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ここから番外編(腹黒王が割と出ます)
15: 舞台は終わり、主演を降りた天使は退場する。
しおりを挟む「それより、そのサーミの婿になろうという不届き者は何処にいる?妙な輩をサーミに近付けるワケには行かない。」
「天使くんは俺の息子でもあるから、そんな変なんに求婚の許可なんざ降ろさへんがなー。」
地図を夢中で見ていたのが恥ずかしかったのか、我に返った侯爵がコホンと咳払いしてアゼル様の事を切り出した。
なんと、王様ったらもうサミュエル・コートニーを息子扱いだ。
でも、僕はあの時知ったけど、コートニー家のサミュエル・コートニー溺愛具合は有名な話らしかったので、そんな侯爵と結婚したい王様なら、サミュエルを大切にするのは当然かもしれない。
なんて、ニコニコしながら侯爵の手をモミモミする王様を眺めながら僕は考えた。
「ほれ、あの赤毛のちょっと小ぃこい侯爵令息居ったやろ、天使くんに良く菓子持ってきてた。あの子が何や昔から天使くんにベタ惚れやったみたいでなぁ♪今回の作戦を最初から最後まで超頑張った見返りがサミュエルのお婿さんやったんよ。
一応、天使サミュエルが結婚したい言わな結婚は許さへん言うとるけど、結婚は別として補佐はする言うてたわ。まぁ、そーゆー擦り合わせや何やかんやで会う時間増やしてエエとこ見せて惚れてもらお、いう魂胆やろけどなぁ♪」
(アゼル様をちいこい!?いや確かに、僕が編入した位の頃は170無いような、この国では割と小柄と呼ばれる部類だったけれど、今のアゼル様は180をニョキニョキ越えてますけど!?)
身長170にどう頑張っても届かなかった僕は、思わず心の中で王様の胸倉掴んでガックンガックン揺すりながら小一時間お説教しちゃう勢いで叫んだのだけど、高位貴族の攻め入る方々は190前後でニョキニョキしてるようなヒルトゥームで、自身も自身の息子さんもニョキニョキしてらっしゃる王様から見たらアゼル様はちいこいのかもしれない。悔しい。羨ましい。
「ああ、あの…?フゥム…。サーミにベタ惚れ…?それなら、まぁ…サーミさえ良ければまぁ、いいかな。……フゥム…ベタ惚れ……フゥム…そうか♪」
そして、流石はサミュエル・コートニー溺愛侯爵。ベタ惚れと聞いて満更では無いようで。
良かったですね、アゼル様。なんて、僕は最近全然お会いしてないアゼル様にそっと心の中で拍手を送った。
まさかアゼル様がサミュエル・コートニーにベタ惚れだなんて、元婚約者のビクトール様もそこそこ仲良くさせて頂いていたと自負してた僕も全然気付かなかったから、未だに少し信じられないけど。
でも、好きな人と一緒になれる素晴らしさは知ってるから僕まで嬉しくなってくる。
気付けば何だか、主演として舞台に上がってたら凄い勢いで客席に引き摺り降ろされた感じがするけれど、どうやら死なないみたいだし、僕はどこか演劇でも観てる心持ちでアモネイの肩に頬を着けた。
その後、どうやら既に王様は即位式みたいなのをしてたみたいなんだけど、改めて僕たちの前で神聖ハレムナィト帝国の帝に即位したことを宣言。
「「「我々、元ハレムナィト王子は帝様の奴隷です!!!」」」
なんて宣言の後に歓声みたいな感じで声を揃えて宣言された時はどうしようかと思ったけど、アモネイの兄弟である沢山の王子達は一代限りの公爵となり、大半はハレムナィトに。一部、本人の適正や志望であちこちの国へ。
どうやら奴隷とは心の持ち様の事だったらしく、特に隷属魔法とかもしてないらしい。ほっ…。
暫くあちこちザワザワしていたと思ったけど、少しずつ貴族のおじさんや令息達は誰かに先導されて広間から退室していき、気が付けば大分広間の人数は少なくなっていた。
「ほな、俺らも行こか。アモネイ、エンゼリヒト、立てるかー?」
未だにへたり込んでポケーっとしてる僕とアモネイに、タンスィート様が手を差し伸べてくれて、僕達も広間を後にすることに。
最後に未練がましく玉座を振り返れば、折角拘束を解かれてたのに又々グルグルに拘束されてジタバタ藻掻く侯爵と、そんな侯爵を荷物みたいに小脇に抱えて嬉しそうに玉座の奥に引っ込もうとする王様が見えた。
(あ、今は帝様と帝配様だっけ。)
「ほな、明日此処で色々あるらしいから、明後日に出発しよかー。」
「……タンスィート様って元々は西訛りなんですか?」
「せやー。まぁ、パリやんやロイやんみたいなめっちゃ仲良え親戚とかとおる時以外は控えてたけど、今日からは俺ら王様やし、お前らも側近になるからえーかなって思て。解禁やー。」
歩きながら不思議そうに聞くウェスティン様に、答えるタンスィート様。
「えっ!?僕も側近なんですか??」
聞こえた単語に僕はびっくりして声をあげたけど、タンスィート様はふー、とかふぃー、みたいな声を出しただけで正確な返事は貰えなかった。
「全く、親子揃って考えてることが判らないな……。」
なんて呆れて呟くアモネイと共に、僕達は客人用の棟へと向かった。
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