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第一章 ふつかわ系少女勇者

8話 勇者の剣が討つべくは

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「こ、こんなのじゃとぉ!?貴様ら!このワシが誰か分かった上での狼藉か!」

 魔王?はお腹の脂肪をタプンタプン震わせながら激昂している。

「いや、知らんがな」

 そんなものは俺の管轄外だ、だし。

「おのれぇ……このワシ、『マオーク』を侮辱しおってからに!許さん!許さんぞ!」

 マオーク?
 魔王+オークで、マオークか。なるほど、分かり易いなwww

「なんだかよく分からないけど、魔王なら倒していいよね?」

 討伐目標の魔王が目の前にいるとなれば、エリンは早速ショートソードを抜いて身構える。

 しかしこいつが魔王と言うことは、このメガフロートは魔王城だったのか?
 なんかあっさりラスボス戦に入れたけど……あ、もしかしてこれ、"原作"だと『絶対に勝てないボス戦』かも?
 まぁいいか、絶対に勝てないボス戦に勝ったら勝ったで、違うエンディングもあるだろうし。

 それに……魔王こいつがいるから、エリンは勇者に選ばれてしまったんだしぃ?
 よし、死なない程度にフルボッコにして、エリンに息の根を止めてもらおう。
 ルール違反にはならないし、万事無問題。完璧やな!

「ふん!貴様のような小娘が、ワシを倒せるとでも思うたか!」

 マオークは玉座に立て掛けていたハンマーを担ぎ、威圧するようにぶん回してみせる。

 さて、どこからどうしてや……ん?

 俺が突き破った所から、何かが翼をはためかせて降りてくる。

 鱗も翼も、何もかも真っ黒な――漆黒の龍。

 うん、なかなか強そうだ。

「おぉブラックドラゴン、来おったか!こやつらを、食ってしまえぃ!」

 マオークの命令を受けてか、ブラックドラゴンは咆哮を上げながら、重々しく後ろ脚で着地し、大理石の床を踏み潰す。

 前にはマオーク、後ろからはブラックドラゴン。

 なるほど、これがあの、『前門の豚、後門の龍』というアレか。多分違うけど。
 そして、主役はエリン。
 ならば答えはひとつ、自然と俺はブラックドラゴンに向き直り、エリンと背中合わせになる。

「こっちは俺がやる。エリン、行け!」

「うん!」

 コレ、勇者を先へ行かせるために「ここは俺に任せて行け」ってパターンだけど、そこまで胸熱には感じないな。
 エリンがマオークに挑みかかるのを尻目に、俺はロングソードを抜いてブラックドラゴンと対峙する。

「エリンなら大丈夫だろうけど、とりあえずサクッと片付けますか」

 ブラックドラゴンは口蓋から黒煙を揺らめかせ、激しい火炎ブレスを吐き出してきた。
 こういう"面"の攻撃は避けにくいから面倒だなぁ、とか思いつつも縮地、からの無影脚でブラックドラゴンの股の下を潜り抜けて、尻尾へ一撃。



 いくら強固な龍鱗だろうと、鱗と鱗の繋ぎ目部分へ正確にロングソードを叩き込めば、簡単に斬り裂ける。
 ブヂンッ、と耳障りな音を立てて、ブラックドラゴンの尻尾を半ばから断ち斬る。

 剥ぎ取ったら逆鱗とか紅玉とか取れるかな?

 一瞬、別の異世界のことを頭に浮かべたが、それはそれ、これはこれ。

 尻尾を斬り落とされてのたうち回るブラックドラゴンへ、さらに追い打ちを掛ける。
 大きく踏み込みつつ袈裟斬り、軸足を入れ替えて逆袈裟斬り、さらにもう一歩踏み込みつつ薙ぎ払い、斬り上げて、

「チェストォッ!」

 振り降ろし一閃。

 胴体に『*』の字を描くようにロングソードを叩き込めば、ブラックドラゴンは断末魔と共に仰向けに斃れ、朽ち果てて消失する。

 ラスボス前の最後の中ボスって、下手するとラスボスより強いケースってたまにあるよなぁ。このブラックドラゴンは……どうだろう、あの豚さんの強さ次第かな?

