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余談2.人間不信の兄が、妹離れを決意するまで
5.成長したい兄から見る、信用出来ない警察隊
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アンドリューは、いつだってリリィの幸せを願ってきた。彼女が幼少期に受けてきた虐めが原因で取り憑かれてしまった人間不信と異様なまでの庇護欲は、彼女の婚約者となるジュードが現れたことによって数年をかけて少しずつ小さくなっていって。少しずつ、妹の婚約を素直に祝えるようになってきた。ジュードなら妹を幸せにいてやれると、この先妹は幸せになっていけるのだと。
……そう信じて疑わなかったのに。
リリィの体調が快復して数ヶ月。ジュードと共に豊穣祭へ行くのだと楽しそうに話していたのを見送った、その日の夜。
離れた場所からリリィ達を見守っていたはずの護衛が、ルヴェール邸へ慌てた様子で駆け込んできたのだ。
「リリィ様が……リリィ様が、何者かに誘拐されました……!!」
最初、彼が何を言っているのかアンドリューは理解ができなかった。だってそうじゃないか。これ以上リリィの身に危険が及ぶことはないと思っていたのに。
いても立ってもいられなくなって、門の前で馬車の到着を待っていた。見えてきた馬車の中にきっとリリィはいるだろうと、そう思っていたのに。しかしその中にいたのは、ジュード一人だけだった。
「ジュード……リリィは? リリィはどこにいるんだい?」
きっとどこかにいるはずだと、誘拐されたなんて何かの冗談か間違いだと。認めたくなくて、焦りや恐怖を無理矢理抑え付けて穏やかな笑顔を貼り付けて、ジュードにそう問うて。
しかし彼は、絶望したような真っ青な顔で震えていた。
「申し訳、ございません……俺は、リリィ、を……」
明確な答えは、彼の口の中で消えてしまって聞こえない。しかし下げられた頭と、彼の様子に現実を突き付けられた。状況を、嫌でも理解せざるを得なくて。
「ジュード・クラークッ!! お前がついていながら何故!!」
気が付けば、アンドリューはジュードへと掴みかかっていた。
「守ると言っていたじゃないか、リリィを!!」
「やめないか、アンドリュー……!」
「それなのに何故……お前は何をやっていた!!」
デイビッドが引き止めているのも構わず、アンドリューはジュードを責め立てて。当のジュードといえば、抵抗することなく項垂れている。
「申し、訳……」
ただ、そう譫言のように繰り返していて。
「アンドリュー、落ち着きなさい!」
デイビッドの強い力でようやく引き剥がされたアンドリューは、その場に崩れ落ちる。やり場のない怒りや悲しみは、地面に拳をぶつけることしか出来なくて。
「……アンドリュー」
クリスティーがアンドリューの傍へと膝をつき、そっとその身体を抱き締める。優しく頭を撫でる手に、堪えきれなかった感情が涙となって溢れて。
「ジュード。君も辛いとは思うが、もう少しだけここに残ってくれるかい? もうすぐで警察隊が到着するはずだ。何があったのか、話を聞かせてほしい」
デイビッドの言葉に、ジュードはただ力なく頷いた。
そこから先、しばらくのことをアンドリューはよく覚えていない。警察隊が到着して、屋敷内が騒がしくなって。応接室へと移動してジュードや護衛が事の顛末を警察隊に話していたのは、ぼんやりと覚えているけれど。
リリィはどこに連れて行かれてしまったんだ、とか。
きっと怖い思いをしているだろう、とか。
早く見付けてあげないと、とか。
そんなことが頭の中をぐるぐると渦巻いて、周りの音や状況が何も入ってこない。今こうしている間にも、リリィが無事に帰ってきてくれやしないかと願って。
「恐らく、身代金目的の誘拐でしょう。もう少しすれば、犯人から何かしらのコンタクトがあるはずです」
嫌に自信満々な警察隊の部隊長の声だけがはっきりと聞こえた。
「ハッ……身代金目的、ね……」
アンドリューは、そう鼻で笑い捨てる。
わざわざリスクを犯し、こちら側に接触してくるようなことをするだろうか。リリィの流す宝石は、状態によっては価値ある代物になるというのに。
「……父上も、そうお考えですか?」
力なくソファに腰掛け、涙を流すクリスティーを抱き寄せているデイビッドに視線を向ければ、彼は大きな息をひとつ吐くと首を横に振った。
「…………今護衛達に、ジュードから聞いた馬車が走り去ったという方向を捜させているよ。とはいえ、だ。いくら公爵家とはいえ、捜索範囲は限られている」
