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きっかけはスライムでした
しおりを挟む男性に絡まれやすいリシェは、ある日顔見知りに襲われる。そのときスライムを体に付けられた。運良く逃げることができたが、スライムを股間にくっ付けたままだった。家に帰りスライムを体から離そうとするができず、途方に暮れていた。すると食事に招待していたウェンデルがやって来る。そして彼に、スライムを引き剥がしてもらうことになった。
───────────────
とある街に暮らすリシェは、両親を亡くし、一人で暮らしていた。食堂で働きながら、慎ましい生活を送っていた。
今日と明日は、仕事が休みだ。リシェは食料の買い出しのため、朝から家を出ていた。
今日は家にウェンデルがやってくる。彼はギルドに登録している冒険者だ。精悍な顔立ちに、逞しい体格。目付きは鋭く一見近寄りがたいが、とても誠実で優しい人物だ。
彼は以前、リシェが酔っぱらいに絡まれているときに助けてくれた。それがきっかけで彼と知り合い、今でも親しくさせてもらっている。
リシェはどうもぼんやりしているというか、隙だらけというか、男性に絡まれることが少なくない。自力で逃げきることもあるが、たまたま遭遇したウェンデルが助けてくれたことも何度もある。
彼になにかお礼をしたくて、リシェの家で昼食をご馳走することにしたのだ。
彼に手料理を振る舞うのははじめてだ。緊張するが、楽しみでもある。リシェはウェンデルにほのかな恋心を抱いていた。彼に美味しいと思ってもらえるよう、手の込んだ料理を作るつもりだ。
メニューは既に決めてある。材料を求め、リシェは目的の店に向かっていた。
そのとき。
「おい、リシェ」
ぐいっと、腕を掴まれた。
驚いて振り向くと、そこにいたのは顔見知りの男性だった。
「あ、アードルフさん……?」
彼はよく、リシェが働く食堂にやって来て声をかけてくる。態度は横暴で、下品な言葉でリシェをからかう。
そんな彼がリシェは苦手だった。愛想笑いでどうにかやり過ごしたり、従業員や店主に助けられてうまく彼から引き離してもらったりしていた。外で会った場合も、用事があると言ってそそくさとその場を離れるようにしている。
彼には関わってはいけない。関わってはいけないタイプの人間だ。
だからリシェは、いつも通りすぐに彼から離れようとした。
「アードルフさん、私、急いでいて……」
「いいから、来いよ」
腕を引っ張られる。
近道をしようと、人気のない裏路地を選んだのが間違いだった。見える範囲に、人は一人もいない。
「やめて、離してくださいっ」
「うるさいなっ、黙ってついてこい!」
手首を掴む力は強く、引っ張っても振りほどけない。懸命に足を踏ん張るが、ズルズルと引き摺られてしまう。
いよいよ大声で助けを求めようとしたとき、それを察したのか、掌で口を塞がれた。
「んんーっ」
「騒ぐな、おとなしくしろっ」
小さな小屋に、無理やり押し込まれる。突き飛ばされ、リシェは倒れた。
ここはアードルフの家の物置小屋だった。そんなことはリシェは知らないし、今はここがどこかを考える余裕もない。
仰向けに倒れるリシェに、アードルフが覆い被さってくる。
「ひっ、いや……!!」
「うるせぇ!」
アードルフに恫喝され、リシェは竦み上がった。恐怖に体が震える。
声も出せなくなったリシェに、アードルフは悪辣に笑う。
「そうだ、おとなしくしてろ。殴られたくないだろ? お前がじっとしてるなら、優しくしてやるから」
「っ…………」
アードルフの言葉にゾッとして、全身に鳥肌が立つ。
もちろん殴られたくはない。けれど彼は、殴るよりも残酷なことを自分にしようとしている。
嫌悪感に吐き気がした。今すぐ逃げ出したい。でも、力では敵わない。抵抗したくても震える体はまともに動かない。喉が詰まったように声が出ない。
