これ以上この世界に被害を出させないという点においても異世界人探しは急務である。
「そうですか。王国内にもしエルピスさんの知り合いがいたら僕の所に連絡が行くようにしておきます。定期的に戻ってきて顔を出してくれると嬉しいですね」
「助かります。そういう事なら定期的に帰って来ますよ。でも忙しいだろうに大丈夫ですか?」
次期国王として正式に決まってしまった以上、やることは数多くあるはずだ。
そんな中で異世界人探しという仕事を引き受けさせてしまうのはエルピスとしては引け目を感じてしまう。
だがそんなことは気にしないでくれとばかりにグロリアスは言葉をつづける。
「お世話になった恩を返させてくださいよ。これからも長い付き合いになるんですから」
「そういう事ならお言葉に甘えて。グロリアス様も何か困った事があれば言ってくださいね?」
「ええ、もちろんです」
それからほんの少しばかり雑談を交え、出立に際して必要なものを集めなければいけないということでエルピスはその場を後にする。
残されているのはグロリアスと先ほどまでエルピスと喋っていた二人。
教育係の関係でそれなりに話したことのある三者だが、エルピスとは違い王国に属している彼らは明確に上下関係が存在する。
アルキゴスが少し温かみのある視線をグロリアスに向けると、彼はほんの少し気まずそうにしていた。
「……なんですか? アルキゴス騎士団長」
「未来の我等が王の手腕に驚いてたまでですよ」
公衆の面前で明確にエルピスとの関係性をアピールしたグロリアス。
次期国王が未来の英雄候補と良い関係性を築けているという事実は、それだけで王国内の貴族たちに未来の王国は安泰だと思わせるだけの力がある。
実際先ほどのグロリアスとエルピスの会話を見て目の色を変えた貴族たちも多く、祝いの為に他国からやってきている貴族たちも油断ならない表情でグロリアスの事を見つめていた。
当事者であるグロリアスとしては恩を返すための行動に他の意味が混じってしまうことを少しだけ残念に思いつつ、ただそれもまた王たるもの務めであると理解しているので口に出すことはない。
「恩には恩を、仇には仇を。上に立つものとして受けた恩を返し切るまでは手放せませんよ。まぁ受けた恩を返しきっても手放すつもりはありませんが」
「ムスクロルが聞いたら卒倒しそうじゃの」
「父さんには聞かせられませんよ。エリーゼもいろいろしようとしてるみたいだけど、アウローラちゃんとどっちが早いか見ものですね」
愛する家族と幼馴染がエルピス出立に際して裏でいろいろやっていることを知っているグロリアスとしては、事の顛末がどうなるのか気になるが、渦中に飛び込むつもりはない。
いま自分にできることはエルピスを見送ることと、彼が戻ってくるまでに少しでも成長しておくことくらいだろう。
そう認識しているグロリアスは満足げな表情をしている二人を背にして、貴族たちの間に入っていくのであった。
この王城生活も早いもので既に三年が経過した。
エルピスがこの城に来たのは、十歳の頃だったか十一歳の頃だったか。
詳しい事までは覚えてないが、それでも三年という月日はエルピスがこの生活に慣れるには十分過ぎるほどの期間だった。
森での生活とは違いやらなければいけないことが多いので、こうして朝早くから起きなければいけないのは少し窮屈に感じることもあるが、それも顔を洗って少しすれば気にならなくなっている。
「……もうそんな日か」
カレンダーを見てみれば大きく書かれた予定が目に留まる。
今日はグロリアスが正式に次期国王として認められる記念日であり、街がいつもよりほんの少し騒がしいのは昼から始まる祭りの準備をしているからだろう。
英雄の息子として、また王族に魔法を教えてきた家庭教師として、エルピスは王位継承が確定する儀式への同席を許可されている。
慣れない正装に身を包み、なるべく背筋を伸ばしながらエルピスは食堂へと向かう。
朝早くとはいえ王城の食堂は人が多く、空いている席を探しながらウロウロしていると見知った人間が手を振っているのが目に止まる。
というより明らかにその周囲だけ席がぽっかりと空いており目立ってはいたのだが、なんとなく気まずくて避けていたのだ。
