55 / 55
54話 命の重さ
しおりを挟む
目の前を塞いだのは大きな斧、持ち主を見るとこちらも斧に負けないぐらいの大男だった、しかも男は一本でさえ持てるか怪しい斧を二本も持っている。
男は俺を一瞥すると、邪魔だと言わんばかりに斧を振るう。重さなど感じない様に軽く飛ばされる。
「うわぁ!?」
飛ばされた瞬間に強化する、それと同時に背中を壁に思いっきりぶつかり意識が飛びそうになる。
「がっ!? っ!」
「アイツは私のだよ! ベルモンドっ!」
セリエは俺が飛ばされたのを見て大男の隣にいる男に怒鳴る。
「セリエ、契約だ。そもそも時間内に仕留められなかった自分のせいだ」
「チッ、分かったわよ…… 」
話を聞く限り、やはりセリエは自分の事を狙いにここまで来たらしい。変な奴に目をつけられた事もそうだが、コイツらは何のために危険を犯してまで攻めて来たのか。
聞いても答えるとは思えないけど…… 。
身体の痛みに耐えながら奴等を見ていると、大男の袖の隙間から見えてしまった。
白銀の鎖、そしてそこに付いているのは緑の宝石。
ーーーあぁ…… 、アイツも使徒なのか……
一瞬、心が折れそうになった。
ただでさえセリエに絡まれ、その上アルテミシアの元に行くとすればあの男が出てくる。遠目で見ても分かる威圧感、間違いなく強い、今の自分じゃどれだけ手を尽くしても届かないだろう。
嫌になる、前の魔族にも似たような事が有り、少しは近付いたと思えばコレだ。
最近は周りの力がインフレ気味なんじゃ? と思う事もある。
「はぁ…… 、ーーー次に会うまでに死なないでね?」
「…… 死ぬつもりは無いぞ…… 」
「そうね、楽しみに待っとくわ」
「あぁ、ずっと待ってろ。会いに行かないけどな」
「遊んでないで帰るぞ」
「…… 分かったわよ」
ベルモンドの言葉に苛ついた様子でセリエが返事を返し何故か無事だった窓をぶち割り出ていった。
「何でわざわざ窓ガラスを割った…… 」
「「コウタ(さん)!」」
結界が解けてグリムとフランが駆け寄ってくる、所々痛む体を起き上がらせ手を振る。
「すまない…… 結界が無ければ助けを入れられたんだが…… 」
「…… 何とか生きてるから心配すんなって」
グリムは眉を下げ申し訳なさそうに言う、心配させない様に笑いかけようとすると体の至る所から痛みが発せられ思わず声が出そうになるがギリギリの所で抑える。
「ーーー コウタさん!」
「タクト…… 」
後ろには他のみんなもいるようでどうやら大きな怪我は無いらしく、手を振って無事を知らせると何故か皆が驚いた表情をする。
「…… どうかしたか?」
「コウタさん…… それは…… ?」
タクトがこちらに少し怯えた様な視線を向ける、何故そんな視線を向けてくるのか不思議に思いながら自分の体を見下ろすとーーー 。
「ーー あれ……?」
体は真っ赤に汚れていた、手を見てみるとこちらも同じ様に赤い何かで汚れていた。
赤い何か? いや、違う。 これが何かは知ってるはず、自分がよく知ってるはず……
ーー止めろ、思い出すな。
確かこれは、外で……
ーー思い出せば後悔する。
確か衛兵が誰かに殺されてる所を見てそれで……
ーーーあぁ…… 俺、人を殺したんだったな……
思い出した途端に気分が悪くなり、もう乾ききってる筈の血が妙に熱く感じる。
剣を握っている手からは斬ったときの感触が今になって出てきた。
頭が真っ白になっていく。感情が、言葉が、色々な物が表に出そうになる。
でも、ここで全てを出したらきっと剣を握れなくなる、戦えなくなる。
そう思い一生懸命押さえ込もうとするが押さえようとすると意識してしまうのか不快感が増していく。
「あっ…… 」
目の前が真っ暗になりかける。
すると手にホッとするような温かさが伝わり、ふと前を見るとルルが俺の手を優しく握っていた。
「コウタさん、凄い汚れてますね。お湯を用意するので部屋で待ってて下さい」
ルルはいつもと変わらない口調と笑顔で言った。
ーーー正直助かった。情けない話、あのままルルが手を握ってくれたから堪えられ、何も無かったかの様に話し掛けてきてくれたお陰で落ち着いた……