「お前が悪いんだ。そんなエロい体で俺を誘うから……」
息を荒くしながら、舐めるような視線をリシェの全身に這わせる。
ぞわぞわっと、虫が這い回るような不快感を覚えた。
誘ったことなどない。勝手な言い分を押し付けられても困る。
リシェは自分の胸が大きいという自覚はあった。胸元に男性の視線を感じることは多い。だからこそ、胸を強調するような服装は絶対に選ばなかった。外ではできるだけ肌を見せないよう気を付けていた。
それでも男性に誘われたり絡まれたりする。今まではうまく躱せていた。こんな強行手段に出る者は現れなかった。だから油断していた。もっと警戒すべきだった。
後悔しても遅い。じわりと涙が滲んだ。
ウェンデルの顔が脳裏に浮かぶ。
「見ろよ、これ」
そう言ってアードルフが取り出したのは瓶だった。中になにかが入っている。
「処女のお前でも楽しめるように、用意してやったんだ」
ありがたく思え、と高慢に言い放ち、彼は瓶の蓋を開ける。リシェのスカートを捲り、脚に瓶の中身をぶちまけた。
なにかの液体をかけられたのだと思ったが、違った。リシェの脚にねっとりと絡みつくそれは、スライムだった。
淡い色合いのそれは、ぬるぬると脚を這い上がり、下着の中へ滑り込む。
その光景を見て、興奮した様子のアードルフが薄ら笑いを浮かべる。
「はは、どうだ? 気持ちいいか? 今からめちゃくちゃに犯してやるからな」
ショックのあまり、彼の言葉も耳に入ってこない。
硬直するリシェの花弁を辿り、スライムがその身を膣穴へと押し込んでいく。
その瞬間、リシェの中でなにかが切れた。
「いやああああぁぁ!!」
リシェの大絶叫が小屋の中に響き渡る。そしてがむしゃらに暴れだした。
突然のことに驚き狼狽えるアードルフの股間に、リシェの膝が見事に入った。
リシェに負けず劣らずの悲鳴を上げ、アードルフは悶絶する。
その隙にリシェは逃げ出した。小屋を飛び出し、無我夢中で走り去った。スライムを身につけたまま。
どこをどう走ったのかわからないが、気づけば家に着いていた。中に駆け込み、ドアを閉めて鍵をかける。
ドアに背を預け、リシェは乱れた呼吸を繰り返す。
襲われた恐怖と、逃げられた安堵に感情はぐちゃぐちゃだ。
徐々に呼吸が落ち着き、頭の中も冷静さを取り戻す。
逃げられた。助かったのだ。
その事実に、心の底から安堵した。
ほっと胸を撫で下ろす。そこで、下半身の違和感に気づいた。気づいたというより、思い出した。
リシェは青ざめた。
そうだった。まだ助かっていない。まだ問題が残っている。重大な問題が。
ぬるりと、スライムが動いた。
「ひっ……」
思わずスカートの上から股間を押さえた。しかしそんなことでスライムの動きは止まらない。
どうしよう。どうすればいいのだろう。
ふらつく足で、ベッドに移動する。ベッドの端に腰を下ろし、ぎゅっとスカートを握る。
スライムの存在は知っている。森に生息する、低級の魔物だ。そして捕らえられたスライムが、その特性を活かして性的な玩具として利用されているということも知っていた。人の体に害はないらしく、襲われることもない。
リシェが知っているのはそれくらいだ。どのように利用するのか、スライムの使用方法なんてわからない。だから、どうすれば離れるのかもわからない。
ぬちゃりと、またスライムが動く。確実に奥へと進んでいる。
気持ち悪いはずなのに、発情したかのように体が熱くなっていた。
どうして、とリシェは混乱する。
嫌なのに。こんな魔物に秘所をまさぐられるだなんて耐え難い恥辱だというのに、体は気持ちを裏切って悦んでいる。
愛液を分泌し、膣内がスライムに絡みつく。
「いやぁ……っ」
か細い悲鳴が漏れる。けれど助けてくれる者などいない。
ずっとこのままだったらどうしよう。そんな不安が頭を過る。
だってスライムのことなんてなにも知らないのだ。特殊な方法でしか引き離せない可能性だってあるのだ。
