[完結]頭の中の泣き虫な私へ

仲 奈華 (nakanaka)

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第五部 働くこと、話すこと

ASDと仕事――「働くこと」がなぜこんなに難しいのか|職場で困る場面と、私なりの攻略法

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はじめに

私は専門学校を卒業し、就職して約10年働いてきました。

その後、体調を崩し、眠れなくなり、食べられなくなり、心療内科でうつ状態と診断されました。そして長い評価の後、ASDと診断されました。

仕事は難しい、大変、ストレスが強いとは感じていました。

それでも続けられるし、やっていけると思っていました。

幼い頃から、周囲についていけなくて困った時、名前を呼ばれるだけで発狂し泣いていた時、声が出なくて困った時、自分で考え、練習を何度も繰り返して対策し、乗り越えてきました。

出来ないことが多いけれど、対策をすれば何とかなる。

困ることも多いけれど、私ならできるようになる。

そう信じていました。

この文章では、ASDの特性によって仕事でどのような困り事が生じたのか、そしてそれに対して私がどのような工夫や対策をしてきたのかを書きます。

同じように働きづらさを抱える当事者の方、そして支援者や雇い主の方にとって、少しでも理解の手がかりになればと思います。


1.ASDと特性、仕事での困り事

ここでは、私が仕事を始めてから実際に困ったことを書きます。

ASDの特性は人によって違いますが、私の場合は、感覚過敏、ワーキングメモリーの弱さ、コミュニケーションの難しさ、手順へのこだわり、スケジュール管理の難しさが、仕事上の大きな負担になっていました。


〇感覚過敏

急に声をかけられて驚き、持っているものを落とす。
どうしても話しかけられたくない。
日常会話がストレスになる。

私にとって「急に話しかけられる」ということは、単なる会話の始まりではありませんでした。

心と体が一気に緊張し、驚きが強すぎて思考が止まってしまう感覚に近いものでした。周囲から見ると少し大げさに見える反応かもしれませんが、本人の中では実際に強い衝撃として起こっています。

仕事中はただでさえ集中しながら手順を追っています。そこに急な声かけが入ると、頭の中で組み立てていた流れが途切れ、元に戻すことが難しくなります。 

そのため、何気ない会話であっても強いストレスになっていました。


〇ワーキングメモリーの低さ

仕事手順を飛ばしてしまう。
何をするべきか思い出せない。
何をしたか思い出せない。
ペンや手帳をデスクに忘れ、取りに帰る。

これは単純に「忘れっぽい」というだけではありません。

複数の情報を同時に頭の中に置いておくことが難しく、途中で声をかけられたり、別の刺激が入ったりすると、それまで覚えていた作業の流れが抜け落ちてしまうのです。

仕事では、「今やっていること」と「次にやること」と「あとで報告すること」を同時に持っておく場面が多くあります。

私にとっては、その同時処理が非常に負担でした。特に疲れている時や緊張している時ほど、抜けや漏れが起こりやすくなっていました。


〇コミュニケーション

何を話していいか分からない。
声が出ないように感じる。
相手の言葉が聞き取れない。
相槌を打ち、相手の表情に合わせるが、徐々にズレて不審がられる。
大事な情報が抜け落ちる。
短期間の会話は、自分の中の台本で何とかなるが、期間が長くなればなるほど台本やマニュアルで対応できなくなる。
トラブルが起こりやすい。(相手にもよる)

私は昔からコミュニケーションが苦手でした。

「話す内容が分からない」「声が出しづらい」という感覚は、怠けや気分の問題ではなく、頭の中で言葉がうまく組み立たない、または緊張が強すぎて出てこない状態でした。

また、相手の言葉が「音」としては聞こえていても、それを意味のある言葉として理解するまでに時間がかかることもありました。

さらに、表情や相槌を相手に合わせることで会話を成立させようとしていましたが、それも長く続くとズレが出てしまい、不自然に見られることがありました。

短い会話や想定内のやり取りは、台本や経験で何とか対応できます。

しかし、関係が長くなったり、予想外の話題が増えたりすると、用意していた台本では対応できなくなり、混乱しやすくなります。



〇手順へのこだわり

手順やマニュアル通りでないと混乱する。
急な指示変更に対応しようとして大きなミスを犯す。
時間通りに始まらないことにイライラする。
思い通りにならない事を延々と考え続けてしまう。