ルルに手を引かれ部屋まで戻り風呂で汚れを落とそうとするが中々血が落ちず暫くシャワーを浴び、やっと流した。
「クソッ…… !」
血、汚れを流したのは良いが感触やらの気持ち悪さはまだ残っていた。
お湯に手を浸け小擦り合わせるが一向に消える気配が無く思わず悪態付く。
暫く手を洗い続け不快感が消え、ひとまず落ち着いたのは良いが寝る気分にはなれなく椅子に座り夜空を眺めていた。
「…… 少し歩くか……」
部屋を出て中庭に出ようとすると話し声が聞こえた。
覗いて見るとタクトとユミが話している。 よく見るとユミが泣いている様だった…… 。
男は俺を一瞥すると、邪魔だと言わんばかりに斧を振るう。重さなど感じない様に軽く飛ばされる。
「うわぁ!?」
飛ばされた瞬間に強化する、それと同時に背中を壁に思いっきりぶつかり意識が飛びそうになる。
「がっ!? っ!」
「アイツは私のだよ! ベルモンドっ!」
セリエは俺が飛ばされたのを見て大男の隣にいる男に怒鳴る。
「セリエ、契約だ。そもそも時間内に仕留められなかった自分のせいだ」
「チッ、分かったわよ…… 」
話を聞く限り、やはりセリエは自分の事を狙いにここまで来たらしい。変な奴に目をつけられた事もそうだが、コイツらは何のために危険を犯してまで攻めて来たのか。
聞いても答えるとは思えないけど…… 。
身体の痛みに耐えながら奴等を見ていると、大男の袖の隙間から見えてしまった。
白銀の鎖、そしてそこに付いているのは緑の宝石。
ーーーあぁ…… 、アイツも使徒なのか……
一瞬、心が折れそうになった。
ただでさえセリエに絡まれ、その上アルテミシアの元に行くとすればあの男が出てくる。遠目で見ても分かる威圧感、間違いなく強い、今の自分じゃどれだけ手を尽くしても届かないだろう。
嫌になる、前の魔族にも似たような事が有り、少しは近付いたと思えばコレだ。
最近は周りの力がインフレ気味なんじゃ? と思う事もある。
「はぁ…… 、ーーー次に会うまでに死なないでね?」
「…… 死ぬつもりは無いぞ…… 」
「そうね、楽しみに待っとくわ」
「あぁ、ずっと待ってろ。会いに行かないけどな」
「遊んでないで帰るぞ」
「…… 分かったわよ」
ベルモンドの言葉に苛ついた様子でセリエが返事を返し何故か無事だった窓をぶち割り出ていった。
「何でわざわざ窓ガラスを割った…… 」
「「コウタ(さん)!」」
結界が解けてグリムとフランが駆け寄ってくる、所々痛む体を起き上がらせ手を振る。
「すまない…… 結界が無ければ助けを入れられたんだが…… 」
「…… 何とか生きてるから心配すんなって」
グリムは眉を下げ申し訳なさそうに言う、心配させない様に笑いかけようとすると体の至る所から痛みが発せられ思わず声が出そうになるがギリギリの所で抑える。
「ーーー コウタさん!」
「タクト…… 」
後ろには他のみんなもいるようでどうやら大きな怪我は無いらしく、手を振って無事を知らせると何故か皆が驚いた表情をする。
「…… どうかしたか?」
「コウタさん…… それは…… ?」
タクトがこちらに少し怯えた様な視線を向ける、何故そんな視線を向けてくるのか不思議に思いながら自分の体を見下ろすとーーー 。
「ーー あれ……?」
体は真っ赤に汚れていた、手を見てみるとこちらも同じ様に赤い何かで汚れていた。
赤い何か? いや、違う。 これが何かは知ってるはず、自分がよく知ってるはず……
ーー止めろ、思い出すな。
確かこれは、外で……
ーー思い出せば後悔する。
確か衛兵が誰かに殺されてる所を見てそれで……
ーーーあぁ…… 俺、人を殺したんだったな……
思い出した途端に気分が悪くなり、もう乾ききってる筈の血が妙に熱く感じる。
剣を握っている手からは斬ったときの感触が今になって出てきた。
頭が真っ白になっていく。感情が、言葉が、色々な物が表に出そうになる。
でも、ここで全てを出したらきっと剣を握れなくなる、戦えなくなる。
