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一章
上手におねだりしてみよう
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「かかしゃま、ご本をよんでくださいませ」
舌足らずながらも一生懸命、喋りおねだりする小さな彼女はたいそう可愛らしい。
ベッドの上で少女の母が優しく笑った。
「いいわよ、こちらにおいでなさい。リリーが眠るまで、読んであげるわ」
その言葉を聞いた少女は嬉しさのあまり、母のベッドに飛び乗った。
「こら、危ないでしょう」
「んふふ。だってうれしかったんれすもの」
頭を優しく母に撫でられた、少女は大きな目を細めてご機嫌の様子だった。
「今夜は何のご本を読んで欲しいのかしら」
「このえほんです」
そう言って、リリーがお母様の前に取り出した絵本はお姫様と王子様のお話だった。
「あら、またこの絵本なのかしら?他のものでもお母様は読んであげますわよ」
ここ二週間はずっとこの本を読み続けた母が言った。
「りりーはこのえほんがすきなのです」
首をゆるゆると振りながら、この絵本が良いと主張する。
「この絵本以外でも読んで欲しくなったら、いつでも言っていいのよ?」
「りりーはそれでもこのえほんがすきなのれす」
涙目になりながら、懸命に訴えかける少女を断れる人なんて誰一人いないだろう。
「わ、分かっているわ。それじゃ、早く毛布の中にお入りなさい。読んであげますから」
リリーが泣いてしまう前に、母がそう言った。
すると、花が綻ぶようにリリーが笑った。
「ありがとうございます!かかしゃま!」
いそいそとベッドに入り込み毛布を肩までかぶった。
『昔、昔、ある王国には可愛いお姫様がいました。お姫様は幸せに過ごしていましたが、お姫様のお母さんが亡くなってからは大変でした。お父さんが・・・』
リリーはこの絵本が大好きだった。
なぜなら、可愛いお姫様は、不幸に見舞われながらも王子様と運命の出会いをし、再び幸せを手に入れる事ができたのだから。
でも、リリーは運命の出会いやら、幸せやらよりも、たったひとつ、『永遠の愛』に強く憧れていたのである。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・王子様はお姫様に誓いました。永遠の愛を。』
リリーにとって『永遠の愛』とは未知の言葉で彩り、造られた、宝物だった。
少女は十分に幸せだった。
少女はヴァルドレア王国と言う大陸屈指の大国のたったの一人のお姫様だった。
少女がねだれば、大抵のモノは手に入った。
綺麗な服も、ふかふかの可愛いぬいぐるみも、どんな宝石でも。
けれど、『永遠の愛』は簡単に手に入るモノではないと知っていた。
だから、ねだった。
「かかしゃま、りりーに『永遠の愛』をくださいな」
極上の笑みに乗せたそのおねだりは母を頷かせた。
「ええ、もちろん。あなたのそばにずっといるわ。リリーをずっと愛しているわ」
少女は確かに『永遠の愛』を手に入れたはずだった。
それは、とてもとても、幸せだったのだ。
舌足らずながらも一生懸命、喋りおねだりする小さな彼女はたいそう可愛らしい。
ベッドの上で少女の母が優しく笑った。
「いいわよ、こちらにおいでなさい。リリーが眠るまで、読んであげるわ」
その言葉を聞いた少女は嬉しさのあまり、母のベッドに飛び乗った。
「こら、危ないでしょう」
「んふふ。だってうれしかったんれすもの」
頭を優しく母に撫でられた、少女は大きな目を細めてご機嫌の様子だった。
「今夜は何のご本を読んで欲しいのかしら」
「このえほんです」
そう言って、リリーがお母様の前に取り出した絵本はお姫様と王子様のお話だった。
「あら、またこの絵本なのかしら?他のものでもお母様は読んであげますわよ」
ここ二週間はずっとこの本を読み続けた母が言った。
「りりーはこのえほんがすきなのです」
首をゆるゆると振りながら、この絵本が良いと主張する。
「この絵本以外でも読んで欲しくなったら、いつでも言っていいのよ?」
「りりーはそれでもこのえほんがすきなのれす」
涙目になりながら、懸命に訴えかける少女を断れる人なんて誰一人いないだろう。
「わ、分かっているわ。それじゃ、早く毛布の中にお入りなさい。読んであげますから」
リリーが泣いてしまう前に、母がそう言った。
すると、花が綻ぶようにリリーが笑った。
「ありがとうございます!かかしゃま!」
いそいそとベッドに入り込み毛布を肩までかぶった。
『昔、昔、ある王国には可愛いお姫様がいました。お姫様は幸せに過ごしていましたが、お姫様のお母さんが亡くなってからは大変でした。お父さんが・・・』
リリーはこの絵本が大好きだった。
なぜなら、可愛いお姫様は、不幸に見舞われながらも王子様と運命の出会いをし、再び幸せを手に入れる事ができたのだから。
でも、リリーは運命の出会いやら、幸せやらよりも、たったひとつ、『永遠の愛』に強く憧れていたのである。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・王子様はお姫様に誓いました。永遠の愛を。』
リリーにとって『永遠の愛』とは未知の言葉で彩り、造られた、宝物だった。
少女は十分に幸せだった。
少女はヴァルドレア王国と言う大陸屈指の大国のたったの一人のお姫様だった。
少女がねだれば、大抵のモノは手に入った。
綺麗な服も、ふかふかの可愛いぬいぐるみも、どんな宝石でも。
けれど、『永遠の愛』は簡単に手に入るモノではないと知っていた。
だから、ねだった。
「かかしゃま、りりーに『永遠の愛』をくださいな」
極上の笑みに乗せたそのおねだりは母を頷かせた。
「ええ、もちろん。あなたのそばにずっといるわ。リリーをずっと愛しているわ」
少女は確かに『永遠の愛』を手に入れたはずだった。
それは、とてもとても、幸せだったのだ。
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