誰かに相談するのがいいのだろう。でも、恥ずかしい。診療所にも行きたくない。こんなこと、誰にも言えない。知られたくない。
ならば、自分でどうにかするしかない。スライムを張り付けたままでは、仕事にだって行けない。こんな状態では誰とも顔を合わせられない。
リシェは覚悟を決めた。
スカートの中に手を入れ、下着を脱ぐ。下着はスライムの粘液のせいか自分の愛液のせいかべとべとに濡れていて、それを見て泣きたくなった。でも今は泣いている場合ではない。
スカートを捲り、下半身に視線を向ける。蠢くスライムを見て、また泣きたくなった。
深呼吸を繰り返し、手を伸ばす。指先に、ぬるりとそれが触れた。その感触に怯みそうになるが、意を決してぐっと掴む。しかし、全体に粘液を纏ったスライムをうまく掴むことができなかった。
「そんな……」
両手を使って引き剥がそうとするが、掴むことすらできないのでは無理だ。それでも諦めず、色々な方法を試してみる。擽ってみたり、引っ掻いてみたり、つねってみたり。けれどスライムが離れることはなかった。
体が火照って、息が上がる。膣内をめちゃくちゃに掻き回したいような欲求に苛まれ、そんな自分のはしたなさに嫌悪する。
疼く体を持て余し、それでも懸命にスライムを引き剥がす努力をした。
スライムはそんなリシェの努力を嘲笑うかのように、更に大胆に動きはじめる。その身を細く絞り、処女膜を傷つけずに奥へと侵入を果たした。
「いやっ、だめ、それ以上進まないで……!」
リシェの哀願など、人語を理解しないスライムには意味がない。
動きを止めず、奥へ奥へと向かっていく。
「あ、あっ、いやぁ……っ」
感じたくもない快楽を与えられ、リシェは身悶えた。痛みを与えられた方が、精神的には楽だっただろう。
怖くて堪らないのに、体は快感を得ている。心を伴わない快感は、リシェを苦しめた。
もうどうすればいいのかわからず、ぐすりと鼻を啜る。
じわじわと涙がこみ上げ、子供のように泣き喚いてしまいたい気持ちになった。
けれど、聞こえてきたノックの音に涙は止まった。
びくっと肩を震わせ、ドアへ顔を向ける。
まさかアードルフなのでは。恐怖に襲われ、身動きがとれなくなる。
もう一度、ノックが鳴る。リシェは動かない。じっと息を殺していた。
「リシェ? いないのか?」
聞こえてきた声に、リシェは深く安堵の息を吐いた。
完全に忘れていた。ウェンデルが来ることを。
アードルフではなかったことに安心しつつも、安心できない状況であることに気づいてリシェは焦った。
こんな状態では彼と顔を合わせられない。昼食に招待しておいて、料理なんてなにも用意できていない。
どうしよう。このまま居留守を使うべきか。でも、自分から誘っておいてそれはあまりにも失礼だ。料理も作ってないうえに、謝罪もせず顔も見せず彼を帰らせるなんて。それに約束をすっぽかせば、リシェになにかあったのかと心配させてしまうかもしれない。顔だけは見せよう。そして体調を崩してしまったと言って、今日は帰ってもらおう。
リシェは立ち上がった。歩くと、膣内の異物が擦れる。必死に声を抑えながら、ドアに向かった。
「お、お待たせしました、ウェンデルさん……」
「いや。もしかして、早く来すぎてしまったか?」
ドアを開けると、軽装のウェンデルが立っていた。
彼はいつもと変わらない。顔も、体つきも、何度も目にしてきた。
彼に恋心を抱いているリシェは、彼に会うたびにドキドキと胸が高鳴った。そこまではいつも通りだが、今はそれだけでは済まなかった。
彼を見ているだけで体が疼く。彼の視線に体の熱が上がっていくのを感じる。スライムが張り付いている箇所がむずむずして、太股を擦り合わせたい気持ちをぐっと堪えた。彼の前で、はしたない真似はできない。
「リシェ? どうかしたのか?」
ウェンデルの低い声にぞくぞくと体が震えてしまう。
