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ー番外編ーヴィオレット*隣国編*
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あれから周囲の様子をよく見るようにしてみた・・・すると、エミリさんはレイを前にすると顔を赤らめてモジモジとしながら話しかけたり、自分が作ったお菓子を差し入れにしたりしていてわかりやすい程の好意を伝えていた。
(うわ・・・こんなにわかりやすいのに気づかなかったなんて女として終わってる・・・)
でも一方では目の前でエミリさんに猛アピールされているレイを観察していたが、照れている様子もないし、態度も恋しているようにはみえなかった・・・
(レイは「来ないだの菓子は旨かった」としか言ってないけど、これが脈があるって事なの?普通じゃない?これって・・・)
私がエミリさん・レイ両想い説に不服を言ってみると・・・
サンは「あ━━。護衛ですから、もしかしたらお嬢様の前では抑えているのかも・・・」と言い、自分もお嬢様の前ではイブを口説こうとは思いませんので・・・と苦笑いしてきた・・・
「それなら仕方ないわね!
私が鈍感じゃなくて安心したわ・・・」
護衛だもんね・・・仕方ないわ。と安心した笑みを浮かべる私に、「お嬢様が鈍感なのはエミリさんの気持ちを気づかなかった件ではっきりとしてますよね?」と呆れながら言ってきた・・・
やっぱり私鈍感なのか・・・
はあ・・・人の気持ちに鈍感って最悪じゃない?と私が落ち込んでいると・・・
「お嬢様の場合、鈍感というより恋愛から自分を遠ざけてしまっているのではありませんか?」
複雑そうな顔で私を心配するケイト・・・
ケイトは私が無意識に自分には恋愛は無理だと拒絶しているように見えると言う。
(拒絶か・・・うーん。どうなんだろう・・・)
無意識にか・・・
私は考えてみた。
自分が本当に恋愛から逃げているのか・・・
拒絶しているのか・・・
元婚約者から婚約破棄された時・・・
あの人の事好きだった訳じゃないし未練なんて絶対にありえない。だけど女としてのプライドが傷ついていないか、と聞かれたらNOだ。
私はやっぱり傷ついていたのだ・・・
いくら乙女ゲームの世界だったとしても、元婚約者との関係は悪かった訳ではないのだ。あんな破滅を迎えた人だったけど幼い頃は優しい人だったし、穏やかな友人のような関係を築けていたと思ってた・・・あの日まで・・・
元婚約者がヒロインに好きになって、私を疎むようになり遠ざけようとしているのにはうっすらと気づいていた・・・だけど現実世界としては、婚約破棄なんて実際に起きたらもう終わりだ。だから必死に婚約者に目を覚ましてもらおうと声をかけたり、元婚約者にとって必要なサポートをして婚約を続けるメリットを提示して説得し続けた。
まあ、友人達からは婚約者にするアピールではないと呆れられていたが・・・
だけど私なりに元婚約者を繋ぎ止めようと必死にアピールした。それなのに・・・元婚約者は私に向かって婚約破棄を叩きつけた上に、
「お前との恋愛を思い描けない・・・」
「お前は仕事のパートナーとしてはありなのかもしれないが、女としては無い・・・」
「恐らく愛する事が出来ないと思う・・だからお互いの為にも婚約破棄が1番良い選択だ。」
などと言われた・・・。
他にも言葉は続いていたけど、呆然として立ち尽くしてした私にはそれ以上頭に入って来なかた・・・
気がついた時には元婚約者は帰っていて、ケイトが涙を浮かべながら私を抱き締めていた・・