私は、手順や流れを頭の中で細かく組み立てて仕事をしていました。

それがあるからこそ動ける反面、その手順が崩れると、一気に混乱してしまいます。

急な変更にその場で対応しようとすると、全体の流れが見えなくなり、かえって大きなミスにつながることがありました。

また、予定通りに始まらない、思っていた流れにならない、ということがあると、そのことが頭から離れず、長時間考え続けてしまうこともありました。


〇スケジュール管理の難しさ

話しかけられると、会話の終わらせ方が分からず、相手が止まるまでずっと話を聞いてしまう。
自分の仕事が終わらず、帰る時間が遅くなる。
人付き合いに誘われると参加する。
疲れて寝込む、朝起きられないことがある。
急な予定変更でパニックになる。

私は、予定を立てていても、途中で人とのやり取りが入ると、その分だけ全体の時間がずれていきました。

会話を切り上げることも苦手で、必要以上に時間を使ってしまうことがありました。

また、断ることが苦手だったため、人付き合いに誘われると参加してしまい、その後で強く疲弊することもありました。

その時は参加できていても、翌日以降に反動が来ることが多く、生活全体が崩れていく原因にもなっていました。


2.私の工夫と対策

たぶん周囲も、何かおかしいと感じていたと思います。
変わっているな、やり方が特殊だな、と。

それでも私は、仕事を続けるために、自分なりにかなり多くの工夫をしていました。

当時は診断もなく、自分がなぜここまで困るのか分からないまま、とにかく「できるようになるための方法」を探し続けていました。

下記に、仕事をしていた時の私が実施していた工夫を記載します。


① 人から話しかけられる事が怖い時

周囲をよく観察する

人は、話しかけてくる前に表情や仕草に表れます。

目が合う。

こちらに近づいてくる。

何か言い出そうにしている。

それを見つけたら、私の頭の中で「何のことか」を複数ピックアップします。

話しかけられる内容、返答内容、タイミングが分かれば、苦痛も和らぎます。

これは、突然の刺激を少しでも減らすための予防策でした。

私にとって一番つらいのは、「急に」「予測できない形で」声をかけられることです。逆に、少しでも予測できれば、心の準備ができ、混乱や驚きが減ります。


 話しかけられないように、対策をする
これは、実家で生活していた時から実践していたことです。

話しかける人にも理由があります。

用事を頼みたい。

指導をしたい。

雑談をしたい。

・用事を頼みたい場合への対策

かなり意識していたのは、事前に用事を終わらせておくことです。

慣れないうちは難しくて疲弊しますが、仕事でも生活でも、ある程度のパターンや流れがあります。

いつもの仕事は、指摘される前に、指示される前に終わらせておく。

かなりストレスが減ります。

これは、「話しかけられる回数そのものを減らす」という意味でも有効でした。

頼まれる前に終わっていれば、急な声かけや追加指示が減るからです。結果として、感覚過敏や混乱の回数も減らせます。

・指導したい場合への対策

これはミスがあった時、報連相がない時に生じやすいです。


〇報連相

まず大事なのは報連相。

上司に報連相を適時していきます。

私個人は会話が苦手なので、メモに書いてから報告していました。

また、上司によっては口頭での報告を求められることがあり、その場合は、メモを持って口頭で報告をしていました。

3年目くらいまで、頻回に報連相をしていましたが、「もう、そんなに報告しなくていいよ」と言われ、泣きたくなりました。

ルールが崩れると困ります。というか、全部脳内マニュアルを組み立て直さないといけない。タイミングが分からなくなるからです。

私にとって報連相は、単なる社会人としての基本ではなく、「仕事を安全に進めるための手順」でした。
だからこそ、そのルールが曖昧になると、かえって動けなくなってしまいます。

