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第五章 もっこもこカフェパワー全開!
舞い上がるホワイトクロス
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ちょっと脱線したけど、ようやくステラさんとテーブルセッティングの作業に戻る。
またまた初めて体験する仕事に、内心ちょっとドキドキしていた――――。
「先ほどは余計な手間取らせてしまってすみませんでした。ビスケとサブレは樹木さんを凄く好きみたいで」
「いえいえ! 俺なんかを気にってくれて、嬉しいですから」
『好き』って言葉に、無駄にドキッとしてしまう。仲間としての『好き』だとは分かっているけど、可愛い子からそんな言葉を聞けること自体、俺にはレアで免疫がない。
気を取り直して、今は仕事に集中せねばだ――――。
「えっと、テーブルセッティングですよね」
「はい。先ずは、テーブルクロスを掛けましょう。テーブルは拭いておきましたので、次にアンダークロスを敷く所からお願いします」
「アンダークロス?」
「はい。テーブルクロス下に敷くクロスなんです」
「へぇ~。初めて聞きました!」
安易に大きな布をテーブルに載せるだけかと思っていたら、新たなクロスの存在に驚いてしまう。もこもこたちだけではなく、俺には知らないことが沢山あり過ぎるな~。
「アンダークロスは、色んな役目があるんですよ。テーブルクロスの滑り止めにもなりますし、食器の消音や、水分を吸収する役割もあるのでもし何か液体が零れても、汚れを広げずに済むんです」
「凄いですね~。クロス一枚ににそんな色んな活用方法があるなんて、想像もしていませんでした!」
単に俺が無知なだけでもあるが、正直に感動してしまう。俺の素人丸出しの反応に、ステラさんは嬉しそうに微笑んだ。
「ふふふ、そう言って貰えると説明のし甲斐もありますね。では早速アンダークロスを敷きましょう!」
「はい!」
「お手数ですが、あそこの大きめの白い布を一枚持って来て頂けますか」
「はい、分かりました!」
ステラさんが示した方に向かうと、テーブルセッティングに使う物が一式置かれていた。俺は言われた通り白い大きな布を一枚手に取り、ステラさんの居るテーブルに戻る。
「ありがとうございます。では一緒にこれを広げたいのですが、クロスの角を両手で持って頂けますか?」
「はい。ここですね」
折りたたまれた布は角が見えるようになっていて、指先でそこを掴むとステラさんも同じように掴んだ。
「では、空中に持ち上げるように広げましょう! いっせ~の!」
「はい!」
ステラさんの掛け声に合わせて同時に腕を広げ、クロスを宙に舞わせる。
折りたたまれていた布が一気に広がり、目の前に真っ白な波がうねる景色が飛び込んでくるみたいだった。
「わぁ~!」
「テーブルに掛けますよ~」
ふんわりと落ちるクロスをテーブルの上に誘って、着地させる。皺を伸ばすためにステラさんとクロスを引っ張ると、さっきは滑らかな波だった布が、綺麗な平たんな大地に変貌した。
ただクロスを広げただけのことなのに、まるで魔法にでも掛けられたみたいに不思議な感覚と、抑えきれない衝動が込み上がってきて、感じるままに喉の奥から気持ちの塊が飛び出していく。
「おおおおっ!」
「樹木さん、お上手です!」
俺の雄叫びにも動じず、ステラさんが褒めてきた。
「何がどうしてか分からないけど、凄く胸の奥がわぁぁぁ~! って滾ってきます!」
「うふふふ。わぁぁぁ~ってなって貰えて嬉しいです! この調子で他のテーブルも、やりましょう!」
「はい!」
訳わからない感嘆詞の連続なのも気にせず、ステラさんも満面の笑顔で答えてくれる。こんな俺の感情にも一緒に共感してくれる人がいるのが、また嬉しかった――――。
同じことを繰り返し、次々とアンダークロスを敷いていく。その度に俺は意味不明な感動を口にし、ステラさんは笑い声を上げる。
「わぁぁぁ~! これでラストだぁ!」
「はい! 綺麗に掛けれましたね」
全部のテーブルに、アンダークロスが敷き終わる。ピンと綺麗に張られた真っ白なテーブルに窓から差し込む日差しが反射して輝いていて、まるで純白の水面のようだ。
暫く見惚れていたいけど、時間は待ってはくれない――――。
「樹木さん、次はテーブルクロスを敷いていきます」
「あ、はい! 色が付いたクロスですかね」
「そうです。アンダークロスより一回り小さめですので、作業的には楽かと思います」
ステラさんの説明を聞きながら、テーブルクロスを取ってくる。一番上に重ねられていたクロスは、黄色でズコットが担当のものだ。
「さっきと同じ要領で、クロスの端を掴んで広げます。だけどアンダークロス程、空中に浮かべなくても大丈夫ですよ」
「分かりました! せ~の!」
「はいっ!」
勢いで俺が掛け声を発してしまったが、アンダークロスで慣れたのもあってか、ステラさんとのタイミングはピッタリだった。それがまた、心地が良かったりする。
ステラさんが言った通り、テーブルクロスは一回りサイズが小さかったのもあって、重さも軽く感じたし広げるのも楽だった。
やってみて思ったことは、今日は二人で広げたけど、普段はこれをステラさん一人でやっているのだろうか?