つまりは、警察隊の礼状やら手続きやらが必要な場所に関しては調べられないというわけだ。
「なんと! ルヴェール公爵様ともあろう者が、私達警察隊を信じてくださらないと!」
だと言うのに、部隊長は大袈裟なように驚いて。そして呑気な笑顔をデイビッドへと向けた。
「安心してください、公爵様。私達はいくつもの誘拐事件を解決してきました。必ずや、リリィ様を助け出して見せましょう」
なんの根拠もない、そんな自信に満ち溢れた顔。馬鹿馬鹿しくなって、アンドリューはソファから腰を上げた。
「……アンドリュー、どこへ行くんだい?」
なんて。そう聞いてくるデイビッドは、気付いているのだろう。その視線は、虚空から動かなかった。
「僕も捜してきます。じっとしてはいられないので」
嫌な予感がするのだ。早く見付けてあげなければ、取り返しのつかないことになるような気がして。
警察隊が今の状態でこれ以上動く気がない以上、自分の足で見付けなければ。
「……深追いはしないでくれ。君までいなくなってしまったら、私達は耐えられそうにない」
デイビッドの、クリスティーを抱き寄せるその手が震えている。
「わかっています」
心得ているのだ、それは、本当に。これ以上、両親を悲しませてはいけないと。
応接室を出るその瞬間、部屋の隅で力なく虚空を見ているジュードを一瞥する。わかっているのだ、彼の件に関しても。リリィから離れてしまった理由だって、彼の家系からしてみれば仕方のないことだった。それに、普通の子供より達観している部分があるとはいえ、彼はまだ幼く弱い。どうしたところで、誘拐は阻止出来なかったのだと。
自分だって、そうだ。
(リリィ……一体、どこに……)
馬を走らせ、リリィを乗せた馬車が走り去ったらしい道を駆け抜ける。それらしい轍を辿るものの、それは途中で他の馬車のそれや足跡に紛れてしまって。辿っては外れの道を引き、引き返しては別の轍を辿り……そうしているうちに時間は過ぎ、次々と走り去る馬車に跡を掻き消され。
どうにもならなかったのだ、自分の力では。遂には日が昇って、それでも何も見付けられず。失意の中、ルヴェール邸へと戻るしかなかった。
「……アンドリュー」
呆然と帰ってきた彼を、ルヴェール夫妻は責めることなくただ優しく出迎える。
「申し訳ございません、父上、母上……」
力なく膝を折り涙を流す彼を、ただ二人は優しく抱き締めた。
「……犯人から、何か連絡は」
むしろ、あってくれと心の底から祈る。だってそうじゃないか。予想している最悪の展開が訪れるより、身代金目的の誘拐の方がどれ程いいか。
嗚呼、でも。
「……なかったよ、何も」
デイビッドのその答えは、アンドリューを絶望の底へと突き落とした。
一体、どうしたらいい。このままリリィが見付からなかったら。このまま、もう二度とあの笑顔を見ることが出来なくなってしまったら。
「何を、している……」
アンドリューは、気まずそうに自分達を見ていた警察隊の部隊長や隊員達を睨み付ける。
「今もまだ、身代金目的の誘拐だとほざくのか?」
「い、いえ……あの……」
その気迫に、部隊長はおずおずと後退った。
「リリィを、見付け出してくれるんだろう……? あれから何時間経ったと思っている?」
「い、いえしかし……手がかりが、何も……」
「じゃあ、怪しい場所を片っ端から調べればいいじゃないか。人家にでも、貴族の屋敷でも」
「出来るわけ、ないじゃないですか……何も証拠がないのに……証拠がなければ、礼状は出せません……」
手がかりがない、証拠がない、礼状が出せない。部隊長の返答は、その立場からしたら真っ当な意見だった。
でも。こうしている間にも時間は進んでいく。
リリィが誘拐されて一夜が過ぎた。今リリィは、どうしているのだろう。今リリィは、どこにいるのだろう。酷いことをされてはいないだろうか、怖い思いをしてはいないだろうか。もし、リリィが……
悠長なことは、言っていられないのだ。
「捜査方針に口出しをされるのは、いくら公爵家の御子息であっても困ります。これから本格的な捜査に入りますので、安心してお待ちください」
ああ、やっぱりそうじゃないか。力がない自分には何も出来ない。ただ指を咥えて、信用出来ない警察隊に全てを任せ待っているしかない。彼らに任せて、見付かるかどうかもわからないのに。
今の、ままでは。
「…………口出し出来る、立場になればいいのか?」
「はい?」
「アンドリュー……?」