はしたない姿は見られたくないという一方で、彼に縋りつき、はしたない姿を晒してしまいたいという欲望に駆られる。
リシェは必死にそれを抑えた。
「リシェ? ひょっとして熱があるのか? 目も赤い……一体どうしたんだ?」
彼は心配そうに顔を覗き込んでくる。
心配をかけてはいけない。早くなにか言わなくては。
溜まった熱を吐き出すように、熱い吐息を零した。
「すみません、ウェンデルさん……実は、体調が、悪くて……」
「大丈夫か? 診療所へは?」
「いえ、そこまでは……。でも、料理が、作れなくて……せっかく、来ていただいたのに……」
「そんなこと、気にしなくていい。具合が悪いのなら、横になっていなさい」
「本当に、すみません……後日、改めて、あっ、いやっ」
リシェの体がびくんと跳ねる。
ぬるぬると這い回るスライムが、後ろの穴にまで伸びてきたのだ。粘液を塗りつけるように表面を撫で、つぷりと入り込んでくる。
「ひっ、いや、やめてっ」
「リシェ!? どうしたんだ!?」
突然叫び声を上げるリシェに、ウェンデルは何事かと困惑している。
このままではバレてしまう。必死に平静を装おうとするが、スライムがそれを許さない。更に奥へと侵入してくる。
「いやぁっ、だめ、やめてぇっ」
「リシェ!?」
くずおれそうになるリシェの体を、ウェンデルが支えた。
逞しい腕に体を包まれ、陶然となる。
「リシェ、とりあえずベッドに運ぶぞ」
「あっ……」
軽々と抱き上げられ、ベッドへ連れていかれる。
ウェンデルは優しくベッドに下ろしてくれた。けれど今は少しの振動でも大きな刺激となって襲いかかる。リシェは甘い声を漏らしてしまった。
真っ赤になって俯き、慌てて掌で口を塞ぐ。
跪くように床に膝をついたウェンデルは、ベッドに座るリシェの顔を覗き込んだ。
「リシェ、一体どうしたんだ? 君の身になにが起きている?」
「ウェンデル、さん……」
口を噤むリシェに、彼の真摯な視線が注がれる。
彼は心から、リシェのことを心配していた。
「教えてくれ、君を助けたいんだ」
「っ……」
リシェの身に異常が起きていることはもうバレてしまっている。ここで黙っていても、彼は納得しないだろう。素直に打ち明けてしまった方がいいということはわかっているが、内容が内容だけになかなか話すことができない。
その間にも、スライムは侵入の手を休めない。じわじわと確実に、両方の穴を犯される。
これ以上、スライムに体をいいようにされるのは嫌だ。覚悟を決め、リシェは口を開く。
「朝、買い物に出掛けたんです……」
「ああ」
「それで、アードルフさんに会って……」
「アードルフに?」
ウェンデルは眉を顰める。
彼もアードルフのことは知っていた。アードルフに絡まれているところを助けてもらったこともある。
「アードルフさんに、強引に小屋に連れ込まれて……」
「なんだと……!?」
「彼に、襲われそうになって……」
「っあの男……!!」
ウェンデルはギリッと歯を食い縛る。強い憤りが伝わってきた。
今すぐにでもアードルフのところへ報復に行ってしまいそうなウェンデルを、腕を掴んで止めた。
「お、襲われそうになったんですけど、なんとか逃げることができて、だから、アードルフさんにはほとんどなにもされてはいないんです……。ただ、そのとき、アードルフさんに……」
「ああ」
ウェンデルは急かすことなくリシェが話すのを待っている。
ぎゅっと掌を握り、リシェはつづきを口にする。
「その……スライムを……」
「まさか……」
全てを話さなくても、ウェンデルは察したようだ。彼は僅かに目を見開き、スカートに隠されたリシェの下半身に視線を落とす。
羞恥に、じわっと全身の熱が上がった。
「ウェンデルさんは、あの……わかりますか? その……どうしたら、スライムが、取れるのか……」
「いや、スライムについて、詳しいことは……。引っ張っても取れないのか?」
「ぬるぬる、して……掴めないんです……」
