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それぞれの絆
【旦】雪旦那と紫緒【五】
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俺が俺を抱くだと!? 雪緒は何を考えているのだ!! それはどんな悪夢だ!!
「…って…お前は…お前に抱かれる事に抵抗は無いのか…?」
ぶつぶつと粟だった肌を鎮めようと、身体の前で腕を交差させ、その腕を擦りながら俺は雪緒を見た。
そうだ。
こいつは、何故こんなにも平然として居られるのだ? 楠の影響か?
いや、こいつは、自分相手に欲が湧くと云うのか?
「え? 何故ですか? 紫様ですよ?」
いや、だから俺の顔で、不思議そうに可愛らしく首を傾げてくれるな。
「中身はそうだが、顔も身体も声もお前だろうが!」
「ああ、はい。確かにそれはそうですが…表情が違いますし、話し方も、声の出し方も、細かな仕草も僕とは全然違います。何より、紫様にしか出せない空気を醸し出しています。どの様なお姿になりましても、紫様は紫様なのです。ですから、僕は何の抵抗を覚える事等ありません。だって、僕の目の前に居るのは紫様なのですから」
「…ぐっ…!!」
何だ、こいつは!?
何故、こいつはこうなのだ!?
何故、そんなに真っ直ぐと俺を見詰める事が出来る!?
「…それに…あの…お山では皆様が居ましたから…その…当然ではあるのですが…こちらに戻って来てましてからも…僕の身体を気遣って戴けているのは理解しているのですが…あの…」
な、何だ? 何をそんなに言い難そうにしている? 俺への不満か? 不満があるのか? どんな不満があると言うのだ? 遠慮せずに言ってくれ。
戦々恐々としている俺の心の内を知ってか知らずか、雪緒は僅かに顔を俯かせて、顔を赤くして、上目遣いで言ってくれた。
「…共にお休みになるだけでなく…触れて…欲しいのです…。…紫様の…熱が…欲しいのです…」
その言葉に、一気に身体に熱が灯った事は否定しない。
涙を滲ませ目元を赤く染め、小さく身体を震わせてそこに居たのは、雪緒が言った様に、見た目は俺ではあるが、俺にはどうしても雪緒にしか見えなかったのだ。
◇
風呂から出て、俺の部屋へと戻れば、敷かれた布団の横で雪緒が正座をして待っていた。
「…風邪を引くかも知れんから、布団に入っていろと言った筈だが?」
俺の声に、雪緒がびくりと肩を震わせて振り返って来た。
「ふぁっ、あ、う、む、胸が…お、落ち着かなくて…」
…大丈夫か、こいつ…。
「…緊張するなと言う方が無理か…」
雪緒にあそこまで言わせてしまった、不甲斐ない自分に腹が立つ。元に戻る為でなく、ただ、俺が欲しいとこわれて、誰が袖に出来るだろうか。
「…髪を拭いてくれるか」
雪緒の前に胡座を掻いて座り、手にしていた手拭いを渡す。
まずは、この緊張を何とかせねばなるまい。
「あ、はい。…失礼しますね…」
手拭いを受け取った雪緒が、丁寧に一房ずつ髪を掴み、手拭いでゆっくりと撫でて行く。
擽ったい様な、焦れったい様な動きに、口元が緩む。
暫し無言の刻が続くが、苦では無い。
腹を決めてしまえば、あの悩んでいた気まずい時間が、本当に惜しい。
この穏やかな時間を愛しいと思う。
何気ない時間だが、雪緒と二人だから愛しく大切にしたいと思う。
本当に、どうしようも無い程に、こいつに惚れているのだと、惚れられているのだと、実感せざるを得ない。
「…本当に参ったな…」
「はい?」
そんな自分がおかしくて、小さく笑って言えば、雪緒が手を止めて首を傾げて来た。
「…いや…。…俺をくれてやるから覚悟しろ」
「ふぇっ!?」
目の前で動きを止めた手首を掴み、俺は雪緒を布団へと押し倒した。
「お、御髪がま、まだ…っ…!」
「どうせ、汗で濡れるから構わん」
「ふぇっ!?」
押し倒した雪緒の腰を跨ぎ、その手にある手拭いを奪い、適当に放り投げれば、雪緒は両手で顔を覆ってしまった。
「…おい…」
それは、どんな意思表示だ?
「ふぁっ、か、かおが…っ…あ、あの、き、気になりゅかちょ…っ…!!」
何故、噛む。
「…声の出し方、仕草、醸し出す雰囲気が違うと言ったのはお前だ。…確かに、俺にも、もうお前は雪緒にしか見えん」
「…ふえ…」
俺の言葉に、雪緒の顔を覆っていた手が、そろそろと布団の上へと降りて行く。
そこにあるのは、確かに俺の顔だ。
だが、期待と不安を浮かべているそれは、俺が浮かべる物とは違う。これは、雪緒なのだ。
「…紫様…あの…僕はどうしたら…」
「そのままで良い。身体の力を抜いていろ」
「…はい…」
「…って…お前は…お前に抱かれる事に抵抗は無いのか…?」
ぶつぶつと粟だった肌を鎮めようと、身体の前で腕を交差させ、その腕を擦りながら俺は雪緒を見た。
そうだ。
こいつは、何故こんなにも平然として居られるのだ? 楠の影響か?
