月下、罪に触れる

 殺し屋、晴臣《はるおみ》は、血の匂いを指先に残したまま“仕事”を終えた。
 夜明け前の屋根の上で、息を吐く――その背後から、声が降りた。

「君が、彼女を殺したのか?」

 探偵である白石冬馬《しらいしとうま》が、女の写真を掲げる。そこに写る笑顔は、晴臣が数時間前に葬ったばかりの人物だった。

 証拠を突きつけられ、終わりを悟るはずだった。だが冬馬は言う。「依頼主が、君に会いたがっている」と。

 それは罪と真実を繋ぐ、奇妙な“契約”の始まりだった。

 互いの心を試すように、夜の街を並んで歩く二人。惹かれるほどに、壊れていく理性。

 月は満ち、真実は赤く滲むーー晴臣は知る。
 愛というのは、苦しくて歪んでいると。
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