ウェンデルは明らかに困惑している。
申し訳なくて、自分が情けなくて、涙が滲んだ。
「す、すみません、こんなこと……。でも、私、恥ずかしくて……誰にも、知られたくなくて……」
「謝らないでくれ。俺が無理やり聞き出したんだ。正直に話してくれてありがとう」
ウェンデルの優しい言葉に、胸が温かくなる。
「しかし、早く引き剥がした方がいいだろう。スライムの粘液には、催淫作用があると聞いたことがある」
「え……?」
「媚薬のようなものだ。だから、長時間スライムを粘膜に接触させておくのは危険だろう」
「ど、ど、どうしたら……」
「君が嫌でなければ、俺が引っ張ってみよう。俺の力なら、引き剥がすことができるかもしれない」
「そ、そんな……ウェンデルさんに、そんなこと……」
リシェは真っ赤になって首を横に振った。
しかし、恥ずかしいから誰にも知られたくないと我が儘を言ったリシェの気持ちを考慮し、ウェンデルは提案してくれたのだろう。他の誰にも知られず、彼に頼む以外にスライムを引き剥がす方法など、リシェには思いつかない。
「すまない、リシェ。君には辛い選択だろうが、耐えてくれ」
「ウェンデルさんは、いいのですか……? 本当に、こんなことを、お願いしてしまって……」
「ああ。君を助けたいんだ」
それが、紛うことなき彼の本心なのだろう。
彼の心からの気持ちが真っ直ぐに伝わってくる。
リシェは羞恥を堪え、彼に縋った。
「お願い、します、ウェンデルさん……」
「わかった」
ウェンデルはスカートに手を差し入れる。捲らないのは、見ないようにという気遣いだろう。
彼の邪魔にならないよう、リシェはできるだけ脚を広げた。スカートに隠れているとはいえ、大きく脚を開くのはかなり羞恥を伴う。はしたなく差し出すような姿勢をとる自分を意識しないよう努めた。
ウェンデルの大きな手が内腿を掠める。
そんな微かな刺激に、びくりと体が揺れた。じゅわりと蜜が溢れるのを感じた。下半身を濡らすのがスライムの粘液なのか自身の体液なのか、もうわからないくらいだ。
ウェンデルの指が、スライム越しに秘所に触れる。
「あんっ……」
甘い声が口から漏れ、慌てて唇を噛み締めた。
必死で声を押し殺そうとするリシェに、ウェンデルが言う。
「声を出していい。我慢すると苦しいだろう」
「で、でも、私、はしたない、声を……」
「それはスライムの粘液のせいだ。だから、気にすることはない」
「スライムの、せい……」
「そうだ」
ウェンデルは力強く頷いた。
彼の言うことは正しいのだとリシェは思った。だから、恥ずかしくても、声を我慢することをやめた。これは、リシェの意思で出している声ではない。全部スライムのせいなのだ。
「ふあっ、あっ、あぁんっ」
「っ……どうにか、掴めたな。引っ張ってみよう。リシェ、もし痛みを感じるようなら、我慢せずに教えてくれ」
「は、はい……っ」
ウェンデルが、スライムを掴んだ手をぐっと引いた。
「くっ……やはり滑るな……」
「んあっ、あ、ああっ」
ウェンデルに抵抗するように、スライムが蠢いた。その身を伸ばし、更に奥へと逃げようとする。
「あっ、いや、それ以上、奥に行かないで、やぁっ」
「リシェ!? 辛いのか?」
「らいじょうぶ、ですから……そのまま、引っ張って、ください……」
「しかし……」
「痛い、わけじゃ、ないですから……。お願い、します、これ以上、奥に行く前に……っ」
「わかった。でも、無理はしないでくれ」
「はい……」
ウェンデルが再び引っ張りはじめる。
膣だけでなく後孔でも、スライムが動いているのを感じる。ウェンデルが引っ張った分だけ、奥へと体を伸ばすのだ。けれどスライムの力はウェンデルの引く力に確実に負けている。いずれ引きずり出されるだろう。
するとスライムは、しがみつくように陰核に吸い付いてきた。
強烈な快感が背筋を走り抜けた。
「ひあぁっ、だめ、そこだめぇっ」