〇ミスがあった時

人間ですから、どうしてもミスやトラブルは生じます。

完全に避けることは難しいです。

ただ、職場にはそういう場合のマニュアルも作られています。

基本的には上司が把握しているのですが、できれば早期から確認をしておきましょう。メモして手帳にストックしておけば、ミスがあった時の対応も考えることができます。

声がかかる前に文章化していれば、ストレスなくスムーズにやり取りができます。

私は、トラブルが起こってから考えるのではなく、「起こった時どうするか」を先に作っておく方が安心できました。

これは不安が強い人にも有効な方法だと思います。

・雑談したい場合への対策

本音を言うと、私はしたくありません。

しかし雑談にもメリットがあります。

雑談で、相手との信頼関係の構築、親和性の増加が図れます。

理論上は分かっています。

ですが、かなり疲弊します。ぶっ倒れそうになります。

〇話しかけにくい雰囲気づくり 
時間がある時は、パソコン業務、仕事、仕事をしていました。

一度言われたことがあります。

「いつも忙しそうにしているよね」

あっ、バレていました。

ええ、わざとです。ですが、理由まではバレていないと思います。

これは、雑談を避けたいという気持ちから生まれた対策でした。

常に仕事をしているように見せることで、不要な声かけを減らそうとしていました。

〇決められた枠で雑談する
ストレスですが、雑談は必要です。

それよりもっと必要なのは、雑談する場への参加です。

集まり、懇親会、忘年会、全てに参加する必要はありませんが、全く参加しないと、「あの人は話ができない人」「変わっている人」と見られやすくなります。

私個人は、学生の時、環境が変わったタイミングでクラスから浮きました。半年間、誰とも話ができませんでした。

その後、クラスの集まりにできるだけ参加するようにしました。

集まりに来る人=仲間の一人、とみなされやすいです。

仕事はどうしても協力する場面が多くなります。

無駄な障害はない方がいいと思っています。

できる範囲で、枠を決めて、雑談に参加しましょう。

うまく喋れなくても、笑っているだけでも、聞いているふりだけでも大丈夫です。

「仲間だよ」と伝えることを主な目的と割り切るのも一つの方法です。


②ワーキングメモリーの低さで支障が出る時

これは、単体では説明できないトラブルです。

大きな音、急な声かけ、突発的なトラブルなど、大量の感覚過敏や脳負荷と重なると生じやすいです。

仕事をしていた時は、私は診断もついていないし、自覚もありませんでした。

でも、できないから、驚いたから、怖かったから、では理由になりません。

仕事では結果が求められるからです。


〇ワーキングメモリーの低下を補うスケジュールを作る


私の手帳には常に付箋が複数貼られていました。

仕事ごとに手順を細分化して付箋にメモをして持ち歩く

月間スケジュールを細かく記入する

週間スケジュールを月曜日に確認し、時間だけでなく、手順や話す内容までメモをする

毎朝、最新情報を確認したうえで、1日のスケジュールを細かく立て、付箋に書き込み、実行後は手帳に書き込む

確認タスク、報連相タスク、会話タスクまで記入する

手順の分解と再構成、チェックリスト化でかなりエラーが減ります。

頭の中だけで覚えておこうとすると限界があります。

だから私は、「覚える」のではなく「外に出して残す」方法を取っていました。手帳や付箋は、私にとって外付けの記憶装置のようなものでした。


③コミュニケーションが難しい時

これは長年苦手に感じていたことです。

目線を合わせる為に
目線を合わせる
→ 相手の鼻を見る
→ 繰り返す
→ 身につける
→ 怖くなくなる
※3か月くらいはかかります。

「相手の目を見る」が難しい時、鼻や眉間を見る方法は、私にとって実行しやすい練習でした。
最初から自然にできるわけではなく、かなり意識して繰り返す必要がありました。

人に話しかける為に
人に話しかける→ マニュアルがある仕事をする
(※クレジットカードの勧誘をしました)→ ひたすらマニュアルに沿って話しかける→ 怖くなくなる

※半年間くらいはかかりました。

自由な会話は難しくても、決まった言葉で話す練習は比較的取り組みやすかったです。
型があることで、不安が少し減ったからです。

話す内容が分からない時に
会話マニュアルを複数読み、自分で会話を始めるための台本を作りました。

私は専門職だったので、仕事時の会話マニュアルも作っていました。

※相手に合わせて5パターン以上あり
これが増えれば増えるほど、会話が続くようになります。 

だけど、相手によって同じ質問でも返答が違う。感情的な思考か、論理的な思考か。性格や成育歴、職業など、相手によってどのように話すか考えてから会話にのぞむようになってきました。