いや、こいつは、自分相手に欲が湧くと云うのか?
「え? 何故ですか? 紫様ですよ?」
いや、だから俺の顔で、不思議そうに可愛らしく首を傾げてくれるな。
「中身はそうだが、顔も身体も声もお前だろうが!」
「ああ、はい。確かにそれはそうですが…表情が違いますし、話し方も、声の出し方も、細かな仕草も僕とは全然違います。何より、紫様にしか出せない空気を醸し出しています。どの様なお姿になりましても、紫様は紫様なのです。ですから、僕は何の抵抗を覚える事等ありません。だって、僕の目の前に居るのは紫様なのですから」
「…ぐっ…!!」
何だ、こいつは!?
何故、こいつはこうなのだ!?
何故、そんなに真っ直ぐと俺を見詰める事が出来る!?
「…それに…あの…お山では皆様が居ましたから…その…当然ではあるのですが…こちらに戻って来てましてからも…僕の身体を気遣って戴けているのは理解しているのですが…あの…」
な、何だ? 何をそんなに言い難そうにしている? 俺への不満か? 不満があるのか? どんな不満があると言うのだ? 遠慮せずに言ってくれ。
戦々恐々としている俺の心の内を知ってか知らずか、雪緒は僅かに顔を俯かせて、顔を赤くして、上目遣いで言ってくれた。
「…共にお休みになるだけでなく…触れて…欲しいのです…。…紫様の…熱が…欲しいのです…」
その言葉に、一気に身体に熱が灯った事は否定しない。
涙を滲ませ目元を赤く染め、小さく身体を震わせてそこに居たのは、雪緒が言った様に、見た目は俺ではあるが、俺にはどうしても雪緒にしか見えなかったのだ。
◇
風呂から出て、俺の部屋へと戻れば、敷かれた布団の横で雪緒が正座をして待っていた。
「…風邪を引くかも知れんから、布団に入っていろと言った筈だが?」
俺の声に、雪緒がびくりと肩を震わせて振り返って来た。
「ふぁっ、あ、う、む、胸が…お、落ち着かなくて…」
…大丈夫か、こいつ…。
「…緊張するなと言う方が無理か…」
雪緒にあそこまで言わせてしまった、不甲斐ない自分に腹が立つ。元に戻る為でなく、ただ、俺が欲しいとこわれて、誰が袖に出来るだろうか。
「…髪を拭いてくれるか」
雪緒の前に胡座を掻いて座り、手にしていた手拭いを渡す。
まずは、この緊張を何とかせねばなるまい。
「あ、はい。…失礼しますね…」
手拭いを受け取った雪緒が、丁寧に一房ずつ髪を掴み、手拭いでゆっくりと撫でて行く。
擽ったい様な、焦れったい様な動きに、口元が緩む。
暫し無言の刻が続くが、苦では無い。
腹を決めてしまえば、あの悩んでいた気まずい時間が、本当に惜しい。
この穏やかな時間を愛しいと思う。
何気ない時間だが、雪緒と二人だから愛しく大切にしたいと思う。
本当に、どうしようも無い程に、こいつに惚れているのだと、惚れられているのだと、実感せざるを得ない。
「…本当に参ったな…」
「はい?」
そんな自分がおかしくて、小さく笑って言えば、雪緒が手を止めて首を傾げて来た。
「…いや…。…俺をくれてやるから覚悟しろ」
「ふぇっ!?」
目の前で動きを止めた手首を掴み、俺は雪緒を布団へと押し倒した。
「お、御髪がま、まだ…っ…!」
「どうせ、汗で濡れるから構わん」
「ふぇっ!?」
押し倒した雪緒の腰を跨ぎ、その手にある手拭いを奪い、適当に放り投げれば、雪緒は両手で顔を覆ってしまった。
「…おい…」
それは、どんな意思表示だ?
「ふぁっ、か、かおが…っ…あ、あの、き、気になりゅかちょ…っ…!!」
何故、噛む。
「…声の出し方、仕草、醸し出す雰囲気が違うと言ったのはお前だ。…確かに、俺にも、もうお前は雪緒にしか見えん」
「…ふえ…」
俺の言葉に、雪緒の顔を覆っていた手が、そろそろと布団の上へと降りて行く。
そこにあるのは、確かに俺の顔だ。
だが、期待と不安を浮かべているそれは、俺が浮かべる物とは違う。これは、雪緒なのだ。
「…紫様…あの…僕はどうしたら…」
「そのままで良い。身体の力を抜いていろ」
「…はい…」
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