痺れるような快楽に、リシェはジタバタと暴れた。
驚き、ウェンデルは動きを止める。
「リシェ、大丈夫か? 辛いのか?」
「そこはだめなのっ、あっ、あっ、だめだめっ、いや、吸わないでぇ……っ」
かぶりを振って身悶える。縋りつくものを求め、ウェンデルの肩を強く掴んだ。
「リシェ……っ」
「ウェンデルさ、あっ、ひうぅっ」
「すまない、やはり無理やり引き剥がすのは危険なのかもしれない……」
ウェンデルは一度スライムから手を離した。
「しかし、どうすれば……。あ」
暫し考え込んだウェンデルは、ふとなにかを思い出したように声を上げる。そして、とても申し訳なさそうに言った。
「そういえば、以前、スライムは液体に弱いという話を聞いた気がする……」
「んあっ、あっ……ん、え……?」
「水やお湯をかければ、動かなくなると話していた」
「んんんっ……あっ、ひ、んんっ」
ウェンデルの言葉を理解しようとするが、うまくできない。
そんな状態のリシェを、ウェンデルは浴室へ運んだ。
「すまない、脱がせるぞ」
スカートを脱がされても、既に快楽に支配されつつあるリシェの羞恥は薄かった。
リシェのスカートだけ脱がせ、自身は服を着たまま、浴室の中へ入る。
力の入らないリシェを、ウェンデルはそっと床に座らせた。そして温いシャワーを、リシェの下肢にかける。
「ふあっ、あぁっ……」
「ああ、やっぱり液体に弱いんだな」
お湯をかけられ、スライムは溶けるように流れ出てきた。ウェンデルは水の張った桶の中に、力をなくしたスライムを入れた。
スライムがいなくなっても、粘膜に擦り付けられた粘液の効果は消えない。膣内はじんじんと熱を持ち、リシェを苦しめた。
「あっ、は、ウェンデルさん、体、熱いです……っ」
「とりあえず、シャワーで粘液を流そう」
「ウェンデルさん、んんっ、あっ」
「少し、触るぞ……」
ウェンデルの太い指が、花弁を開く。スライムの粘液とリシェの愛液にまみれたそこに、シャワーがかけられる。
「ひあぁっ、あっ、あぁんっ」
シャワーの勢いは弱いけれど、ほんの少しの刺激でも強烈な快楽となって襲いかかってくる。リシェは身をくねらせた。あられもない喘ぎ声が浴室に響く。
「あぁっ、ウェンデルさん、ウェンデルさ、あっ、ひうぅっ」
「耐えてくれ、リシェ……っ」
ウェンデルは蜜壺に指を差し込み、掻き出すように動かした。シャワーのお湯と共に、確かに入り口付近の粘液は流れ出ているのだろう。けれど、さすがに奥までは洗い流すことはできない。それに、粘液が塗り込められたのは膣だけではない。
「ふぅっ……ウェンデルさん、お願い、お尻、お尻も、弄って……っ」
もじもじと腰を揺すり、懇願する。
正気だったならば、絶対に口にしなかった。けれど今、リシェはスライムの粘液でおかしくなっていた。粘膜に浸透した粘液は、リシェの理性を溶かし快楽の中へ突き落とした。
「ウェンデルさぁんっ……」
「リシェ……」
自ら差し出すように脚を開き、秘所を晒す。
リシェの痴態に、ウェンデルはごくりと喉を鳴らした。
慎重な手つきで、後孔に触れる。膣と同じように、指が差し入れられた。
「ひぃんっ」
「っ……すまない、痛かったか?」
「気持ち、いい……ウェンデルさんの、指、あっ、もっと……」
「リシェ……っ」
リシェが快感に悶える間も、ウェンデルは懸命に粘液をシャワーで流した。
けれど彼が指を動かせば、リシェの体は更なる快楽を求めた。彼の指が気持ちよくて、もっともっとと欲張ってしまう。
リシェの目に、ウェンデルの下半身が映った。衣服の上からでもわかるほど、そこは張り詰めていた。
リシェは処女だが、それなりに知識だけは持っていた。だから、自身の体が求めているものもわかった。
「ウェンデルさん、好き、好きです……っ」
「リシェ……?」
ウェンデルの双眸が驚愕に開かれる。
「ウェンデルさんが、好きなんです……ウェンデルさんが、ほしくて……ここが、切ないんです……」
