路地裏のカフェは、もこもこ尽くし

藤見暁良

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第五章 もっこもこカフェパワー全開!

どっきどきミーティング

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 衝撃のタフィーさんの紹介が終わった後、俺も皆と同じ列に並び直すと、ステラさんが今日の予定を話し始めた――――。
「本日も、ご予約頂いているのはお昼の部、夕の部、夜の部の三部とも満席です」
 『満席』との言葉に、早速少しビビってしまう。まだ仕事に慣れていない俺がいることで、いつもの皆のペースを乱したりしないか心配になる。せめて邪魔しないようにしなくてはだ。
「今日の担当は、昨日と同じタルト、アンニン、カカオ、マカロン、ズコットの五名です。今日もお客様が癒されるように、真心を込めたもっこもこ接客でお願いします」
「にゃ~」
「勿論みゃ~」
「はいわん」
「畏まりましたっぴょん」
「任せてっき~!」
 其々らしい返事を返すが、タルトだけ気が抜けているようにしか聞こえない。
 そう言えば、昨日は自分が座っていたからテーブルはずっと全部・・埋まっていたけど、今日はテーブルが一つ空く状態になるんだ。もう一名、接客担当のもこもこが居たら、全席埋まるんだよな?
 でもそうなったとしたら、その分忙しくもなるから、俺がいっぱいいっぱいになってしまうだろうから、しばらくあそこは空席でいて貰うことを願ってしまう。
 取り敢えず、今日の所は俺は引き続きキッチン補助だろうな。出来ることなら皿洗いをさせて欲しかったけど、タフィーさんがいるからそれはなさそうだ。
 そんなことを考えながら、見れば見るほど存在が派手なタフィーさんをチラリと見やった――――。

 ミーティングが終わると、もっこもこメンバーがドアの前に並び、お客様を出迎える態勢を整える。キッチンメンバーは、自分たちの所定の場所へ戻って行く。タフィーさんのふっさふさ頭に視線を向けつつ、後についてキッチンに戻ろうとしたら――――。
「樹木さん! 今日は接客補助をしてください!」
「……へ?」
 ステラさんが、何か妙なことを言ってきた。一瞬、頭が真っ白になって理解が追い付かない。間抜けな顔でステラさの方に振り返る。
「樹木さんも、一緒にお客様のお出迎えに並んでください!」
 ステラさんは可愛らしく、めちゃめちゃニッコリと微笑んだ。そう、あの微笑みだ――――。
 駄目もとでも、俺は恐る恐るステラさんにお伺いを立ててみるチャレンジをしてみた。
「いや、でも……今日の今日で、いきなり接客は無理だと思うんですがぁ~」
「きっと、大丈夫ですよ! フォローは皆でしますので!」
「いやでもですよ。俺、接客経験ないし、何をどうすればいいか直ぐに判断出来ないですよ」
「まぁ樹木さん、ご謙遜を~」
 謙遜でもなく遠慮でもなく、本気でそう思っているのに、ステラさんはニコニコと微笑み返してきた。
 あぁ――――これは絶対に、逆らえない微笑みだよね。
「……隅っこで、立っているだけでも……良いですか?」
 せめて見学レベルにさせて貰いたい。俺の存在なんて、お客さんにとったら、それこそ観葉植物レベルだろうし。
 俺が店内に立つだけでも前向きっぽい意志に見えたのか、ステラさんは嬉しそうに微笑んだ。
「はい! 全然、大丈夫です!」 
 ステラさんは快く言っているが、それを面白くなさそうに思っているだろう人物がいることを俺は知っている。
「本当に大丈夫なのかにゃ~」
 俺様猫様タルト様は、ムカつくほどの美形な顔を顰めて、溜息を吐いているからだ。
 こんの~! 見てろよ俺様タルト! 俺はそれは見事な、観葉植物となり切って見せるからな!
 ――――なんて、意味不明な闘志が湧き上がってしまった。


「では、もっこもこカフェ開店します!」
 こうして予測不可能な、俺のもっこもこカフェ『二日目』が開店したのであった――――。


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