貴族の令嬢としてはもっと整然とした態度で対応すべきだったのにあの日の私はそれが出来なかった・・・
私にとって幸いだったのは王子様みたいに夜会での婚約破棄ではなく、私の屋敷の室内で行ってくれた事だ・・・
(まあ、お父様が居ない日を狙って来た。とケイトは怒り狂っていたけど・・・)
私との恋愛を思い描けない・・・
女として無い・・・
愛する事が出来ない・・・
・・・好きだった訳じゃないけど傷つくには十分過ぎる言葉だ・・・
それに加えてお父様のあの騒動・・・
女として否定された事、恋愛にのめり込んで自分を失ってしまった人達を見た事・・・そして親にすら選んでもらえなかった事・・・
私は無意識に女として人として自信が失くなっていたのかもしれない・・・そして、恋愛という物事態に嫌悪感のような物すら感じているのかも・・・
ずっと隠れていた・・・自分すら気づく事のなかった気持ちが溢れてきた・・・
そんな自分にどうしていいのかわからず不安になっていた私をケイトは抱きしめながら教えてくれた。
「あの男から言われた言葉は忘れようとしてもお嬢様の脳裏に残っていますわね・・・でもそれはいずれ、お嬢様と本当に心を通じ合わせた相手が癒してくれます・・・」
「ですからお嬢様がすべき事は自分の気持ちに嘘をつかない事です。
いつか相手が現れた時、自分に正直に、相手には素直に接する様にして下さい・・・」
いつか私と心を通じ合わせる人か・・・
この傷が癒える事なんて今の所、想像もつかなかったけど私にもいつかそんな相手が出来たらいいな・・・と思えるようにはなっていた。
・・・・・・・・・・・・
因みにイブにサンとの事を聞いてみたら・・・
「は い。・・・お嬢様の事を理由には出しましたわ。それも気になります!ですが、私が本当に気になるのは別の理由なのですよッ!!!」
「その心配が解消されない限り、他の事は考えられません!・・・よってサンの事は好きでも嫌いでもありません!!」
そんな場合ではないのです!と息を荒くしながら拳を握るイブ・・・
私としては良い機会だからイブの恋バナを聞きたかったのに何故か話が反れていき、私の最近の日常や孤児院での出来事を事細かに聞かれる事になった・・・
「では、そこでセディルさんには手を繋がれたのですね?」
「え、・・・うん。繋がれたっていうか、手を引かれたって感じかしら?」
「・・・・・・そうですか・・・」
何か質問されて答える度に悩み込むイブ・・・
(な、何なの・・・何で恋バナが尋問に変わるのよ・・・)
「その時の気持ちは・・・」
「え?気持ち?!・・・・・・気持ち・・・えっと・・・殺気を向けられなくてホッとしたかな?・・・」
ふと思った事を伝えると・・・イブは溜め息をつきながら、小声で呟いた・・・
「・・・・・ダメですわね・・・脈なし・・」
(うわ・・・こんなにわかりやすいのに気づかなかったなんて女として終わってる・・・)
でも一方では目の前でエミリさんに猛アピールされているレイを観察していたが、照れている様子もないし、態度も恋しているようにはみえなかった・・・
(レイは「来ないだの菓子は旨かった」としか言ってないけど、これが脈があるって事なの?普通じゃない?これって・・・)
私がエミリさん・レイ両想い説に不服を言ってみると・・・
サンは「あ━━。護衛ですから、もしかしたらお嬢様の前では抑えているのかも・・・」と言い、自分もお嬢様の前ではイブを口説こうとは思いませんので・・・と苦笑いしてきた・・・
「それなら仕方ないわね!
