風雪高校図書局の放課後

桐谷 渚

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2 二次元と三次元

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今日も今日とて、風雪高校の局室の丸椅子に、奈都と文は座っている。

「ねえ、なんで髪の毛ない先生って理科の先生ばっかなんだろうね」
「確かに」

今日のおやつはバタークッキーだった。
毎回置かれている何かしらのおやつは、顧問である松永先生(理科の教師で、髪がない)のポケットマネーからでている。

「そういえば関係ないんだけど、異世界転生系って奈都は読む?」
「あんまり読まないけど、少しは読んだことあるよ」

文は一口で食べ切ったバタークッキーの袋をゴミ箱に入れ、新しいクッキーへと手を伸ばす。
奈都はクッキーをかじりかじりしながら、文の質問に答えた。

「読んでてよく思うんだけどさぁ、うちら、つまり小説の主人公が生きてた前世って三次元じゃん、ここまではいいよね」
「うん」
「じゃあ、転生したら、うちらから見て二次元の顔が三次元になってるってことでしょ」
「え?どゆこと?」

奈都はよくわからなかったらしく、小首を傾げた。

「うーん、だから、例えばゲームのなかの登場人物とかが、実際にこの世に存在してたら、なんか変な感じするんじゃないかって」
「あー、そういうこと。確かにそうかもね」

奈都は首肯した。
文はまたも袋をゴミ箱に入れ、さすがにこれ以上食べるのは他の局員に申し訳ないと感じたのか、今度は机の上に置いてあった漫画を弄び始めた。

「でも、三次元で二次元のレベルを再現できる気がしないよね」
奈都が言った。

「それはそう。あたしは漫画とか読みすぎて三次元でときめかなくなってしまった」

文が言うと、奈都が首をブンブンと上下させた。
2人は深々と頷きあう。

「うちら喪女確定か」
「いや、でも結婚って顔じゃないんじゃないか?性格だよ、性格」

文が優しい笑顔を浮かべる。

「あぁ、純粋な天使がここにいる」
「え、だってそうじゃないと世の中の人全員結婚できないって!」
「そう思える人から結婚していくんだろうなぁ」

文が遠い目をして、ふと立ち上がった。

「あ、放課後バンドのメンバーと待ち合わせしてるんだった!先帰るね、また明日ー!」

バタバタしながら荷物をまとめ、扉から出ていく文を、奈都は「いってらっしゃーい」と見送りながら、散乱している漫画に手を伸ばした。
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