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第十話 焦がれる

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ヒクヒクと物欲しそうに二人を求める淫靡な穴に、応えるように千紘は身体を合わせる

「ずっとこれが欲しかったんだろ?すっげぇな、吸い付いてくる」

「…あ…ッ…フ…ぅ…早く…欲し…」

「マツリちゃん素直になってかーわいい、俺の時もその可愛さ継続しててよ?」

「うん…うんっ…」

もう虚勢を張るのはやめた
だって本当はずっとこれが欲しかったから

十年ぶりにグググ、と太くて大きい千紘の剛直が僕の中に入ってくる
指では到底届かない僕の弱い所をいとも簡単に突いてきた

「あ…あっ…ぁあ…ッ…」

千紘に腕を引かれもたれるように上に跨ると、より深いところまで挿入ってくる

「…ンッ…ふ…あぁ…っ」

匂いや、大きな手の感触、響き渡る水音の全てがあの頃以上に鮮明に蘇る
頭ではずっと否定を続けても、身体は焦がれ続けていた

「中、締め付けやべぇ…吸い取られそ…」

「あ…ッ…や…んんッ!」

いつの間にかベッドの上に移動して、狭いシングルベッドが律動と共にギシギシと唸りを上げる

「わぁ、ここからの眺めは圧巻だねぇ」

市井はベッドの側の床に腰掛け、あられもない姿の僕を視姦する
スマホの画面をこちらに向けていることなど、気にも留めることが出来なかった

「自分からイイトコロ当てにきてんじゃん。ヤラシイやつ」

「ふゔぅッ…はぁっ…あんん…っ」

パチュンパチュンと水音が響き、聴覚までも犯され気持ちよさで頭が回らない

「おい、声少し抑えないとホントに漏れるぞ」

「ゔぅッ…だって…ン…声っ…あ…抑えらんないっ…」

「可愛いヤツ、口塞いでやろうか?」

千紘は目を細めて口角を上げながら掴んだ腰を激しく揺さぶる

その気持ちよさでだらしなく口は開き、十年間溜まりに溜まったフラストレーションはこの瞬間に洪水のように溢れ出して自我を失う

「あっ…あっ…キス、して…千紘…せんぱ…」

「うっ!」

腕を回してキスをせがんだところで、千紘が苦悶の声をあげる
中に挿入っているものがビクビクとうなり、やがて動きを止めた

「え?まさか辰巳もうイッたの?ウケる、早すぎ」

「う…うるせぇな!こんなに素直で可愛いとか流石に反則すぎるだろ!油断したわ」

「まぁ確かに今のマツリちゃんはかなりヤバいね。ほらどいてよ俺の番」

千紘はちぇっと不服そうにベッドから退く
その時に名残惜しそうに口づけをしてくるが、もうそんなのじゃ全く満足出来なかった

「マツリちゃん、俺のほうがキス上手いからね。上も下もいっぱいチューしてあげる」

市井が僕を押し倒してガチャガチャとスラックスのベルトを外す
その姿までも艶かしく僕は期待で息を呑んだ
横では千紘がまたスマホをこちらに向けながら、お前もオヤジ臭いじゃねぇかと野次を飛ばしている

「はぁ…っ…早く…」

「急かされると俄然やる気出るんだけど。朝まで抱き潰していい?」

市井は取り出した昂ぶりを後孔に宛てがった
僕は何回も頭を縦に振り、早くグチャグチャに犯されたくて自ら後孔を指で拡げた

「やっば、俺も早くイッちゃうかも」

「ふぁ…ン゙ンンッ♡…これぇ♡」

いとも簡単に最奥まで突かれると、目に火花が散る
ドーパミンが溢れ出て、多幸感で満たされる

「はぁッ…いち…せんぱ…ギュってして…キスしてくださ…んっ♡」

言い切る前に、僕は市井先輩に口付けをされる
そのまま身体をキツく抱きしめられると、嬉しさで更に中が締まる

「ハァ…クッソ、次は絶対すぐイかねぇ」

「ンッ…ふ…んぁ♡…ンン」

横でボヤく千紘先輩を他所に、市井先輩は獣のように僕の口腔内を舌で犯した
歯列をなぞり、上顎を舐め、舌を絡める
先輩のねちっこいディープキスに、僕は夢中でソレに応える

その間もパツンパツンと最奥は突かれ、押し寄せる快感の渦に溺れかける
ペタンペタンと腹を打つ僕のペニスからは、我慢汁がダラダラと溢れた

「ングッ…も…イク…イッちゃ…♡…んぁぁッ」

それに伴いより一層激しく中を貫かれると、嬌声と共に自分の腹に吐精する
同時に中のものがビクビクとうねり、熱が吐き出される温かな感覚を覚える

「ハァッ…やべぇ…破壊力凄すぎ…」

顔の横に項垂れる市井先輩が息を乱しながら僕をキツく抱きしめた
すぐ隣では千紘先輩が退けよ、と市井先輩の背中を叩いている

「このままバイバイするのは嫌だなぁ、東京に持って帰っちゃおうかなぁ」

「…ハァ…ふ…ハァハァ…」

僕は分かっていた
この二人がそんなに長くここには留まれないことを
事件が解決したのだから、二人はいずれ東京に戻る
なので少しの辛抱だと、これさえ耐えればと自分に言い聞かせたのだ

なのであと少し、もう少しだけ、ありのままの自分を晒した姿で、この行為を素直に堪能しようと思った
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