だが呼ばれてしまったからには行かないわけにもいかず、エルピスは腕をブンブン振るうルークの元へと足を向ける。
「エルピスせんせー」
「行儀悪いですよ。王族があまりそう言うことをしてはなりません」
「硬いこと言わないでよ。せっかく兄貴の継承記念なんだからさ、たまには普段できない事をね」
ちらりと視線を移した先には少し恥ずかしそうにしている他の王族面々がいた。
普段城に住むもの達が何を食べているのか気になって食堂に来たのだろうが、なかなか思い切った事をするものだ。
「だからですか。王族勢揃いでご飯を食べてるのは。グロリアス様は?」
「父さんと二人で飯食ってるよ。積もる話もあるんでしょ。あといい加減敬語やめてよエルピス先生」
国王と次期国王、確かに話す事はいくらでもありそうだ。
帝王学を学んでおらず国をどうやれば運営できるかも知らないエルピスとしては、どんな話をするのか少し気になるところもある。
ただ他所様の家の会話に首を突っ込むのが野暮なことくらいは流石に分かるので自重するが。
「公衆の面前でなければ考えますよ。失礼ですがご随伴させていただいても?」
「ここ空いていますよ」
「では失礼して」
エリーゼに案内されるままに横に座りエルピスは食事を始める。
すでにほとんど食べ終えているペディなんかは、何か気になるのかエルピスが食事をしている様をじっと見つめていた。
テーブルマナーには流石に慣れてきた自覚はあるので早々粗相はしないと思っているが、王族から見ればアラは目立つのだろうか。
なんとなく食べにくさを感じつつ、エルピスはそう言えばと考えていた事を口に出す。
「ルーク様、近衛の件については上手くいきそうですか?」
「うーん……正直まだまだかな。剣術も戦術眼も、まだまだ遠いよ」
「目標までの距離が明確に分かったのなら、きっと大丈夫ですよ。他の面々も自分の胸に向かって進まれているようで、教師として微力ですがそれに協力できたのは嬉しい限りです」
実際やっていたこととしては魔法やその他戦闘について少々教えた程度。
エルピスは自分がやっていなくとも彼等なら遅かれ早かれいまの場所に辿り着いていただろうと、そう考えている。
彼等を教えていたこの三年間はエルピスにとって自分に足りないものを教えてもらう良い機会であり、人間として大きく成長できた要因でもあった。
懐かしさとほんの少しの寂しさを感じながらエルピスがそんな事を口にすると、察しのいいエリーゼはエルピスの真意を読み取る。
「……私もまだまだ魔法を修めねばなりませんし。これからも、エルピスさんにはお世話になりますね」
「あーっと、その事についてなんですけど……俺引き継ぎ終わったらタイミングもいいので一旦王国を出ようかと」
「「えぇっ!?」」
食堂内のあちらこちらから悲鳴のようなものが上がるのを聞きながら、エルピスは流石にもう少し早く伝えておくべきだったかと考える。
実際こちらの話に聞き耳を立てていたであろう周囲の人間は途端に慌ただしくなり、特に魔法に関係する部署の慌てようたるや大変なものだ。
エルピスに任せられている魔法研究はこの国の魔法省がもう一つ建てられるほど。
最近ようやく後任も育ち始め国の機関として運用がスムーズになり始めた頃合いではあるが、それでもまだいくらか粗は目立つ。
その粗を埋めていた人材が急に消えるとなれば焦るのは無理もない。
「な、なんでですか?」
「俺が転生者なのはご存知ですか?」
「ええ。父から聞きました」
さらりとルークから告げられる爆弾発言。
そういう事は共有しておけよ国王と言いたくなる気持ちを抑え、エルピスは話を続ける。
「それなら話は早いですね。知り合いがこの世界に転移してきたようなので、様子を見に行こうかと」
「どれくらい行かれるんですか?」
「結構人数多いので数年は帰って来れないかなと」
ある程度この三年間で彼等について情報を探っており、実際何人かはどこにいるのか調べもついている。
ただ不思議な事にクラスの半分ほどは未だ消息が掴めておらず、その中にはエルピスと仲の良かった幹や雄二などがいた。
全員を探すとなるとかなり時間がかかるのは火を見るより明らかで、いつ帰って来れるのかと聞かれれば分からないというのがエルピスの答えだ。