 その豚さん――マオークと戦っているエリンはというと。

「ぐっ、おのれっ、ひらひらとっ、ちょこざいなっ」

 ハンマーをぶんぶん振り回して暴れ回っているマオーク。
 マオークの周りの床に、小さいクレーターが穿たれている辺り、なるほど確かにその重鎚の一撃は強力だろう、エリンが受ければひとたまりもない。
 しかしその力自慢の一撃や、時折放たれる攻撃魔法は、一度もエリンを捕らえていない。
 それどころから、ハンマーを振り抜いたその隙を的確に突かれている。

「うん……うん、大丈夫。アヤトに比べれば、止まって見えるくらい」

 止まって見える、エリンがそう口にした内容が事実であるように、薄紅色のマントを舞わせる彼女はマオークを翻弄する。
 良質な鉄を丹念に伸ばし鍛え、磨き抜かれ研ぎ澄まされた、鋼鉄のショートソードが、美しさすら感じさせる弧を描くたびに、マオークの駄肉に満ちた肉体に明確な傷を刻みつける。
 それが文字通り目に留まらない速度で振るわれ続けるのだから、マオークにはたまったものじゃないだろう。

 その上で、エリンは感情を昂らせることはない。

 これは、俺が教えたことの一つ、「感情の激化こそが最も動きを鈍らせる」を実践している証拠だ。

 人間、怒れば怒るほど、攻撃のひとつひとつにより強い敵意と殺意を込める。
 けれど、激情という力に任せた攻撃は、技量を疎かにする。
 一撃の質量は重くなっても、ダメージそのものは却って弱くなるのだ。
 的確に、正確に、脆く崩れやすい部位を攻める……それだけで戦いのほとんどは決まる。

 それら一挙手一投足は至極冷静で――いっそ冷酷とさえ言える。

 こりゃ俺が『死なない程度にフルボッコ』にしてやる必要もないな、エリンの勝利も時間の問題か。
 すると、息を荒くしたマオークはハンマーを床に降ろしてみせた。

「グフッ、ゼェ、ゼェ……よ、よし、いいじゃろう。ゆ、勇者よ、ここでひとつ、手打ちにしてみんか?」

 おっと?これはあの有名な「世界の半分をお前にくれてやろう」ってアレだな。
 もしエリンが戸惑って、その隙を狙おうものなら即座にインターセプト出来る位置に移動しておく。

