【完結】独占欲の花束

空条かの

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3章『邪恋編』

56「好きなようにしていいよ」(R)

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身体が少し重たいような感覚を持ったまま、俺はゆっくりと目を開けて見知らぬ天井に眉を寄せた。
目を擦ろうと腕に力を入れて、俺は自分の置かれている現状をようやく理解した。

「なんだよコレ」

両手が一括りにされて、ひものようなものでベッドヘッドに固定されていた。起き上がることができず、俺は周囲に視線を走らせたが誰もいない。
見たところ、どこかの高級ホテルの一室。しかもベッドの大きさが半端ないことを考えれば、普通の部屋ではないと察しはついた。
拘束された腕を何とかしようと、俺は身体を左右に揺らしたりしたが、それは解けることも緩むこともなく、俺は完全にベッドに拘束されていた。
しばらく必死に紐を解こうと暴れていると、突然部屋のドアが開いた。

「おや、目が覚めたようだね」

入室してきた奴と視線が合い、俺の見知った男はニヤリと笑うとゆっくりと俺に近づく。

「……西園寺、どうして」

そういえば、西園寺と帰るはずだったと俺は教室を思い出し不思議な顔をして見せた。一緒に帰ろうとして、どうしたんだっけ? と、記憶が途中で切れている。
思い出そうとしても何も思い出せなかった。
西園寺は俺の隣まで来ると、さらに笑って見せた。

「姫木に恨みはないんだけど、利用させてもらうよ」
「利用……?」
「天王寺尚人に屈辱を味あわせてやるんだ」

そう言った西園寺は、俺の頬をそっと撫でる。その感触が気持ち悪いと感じた俺は顔を背けたが、西園寺は楽しそうに笑う。

「見てごらん姫木」

顔を背けた俺の顎を掴んで強制的にとある場所に向けた西園寺は、もっとよく見てごらんと、部屋の中にある機材を俺に見せつけた。

「な、……ッ……」

そこには、小さなカメラが3台も設置されていた。カメラのレンズは俺を捉えるように設置され、明らかに俺を撮影する準備だった。ランプの点灯が確認できないことから、まだ撮影を開始されていないことはわかったが、一体これはどういうことなのかと、俺は西園寺を睨みつけた。

「そんな怖い顔しないでよ。撮影は保険」
「保険って……、なんだよ」
「もちろん、現場は本人に直接見せるつもりなんだ」

全然分からない会話をされ、俺は冷や汗と怒りと不安で入り交じった感情を表に出す。
天王寺に屈辱を味あわせるとは一体なんのことなんだと、俺は必死に考えるが正解など見えず、ただ西園寺が怖いと感じた。

「全然わかんねぇ~よ」
「大丈夫、姫木はただ気持ちよくなってくれれば、それだけでいいんだから」

そう囁いた西園寺は、唐突に手を叩いて音を出した。
パンパンッと乾いた音を出せば、部屋の入り口が再び開き、見たこともない学生が2人入室してきた。入った来た2人は薄ら笑いを浮かべていた。

「雅臣、なかなか可愛い子じゃないか」
「ほんとにいいのか」
「ああ、構わない。好きなようにしていいよ」

二人にそう告げると西園寺は、部屋の隅に置いてあった椅子に静かに腰かけた。
薄ら笑いを浮かべた二人は、西園寺から許可が下りると設置してあるカメラの電源を入れる。わずかな機械音が響き、ランプが撮影モードに入ったことを知らせていた。

「西園寺! ふざけるなっ」
「威勢がいいのも嫌いじゃないぜ」

叫んだ俺の顔を覗きこんできた男がニタリと下品な笑みを俺に見せ、もう一人が俺の服に手をかけてきた。

「止めろッ」
「ヒュ~、可愛いね」

馬鹿にしたように口笛を鳴らした男は、俺の服を引き裂くように左右に暴く。外気に晒されて、男たちに見られた上半身に俺はカッと顔を赤める。

「なんでこんなことすんだよ」

俺は西園寺に視線を向け、必死に叫ぶ。

「天王寺尚人の大切なものを奪ってやるんだよ」
「大切なもの?」
「姫木が男たちに犯されているところを、見せつけてやるんだ」

きっと絶望する、愉快すぎる表情が拝めると、西園寺は今からすごく楽しみだと声をあげて笑った。
“犯す”と聞かされ、俺はこれからされる行為に心底恐怖を抱いた。拘束された状態じゃ逃げられない。しかもこんな場所じゃ助けも呼べない。
それに痴態を映像に納められる、俺は冗談じゃないと全身を使って暴れ出したが、男二人に取り押さえられれば、簡単に動きを封じられてしまう。

「離せ、離しやがれッ」
「おいおい、あんまり暴れるなよ。かわいこちゃん」
「俺たちが存分に可愛がってやるから」

相変わらず下品な笑いを浮かべた二人のうちの一人が、俺の顎を掴むと強引にキスをしてきた。

「やめ、……ん、ぁあ……」

口腔内を乱暴に荒らすようなキスをされ、残りの一人は俺の胸元へ舌を這わせてきた。
片方を舌で弄び、もう片方を指で押しつぶすように捏ねる。

「ぁ、いや……だ、……はぁっ」

気持ち悪さと快楽が同時に訪れ、俺は拒否反応と引き出される快楽に翻弄されていく。こんなこと嫌なのに、気持ち悪いのに、気持ちとは裏腹に身体は徐々に反応してしまう。

「嫌だっていいながら、しっかり感じてんじゃん」
「ひやぁ……ダメッ……ぃやぁ……」
「ここはすげえ良いってよ」
「っあ……」

キスをしていた男はいつのまにか下肢に移動し、俺のふくらみをズボンの上から撫でた。
高ぶったそこに刺激が与えられ、俺の身体は跳ねる。

「いい声で鳴くじゃん」
「イクときはどんな声を聞かせてくれんだ」

へへと笑う二人は、俺のベルトに手をかけるとそれを簡単に引き抜き、ズボンと下着を一気に脱がせた。とんでもない状態の恥ずかしい場所が暴かれ、俺はゴクリと唾を飲み込み、信じられないものを見るように二人を見た。

「見るなッ!」

だが、二人は晒された俺の下肢を見つめて、また口笛を吹く。
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