リシェは両手を下肢に伸ばし、指で花弁を開いた。
「奥が、疼いて……お願いです、ウェンデルさんを、ください」
「リシェっ」
「んんぅっ」
ぶつかるような勢いで唇を塞がれた。やや乱暴なキスだったが、リシェは喜んで受け入れた。
「リシェ、リシェ……っ」
ウェンデルは合間に名前を囁きながら、角度を変えて何度も唇を重ねる。
貪るような情熱的なキスに、リシェは陶然となった。
彼の舌も口の中も、頬に触れる掌も、なにもかもが熱い。
彼の熱に、リシェはとろとろに溶かされた。
糸を引いて離れていく唇を、名残惜しげに見つめる。
「ウェンデルさん……」
「好きだ、リシェ」
ウェンデルの熱い眼差しが、リシェを捕らえる。
「いいのか、本当に……このまま、君を抱いて」
掠れた囁きに、こくりと頷く。
「お願いします、ウェンデルさん……」
ウェンデルはもう一度、リシェに口づけた。
それから二人は、浴室からベッドへと移動した。衣服は脱ぎ捨て、裸で抱き合う。
「ウェンデルさん、好き、好き……っ」
「リシェ、俺も、好きだ」
「ウェンデルさん、もう、私……」
「ああ、力を抜いていてくれ」
我慢できないと訴えれば、ウェンデルは焦らさずにリシェの脚を抱え上げた。スライムと彼の指に弄られ綻んだ花弁に、陰茎が押し付けられる。
太い楔が、ゆっくりと沈み込んだ。
はじめて受け入れる欲望は大きくて、痛みは感じたけれど、粘液のお陰かすぐに快感に飲み込まれた。
「ひあっ、あぁっ、あっ」
「リシェ、大丈夫か? 辛くはないか……?」
「んあっ、大丈夫です、気持ちいいのっ、もっと、奥まで……」
「くっ……すごいな、中がうねって、引き込まれる……っ」
「あぁんっ」
ずんっと、強く突き入れられても痛みはなかった。ただただ気持ちよくて、リシェは涙を流してよがった。
「ウェンデルさぁん、好き、好きぃっ、あぁっ、ウェンデルさんのおっきいのでいっぱいになって、気持ちいいっ」
「リシェ、俺も好きだっ、くっ、なんていやらしくて可愛いんだっ……俺のを、こんなに締め付けて……っ」
「ああっ、あ──っ」
ぎちぎちに締め付ける狭い膣壁を、硬い肉棒に擦りあげられる快楽にリシェは既に何度も絶頂を迎えていた。
とめどなく愛液が湧き出て、陰茎が出し入れされる度にぐちゅぐちゅと音を立て、結合部から溢れる。
「ああっ、そこ、そこっ、やぁんっ、気持ちいいっ」
「ここ? ここがいいのか?」
「ひぃんっ、いいっ、気持ちいい、ウェンデルさん、あぁっ」
膣内の敏感な箇所を亀頭でぐりぐりと抉られ、リシェは背をのけ反らせて身悶えた。
動きに合わせて、大きな胸の膨らみが揺れる。たぷたぷと弾むそれを、ウェンデルの大きな掌が鷲掴みにした。そのままむにむにと揉みしだかれる。
「ああっ、そんな、胸も一緒にしちゃ……だめ、気持ちいいのっ、やあぁっ」
「はあっ、俺の指が、リシェの胸に食い込んで……。気持ちいいのか、リシェ、ここが、固くなってきた……くっ」
「はぁんっ、だめ、だめです、そこ、先は……あぁっ、摘んじゃだめぇっ」
「気持ちいいんだろう? ほら、もっと固くなった……それに、中も痙攣してっ……絡み付いてくる……っ」
搾り取るようなきつい締め付けに耐えながら、ウェンデルはリシェの胸元に顔を寄せた。指で摘んでいた乳首を、今度は唇で愛撫する。
「ひあぁっ、だめ、吸っちゃだめぇっ、ああぁっ」
「ん? 吸われるのは嫌か? やめるか?」
「あっ、いやっ、やめないで、お願い、ウェンデルさん、もっと吸って、いっぱいしてっ」
「本当に君は、いやらしくて可愛い……堪らないな」
興奮に息を荒げながら、ウェンデルは強く乳首を吸い上げた。
その刺激で、リシェはまた達した。
「俺も、そろそろ限界だ……っ」
切羽詰まったように言って、ウェンデルは余裕のない様子で膣穴を穿ちはじめた。
今までよりも更に奥を突き上げられ、ずるりと引き抜いては何度も中を貫かれる。