これはかなり負荷の高い方法ですが、当時の私には必要な技術でした。

自然に話すことが難しいぶん、事前準備で補っていたのです。


相手の声が聞き取れない時に
音は聞こえる。

だけど、それが言葉だと分からない。 

聞こえているのに理解できないことがあります。

私がしてきた対策は、本を読むことです。

知らない単語、理解できない単語は、ただの音、ノイズになる。

本を読めば読むほど、聞き取れる言葉が増えていきました。音を頭の中で文字やイメージに変換する。

それを続けていました。

これは私なりの方法ですが、語彙や表現の引き出しが増えると、耳から入ってきた音を意味に変えやすくなる実感がありました。


相手に不審がられる時に
相手が笑っている時は、笑い返す。
相手が悲しそうな時は、悲しそうにする。
目の前の相手に合わせて表情を変えてきました。

聞き取れていなくても、怖くても、それをすればまだ何とかなりやすい。そういう実感があります。

ただ、問題は相手が怒っている時です。

相手が怒る→ 同じ表情をする→ かなりトラブルになります。

うつむき、反省した雰囲気を出す。

これはまだできるようになっていません。私の課題です。


相手の感情に合わせようとすることは、その場を乗り切る助けにはなりました。

一方で、それが過剰になると、自分の負担はどんどん大きくなっていきます。


④手順通りにならないと混乱する時

急な変更があった場合は、手間でも確認しましょう。

手順や詳細な変更点など。

自分の予定を確認して、難しそうなら断ることも選択肢に入れるべきです。

すぐに動かず、紙に書き、スケジュールを立ててから一呼吸置いてから行動する。

焦っている時ほど大事なことです。

私は、その場の勢いで動くと失敗しやすいです。

だからこそ、「すぐ動く」より「一度整理してから動く」ことが必要でした。


⑤解決していない事を延々と考えてしまう時

メモか紙に書き出しましょう。

私は、仕事のタスクひとつひとつを1枚の紙にまとめていました。気になること、課題、考えることをそこにまとめておく。

そしてファイルにとじたら一旦終了。

終わってなくても保留にする、というルールを作っていました。

また次のタイミングで紙を見れば思い出せます。

頭の中に置いたままだと終わりません。

紙に出すことで、「今はここまで」と区切りをつけることができました。


⑥スケジュール管理の難しい時

スケジュールを作る時間を、別枠で作っていました。

何もかも同時には難しい。

一つずつやればできます。

自分が壊れない時間を把握し、守る。

私の場合は、仕事や対人交流は1日8時間、週間45時間までと決めていました。

1年目の時に体調が悪化し、負荷量を減らすために実行したことです。

対人コミュニケーション、感覚刺激、行動、複数同時処理が伴う環境に身を置く時間を決める。

自分の脳の限界を知り、時間制限を把握すること
で、続けられるようになります。

脳負荷が強いと、何もかも崩れていきます。

できるだけ定時で帰る。

逆算して仕事をする。

人が少ない朝時間を活用する。

相手に合わせすぎない。


私は長い間、「頑張れば何とかなる」と思っていました。
でも実際には、限界を超えて頑張るほど、後で大きく崩れていきます。
そのため、自分が壊れない範囲を知ることは、とても大事でした。


