勘違い白豚令息、婚約者に振られ出奔。~一人じゃ生きられないから奴隷買ったら溺愛してくる。~

syarin

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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)

12: 気の抜けた天使は思考を放棄する。

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「ハイ、それでは、王が決まりましたので、新しいバロックィート様のヒルトゥーム国となる国の貴族の方は此方、コンクィート様の国の貴族となる方は此方、タンスィート様の国の貴族となる方は此方にお並びください。あ、何が何か判らない方はご安心を。貴方方もちゃんと配置が決まってますからね♪」

パンパンと手を鳴らし、アモネイのお祖父様が引率の教師か、何かの司会進行かと思うような和やかな雰囲気で声を張ると、途端にゾロゾロとおじさん達の大移動が始まる。
どうやら、今回のハレムナィトの侵略戦争をヒルトゥーム王と一緒に裏から操っていたのはヒルトゥーム人とハレムナィト人だけでなくて、他の国の人達も居るみたいだ。
皆、それぞれの国が解体されたり属国に成り下がる際の地位の保証と引き換えに協力していたのかと思うと全員狸に見えてくる。

でも、その計略だらけな所が凄く貴族らしくて。

嗚呼確かに、アモネイが王になろうなんて、こんな狸だらけの計略の海に飛び込もうなんて、有り得ない話だったなぁ、としみじみ感じた。

まぁ、そこが愛しい所でもあるのだけど。

「ほなら、ヒルトゥームの学園から連れてきた令息達はそこの、入り口脇に控えてる全裸で髪の毛が赤いおじさんがリスト持ってるから、それぞれそのリストに従ってなー。あ、君らは今日で学園卒業や。即日配置が決まってるから先輩と現地の貴族や役人さんの言う事聞いて頑張ってなぁ♪」

良く見たら、全裸の人何人か居る!!

僕は王様の言葉に総毛立った。
だが、一部令息達は全裸のおじさん達を見ても全く動じず、王様の言葉に静かに従っていた。

こうまで平常運転されると、まるで、御伽噺のバカには見えない服を着ている人みたいだ。
御伽噺とは違って、ちゃんと賢い人には服が見えてて、僕や、ざわざわしてる人達は服が見えてなくて狼狽えてるんだ。
でも、そんな服有ったら、大半の人には裸に見えるのだから、賢い人なら着ようとは思わないよね。

一度そう考えると妙に可笑しくなってしまって、シュールな光景に、僕はふるふると震える口角を俯いて隠した。
どうやら僕の精神はこの妙ちきりんな状況に限界を迎えてるようだ。早く死刑宣告し終わらせてほしい。

だが、タンスィート様の口から信じられない言葉が飛び出す。

「ビクトールとジューン、ウェスティン、それからアモネイとエンゼリヒトも俺んとこや。……あれ?エンゼリヒト何その顔。もしかして死刑でも言われる思てたか??んなわけあらへんやろ~。もー、心配性やなぁ」

「え??僕、死なないの??」

さっきアモネイのお祖父様がアモネイが安寧に生涯を送る為ならって言ってたから、アモネイの命は保証されるだろうけど、てっきり僕は死刑宣告だとばかり思っていた。

だって、僕はヒルトゥームを裏切ってアモネイを選んだのだから……。

「せやかてタンタン、普通はこーゆー時首チョンパやんけ。」「せやせやタンタン。失敗したら死ぬ!位の覚悟でコイツらはヒルトゥーム落としてハレムナィトの他のヤツラを殺したつもりやってんから。」「そーかー。まぁ、そっか。せやなぁ。」「「せやで。」」

そんな僕の心情を兄王子達がベラベラと代弁してくれる。
でも、タンスィート様はせやなぁ、と言っただけで、特に決定を覆すつもりはないようだった。

「……ふぁぁ…。」

死なないと知って一気に気の抜けた僕は、へなへなとアモネイの隣にお尻を着けてへたり込んだ。
元々かがんでたから、周りは気にしていないが、情けない姿に少し恥ずかしく思う。
でももう、体に力が入らなくて、僕はそっと隣に同じくお尻を着けて座り込んでるアモネイの肩に頭を預けた。

さらり、と音を立ててアモネイの赤い髪が揺れ、アモネイも僕の頭に頭をくっつける。それが、とても幸せで。

もう僕は、どんな沙汰が下されてもいいや、なんて思って目を閉じる。

「ハイハーイ♪ほなら、大まかな人事やでー♪ロイリーたん、デュークたん、二人はバローの補佐として、これからもヒルトゥームであんじょうよろしゅう☆」

王様が声を張り、おじさん達がどよどよしながらも王様に注目する中、僕とアモネイは目を閉じてゆっくりと、互いの温もりに心を浸した。


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