ベテランのステラさんなら一人でもお手の物かもしれないけど、小柄だし、クロスも結構大きいから、楽な作業じゃないとは思ってしまう。まぁどの仕事も大変なことには変わりないんだけどさ――――。
クロスに皺が残らないように伸ばしながら、黙々とそんなことを考えてしまった。
「大変じゃないですか……これ、一人でやったら」
俺の呟きにステラさんは一瞬青緑色の瞳を見開くと、その後直ぐに目を細めて微笑んだ。
「ふふふ。そうですね~慣れてしまっていたから忘れていましたけど、そう言われますと今日はとっても楽でした」
「え……」
はっきりとは『大変です』とは言わず、別の表現で話すステラさんの言葉に意表を突かれる。
反射的に顔を上げると、視線の先にはステラさんの『あの』笑顔が用意されていた――――。
「だから、これからも一緒にセッティングを宜しくお願いしますね」
「あ……はい! ……っえ!?」
――――お決まりの『半強制的』の微笑みは、俺を自動的にテーブルクロス担当だと言わしめたのであった。
やはりステラさんの笑顔は、強者だぁぁぁ――――!!
またまた初めて体験する仕事に、内心ちょっとドキドキしていた――――。
「先ほどは余計な手間取らせてしまってすみませんでした。ビスケとサブレは樹木さんを凄く好きみたいで」
「いえいえ! 俺なんかを気にってくれて、嬉しいですから」
『好き』って言葉に、無駄にドキッとしてしまう。仲間としての『好き』だとは分かっているけど、可愛い子からそんな言葉を聞けること自体、俺にはレアで免疫がない。
気を取り直して、今は仕事に集中せねばだ――――。
「えっと、テーブルセッティングですよね」
「はい。先ずは、テーブルクロスを掛けましょう。テーブルは拭いておきましたので、次にアンダークロスを敷く所からお願いします」
「アンダークロス?」
「はい。テーブルクロス下に敷くクロスなんです」
「へぇ~。初めて聞きました!」
安易に大きな布をテーブルに載せるだけかと思っていたら、新たなクロスの存在に驚いてしまう。もこもこたちだけではなく、俺には知らないことが沢山あり過ぎるな~。
「アンダークロスは、色んな役目があるんですよ。テーブルクロスの滑り止めにもなりますし、食器の消音や、水分を吸収する役割もあるのでもし何か液体が零れても、汚れを広げずに済むんです」
「凄いですね~。クロス一枚ににそんな色んな活用方法があるなんて、想像もしていませんでした!」
単に俺が無知なだけでもあるが、正直に感動してしまう。俺の素人丸出しの反応に、ステラさんは嬉しそうに微笑んだ。
「ふふふ、そう言って貰えると説明のし甲斐もありますね。では早速アンダークロスを敷きましょう!」
「はい!」
「お手数ですが、あそこの大きめの白い布を一枚持って来て頂けますか」
「はい、分かりました!」
ステラさんが示した方に向かうと、テーブルセッティングに使う物が一式置かれていた。俺は言われた通り白い大きな布を一枚手に取り、ステラさんの居るテーブルに戻る。
「ありがとうございます。では一緒にこれを広げたいのですが、クロスの角を両手で持って頂けますか?」
「はい。ここですね」
折りたたまれた布は角が見えるようになっていて、指先でそこを掴むとステラさんも同じように掴んだ。
「では、空中に持ち上げるように広げましょう! いっせ~の!」
「はい!」
ステラさんの掛け声に合わせて同時に腕を広げ、クロスを宙に舞わせる。
折りたたまれていた布が一気に広がり、目の前に真っ白な波がうねる景色が飛び込んでくるみたいだった。
「わぁ~!」
「テーブルに掛けますよ~」