最悪死んでいたなら、遺体を見つけるまで何十年とかかる可能性もある。
「ちなみに兄さんはその事知ってます?」
「いや。グロリアス様にはまだ言ってないね。最近忙しそうだったし」
「そりゃマズイな。姉さんどうする?」
「私の方からそれとなく伝えるとして、エルピスさんには一旦外に出る事は隠しておいてもらわないと」
「え? なんでですか?」
「逆になんでそれは分からないんですか!」
国王として正式に王位継承が確定したその日に、担当していた家庭教師が退職を願い出る。
普通に考えればエルピスとグロリアスの間に何かあったと考えるのが普通だ。
二人が仲良くしているのを知っている他の王族としてはそんな世間の目も気になるところだが、エルピスが居なくなることをしって落ち込むだろうグロリアスのことも気がかりである。
せっかく王族としてこれから花開こうというその時、一歩目を躓いてしまっては大問題だ。
王族たちの見解は言葉など用いずとも一致する。
なんとしてもいまエルピスとグロリアスを引き合わせるわけには行かないと。
「――そういえばそろそろ儀式の準備が始まる時間ですね。私はここらへんで」
「止めなさいルーク!」
「分かってるよねぇさん!」
「なんですか急に。みなさんそんな出入り口に固まって」
エルピスをとりあえず他の面々が事情を話すまではグロリアスと合わせない。
その目的を瞬時に理解した食堂の人間は徒党を組んでエルピスが外に出るのを邪魔し始める。
止められている側のエルピスもなぜ止められているのか理解していないので動揺こそしているが、力惜しで強引に進むには状況があまりにも奇怪すぎて対処しきれていないようだ。
「とにかくダメったらダメなの!」
「アデル様までそんな事言って。グロリアス様の儀式に乗り遅れるのはさすがにまずいですよ」
「なんでそれは分かってこれは分かんないんだうちの先生は!」
「先生はいま行っちゃダメなの!」
「なんでですか?」
「「いいから黙って座ってて!!」」
食堂に王族達の絶叫が響き渡る。
若干一名何が起きているのか理解できず現実に置いて行かれた哀れな龍の子供を無視すればいつも通りの日常。
今日も王国は平和であった。
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時刻は昼過ぎ。
王国内に存在する大小様々な家の代表が集まり、一堂に会する今日という日。
王城ではなく代々王位継承権を持つ王族達がその王位を継承するために利用されている特別な施設の一角で、エルピスはいつになく緊張した面持ちのグロリアスの顔を眺めていた。
年のほどは17歳。
身体も立派に成人し、少し顔たちに幼さが残っているがそれでも随分と大きくなったものだ。
いまだに女性に間違えられるのが本人の苦悩らしいが、いまはエルピスの目から見ても確かにひとりの大人だった。
王城と比べてもそん色ないほど豪華絢爛な装飾が施された室内は歴史を感じさせる調度品がいくつも鎮座しており、数千人規模の人間を難なく収容するだけの箱の大きさは王国をしても他にない。
大貴族の結婚式などでも使用されていると聞くこの場所は王国に関係するものや他国の重鎮しか立ち入ることを許されていない言わば聖域のようなものである。
次期国王が確定するというイベントがどれほど大きなものなのか、どれほど王国の未来を左右する一大事なのかこの場を見れば馬鹿でも理解できるだろう。
「グロリアスよ、前に」
いつもはどことなくふざけた調子の国王も、今日この日この場所に限っては真面目そのもの。
普段は着用しているところを見たことすらない王の衣装に身を包み、父ではなくこの国を代表する王としてこの場に立っていた。
両脇に控える王妃達も普段は表舞台に出てこない人物たちだが、今日はその素顔をさらし王族としての気品に満ち溢れた表情でグロリアスの事を見つめている。
慣れたつもりではいたが、それでも一般人的な感情が抜けきっていないエルピスは気が付けばこの場の空気に吞まれそうになっていた。
「王位継承権第一位、グロリアス・ヴァンデルグよ。国王として、またお前の父として。今日に至るまで王としての自覚と才覚を持ち、民草を統べる王として努力を重ねたお前が。健やかに育ち今まさにこの場に立つことを、心から誇らしく思う」