3.崩れた私が、今思う事

私は、コミュニケーションが苦手なことを学生の時から把握しながら、コミュニケーションが必要な仕事に従事してきました。

一番の理由は、その仕事が私の興味がある仕事だったからです。

それでも、どうしてもできないと思うことは避けてきました。

集団や複数を同時に把握しなければならない役割、立場。

チームリーダーや役職がここにあたると思います。

一対一なら何とかなる。

複数だと、すぐに破綻する。

そもそも脳が認識できない。

穴が増える。



名前を呼ばれただけで発狂する。目が合わせられない。会話ができない。人に話しかけられない。

そんな私が、いろんな対策を取り、本を読んで、やっとできるようになったコミュニケーション、仕事。

だけど、どうしてもできないことが残ります。

急に話しかけられると発狂しそうになる。

会話の内容が聞き取れない。

分からない。

どうにかしたくて、そのまま私は上司や先輩に相談しました。

「それはコミュニケーションではないのでは?」

「自分の言葉を相手に伝えないと」

「相手を分析して、会話を予測して言葉を伝えるのはおかしいのでは」

たぶん親切心だったと思います。

無理だと思いながら、追い詰められていた当時の私は、複雑で無数な台本で構築されていたコミュニケーションマニュアルを一度手放す覚悟を決めました。

そして残ったのは、ずっと頭の中に引きこもり、些細な刺激で発狂し、涙を流しながらうずくまっている私でした。

声が出ません。

何とか外に出ても、車の走行音で頭を抱えます。

食事を見るだけで気持ち悪く、食べる気になりません。

何とか職場まで行き、怖くて怖くて涙を流してしまいました。

変わっていない。

昔と一緒だ。

どうやってもできそうにない。

ばらばらにした脳内マニュアルをかき集め、何とか仕事をこなし、家へ帰ります。

体が痛くて仕方がない。

顔がしびれる。

どうすればいいか分からない。

そして受診しました。

きっと私が欲しかったのは、私が長年作ってきたコミュニケーション、仕事、家事のマニュアルよりも、もっと実用的で、負荷が少なく、楽にできる方法だったのだと思います。

私はまだ痛みを抱えています。

薬をのみ、家事をこなし、子どもの世話をして、日々の生活を続けています。

そして今、ずっと頭の中に引きこもっていた私(nakanaka)が文書を書いています。

私は間違っていなかった。

ただ、負荷量の配分を見間違っただけだ。

私にとって、私のやり方は正しかった。

今ではそう思っています。


4.ASDの人に向いている仕事、向いていない仕事

ASDの人に向いている仕事は、人によって異なります。

ただし一般的には、手順やルールが明確で、作業内容が具体的であり、急な予定変更や対人対応が少ない仕事は、比較的取り組みやすいと考えられます。
たとえば、以下のような特徴がある仕事は合いやすい場合があります。

手順が決まっている
評価基準が分かりやすい
一人で集中する時間が確保しやすい
急な割り込みが少ない
感覚刺激が少ない環境でできる

具体例としては、データ入力、書類整理、経理補助、検品、在庫管理、清掃、文字校正、プログラミング、分析作業などが挙げられます。

もちろん、職種名だけで向き不向きが決まるわけではありません。同じ職種でも、職場環境や仕事内容によって負担の大きさは大きく変わります。

逆に、私のように負担が大きくなりやすいのは、次のような仕事や役割です。

複数人を同時に見なければならない仕事
頻繁に予定変更が起こる仕事
暗黙の了解や空気を読むことが多く求められる仕事
急な声かけや割り込みが多い仕事
雑談や対人調整が業務の中心になる仕事
騒音や人の出入りが多い環境

そのため、「向いている仕事」を考える時は、職種名だけでなく、どのような環境で、どのような進め方をする仕事なのかまで見ることが大切だと思います。


5.当事者の方へ

私は、高機能ASDで、高度にマスキングして社会生活を回してきた当事者にあたります。
下記は一例です。貴方が職場で困った時、周囲に伝える手がかりとしてください。




1.口頭ではなく文書で指示をしてください
※感覚過敏や特性により、口頭指示だと理解しづらいことがあります。
2.急な予定変更は苦手です。できれば避けてください
どうしても変更がある場合は、仕事の段取りを立て直す時間をください。
3.脳の疲労で気分が悪くなることがあります
休憩を取らせてください。
※できれば個室。昼休憩の分割、もしくは早退(時間休、有給利用など制度との調整が必要) 





私たちは、見た目には普通に働けているように見えることがあります。

しかし、実際には強い負荷の中で何とか保っていることがあります。

限界になる前に、少しの配慮があるだけで、働き続けやすさは大きく変わります。


6.支援者、雇い主の方へ

ASDにとっては、脳の負荷量の増加が、最もミスやトラブルにつながりやすいです。

感覚刺激が少ない環境を整える

本人が苦手なことを把握する

一人で静かに黙々とできる仕事を渡す

口頭ではなく文書での指示、報連相も考慮する

少しだけ方法を変えるだけで、トラブルが減る可能性があります。

あくまで一例として、参考にしていただければ幸いです。

また、本人がうまく説明できない場合でも、「やる気がない」「協調性がない」と決めつけず、何に負荷がかかっているのかを一緒に確認していただけると助かります。

同じ仕事でも、指示の出し方、環境、休憩の取り方が変わるだけで、できることは大きく増える場合があります。




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