「ひぃっ、あぁっ、ウェンデルさんっ、あっ、あぁっ」
「くっ、リシェ、出すぞ……っ」
「あっ、あっ、あ──!」
最奥を強く突かれ、中で熱が弾けるのを感じた。同時に、リシェもまた達した。
びゅくびゅくと注がれる精を全て飲み込み、満たされる悦びに体が震える。
陰茎がゆっくりと引き抜かれる。途端に、喪失感に包まれた。
まだ足りない。もっともっと欲しい。
スライムの粘液をすり込まれた体の熱は、引く気配を見せない。
「リシェ、大丈夫か?」
心配そうに見下ろすウェンデルに、首を横に振る。
「だめです、ウェンデルさん……」
「どうした!? 体が辛いのか!?」
「はい、体が、熱くて……」
リシェは体を反転させた。うつ伏せになり、高く腰を突き上げる。
「り、リシェ……っ」
「辛いんです、ウェンデルさん。お願いします、もっと、してください……この、熱いの、治してください」
腕を臀部の方へ伸ばして、両手で花弁を開く。とろりと、精液と愛液と血液が混じった体液が溢れ出る。それは太股を伝い流れた。
リシェの媚態を、ウェンデルは目に焼き付けるかのように凝視する。彼のペニスは再び膨れ上がった。
「ウェンデルさぁん、お願い……っ」
「ああ、わかった、俺が治そう」
がしっとリシェの細腰を掴み、男根を突き入れる。
「ああぁっ、あっ、……〰️〰️ッ!!」
「っく……どうだ、リシェ、気持ちいいか?」
「ああっ、いい、ウェンデルさん、気持ちいいっ」
「治るまで、俺が、何度でも、抱いてやる……っ」
「あっ、嬉しい、ウェンデルさん、もっとっ」
それからリシェの望むだけ、何度も体を重ねた。はしたなく求め、縋り、ねだるリシェに、ウェンデルは数えきれないほど愛を囁いてくれた。
与えられる快楽に翻弄され、耽溺し、あまりにも激しい初体験は気絶して終わった。
目を覚ますと、リシェの隣にはウェンデルがいた。
意識を失う前の淫らな行為を思い出し、リシェは真っ赤になる。
羞恥に震えるリシェを、ウェンデルは蕩けるほど甘い眼差しで見つめた。
「おはよう、リシェ」
「お、おは、おはよう、ございます……」
「動くのはまだ辛いだろう。今日は一日、ゆっくりしているといい。俺がずっとついているから」
「そん、そんな……ウェンデルさんに、ご迷惑を……」
「遠慮する必要はないだろう。俺と君の仲だ。それとも君は、自分の言ったことも、俺の言葉も、全て忘れてしまったのか?」
ウェンデルの悲しみの滲む言葉に、慌てて首を振る。
「いいえ! 決してそのようなことは!」
「では、俺の言葉を信じていないのか?」
「信じて、います……!」
彼は何度も好きだと言ってくれた。
本心だと信じているから、思い出すだけで嬉しくて、胸がドキドキする。
「君は俺を好きだと言ったが、本当は違ったのか? スライムの粘液のせいで、思ってもいないことを口にしたのか?」
「そんな! 違います! 私は、ウェンデルさんのことをお慕いしています!」
「そうか、よかった」
ウェンデルは嬉しそうに微笑んで、リシェをぎゅっと抱き締める。
「今日はずっと一緒にいよう」
「は、はい……」
「結婚しよう、リシェ。幸せにする」
「はい!? ……は、はい……」
「愛している」
「わ、わ、私も、です……」
早すぎる展開に戸惑いつつも、幸せそうなウェンデルを見ているとリシェも嬉しくて、幸せな気持ちになった。
そうして、二人は後日めでたく結婚することになる。
アードルフはウェンデルに脅された上で処罰を受け、街を出ることになった。
スライムは森へ帰した。運がよければ捕まらずに生きていくことだろう。
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読んでくださってありがとうございます。
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