ふらりと立ち上がったアンドリューを、デイビッドとクリスティーは目を見開いて見上げた。それに構わず、彼は部隊長を睨み付ける。
「お前らに、全てを任せてなんていられるか」
リリィは絶対、見付けてやらなければ。
この時だ。アンドリューが、警察隊に入隊することを決心したのは。誰でもない、たった一人の大切な妹を見付け出すために。
……そう信じて疑わなかったのに。
リリィの体調が快復して数ヶ月。ジュードと共に豊穣祭へ行くのだと楽しそうに話していたのを見送った、その日の夜。
離れた場所からリリィ達を見守っていたはずの護衛が、ルヴェール邸へ慌てた様子で駆け込んできたのだ。
「リリィ様が……リリィ様が、何者かに誘拐されました……!!」
最初、彼が何を言っているのかアンドリューは理解ができなかった。だってそうじゃないか。これ以上リリィの身に危険が及ぶことはないと思っていたのに。
いても立ってもいられなくなって、門の前で馬車の到着を待っていた。見えてきた馬車の中にきっとリリィはいるだろうと、そう思っていたのに。しかしその中にいたのは、ジュード一人だけだった。
「ジュード……リリィは? リリィはどこにいるんだい?」
きっとどこかにいるはずだと、誘拐されたなんて何かの冗談か間違いだと。認めたくなくて、焦りや恐怖を無理矢理抑え付けて穏やかな笑顔を貼り付けて、ジュードにそう問うて。
しかし彼は、絶望したような真っ青な顔で震えていた。
「申し訳、ございません……俺は、リリィ、を……」
明確な答えは、彼の口の中で消えてしまって聞こえない。しかし下げられた頭と、彼の様子に現実を突き付けられた。状況を、嫌でも理解せざるを得なくて。
「ジュード・クラークッ!! お前がついていながら何故!!」
気が付けば、アンドリューはジュードへと掴みかかっていた。
「守ると言っていたじゃないか、リリィを!!」
「やめないか、アンドリュー……!」
「それなのに何故……お前は何をやっていた!!」
デイビッドが引き止めているのも構わず、アンドリューはジュードを責め立てて。当のジュードといえば、抵抗することなく項垂れている。
「申し、訳……」
ただ、そう譫言のように繰り返していて。
「アンドリュー、落ち着きなさい!」
デイビッドの強い力でようやく引き剥がされたアンドリューは、その場に崩れ落ちる。やり場のない怒りや悲しみは、地面に拳をぶつけることしか出来なくて。
「……アンドリュー」
クリスティーがアンドリューの傍へと膝をつき、そっとその身体を抱き締める。優しく頭を撫でる手に、堪えきれなかった感情が涙となって溢れて。
「ジュード。君も辛いとは思うが、もう少しだけここに残ってくれるかい? もうすぐで警察隊が到着するはずだ。何があったのか、話を聞かせてほしい」
デイビッドの言葉に、ジュードはただ力なく頷いた。
そこから先、しばらくのことをアンドリューはよく覚えていない。警察隊が到着して、屋敷内が騒がしくなって。応接室へと移動してジュードや護衛が事の顛末を警察隊に話していたのは、ぼんやりと覚えているけれど。
リリィはどこに連れて行かれてしまったんだ、とか。
きっと怖い思いをしているだろう、とか。
早く見付けてあげないと、とか。
そんなことが頭の中をぐるぐると渦巻いて、周りの音や状況が何も入ってこない。今こうしている間にも、リリィが無事に帰ってきてくれやしないかと願って。
「恐らく、身代金目的の誘拐でしょう。もう少しすれば、犯人から何かしらのコンタクトがあるはずです」
嫌に自信満々な警察隊の部隊長の声だけがはっきりと聞こえた。
「ハッ……身代金目的、ね……」
アンドリューは、そう鼻で笑い捨てる。
わざわざリスクを犯し、こちら側に接触してくるようなことをするだろうか。リリィの流す宝石は、状態によっては価値ある代物になるというのに。
「……父上も、そうお考えですか?」
力なくソファに腰掛け、涙を流すクリスティーを抱き寄せているデイビッドに視線を向ければ、彼は大きな息をひとつ吐くと首を横に振った。
「…………今護衛達に、ジュードから聞いた馬車が走り去ったという方向を捜させているよ。とはいえ、だ。いくら公爵家とはいえ、捜索範囲は限られている」
つまりは、警察隊の礼状やら手続きやらが必要な場所に関しては調べられないというわけだ。
「なんと! ルヴェール公爵様ともあろう者が、私達警察隊を信じてくださらないと!」
だと言うのに、部隊長は大袈裟なように驚いて。そして呑気な笑顔をデイビッドへと向けた。
「安心してください、公爵様。私達はいくつもの誘拐事件を解決してきました。必ずや、リリィ様を助け出して見せましょう」
