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29.ふたりきりの夜 後
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「かっ……、ハンフリー様、聞いてもよろしいですか?」
「うん」
「男性は、我慢が効かないと聞いたことがあります」
「こういうときにね?」
「はい」
「襲っていいなら襲いたいよ、オリヴィアとするのは初めてじゃないし」
「っ……」
ハンフリーが一度オリヴィアを離し、片膝を曲げ姿勢を変えたあと、その足の間にオリヴィアの腰を当てるように引き寄せた。
「分かる? すごく元気なの」
「っ、はい」
「なんでしないと思う?」
「私の気持ちが、追いついていないから」
「うん、そうだね。さすがオリヴィアだ。頭で分かっても、感情は難しいよね」
(この、あたたかくて心地よい気持ちは、ハンフリー様が持ってくださっているのとは別物……?)
上手く言い表せないにしても、ハンフリーからの感情は強く、オリヴィアが彼に向けるものは弱い気がする。
オリヴィアの瞳の色がもし変わるのなら、ハンフリーに対して薄い瞳にしかならないだろう。きっと、唇へのキスを避けられているのはそのせいだ。
ハンフリーが夫になったのは、旧プレスコット家領地を治めるために必要だったからで、ハンフリー自身がオリヴィアを求めているとは、信じきれなかった。
ハンフリーがこの屋敷から去る日が来れば、オリヴィアには完全に行くところがなくなるし、夫婦になったことで居続けるつもりがあるのも分かる。言葉でも、たくさん伝えてもらった。
(それでも、本当にその気持ちを受け入れていいのか、まだ分からないの。だって、濃さが違うから。それなら、せめて……)
「あの、ハンフリー様、お辛くありませんか?」
「それは、どういう意味?」
「お辛いのであれば、私で解消できるのでしょう?」
「その理由で抱いてしまえば、あいつらと同類になる。オリヴィアを心から手に入れられるわけじゃない」
急に部屋の温度が下がったように感じるほど、その声は冷ややかだった。暗くて瞳の色は分からないが、オリヴィアは初めて威圧されたのだろう。
「っ、失礼いたしました、申し訳ありません」
「ごめん、そこまで怒ってないし、むしろオリヴィアからそう言ってもらえて、嬉しいよ。そうは思えないかもしれないけど……」
本当に怒っていないのか、オリヴィアには汲み取れなかった。
苦し気にも取れる声には、いつもの穏やかさがない。ぎゅっと抱き締められたあと、腕の力は緩まるものの、表情は見せてもらえない。
「ナイトドレス、薄くて心許ないだろう? マーサを呼んで、いつものに着替えておいで」
「ですが……」
「今日は初夜だし、使用人は待機してるはずだよ。少し時間をおいたら戻ってくる。隣で横になりたい」
「……かしこまりました」
言われた通りに呼び鈴でマーサを呼ぶと、夜も深いのに起きていて、その後ろにはドリーの姿も見えた。ハンフリーが出て行き、ドリーによって扉がきっちりと閉められてから、マーサが口を開いた。
「何も、なかったのですね」
(確かに、行為はしていないのだけれど……、本当に、怒っていらっしゃらないの?)
「……着替えたら戻って来られるわ。隣で横になるとおっしゃっていたし」
「そうですか」
マーサへの言葉を、オリヴィアは自分にも言い聞かせる。オリヴィアに対して怒っているなら、「戻ってくる」などとは言わなかったはずだ。
オリヴィアを慣れた手つきで着せ替えていくマーサは、この状況をどう思っているのだろう。仮面舞踏会での出来事を知っているのはマーサだけで、全く乱れのないこのナイトドレスを片付けるのもマーサだ。
「このナイトドレスは、保管しておきますからね」
「え?」
「お嬢様、いえ奥様」
(『奥様』! そうよ、式が終わったのだから、そう呼ばれるようになるのは当たり前のこと……)
「当主様は、お優しい方ですね」
「ええ、それはとっても」
「あの日のように、おふたりの気持ちが同じ方向を向けば、そのときにこのナイトドレスは役に立ちます。
こちらへ入れておきますから、もし私たちを呼べない時間に良い雰囲気になれば、ご自身で着用なさってください。当主様にお手伝いいただくのもひとつの手です」
「マーサ?」
「意味がよく分からないと思いますが、年上の私からできるアドバイスですよ、奥様」
◇
マーサと入れ替わるように、オリヴィアの私室へ戻ってきたハンフリーは、少しすっきりとした様子だった。
目を伏せたまま微笑んでいて、オリヴィアをキルトの中へ入れると、抱きついてきた。
「寝にくいだろうけど、大丈夫そう?」
「はい」
「おやすみ、オリヴィア」
「おやすみなさい」
ゆっくりと目を閉じると、むしろ、リズムよく聞こえるハンフリーの鼓動とあたたかい体温に安心し、普段よりも寝入りが早かった。
◇
すっきりと目覚め、横から感じるあたたかさに昨夜を思い出してしまった。いかに安心して眠れたのかを実感しても、その感謝をオリヴィアはとても伝えられなかった。
「おはよう、オリヴィア」
「おはようございます」
「いいね、これからは毎朝、わざわざ歩かなくても挨拶ができる」
