月下、罪に触れる

白崎なな

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第二章 歪んだ愛

2話 優しく(R18を含みます)

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 2人の唾液が入り混ざり、顎から滴り落ちる。

 息苦しさを感じるものの、それが彼の愛だと思うと嬉しくて、与えられるものを全て余すことなく受け止めたい。

 唇を離した冬馬は、キスの雨を頬に鎖骨へと落としていく。くすぐったくて、体をよじった。
 逃げを許さないらしく、かぷっと噛んで鎖骨に歯形をつけた。

「んっ!」
「晴臣」

 そう名前を呼ばれて、顔を冬馬の方に向ける。熱を帯びた彼の目を見るだけで、晴臣の体に欲が溜まっていく。
 それがたまらなくて、瞬きを繰り返す。

 じっと見つめられ戸惑いが隠せないでいた。そんな晴臣を楽しむようにして、大きな手のひらが腹部を撫でた。そして服の上から、晴臣の幹を捉えた。

「んぁ! ……っあ」

 自分で触ることがあっても、他人に触られたことなどない。ましてや快楽を求めて触ってはおらず、罪を犯した後のただの処理の一環としてだった。


 だからこそ、こんなに気持ちがいい物だとは思わなかった。大きく目を見開き、天井を仰いだ。
 甘くて高い声は、外にまで聞こえていそうなほど部屋に響く。


「ぅん……、っあ! んっ」

 ゆるく触られていたのが緩急つけられて、その手の動きに翻弄される。下着越しで、焦れったさを全身で感じた。知らぬうちに腰を浮かして、快感をさらに得ようとしていた。

 もっと……もっと……欲しい。

「うわっ!?」

 下着の中に手を入れられ、臀部を撫でられる。呆気に取られている隙に、パンツと下着を剥ぎ取られた。片足を大胆に開かれ抱え上げられた。閉じ切った秘部が冬馬の眼下を晒される形となった。外気に触れて冷たい。

 そして、近くに転がっていた、茶色の瓶を開けた。ハッとなった時には、もうすでに下腹部から後ろにかけて瓶の中身を垂らされていた。

 甘い花の香りで、酔ってしまいそうになる。


「ぃっ……」

 垂らした物の滑りを借りて、後ろの蕾をグリグリと押してきた。


 あまりにも性に対して知識も経験も乏しい晴臣でも、男性同士でするのに後ろを使うのは知っていた。
 冬馬の手つきが、そういうことだと気づいたのだ。


「ちょっ、……ぅあ……ちょっと! 待って!」

 
 叫ぶ勢いで、晴臣は冬馬の手を静止させる。後ろを触る手首に手をかけて、首を振った。そんなことまでするとは到底考えておらず、頭の中が混乱状態だ。

 思考を手繰り寄せてみるが、晴臣は目を回すことしかできなかった。


「もっとって言ったのは、君の方だろ?」
「えっ……? あははっ、そんなこと言ったかな? って、おいっ」

 いい言い訳も思い浮かばず、晴臣は笑ってとぼけるしかなかった。獣の目をした冬馬がそんなことを許すはずもなく、両手を軽くまとめ上げた。

 肩を揺らしてジタバタとするが、全く解ける気がしない。むしろ、力を込められてより逃げ場を失う。

「お、俺、まだ初めてだからさっ! だから、ねぇってぇ……ぁああっ!」

 蕾をこじあけて、指が中に侵入してきた。グリグリと奥へと押し込まれる。まだ指一本だというのに、圧迫感がすごい。

 逃げようと腰を動かすと、先走りがたらりと下腹部を伝っていく。それが、快感を求めているようにも見える。


「んっ、……あ、っ」

 垂らされた液体なのか晴臣の体液なのか分からぬ、粘着質な音が聞こえてきた。無理に広げようとするかのように2本目を早々に追加された。

 まだまだこわばりが残り、かなりキツイ。

 下ろされている方の足に、ぐりっと当たる冬馬のそれはかなり張り詰めている。到底その大きさを受け入れるのには、まだ難しいだろう。

 指を腹部側に折り、円を描くようにして探る。


「ん゙ん゙ッ!」


 長い指の腹が一点を掠めると、ビリリッと体に刺激が走った。抱えられている足にも力が入り、足先が伸びる。
 押しつぶすようにして、その一点を執拗に刺激をしてくる。


「んあぁ……ぁ、ぅ……っん」


 絶え間なく濡れ声が漏れ出て、顔に熱が集まった。恥ずかしさから咄嗟に顔を横に向ける。手で隠したいところだが、腕を拘束されているので難しい。


 声だけでなく粘着質な音までもが響くので、1人だけ恥辱を晒している状態だ。


「や、だぁっぁ、あっ」


 顔を左右に振って、深く落ちそうな欲から意識を逸らした。それでもおかしくなってしまいそうで、戯言のように「嫌だ」と繰り返す。


「いっ……ぁ、やっ、ぅんぁ」
「気持ちいいだろ」
「んっ、ぁあ、……ッ」

 目元に溜まった涙が、頬を伝って流れ落ちた。

「……ぅ、いッ……やぁ、んんぅ」
「ほら」
「ん゙ん゙ん゙っ゙! ……いぃ、きもちっいいッ!」

 よくできましたとばかりに目元にキスをされ、口元に軽く口付けをする。

 荒々しい指遣いとは打って変わり、甘さを含む口付けにそれが愛だと勘違いをしそうになる。

 これが、好き……なんだ……。
 
 挿入をされた2本の指をバラバラと動かされ、ダラダラと愛液が垂れる。それと同時に、欲の昂ぶりが最高潮となり精を解き放った。


「あぁ、っうんん、――ッう」

 呼吸も荒くなり全身の力が抜け、脱力をした。恍惚とした表情になり、冬馬の顔をぼんやり見つめる。

「まだだ」
「んぇ……?」
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