国王の目じりにはほんの少しだけ涙が宿っていた。
息子の立派な晴れ姿を最も近くで見れる事、これ以上の喜びはない。
国王が号泣せずに済んでいるのは他の貴族たちの目もあるからで、もし公衆の面前でなければいまここで泣き崩れていただろう。
「ただいま、現時点を持って! 次期国王をグロリアス・ヴァンデルグに任命する!!」
「――はいっ!!!!!!」
万雷の拍手が鳴り響く。
いまここに、皆から待ち望まれて新しい王が誕生した。
そうしてこらえきれなくなったのか、国王もグロリアスも両者共に涙が零れ落ちる。
感動の拍手はそれから数分は鳴りやまないのだった。
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その後も粛々と儀式は続き、途中他の王族達の新しい役職が発表されたりと大きなイベントをこなす道中。
エルピスはふらふらと歩き回っているアルキゴスとマギアの姿を見つける。
「エルピス君か。今日は手伝ってもらって悪いの」
「構いませんよ。かわいい弟子の記念日ですからね」
王族の重要人物が一堂に会している関係上、ここを襲われると非常にまずい。
普段は周辺数十キロ単位で警戒網を張り巡らし、数カ月前から蟻一匹通さないほどの警備を行っているとの事だったが、今回はそのあたりの警備をエルピスが一手に引き受けたのだ。
この建物周辺で魔法が使えないように魔方陣を展開し、罠などを用意できないように魔法による対抗策を準備。
加えて邪伸の障壁を王族全員に展開すると同時に、空を龍の森に協力要請した龍達に守ってもらっている。
神でもなければこの場所を攻め落とすのはまず無理で、理想的な環境だといっていい。
「本当は魔法で盛大にお祝いしようとも思ってたんですけどね」
「これ以上お前が公的に魔法行使すると他の国からの目が厳しくなるからな。今回これだけやってくれただけでも王国としては100年続く恩義だぞ」
「喜んでくれたなら何よりです」
当初の予定では王国全土の天候を快晴に変え、王国の国花を辺り一帯にまき散らし、擦り傷を癒す程度の効果のある回復魔法を王国全土にかけることでお祝いにしようとしていたエルピス。
ただあまりにも範囲が広大すぎること、魔力消費量が多すぎて周辺国家の魔力関係の機器を全て壊してしまう事、中立という名目のあるアルへオ家の長男であるエルピスが王国に入れ込み過ぎるとマズイことなどから没になった。
この場所の護衛を名乗り出たのも、エルピスにしてみれば魔法が断られたのでせめてもの抵抗として用意したものである。
「そう言えばエルピス、あの噂本当か?」
ふとアルキゴスがエルピスに対して気まずそうにしながらそんなことを問いかけてくる。
聞かれた当人としては何の事かも分からず、不思議そうに首を捻るばかり。
付き合いの長いアルキゴスはそれだけでエルピスが何も理解していないことを理解する。
「王国から出ていくって話だ」
「ああ、何のことかと思ったらそれですか。王族の方から誰にも言うな、と口留めされているので……」
「ほぼ答えだぞそれ。まぁお前もそろそろ世界中を回る年だ、悪くないとは思うがタイミングはもう少しなんとかならなかったのか?」
「家庭教師としての仕事に区切りをつけるという意味ではいまが一番ちょうどよかったので。何か不味かったですか?」
「グロリアス次第ってとこだが……」
言葉に詰まるアルキゴス。
なんとも言えない表情をしていた彼は、こちらに向かってくる人物の姿を見つけるとさらに苦虫を嚙みつぶしたような表情に変わる。
話題の人物であるグロリアスその人がこちらに向かって歩いてきているのを確認したからだ。
「おはようございますエルピスさん」
「おはようございます。さんはやめてくださいよ、いまや正式に未来の国王として確定したんですから」
次期国王として正式に決定されたグロリアスとエルピスが会話をするのは、それだけで多分に政治的な意味を持ってしまう。
場が場であるだけに好機の目はエルピス達に降り注ぎ、中々気まずい空間がこの場所に形成される。
そんな状態でもグロリアスはいつもと変わらず人懐っこい笑みを見せていた。