なんの根拠もない、そんな自信に満ち溢れた顔。馬鹿馬鹿しくなって、アンドリューはソファから腰を上げた。
「……アンドリュー、どこへ行くんだい?」
なんて。そう聞いてくるデイビッドは、気付いているのだろう。その視線は、虚空から動かなかった。
「僕も捜してきます。じっとしてはいられないので」
嫌な予感がするのだ。早く見付けてあげなければ、取り返しのつかないことになるような気がして。
警察隊が今の状態でこれ以上動く気がない以上、自分の足で見付けなければ。
「……深追いはしないでくれ。君までいなくなってしまったら、私達は耐えられそうにない」
デイビッドの、クリスティーを抱き寄せるその手が震えている。
「わかっています」
心得ているのだ、それは、本当に。これ以上、両親を悲しませてはいけないと。
応接室を出るその瞬間、部屋の隅で力なく虚空を見ているジュードを一瞥する。わかっているのだ、彼の件に関しても。リリィから離れてしまった理由だって、彼の家系からしてみれば仕方のないことだった。それに、普通の子供より達観している部分があるとはいえ、彼はまだ幼く弱い。どうしたところで、誘拐は阻止出来なかったのだと。
自分だって、そうだ。
(リリィ……一体、どこに……)
馬を走らせ、リリィを乗せた馬車が走り去ったらしい道を駆け抜ける。それらしい轍を辿るものの、それは途中で他の馬車のそれや足跡に紛れてしまって。辿っては外れの道を引き、引き返しては別の轍を辿り……そうしているうちに時間は過ぎ、次々と走り去る馬車に跡を掻き消され。
どうにもならなかったのだ、自分の力では。遂には日が昇って、それでも何も見付けられず。失意の中、ルヴェール邸へと戻るしかなかった。
「……アンドリュー」
呆然と帰ってきた彼を、ルヴェール夫妻は責めることなくただ優しく出迎える。
「申し訳ございません、父上、母上……」
力なく膝を折り涙を流す彼を、ただ二人は優しく抱き締めた。
「……犯人から、何か連絡は」
むしろ、あってくれと心の底から祈る。だってそうじゃないか。予想している最悪の展開が訪れるより、身代金目的の誘拐の方がどれ程いいか。
嗚呼、でも。
「……なかったよ、何も」
デイビッドのその答えは、アンドリューを絶望の底へと突き落とした。
一体、どうしたらいい。このままリリィが見付からなかったら。このまま、もう二度とあの笑顔を見ることが出来なくなってしまったら。
「何を、している……」
アンドリューは、気まずそうに自分達を見ていた警察隊の部隊長や隊員達を睨み付ける。
「今もまだ、身代金目的の誘拐だとほざくのか?」
「い、いえ……あの……」
その気迫に、部隊長はおずおずと後退った。
「リリィを、見付け出してくれるんだろう……? あれから何時間経ったと思っている?」
「い、いえしかし……手がかりが、何も……」
「じゃあ、怪しい場所を片っ端から調べればいいじゃないか。人家にでも、貴族の屋敷でも」
「出来るわけ、ないじゃないですか……何も証拠がないのに……証拠がなければ、礼状は出せません……」
手がかりがない、証拠がない、礼状が出せない。部隊長の返答は、その立場からしたら真っ当な意見だった。
でも。こうしている間にも時間は進んでいく。
リリィが誘拐されて一夜が過ぎた。今リリィは、どうしているのだろう。今リリィは、どこにいるのだろう。酷いことをされてはいないだろうか、怖い思いをしてはいないだろうか。もし、リリィが……
悠長なことは、言っていられないのだ。
「捜査方針に口出しをされるのは、いくら公爵家の御子息であっても困ります。これから本格的な捜査に入りますので、安心してお待ちください」
ああ、やっぱりそうじゃないか。力がない自分には何も出来ない。ただ指を咥えて、信用出来ない警察隊に全てを任せ待っているしかない。彼らに任せて、見付かるかどうかもわからないのに。
今の、ままでは。
「…………口出し出来る、立場になればいいのか?」
「はい?」
「アンドリュー……?」
ふらりと立ち上がったアンドリューを、デイビッドとクリスティーは目を見開いて見上げた。それに構わず、彼は部隊長を睨み付ける。
「お前らに、全てを任せてなんていられるか」
リリィは絶対、見付けてやらなければ。
この時だ。アンドリューが、警察隊に入隊することを決心したのは。誰でもない、たった一人の大切な妹を見付け出すために。
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