「命乞いなんて聞きたくないんだけど?」

 それを見て、呼吸ひとつ乱していないエリンは、一応攻撃の手を止める。

「ワ、ワシの同志にならぬか?金も権力も思いのまま、お主が望むもの全てが手に入るぞ?」

 世界の半分ではないけど、まぁ魅力的に見える条件をチラつかせると。

「……ねぇ、アヤト」

 ふと、俺に意識を向ける余裕があったのか、エリンはマオークから目を切らないまま俺に話しかけてきた。

「アヤトはさ、偉くなりたいとか、お金持ちになりたいとか、贅沢したいとか、考えたことある?」

「ん?まぁ、あると言えばあるな。お金が無いよりはある方がいいし、贅沢したいって思うこともある。でも、それって生きる上で必ず不可欠ってわけでもないんだよな」

 偉くなって金持ちになればなるほど面倒事も増えるし、贅沢も過ぎると堕落する。残念だけど、人ってそういう生き物だ。

「じゃぁ、好きな人と一緒にいられたら、それで満足?」

「それだけ、じゃないな。好きな女と一緒にいたら、子どもも欲しくなるだろうし、そのためには稼がないといけないし、子どもに我慢ばかりさせるのも酷だろうな」

 一拍、間を置いてから。

「好きな人と一緒にいるために必要な物も事も、ちょっと余裕があればいい。少なくとも、俺はそう考えている」

 結論:何事もほどほどが一番だよね。

「そっか」

 満足そうに頷いたエリンはショートソードを構え直して、

「ま、待っ――!!」

 マオークが言い終わるよりも先に、切っ先が突き立てられる。
 それはマオークの分厚く脂ギッシュな贅肉をものともせず突き進み、急所を正確に貫いた。

 ――勇者エリンは、邪悪なる魔王をここに討ち果たしたのだ。

「えっと、これでいいのかな」

 エリンはショートソードをマオークから引き抜く。

「邪悪な気配は感じないし、完全に絶命したみたいだな」

 第二形態に移行したりもしないし、ニチアサみたいに巨大化するわけでもない、これでシナリオクリアということなんだろう。
 魔王を倒した、となれば。

「よし、あとは城内の魔物の掃討。そのあとでキャプテン達に迎えに来てもらおう」

「うん」

 ここからは消化試合だ。





 ――掃討戦のために、アヤトとエリンがこの間を立ち去った後。

 ふわりと、黒いウサ耳カチューシャの少女――アリスが舞い降りた。

「わたしは、アリス」

 勇者エリンによって討たれた、魔王マオークの血塗られた亡骸に歩み寄る。

「かわいそう。あなたは、アリスじゃない。だから、アリスにころされた」

 憐れむように、目を剥いたマオークの豚鼻を撫でる。

「けれど、あなたはアリスになれる」

 白とも黒とも言えぬ、渾沌としたモノクロの輝きがアリスの指先から放たれると、マオークの屍を包み込み――消失した。

「わたしは、アリス。あなたも、アリス」

 それを確かめてから、アリスもまた消えた――。





 魔王城の掃討戦は順調に進んでいる。
 城内に蔓延る魔物は、海底洞窟のものと比較して数段上の強さを持っていたが、俺は元より、魔王を討ち倒したエリンの敵でも無かった。

 魔王の間から順当に降りて行って、接敵した魔物を順番に排除していく。

 そうして魔王城内部の魔物を可能な限り倒したところで外に出ると、いつの間にか霧が晴れ、夕陽が水平線に沈みかけている頃合いだった。
 魔王を失ったことで、このメガフロートの機能が停止したのかもしれないな。
 
 俺は空に向けて魔力のエネルギー体を放出し――ボンッ、という破裂音と共に、打ち上げ花火のような光を発光させた。
 そういえば、打ち上げ花火を上から見るか下から見るかって感じの物語もあったなぁ。打ち上げ花火って結局どこから見ても同じように見えるらしいんだけど。

 ともかくは、これでガルチラ達への合図も送ったので、海賊船が来るまで待たせてもらおう。

「本当にありがとうね、アヤト」

「ん?」

 ふと、エリンが俺に礼を言ってきた。

「四日……って、私とアヤトが出会って、まだ四日しか経ってないんだ……エコールの町の近くでアヤトと出会って、強くしてもらって、それで今日、とうとう魔王を倒せて。こんなに上手くいったのは、全部アヤトのおかげだから」

「よせよせ、俺は少し手解きと手伝いをしただけだよ。魔王を倒すことが出来たのは、間違いなくエリンの努力が実を結んだ結果だ」

 そう、魔王を倒したのはエリンだ。
 俺におんぶにだっこのままだったら、魔王どころか、海底洞窟のオチューに呑み込まれて一発アウトだっただろうし。

「そうかもしれないけど。アヤトが私を強くしてくれて、導いてくれたのも事実だし」

 それに、とエリンの夕陽のような瞳が向けられる。

「これから、アヤトはどうするの?」

「ん?これからって、そうだなぁ……」

 そうそう、俺は旅団に見捨てられたって設定だったな。
 どうするか、ちょっとだけ――期待を込めて。

「事が全部落ち着いたら、ふらっと旅に出るのもいいかもなぁ。まだ決まったわけじゃないけど」

「そうなんだ」

 エリンは少しだけ視線を逸して、少しだけ考えるような素振りを見せて、うん、と頷いて。

「その、もし、ね。もし、アヤトさえ良ければなんだけど……」

「うん」

「こ、これからも、私と一緒にいてほしい……なんて、どうか、な……?」

 ハァ~(クソデカ溜息)
 エリン可愛すぎかよ。
 こんなふつかわ系美少女にそんな上目遣いでそんなこと言われて断る男がいるとしたらそいつは男じゃないな。♂(意味深)かもしれないけど、男じゃないな。