私が鈍感じゃなくて安心したわ・・・」
護衛だもんね・・・仕方ないわ。と安心した笑みを浮かべる私に、「お嬢様が鈍感なのはエミリさんの気持ちを気づかなかった件ではっきりとしてますよね?」と呆れながら言ってきた・・・
やっぱり私鈍感なのか・・・
はあ・・・人の気持ちに鈍感って最悪じゃない?と私が落ち込んでいると・・・
「お嬢様の場合、鈍感というより恋愛から自分を遠ざけてしまっているのではありませんか?」
複雑そうな顔で私を心配するケイト・・・
ケイトは私が無意識に自分には恋愛は無理だと拒絶しているように見えると言う。
(拒絶か・・・うーん。どうなんだろう・・・)
無意識にか・・・
私は考えてみた。
自分が本当に恋愛から逃げているのか・・・
拒絶しているのか・・・
元婚約者から婚約破棄された時・・・
あの人の事好きだった訳じゃないし未練なんて絶対にありえない。だけど女としてのプライドが傷ついていないか、と聞かれたらNOだ。
私はやっぱり傷ついていたのだ・・・
いくら乙女ゲームの世界だったとしても、元婚約者との関係は悪かった訳ではないのだ。あんな破滅を迎えた人だったけど幼い頃は優しい人だったし、穏やかな友人のような関係を築けていたと思ってた・・・あの日まで・・・
元婚約者がヒロインに好きになって、私を疎むようになり遠ざけようとしているのにはうっすらと気づいていた・・・だけど現実世界としては、婚約破棄なんて実際に起きたらもう終わりだ。だから必死に婚約者に目を覚ましてもらおうと声をかけたり、元婚約者にとって必要なサポートをして婚約を続けるメリットを提示して説得し続けた。
まあ、友人達からは婚約者にするアピールではないと呆れられていたが・・・
だけど私なりに元婚約者を繋ぎ止めようと必死にアピールした。それなのに・・・元婚約者は私に向かって婚約破棄を叩きつけた上に、
「お前との恋愛を思い描けない・・・」
「お前は仕事のパートナーとしてはありなのかもしれないが、女としては無い・・・」
「恐らく愛する事が出来ないと思う・・だからお互いの為にも婚約破棄が1番良い選択だ。」
などと言われた・・・。
他にも言葉は続いていたけど、呆然として立ち尽くしてした私にはそれ以上頭に入って来なかた・・・
気がついた時には元婚約者は帰っていて、ケイトが涙を浮かべながら私を抱き締めていた・・
貴族の令嬢としてはもっと整然とした態度で対応すべきだったのにあの日の私はそれが出来なかった・・・
私にとって幸いだったのは王子様みたいに夜会での婚約破棄ではなく、私の屋敷の室内で行ってくれた事だ・・・
(まあ、お父様が居ない日を狙って来た。とケイトは怒り狂っていたけど・・・)
私との恋愛を思い描けない・・・
女として無い・・・
愛する事が出来ない・・・
・・・好きだった訳じゃないけど傷つくには十分過ぎる言葉だ・・・
それに加えてお父様のあの騒動・・・
女として否定された事、恋愛にのめり込んで自分を失ってしまった人達を見た事・・・そして親にすら選んでもらえなかった事・・・
私は無意識に女として人として自信が失くなっていたのかもしれない・・・そして、恋愛という物事態に嫌悪感のような物すら感じているのかも・・・
ずっと隠れていた・・・自分すら気づく事のなかった気持ちが溢れてきた・・・
そんな自分にどうしていいのかわからず不安になっていた私をケイトは抱きしめながら教えてくれた。
「あの男から言われた言葉は忘れようとしてもお嬢様の脳裏に残っていますわね・・・でもそれはいずれ、お嬢様と本当に心を通じ合わせた相手が癒してくれます・・・」
「ですからお嬢様がすべき事は自分の気持ちに嘘をつかない事です。
いつか相手が現れた時、自分に正直に、相手には素直に接する様にして下さい・・・」
いつか私と心を通じ合わせる人か・・・
この傷が癒える事なんて今の所、想像もつかなかったけど私にもいつかそんな相手が出来たらいいな・・・と思えるようにはなっていた。
・・・・・・・・・・・・
因みにイブにサンとの事を聞いてみたら・・・
「は い。・・・お嬢様の事を理由には出しましたわ。それも気になります!ですが、私が本当に気になるのは別の理由なのですよッ!!!」
「その心配が解消されない限り、他の事は考えられません!・・・よってサンの事は好きでも嫌いでもありません!!」
そんな場合ではないのです!と息を荒くしながら拳を握るイブ・・・
私としては良い機会だからイブの恋バナを聞きたかったのに何故か話が反れていき、私の最近の日常や孤児院での出来事を事細かに聞かれる事になった・・・
「では、そこでセディルさんには手を繋がれたのですね?」
「え、・・・うん。繋がれたっていうか、手を引かれたって感じかしら?」
「・・・・・・そうですか・・・」
何か質問されて答える度に悩み込むイブ・・・
(な、何なの・・・何で恋バナが尋問に変わるのよ・・・)
「その時の気持ちは・・・」
「え?気持ち?!・・・・・・気持ち・・・えっと・・・殺気を向けられなくてホッとしたかな?・・・」
ふと思った事を伝えると・・・イブは溜め息をつきながら、小声で呟いた・・・
「・・・・・ダメですわね・・・脈なし・・」
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