ふんわりと落ちるクロスをテーブルの上に誘って、着地させる。皺を伸ばすためにステラさんとクロスを引っ張ると、さっきは滑らかな波だった布が、綺麗な平たんな大地に変貌した。
ただクロスを広げただけのことなのに、まるで魔法にでも掛けられたみたいに不思議な感覚と、抑えきれない衝動が込み上がってきて、感じるままに喉の奥から気持ちの塊が飛び出していく。
「おおおおっ!」
「樹木さん、お上手です!」
俺の雄叫びにも動じず、ステラさんが褒めてきた。
「何がどうしてか分からないけど、凄く胸の奥がわぁぁぁ~! って滾ってきます!」
「うふふふ。わぁぁぁ~ってなって貰えて嬉しいです! この調子で他のテーブルも、やりましょう!」
「はい!」
訳わからない感嘆詞の連続なのも気にせず、ステラさんも満面の笑顔で答えてくれる。こんな俺の感情にも一緒に共感してくれる人がいるのが、また嬉しかった――――。
同じことを繰り返し、次々とアンダークロスを敷いていく。その度に俺は意味不明な感動を口にし、ステラさんは笑い声を上げる。
「わぁぁぁ~! これでラストだぁ!」
「はい! 綺麗に掛けれましたね」
全部のテーブルに、アンダークロスが敷き終わる。ピンと綺麗に張られた真っ白なテーブルに窓から差し込む日差しが反射して輝いていて、まるで純白の水面のようだ。
暫く見惚れていたいけど、時間は待ってはくれない――――。
「樹木さん、次はテーブルクロスを敷いていきます」
「あ、はい! 色が付いたクロスですかね」
「そうです。アンダークロスより一回り小さめですので、作業的には楽かと思います」
ステラさんの説明を聞きながら、テーブルクロスを取ってくる。一番上に重ねられていたクロスは、黄色でズコットが担当のものだ。
「さっきと同じ要領で、クロスの端を掴んで広げます。だけどアンダークロス程、空中に浮かべなくても大丈夫ですよ」
「分かりました! せ~の!」
「はいっ!」
勢いで俺が掛け声を発してしまったが、アンダークロスで慣れたのもあってか、ステラさんとのタイミングはピッタリだった。それがまた、心地が良かったりする。
ステラさんが言った通り、テーブルクロスは一回りサイズが小さかったのもあって、重さも軽く感じたし広げるのも楽だった。
やってみて思ったことは、今日は二人で広げたけど、普段はこれをステラさん一人でやっているのだろうか?
ベテランのステラさんなら一人でもお手の物かもしれないけど、小柄だし、クロスも結構大きいから、楽な作業じゃないとは思ってしまう。まぁどの仕事も大変なことには変わりないんだけどさ――――。
クロスに皺が残らないように伸ばしながら、黙々とそんなことを考えてしまった。
「大変じゃないですか……これ、一人でやったら」
俺の呟きにステラさんは一瞬青緑色の瞳を見開くと、その後直ぐに目を細めて微笑んだ。
「ふふふ。そうですね~慣れてしまっていたから忘れていましたけど、そう言われますと今日はとっても楽でした」
「え……」
はっきりとは『大変です』とは言わず、別の表現で話すステラさんの言葉に意表を突かれる。
反射的に顔を上げると、視線の先にはステラさんの『あの』笑顔が用意されていた――――。
「だから、これからも一緒にセッティングを宜しくお願いしますね」
「あ……はい! ……っえ!?」
――――お決まりの『半強制的』の微笑みは、俺を自動的にテーブルクロス担当だと言わしめたのであった。
やはりステラさんの笑顔は、強者だぁぁぁ――――!!
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