「寂しいこと言わないで下さいよ。僕とエルピスさんの仲じゃないですか」
「公の場では、ですよ。勘弁してください」
「まぁ良いですよ。そう言えばエルピスさん、王国から居なくなるとか?」
場の空気が少しだけ冷たくなる。
アルキゴスとマギアもえらい現場に出くわしてしまったと少しだけ困った顔だ。
エルピスとしては他の王族達に口止めされたことをなぜグロリアスが知っていたのか不思議でならない。
「知ってたんですか?」
「最近のエルピスさんの動きを見てたら分かりますよ。何やら人探しされてるとか」
「前世の関係でちょっと。異世界人絡みでこの世界の人に迷惑をかける訳にもいきませんし、なるべく早く見つけますよ」
積極的に問題行動をとる人間には一人しか心当たりがなかったが、突如として強大な力を手に入れた人間がどのように変わるかはエルピスは予想ができない。
自分の場合は周囲の人物たちが悪い方向に行かないように調整してくれていたからまだなんとかなったが、煽てられいいように利用されて気が付けば引き返せないところまで行ってしまう子だっているだろう。
そういう人物を早急に回収し、これ以上この世界に被害を出させないという点においても異世界人探しは急務である。
「そうですか。王国内にもしエルピスさんの知り合いがいたら僕の所に連絡が行くようにしておきます。定期的に戻ってきて顔を出してくれると嬉しいですね」
「助かります。そういう事なら定期的に帰って来ますよ。でも忙しいだろうに大丈夫ですか?」
次期国王として正式に決まってしまった以上、やることは数多くあるはずだ。
そんな中で異世界人探しという仕事を引き受けさせてしまうのはエルピスとしては引け目を感じてしまう。
だがそんなことは気にしないでくれとばかりにグロリアスは言葉をつづける。
「お世話になった恩を返させてくださいよ。これからも長い付き合いになるんですから」
「そういう事ならお言葉に甘えて。グロリアス様も何か困った事があれば言ってくださいね?」
「ええ、もちろんです」
それからほんの少しばかり雑談を交え、出立に際して必要なものを集めなければいけないということでエルピスはその場を後にする。
残されているのはグロリアスと先ほどまでエルピスと喋っていた二人。
教育係の関係でそれなりに話したことのある三者だが、エルピスとは違い王国に属している彼らは明確に上下関係が存在する。
アルキゴスが少し温かみのある視線をグロリアスに向けると、彼はほんの少し気まずそうにしていた。
「……なんですか? アルキゴス騎士団長」
「未来の我等が王の手腕に驚いてたまでですよ」
公衆の面前で明確にエルピスとの関係性をアピールしたグロリアス。
次期国王が未来の英雄候補と良い関係性を築けているという事実は、それだけで王国内の貴族たちに未来の王国は安泰だと思わせるだけの力がある。
実際先ほどのグロリアスとエルピスの会話を見て目の色を変えた貴族たちも多く、祝いの為に他国からやってきている貴族たちも油断ならない表情でグロリアスの事を見つめていた。
当事者であるグロリアスとしては恩を返すための行動に他の意味が混じってしまうことを少しだけ残念に思いつつ、ただそれもまた王たるもの務めであると理解しているので口に出すことはない。
「恩には恩を、仇には仇を。上に立つものとして受けた恩を返し切るまでは手放せませんよ。まぁ受けた恩を返しきっても手放すつもりはありませんが」
「ムスクロルが聞いたら卒倒しそうじゃの」
「父さんには聞かせられませんよ。エリーゼもいろいろしようとしてるみたいだけど、アウローラちゃんとどっちが早いか見ものですね」
愛する家族と幼馴染がエルピス出立に際して裏でいろいろやっていることを知っているグロリアスとしては、事の顛末がどうなるのか気になるが、渦中に飛び込むつもりはない。
いま自分にできることはエルピスを見送ることと、彼が戻ってくるまでに少しでも成長しておくことくらいだろう。
そう認識しているグロリアスは満足げな表情をしている二人を背にして、貴族たちの間に入っていくのであった。
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