9ツノ世界と儀式

桜海 ゆう

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姉の世界

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  姉の世界は、兄の世界から列車で3時間の旅だった。

    ブランドは、父親以外は恵まれた家族だったそうた。バレは、母親の事はいいよどみ、2人の祖母の話をした。

    ブランドは、自分の事のように話を聞いて、幸せそうに笑ってくれた。


   バレは55歳になっていた。
   姉の地図を見ると、不思議な事に「無」と書かれた後、姉の世界の住人4万人、姉ギルバー・ユーモア、ツイン州とだけ書かれていた。


   バレは、不思議に思いながらも、ブランドの頼れるお兄さんの話を聞いたり、2人でお金を出しあい、列車で、唯一五両目にある小さなバーでお酒を飲んだ。

    姉の世界の駅につくと、ブランドと別れた。
バレの姉のツイン州は、駅から歩いても2時間もかからない。

   バレが空をあおぐと、すでに夕日のオレンジ色で満たされていた。

   姉のギルバー・ユーモアの家は2階建ての3軒並んだアパートだった。姉の家は、1番右のはじだった。

    何度ドアをノックしても、誰も出てこない。

  「姉さん!」
   バレが勇気を出して、声をかけても、誰も出てこない。

  
   バレが、不安になってきた時、隣の家の玄関がそっとあいて、色白のバレと同じ年齢くらいの女性が出てきた。


  「ギルバー・バレさん?ギルバー・ユーモアさんは、この世界にはいないわ。とりあえず、夜も遅いし、うちにいらっしゃい」
    か細い、優しい女性はイミと名乗ったが、バレの頭は混乱していた。

 
    小さな1階には、リビングと台所があり、4人ほどが座れる席があった。

    
「お腹、すいたでしょ?」
    イミさんと言う女性は、バレに紅茶とパンケーキを出してくれた。

  「ありがとうございます。あの、私の姉がこの世界にいないと言うのは?」
   バレは、紅茶を一口飲むと聞いた後、後悔する。

   なぜなら、イミさんと言う女性の顔が悲しい顔をした。

    「この世界にいないと言うのは、産まれてこれなかった人間と言う意味よ。命は神様からの贈り物だから、中には生きる力が弱い子供や病気の子供もいるの」

   イミさんは、一気に紅茶を飲むと、放心したバレの顔を見る。

   「じゃあ、あの家は?」
バレは、ぼんやり言った。

    「この世界は、家族と愛する人の世界を旅するのが義務、亡くなった場合は、訪ねる場所が旅する家族になくなるから、宙の国が、お墓と同じように、その子供の家を用意するの」

   バレが、うつむき、宙の国から出てからどんな家族でも会ってきたため、初めて「死」というものに、直面し、途方にくれてしまった。


   「これ、あなたのお姉さんの家の鍵。隣に住む人間が渡す義務があるの。本当にお姉さんの事は、残念だったわね・・・」
   イミが、悲しそうに微笑んだ。


    鍵をもらった、バレはイミに礼を言うと、姉のアパートに入った。中は暗く、国が用意したのか、テーブル、タンス、ベッドと必要最低限の物しかなかった。

    電気をつけると、バレはベッドに横になった。姉ギルバー・ユーモアは、どんな女性だったのだろうか?

   父親のように、弱々しい人?母親のように少し悲しい人?2人の祖母のように、優しい人?兄のように、暖かい人?


   どんなにバレが、想像をめぐらせても答えは出なかった。

   この世界には、いない姉ギルバー・ユーモアが、少しでも幸せな人だけを願い、バレは、眠りについた。

   明日、この姉の世界を旅立とう。


  バレは、65歳になっていた。


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