(寝起きのハンフリー様……、少し幼く見える)
「毎晩、僕と寝るのは嫌?」
「いえ、あの、むしろ寝にくくありませんでしたか?」
「とんでもない。快適だったよ」
ゆっくりと身体を起こしたハンフリーは、長い腕を天井に向けて伸ばした。その背中は大きくて、先程までの幼さは微塵も感じられなかった。
「じゃあ、また昼食のときに。一日休みだけど、昨日は慣れないことをずっとしていたからね。屋敷でのんびり過ごそう」
「はい」
穏やかな瞳をしたハンフリーはすっと起き上がると、マーサを呼ぶための呼び鈴を鳴らしながら、オリヴィアの私室を出て行った。休みと言いつつ、急ぎの用件が届いていないか確認するために、午前中の時間を使うのだろう。
入れ替わるようにやってきたマーサは、いつも通り朝の支度を始めてくれる。
「ねえ、マーサ」
「いかがいたしましたか、奥様。やはりお疲れが出ていますか?」
「いいえ、それは大丈夫なの、熱が出ている感じはなくて……、不思議だけれど」
「ほぼ毎日、当主様と外を歩かれていますから、体力がついてきたんですよ」
一緒に昼食をとったあとの散歩はルーティンになっていて、雨の日以外はハンフリーとともに陽を浴びながら庭園を回っていた。ハンフリーはただ話すだけではなく、オリヴィアの体力作りを狙っていたのだ。
夜会などのたびに、発熱してしまうのはどうにもできないと諦めていたが、対策は取れるらしい。そして、その効果はすでに出ている。
(また、私のために……)
「……ねえ、マーサ。どうしたら、ハンフリー様に応えてあげられると思う?」
「応える、とは?」
「優しくされているとは思うの。触れられると心地よくて……、変な意味じゃなくて、ぎゅっとされるのは好きなの。お散歩だって、私のためだった。だから、お返ししたい」
マーサは少し考えたあと、言葉を返してくれた。八歳年上の専属使用人は、いつでもオリヴィアにとってよりよい選択肢を与えてくれる。
「……そのまま、同じことを返されてはいかがでしょう」
「同じこと?」
「そうですね、いきなりのハグは驚かれるでしょうから、何がいいでしょうか……。そういえば、当主様がお茶をご用意されたことがありましたよね? 次回は奥様が注いで差し上げるのはいかがでしょう」
「いい案ね、やってみたい。淹れ方を教えてくれる?」
「もちろんです、奥様」
「うん」
「男性は、我慢が効かないと聞いたことがあります」
「こういうときにね?」
「はい」
「襲っていいなら襲いたいよ、オリヴィアとするのは初めてじゃないし」
「っ……」
ハンフリーが一度オリヴィアを離し、片膝を曲げ姿勢を変えたあと、その足の間にオリヴィアの腰を当てるように引き寄せた。
「分かる? すごく元気なの」
「っ、はい」
「なんでしないと思う?」
「私の気持ちが、追いついていないから」
「うん、そうだね。さすがオリヴィアだ。頭で分かっても、感情は難しいよね」
(この、あたたかくて心地よい気持ちは、ハンフリー様が持ってくださっているのとは別物……?)
上手く言い表せないにしても、ハンフリーからの感情は強く、オリヴィアが彼に向けるものは弱い気がする。
オリヴィアの瞳の色がもし変わるのなら、ハンフリーに対して薄い瞳にしかならないだろう。きっと、唇へのキスを避けられているのはそのせいだ。
ハンフリーが夫になったのは、旧プレスコット家領地を治めるために必要だったからで、ハンフリー自身がオリヴィアを求めているとは、信じきれなかった。
ハンフリーがこの屋敷から去る日が来れば、オリヴィアには完全に行くところがなくなるし、夫婦になったことで居続けるつもりがあるのも分かる。言葉でも、たくさん伝えてもらった。
(それでも、本当にその気持ちを受け入れていいのか、まだ分からないの。だって、濃さが違うから。それなら、せめて……)
「あの、ハンフリー様、お辛くありませんか?」
「それは、どういう意味?」
「お辛いのであれば、私で解消できるのでしょう?」
「その理由で抱いてしまえば、あいつらと同類になる。オリヴィアを心から手に入れられるわけじゃない」
急に部屋の温度が下がったように感じるほど、その声は冷ややかだった。暗くて瞳の色は分からないが、オリヴィアは初めて威圧されたのだろう。
「っ、失礼いたしました、申し訳ありません」
「ごめん、そこまで怒ってないし、むしろオリヴィアからそう言ってもらえて、嬉しいよ。そうは思えないかもしれないけど……」
本当に怒っていないのか、オリヴィアには汲み取れなかった。
苦し気にも取れる声には、いつもの穏やかさがない。ぎゅっと抱き締められたあと、腕の力は緩まるものの、表情は見せてもらえない。
「ナイトドレス、薄くて心許ないだろう? マーサを呼んで、いつものに着替えておいで」
「ですが……」
「今日は初夜だし、使用人は待機してるはずだよ。少し時間をおいたら戻ってくる。隣で横になりたい」
「……かしこまりました」
言われた通りに呼び鈴でマーサを呼ぶと、夜も深いのに起きていて、その後ろにはドリーの姿も見えた。ハンフリーが出て行き、ドリーによって扉がきっちりと閉められてから、マーサが口を開いた。
「何も、なかったのですね」
(確かに、行為はしていないのだけれど……、本当に、怒っていらっしゃらないの?)
