【完結】独占欲の花束

空条かの

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9章『恋恋編』

176「手荒くしても構わぬのか?」(R)

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ドロドロに溶かされたそこは、添えただけでゆっくりと天王寺を飲み込んでいくが、いきなり奥まで突くようなことはせず、天王寺はいつものように優しく入っていく。

「んっ、……はぁあっん、奥までして……」

最深部まで突いてほしいと声を出す姫木に、天王寺は腰を動かす。
熱い塊が埋め込まれ、奥を突くたびに姫木のいい声が部屋に響く。頬に触れる姫木の髪が、肌に張りついたり、離れたりを繰り返す感触があり、姫木が大きくて首を振って乱れているのだろうと知る。
両の腿を抱え、天王寺は求められるままに揺さぶるが、薬で貪欲になった姫木は「もっと、もっと」とせがむ。
どれほど達したのかもわからないまま、終わらない快楽を求め続ける。
このままでは、壊れてしまうかもしれないと、天王寺は姫木を床に倒した。
獣のように四つん這いにさせ、天王寺は尻を高く捉える。

「ひゃあッ、ん……、あッ、あッ、いい、それいいっ」
「こうされるのがよいのか?」
「いい、あぁぁっ……」

激しく打ちつけながら、天王寺は求められるままに熱を何度も深く与える。快楽に溺れた姫木は、自ら尻を突き出すように天王寺の動きに合わせて揺さぶられる。
止まらない喘ぎに、口元からは透明な液が溢れ敷布を濡らし、下肢からも何度も果てた白濁とした液がいくつもの染みを描いていた。
それでも足りないと求める声に、天王寺は抜き差しの強弱を激しくする。
入り口ギリギリまで引いては、最深部まで一気に突く。

「あァァ……っ、ああ、ぁんッ……」

色好い声と共に、濡れた音が部屋を満たす。

「姫、早く意識をとばすのだ……」
「……や、ああぁぁっ――――ァ!」

パンパンと激しい音を鳴らし、熱い塊を打ちつけた天王寺は、一際深く挿入させたときに、自身の熱を中に弾けさせた。
姫木の背中が撓ったの感じた。
絶頂を感じて、そのまま意識を飛ばせば、終わらない快楽から逃れられると考えたのだが、姫木の身体が動くのを肌に感じ、天王寺は乾いた笑みを浮かべてしまった。

「……まだ足りぬか」
「やだ……、抜いちゃ、やだ……」

中に放ったものを溢しながら、天王寺は独り言を呟きつつ引き抜くと、姫木が止めちゃやだと泣いた。
止めるつもりなどなかったが、このまま続けたら壊してしまうと案じ、天王寺はより深く繋がれるように、姫木を仰向けに転がす。

「天王寺……」

暗闇の視界の向こうで細く名を呼ばれた。
腰に添えた手を、滑るように腹に移動させ、そこからゆっくりと上に這わせて、天王寺は手探りで胸の突起を探る。

「ぁッ……っ……」

滑らせた手がぷにっと可愛い突起に触れた瞬間、姫木の可愛らしい声が漏れた。
感じているのか、いつもより膨らんでいる突起を摘まめば、姫木の腰が浮くのを感じた。

「ここは触っておらぬのか?」

下肢は散々擦っただろうが、胸は弄ってないのかと問う。

「ちょっとだけ……、ひぁん、ぁ」
「随分と尖っておるぞ」

あんまり触ってないと答えた姫木に、天王寺は口を近づけて吸い上げる。
甘い痺れが起こり、身体が僅かに跳ねる。

「あ、ぃや、……吸っちゃ、……やぁっ……ぁぁ……」

もどかしい感覚に襲われ、姫木が身動ぎするが、天王寺はきつく吸い上げて、舌を絡ませていく。
舌で押し潰してから吸い上げれば、ビクンと姫木の胸が上下する。
塞がれた視界のせいで、手探りで撫でまわす天王寺の手が体中を這いまわり、そのもどかしさにさらに煽られていく。

「もっと強く……して、……」
「姫。……手荒くしても構わぬのか?」
「いいから、……酷くしてもいいか、ら……」

体中が疼いて止まらないのだと、もっと強い刺激でないと治まらないと、姫木は体をくねらせ強請る。
姫木からの欲情的な誘い。これが素面であったならどんなにうれしいことか、天王寺は全て卑猥な薬のせいだと思うと、心が痛み、笑みなど浮かばず、これを盛った犯人をどこまでも憎いと憎悪のみが増幅していく。
それでも姫木をこのままにしておくことはできず、天王寺は強請った姫木の胸の尖りを摘まんだ。

「ひ、やぁんっ……」

片方は指で摘まんだり、捏ねたりしながら、もう片方は歯で軽く甘噛みしてみせる。胸はあまり触れていないと言った姫木は、与えられた新しい刺激に甲高い声を漏らしていく。

「よいか、姫」
「いい、……そこ摘ままれると、ピリピリする、あぁ、……っ」
「ここだけでイクか……」

胸だけでも絶頂を迎えられると、天王寺が促し、姫木は「イきたい」と声を吐く。
それを聞き、天王寺は微かに口元を緩めると、

「その願い聞き入れる」

一言だけ返し、腫れた突起を押しつぶしながら捏ね、甘噛みしていた方は、舌で押し潰しながら強めに噛んでみせた。引っ張るように噛めば、姫木の体が跳ねるのが感じ取れる。

「いたッ……、ああっん、……やぁ、でも、いいの……ああッ……」

痛みさえ快楽に変わっていく。痛いくらいに噛んで摘まんでやれば、姫木は痛いと声を出しながらもそれが気持ちいいと鳴く。
天王寺の唾液でビシャビシャになった胸は、真っ赤に腫れていた。

「あああっ、んんッ……。もっ、ダメ……」
「駄目ではない。好きなだけ感じればよい」
「ひやぁぁ、っあ……、アアア――ぁッ!」

悲鳴のような高い声の後、姫木の浮いた身体が沈んだのを感じ取り、胸だけで達したことを知る。
だがこれで治まったわけではないだろうと、天王寺は唇を噛みしめて姫木の次の要求を待つ。姫木が満足するまでは付き合うと覚悟して。
指示が出されなければ動けないと、視界ゼロのまま天王寺はそっとその時を待っていたのだが、乱された呼吸を耳に受けながら、天王寺の視界が突然開けた。

「……姫……っ」

そっと伸ばされた姫木の手が、天王寺の目を塞いでいた帯を外したのだ。
視線が絡む。
暗闇から抜け出たその先にあったのは、トロトロに蕩けた姫木の顔と身体だった。一気に熱がこみ上げる。

「天王寺の顔、みたい」

薬が全身に回っているのだろう、はにかんだ姫木は両腕を天王寺に伸ばしてくる。同時に天王寺も姫木の頬に片手を添えた。

「なんと愛らしい表情をみせるのだ」
「天王寺」
「抱きつぶしてしまうではないか」
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