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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)
05: 船上の天使は選び、ゲームは此処で終わる。
しおりを挟む「……え?どういうことですか??」
ミャーミャーとウミネコが頭上で姦しい。
ギラつく陽射しを避けたマストの影で、僕、エンゼリヒト・パインドは耳を疑った。
「…お前を愛していると言ったんだ。エンゼリヒト。」
再び言われた言葉に、胸がずくりと痛む。
(そんな、そんな…。)
所詮は男爵家の庶子、と、封じ込めていた感情が、暴れだす。
(どの方も大切なお友達、身分の低い僕には、お友達として傍に居れるだけでも身に余る光栄と……蓋をして居たのに。)
アモネイ様のたった一言で、恋に育とうとする己の心が酷く浅ましく感じて、僕は下唇を噛み締めて俯いた。
(ダメだよ……僕は、貴族の末端の末端。アモネイ様は、王族だ。しかも、我が国は敗戦したから貴族の身分すら危うい……。)
そんな僕の心を見透かすように、アモネイ様が僕の頬を指で撫でながら口を開いた。諭すような、低く、甘い声。
「悪いが、お前に拒否権は無い。ハレムナィトの王の言ったことは絶対なんだよ、可愛い我がエンゼリヒト…。お前を伴侶とする為に、俺は他の王子を蹴散らして王座を掴み、ヒルトゥームを落としたんだ。」
「な、なんですか、それっ!?そんな、そんな……!?」
そんなことで…!?と思う気持ちと、そこまでして、という気持ちがぐちゃぐちゃに混じりあって、驚いて顔を上げたものの、僕はまともにアモネイ様を問い質すことが出来なかった。
そんな僕の後頭部にアモネイ様の指が髪を掻き分けて滑り、ゆっくりとアモネイ様の顔が近づいてくる。
ーー避けなきゃ。
そう思うのに、その穏やかなモスグリーンの瞳に惹きつけられて……。
触れる唇と唇。
ああ、僕はもう、ずっと前から彼の事が……。
そう気付かされて、僕はそっと瞳を閉じる。
彼の胸に置いた指先から、温もりと早鐘の様に打つ鼓動が伝わって、彼が指先でそっと僕の後頭部を撫でる度に、小さな快感がさざ波の様に押し寄せる。
結局、どんなに抑えようと思ったって、そう上手くはいかないのが人の心と云うものなのだろう。
その日、僕とアモネイ様はそのまま暮れ泥む空と綺羅綺羅反射する海面を眺めながら過ごし、星空を眺め、夜明けとそれに照らされる海を眺めた。
もう、後戻りは出来ない。
そうして幾日か海路を進み、ハレムナィトの港に着いた僕達は、異国情緒溢れる町並みを眺めながら王宮へと向かった。
王宮に着けば、アモネイ様…いや、アモネイの即位式が即刻行われる。それと同時に、僕も王配として即位するらしい。
これから、僕はこの国をアモネイと一緒に守り、栄えさせていくのだ。
コトコトと、整備された道を進む穏やかな馬車の揺れの中、僕はそっと決意を新たにした。
そんな僕の横で「お前と一緒に即位したくて、玉座を空にした後、急いでヒルトゥームに向かったんだ♪」なんて誇らしげに言うアモネイは、何処か少年の面影を残していて。
それが、とても愛おしかった。
馬車が止まり、長い、艶めく大理石の階段や回廊を通って僕達は王宮の中心へと向かう。
「エンゼリヒト……愛してる。」
「僕も、愛してます。アモネイ……。」
この先に玉座が。
僕達は暫し見つめ合い、1つ大きく深呼吸してから、扉を開けるよう指示をした。
此処から新しい生活が、新しい世界が、始まる……!
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