「……着替えたら戻って来られるわ。隣で横になるとおっしゃっていたし」
「そうですか」
マーサへの言葉を、オリヴィアは自分にも言い聞かせる。オリヴィアに対して怒っているなら、「戻ってくる」などとは言わなかったはずだ。
オリヴィアを慣れた手つきで着せ替えていくマーサは、この状況をどう思っているのだろう。仮面舞踏会での出来事を知っているのはマーサだけで、全く乱れのないこのナイトドレスを片付けるのもマーサだ。
「このナイトドレスは、保管しておきますからね」
「え?」
「お嬢様、いえ奥様」
(『奥様』! そうよ、式が終わったのだから、そう呼ばれるようになるのは当たり前のこと……)
「当主様は、お優しい方ですね」
「ええ、それはとっても」
「あの日のように、おふたりの気持ちが同じ方向を向けば、そのときにこのナイトドレスは役に立ちます。
こちらへ入れておきますから、もし私たちを呼べない時間に良い雰囲気になれば、ご自身で着用なさってください。当主様にお手伝いいただくのもひとつの手です」
「マーサ?」
「意味がよく分からないと思いますが、年上の私からできるアドバイスですよ、奥様」
◇
マーサと入れ替わるように、オリヴィアの私室へ戻ってきたハンフリーは、少しすっきりとした様子だった。
目を伏せたまま微笑んでいて、オリヴィアをキルトの中へ入れると、抱きついてきた。
「寝にくいだろうけど、大丈夫そう?」
「はい」
「おやすみ、オリヴィア」
「おやすみなさい」
ゆっくりと目を閉じると、むしろ、リズムよく聞こえるハンフリーの鼓動とあたたかい体温に安心し、普段よりも寝入りが早かった。
◇
すっきりと目覚め、横から感じるあたたかさに昨夜を思い出してしまった。いかに安心して眠れたのかを実感しても、その感謝をオリヴィアはとても伝えられなかった。
「おはよう、オリヴィア」
「おはようございます」
「いいね、これからは毎朝、わざわざ歩かなくても挨拶ができる」
(寝起きのハンフリー様……、少し幼く見える)
「毎晩、僕と寝るのは嫌?」
「いえ、あの、むしろ寝にくくありませんでしたか?」
「とんでもない。快適だったよ」
ゆっくりと身体を起こしたハンフリーは、長い腕を天井に向けて伸ばした。その背中は大きくて、先程までの幼さは微塵も感じられなかった。
「じゃあ、また昼食のときに。一日休みだけど、昨日は慣れないことをずっとしていたからね。屋敷でのんびり過ごそう」
「はい」
穏やかな瞳をしたハンフリーはすっと起き上がると、マーサを呼ぶための呼び鈴を鳴らしながら、オリヴィアの私室を出て行った。休みと言いつつ、急ぎの用件が届いていないか確認するために、午前中の時間を使うのだろう。
入れ替わるようにやってきたマーサは、いつも通り朝の支度を始めてくれる。
「ねえ、マーサ」
「いかがいたしましたか、奥様。やはりお疲れが出ていますか?」
「いいえ、それは大丈夫なの、熱が出ている感じはなくて……、不思議だけれど」
「ほぼ毎日、当主様と外を歩かれていますから、体力がついてきたんですよ」
一緒に昼食をとったあとの散歩はルーティンになっていて、雨の日以外はハンフリーとともに陽を浴びながら庭園を回っていた。ハンフリーはただ話すだけではなく、オリヴィアの体力作りを狙っていたのだ。
夜会などのたびに、発熱してしまうのはどうにもできないと諦めていたが、対策は取れるらしい。そして、その効果はすでに出ている。
(また、私のために……)
「……ねえ、マーサ。どうしたら、ハンフリー様に応えてあげられると思う?」
「応える、とは?」
「優しくされているとは思うの。触れられると心地よくて……、変な意味じゃなくて、ぎゅっとされるのは好きなの。お散歩だって、私のためだった。だから、お返ししたい」
マーサは少し考えたあと、言葉を返してくれた。八歳年上の専属使用人は、いつでもオリヴィアにとってよりよい選択肢を与えてくれる。
「……そのまま、同じことを返されてはいかがでしょう」
「同じこと?」
「そうですね、いきなりのハグは驚かれるでしょうから、何がいいでしょうか……。そういえば、当主様がお茶をご用意されたことがありましたよね? 次回は奥様が注いで差し上げるのはいかがでしょう」
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