そう思い一生懸命押さえ込もうとするが押さえようとすると意識してしまうのか不快感が増していく。
「あっ…… 」
目の前が真っ暗になりかける。
すると手にホッとするような温かさが伝わり、ふと前を見るとルルが俺の手を優しく握っていた。
「コウタさん、凄い汚れてますね。お湯を用意するので部屋で待ってて下さい」
ルルはいつもと変わらない口調と笑顔で言った。
ーーー正直助かった。情けない話、あのままルルが手を握ってくれたから堪えられ、何も無かったかの様に話し掛けてきてくれたお陰で落ち着いた……
ルルに手を引かれ部屋まで戻り風呂で汚れを落とそうとするが中々血が落ちず暫くシャワーを浴び、やっと流した。
「クソッ…… !」
血、汚れを流したのは良いが感触やらの気持ち悪さはまだ残っていた。
お湯に手を浸け小擦り合わせるが一向に消える気配が無く思わず悪態付く。
暫く手を洗い続け不快感が消え、ひとまず落ち着いたのは良いが寝る気分にはなれなく椅子に座り夜空を眺めていた。
「…… 少し歩くか……」
部屋を出て中庭に出ようとすると話し声が聞こえた。
覗いて見るとタクトとユミが話している。 よく見るとユミが泣いている様だった…… 。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。
彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。
彼女は思った。
(今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。
今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!
碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!?
「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。
そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ!
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
私をいじめていた女と一緒に異世界召喚されたけど、無能扱いされた私は実は“本物の聖女”でした。
さら
恋愛
私――ミリアは、クラスで地味で取り柄もない“都合のいい子”だった。
そんな私が、いじめの張本人だった美少女・沙羅と一緒に異世界へ召喚された。
王城で“聖女”として迎えられたのは彼女だけ。
私は「魔力が測定不能の無能」と言われ、冷たく追い出された。
――でも、それは間違いだった。
辺境の村で出会った青年リオネルに助けられ、私は初めて自分の力を信じようと決意する。
やがて傷ついた人々を癒やすうちに、私の“無”と呼ばれた力が、誰にも真似できない“神の光”だと判明して――。
王都での再召喚、偽りの聖女との再会、かつての嘲笑が驚嘆に変わる瞬間。
無能と呼ばれた少女が、“本物の聖女”として世界を救う――優しさと再生のざまぁストーリー。
裏切りから始まる癒しの恋。
厳しくも温かい騎士リオネルとの出会いが、ミリアの運命を優しく変えていく。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
30話で王子や勇者について話しているのに、31話では話してないように書かれているけど...
気のせいってことにして、次の更新を楽しみにしてます。
すいません、一度見直してみて直せそうだったら直します。
今の所は気のせいだったという事で…… w
凄く面白いです!
更新、楽しみにお待ちしてます!
頑張って下さい~~!
もふもふ大好き~~!
ありがとうございます!
本当はもう少し話のテンポを良くしたいのですが…… w
15話
> 初めてケーキを見た気がする
入学試験の時に、2戦目の相手が食べているのを目撃
更に帰宅後に夕食で食べてます
すいません、忘れてました。
直しときます!