EDEN ―孕ませ―

豆たん

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出産

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 ――ハッと目が覚める。腹に何かピリピリとした刺激を感じたからだ。眠りから覚めても、やはりそこはアパートの自室では無い。見覚えの無い部屋の中で見覚えの無いベッドに入っている全裸の自分。昨夜の出来事が瞬時に細部まで甦ってくる。上掛けを捲ってみると、すっかり大きくなった己の腹があった。と言っても、臨月の女性の腹部に比べると半分程度の膨らみでしか無いのだが。壁の時計は午前4時少し前。ピリピリした感覚はまだ続いている。気の所為か後孔が疼いてひくついているような感じもあった。
 その時ロックの外れる音がして、ガチャリと部屋の扉が開く。その向こうから覗き込み照明のスイッチを入れたのは真柴だった。

「おはよう、優輝くん。よく眠れたかい? 立派なお腹になったようだね。そろそろ産気付いたんじゃないかな?」

 彼はベッドに寄り、慣れた様子で優輝の腹を摩る。膝を押し上げ後孔を確認すると、嬉しそうに言った。

「うん、お尻の孔がひくひくしてるね。もう産まれそうだ。それじゃ分娩室へ行こうか」

 ニッコリ笑う真柴に、優輝は何を言う気力も無い。のろのろと身を起こそうとしたが、大きな腹の重みでなかなか上手く起き上がれなかった。

「ああ、無理しなくていいよ。昨夜のように雄くんが運んでくれるからね」

 真柴の手招きで室内へ入ってきた雄は、昨夜自分をこの部屋へ連れてきた雄達とはまた別の男だった。裸では無く、看護助手のような白衣を身に着けている。顔は憶えていないが、昨夜の五十人の内の一人だろう。真柴以外で衣服を着た人物を見たのは、拉致されてから初めてだ。彼がベッドに寝そべったままの優輝を抱え上げると、真柴が「さぁ、行こう」と先導するように部屋を出た。

 雄の腕に運ばれながら、優輝は僅かに首を巡らせて辺りを見回す。朦朧としていて昨夜は全く分からなかったが、寝室の外は玄関ホールのような場所だった。その一方の壁面には、まさに邸宅の玄関ドアを思わせる重厚な両開きの扉がある。恐らくこれが外のスペースからの出入口になっていて、自分も真柴達もここから入ってきたのだろう。真柴と雄はそれとは反対の方へ伸びる廊下に向かい、奥へと進んでいく。廊下に面して幾つかのドアがあり、最も奥にあるものは、先程の玄関ドアのように高級感漂う木製扉だった。優輝がそちらへ目を遣った時、急に立ち止まった真柴がその手前のスライドドアを開ける。

「……っ」

 不意の眩しさに一瞬目を閉じる優輝。そっと開いた瞼の向こうには、まるで病院の一室のような空間が広がっていた。上部にガラスが嵌め込まれた間仕切り壁の手前は前室か控室のようになっており、長椅子などが置かれている。その先の広いスペースに自分を抱える雄と同じ白衣を着た数人の男が立っており、彼等の真ん中に大型の椅子のような物――分娩台が、何台もの機器類と共に据え付けられていた。見たこともない分娩台を目にして身を竦ませる優輝を、雄は黙々と台に座らせ、体勢を整えさせていく。準備が出来たのを見計らい奥のスタッフルームから現れる人影――それはやはり白衣姿の男性だった。優輝の傍に立った真柴がその人物を紹介する。

「この人は助産師さんだよ。うちの会社には30人の助産師がいるけど、その師長を務めているベテランさんだ。安心して彼に任せるといい」

 助産師は「よろしくね、優輝くん」と軽く会釈した。何もかもが初めてのことで不安を隠せない優輝は、何をどう安心したらいいのか、どういう反応を返せばいいのか分からない。胎動で蠢く腹を見てただただ焦りを募らせるばかりだ。「……よ、よろしく…お願い、します……」とぎこちなく挨拶した彼の右手を、真柴はぎゅっと握った。

「心配しないで。女の出産みたいに苦しんだりはしないし、あっと言う間に終わるから。男子の妊娠では、胎児はたった1時間で女の10週分成長する。でも、胎内での体の大きさは女の場合の半分ほどしかないんだ。小さく産まれて、胎外に出てから急速に大きくなるんだよ。――さ、それじゃぁいよいよお産の時間だ。初産だからね、今回は僕も立ち会うよ。無事に産まれるまで、こうしてずっと手を握っていてあげる」

 しっかりと握られた手を見詰める優輝の正面に立った助産師が、台の操作パネルを押す。背凭れが静かに後ろへ倒れていくと同時に、レッグレストに載った両脚が滑らかな動きで開かれていった。膝を立てた状態で助産師に腰を突き出し恥部を晒す。耐え難い羞恥に硬く目を閉じると、股にヒヤリとした柔らかい物が触れた。

「ちょっと消毒しますからねー」

 消毒用アルコールを含ませたガーゼで秘所や周囲を拭われる。医療用手袋を嵌めた指が後孔の縁を押し広げ、助産師が中の様子を確認している気配がした。
 ――と、その時。何かが差し迫ったような感覚が優輝を襲う。あっ、と思った瞬間、後孔から温かい液体がボタボタと垂れ落ちた。うんと頷く助産師。

「破水しましたし、もう出てきそうですね。このまま一気にいきましょう」

 破水に驚いたものの、女性の出産で聞く『陣痛』のような痛みは無い。ただ腹部に走る軽い刺激と、後孔のひくつきが続いているばかりだ。

「じゃ、体を楽にして、大きく息を吸い込んで下さい。もっともっと――はい、ここでいきんでーっ」

 助産師の声に合わせ、優輝はともかく何も考えず思い切り下腹に力を入れる。自分の中で、何かが僅かに下がる感じがあった。

「もう一度いきますよー。思いっ切り息を吸ってー、はい、いきんでーっ」

 更に下がる膨らみの元。その刹那、優輝の内奥を覚えのある官能が駆け抜ける。

「あっ!」

 思わず漏れる声。産み落とそうとしている存在が、自分の前立腺を圧迫している。震えが来るような快感と訳の分からない焦燥に灼かれ、優輝は目を閉じたまま、右手を握る真柴の手を強く握り返した。

「どうしたの? 優輝くん。おや、ペニスが勃ってきてる。ひょっとして感じてるのかい? それはいい。お産しながらイけたら最高だよね。どれ、折角だから、念の為バンドを着けておこうか」

 真柴は助手風の雄達の方を見る。分娩台の脇に控えていた彼等の中の一人がポケットから黒いバンドを取り出し、優輝のペニスの根元に巻き付けた。はあはあと息を乱す優輝の耳に助産師の「さぁ、もう一度」という声が響く。見悶えながら再度力んだ彼の肉路を、立派に育った子種が前立腺を擦りながら下っていった。

「あああ~~っ、イくぅ~~~っっ!!」

 仰け反り、絶頂に叫ぶ優輝。びんびんに勃ったペニスの下、大きく開いた後孔から熱いものが産まれ出る。助産師がずるりと取り上げた直後、それは火が点いたように大きな声で泣き出した。

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