「いいよ」

「そ、そうだよね、そんなの……って、えぇっ!?いいの!?」

 おいおい、何を断られる前提で話を進めてるんだ。

「実はさ、俺もエリンと一緒にいたいなーとか思ってはいたんだよ。でも、エリンが王国に帰って、そこでやりたいことがあるなら、それはそれでまぁいいかなと」

 ……ん、あれ?
 よく考えてみたら、魔王の存在がこの世界にとっての脅威だから、エリンは神託を受けて勇者に選ばれて、王国に召喚されて、詔を受けて……
 その脅威となる魔王が討ち滅ぼされた今、王国にとってのエリンはどういう存在になるんだ?
 この手のストーリーは、勇者は王女に見初められてめでたしめでたし、というのが定番だけど、エリンは女の子だ。
 マイセン王国国王の子どもの性別はどっちだ?
 王子だったら見初められるかもしれないけど、そんなことはさせないし、王女だったら……ゆ、百合婚?
 そう言えば少し前辺りに転生した世界だと、百合婚が普通にあったなぁ……いつから百合は文化的に合法になったんだ?
 やっぱりオタクが「尊い」とか言って金を落とすからか?いずれにせよさせないけど。

 今それを考えても仕方ない、後回しにするか。

「……おっ、来てくれたか」

 ガルチラ達の海賊船が近づいて来たので、大きく手を振る。エリンもそれに合わせて手を振る。



 ガルチラには、魔王を倒したことと、城内外の魔物は粗方掃討したことを伝えてから、俺とエリンは充てがわれた船室に入った。

 今はもう夜になり、ガルチラ達はこれから魔王城の探索を行うため、恐らくルナックスへ帰港するのは明日の昼頃になるだろうとのこと。

 まぁ、ゆっくり眠れるから良しとしようか。

 さすがに船に風呂は無いので、身体を拭くぐらいしか出来ないが、何もしないよりは遥かにいい。
 エリンが身体を拭いて着替えるまで、俺は部屋の外で待機だ。

「アヤト、入っていいよ」

 エリンから呼ばれたので、部屋に戻る。
 二人並んで、ベッドに腰掛けて。

「あのね、さっきの話の続きなんだけど……」

「うん?」

 そう話し始めたエリンの表情は、どこか不安げだった。

「王国に帰って、魔王倒しましたって報告したら、私はその後どうなるんだろうって。絵本とかなら、勇者の男の子が、魔王に攫われていたお姫様と結婚して、めでたしめでたしって感じだけど」

「俺もそれは気になってた。王国にいるのは王子?それとも王女?」

「王子だったと思う。でも私、王子様と結婚する気なんて無いし……普通に考えたら、孤児院に戻って院長先生のお手伝いをする生活に戻ると思う」

 でも、とエリンは悩ましげに顔を顰める。

「いつまでも孤児院にいるわけにもいかないし、それからはどうしようって……アヤトのおかげで強くなったとは思うけど、剣の扱いばっかり得意になってもね……」

「まぁ、その辺はもう少しじっくり考えてもいいんじゃないか?今日のところは、ゆっくり寝よう」

 今考えても分からないものはしゃーない。そういう時は寝るに限る。

「そうだね。……ねぇアヤト、前みたいにくっついて寝てもいい?」

 前?あぁ、エコールの町の宿で、シングル一部屋しか借りれなかった時か。

「いいよ」

 どのみちこの船室も一部屋しか使わせてくれないし、一度経験すれば慣れるものだな。意識してしまうのはしょうがないとして。

「えへへ、ありがと」

 嬉しそうにはにかむエリン。
 並んで横になると、ぽふんと俺の胸に顔を埋める。

「……こうしてるとね、アヤトの匂いとか、あったかさが伝わってきて、すごく安心するの」

「そりゃよかった」

 密着度たけぇわ、エリンは俺を萌え死にさせるつもりか。

「あっ、もしかしてアヤトはこうされるの嫌だった?」

「いいや、嫌じゃない。エリンみたいにかわいい女の子に安心してもらえるなら、いくらでも」

 ついでに言うとエリンの頭がすぐ目下にあるので、彼女の髪のくすぐったい匂いとかが嗅覚越しに俺の理性を試してきてます。

「じゃぁ……頭も、撫でて?」

「よしきた」

 リクエストにお応えするため、抱えるようにしてエリンの頭というか髪をなでなでする。なでなで。

「はぁー……アヤトのなでなで、気持ちいい……」

「エリンの髪も、撫でて気持ちいいけどな」

「そ、そう?そう言われると、ちょっと恥ずかしいかも……」

 なでなで。なでなで。なでな……

「すぅー……くぅ……すー……くー……」

 オロ?なでなでしてる間に寝ちゃったか。
 なんだかんだいって結構な数の戦闘をこなしたしなぁ……疲れるのもやむ無しか。

 なでなでの手を止めて、しばらくぼんやりとエリンの頭を眺める。この体勢だと寝顔が見られないのがちょっと残念だ。

 しかし……エリンのこれから、か。

 もし、王国が何か理由をつけて彼女を縛ろうとするなら、その時は俺が攫ってどこか遠くへ国外逃亡でもするか。もちろん、その時には王様の顔面にドロップキックも忘れずにな。
 その逃亡の先で、のんびりスローライフなんて言うのもアリだな。
 のどかな田舎で畑を耕しながら、エリンと一緒に……おっと、妄想が過ぎたかな。

 まぁ、それもこれも、エリンが王国に凱旋してからか。

 そう言えば……エリンの「アップルパイ」の寝言から、『エリンの頭=りんご』と言う図式が俺の中で組み上げられてしまったのもあるんだが。

 白雪姫は、りんご売りのBBAに扮したお妃様クソババアの毒りんごを食べて昏睡してしまうけど、王子様のキスで目覚めてハッピーエンドするんだっけ。

 "白雪"姫なのに黒髪なのはなんでかなぁとか、なんで王子様は嵐の中一人でほっつき歩いてんだよ護衛兵仕事しろとか、"この世で美しい女性"の居場所まで映し出す鏡って実はチート級じゃね?とか、大人になってから改めて童話を思い出すと、いらんことを考えてしまうな。

 童話といえば、不思議の国のアリスも思い出す。

 船の墓場にいたあのアリスちゃんは、結局なんだったんだろうか。
 ただの不思議ちゃん系……とは思えないんだよなぁ。

 あの手の不思議ちゃん系は、勇者の仲間として同行して、中盤の終わり辺りで敵の手に落ちて、ラスボス前の最後のボスとして闇堕ち化して立ち塞がってきたりするんだっけ……?
 闇堕ちから解放して仲間にし直したり、助けられずに主人公の手で息の根を止めて安らかな死を迎えたり、いくつか結末が分岐したりするのが定番だけど、魔王はもう倒しちゃったしなぁ。

 あれってやっぱり『最初は絶対に勝てない』系の戦闘で、普通にシナリオを進めればあのアリスちゃんと関わったんだろうか。

 うーん、分からん。
 既にエンディングは決まってしまったんだ、許せアリスちゃん。

 ……っと、俺も眠くなってきたな、おやすみなさい。

「おやすみ、エリン」

 腕の中で安らかに眠るお姫様よ……いや、勇者様だけど。
 今は、今だけは、俺だけの姫になってもらおう。
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