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一章
ローザに会おう
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あれだけ一生懸命に励んでいた魔法の修行をさっぱり辞めて、リリーは私室に籠っては、泣き伏せていた。
目は真っ赤になって腫れていない時などないし、白金のサラサラの髪は整えられることなく、ボサボサのままだった。白かった肌は青白く不健康な血色になって、身体は痩せこけていった。
毎日泣いて、毎日叫んだ。
赤ん坊のように喚いては、母を求めた。
ローザは近衛隊の訓練合宿に出掛けていて、リリーは夜も一人だった。
湯浴みをして下さい、ご飯を食べて下さいなどとメイド達に懇願されても、まるで人形のようにベッドから動かなかった。
一人娘を心配した、王様はリリーに寂しい思いをさせてはいけないと、新しい王妃を娶った。
だが、逆効果だった。
王妃の連れ子はリリーより一歳年下で、随分と甘やかされて育ったのか、とっても我儘だった。
リリーのような綺麗な白金の髪が欲しいと言っては、リリーの髪を裁縫ばさみでザクザク切った。
リリーのような綺麗な金色の目が欲しいと言っては、リリーの目を針で抉り取ろうとした。
どんなに理不尽な暴行を受けても、リリーはただただ無関心を貫いた。
頑張って伸ばした髪を切られても、目のすぐ近くに針を向けられていても、どうでもいいと言うように虚空を見つめていた。
────そんなある日だった。
''ローザが帰ってきた'' そんな報せが耳に入った。
何ヶ月ぶりか、リリーは表情に変化を見せた。
お世話をしてくれていたメイドの制止を押し退けては、部屋から飛び出て廊下をふらつきながらも、走った。
曲がり角を曲がったその瞬間、誰かにぶつかってしまった。
「きゃあっ」
ぶつかった相手は、最近できたと言う妹らしい。
初めて、その姿をはっきりと目に写したリリーだったが今はそれどころじゃなかった。
「ごめんなさい」
リリーはそう言うと、妹の横からすり抜けて走り去った。
(ローザッ!ローザ、ローザ!!会いたい!!!)
それだけを思い、懸命に走った。
城の廊下から見る景色は雨上がりのようで、青い空には大きな虹がかかっていた。
引き止めようとする衛兵の声を無視して、門前の庭園近くまで来た────が、ローザはいない。
「ろーざ・・・いないのぉ??」
涙がボロボロとこぼれ落ちた。
勝気だった少女の面影は無くなっていた。目を擦っては、情けなく泣いた。
「ローザ、ローザ、ローザァ!!」
冬は過ぎて、春になっていたらしく、花が綺麗に咲き誇っていた。
春風が優しく吹いて、花びらが舞う。
「リリー様、お呼びですか?」
風のごとく颯爽と現れ、優しい声でリリーの呼び掛けに応えてくれる。
そんな人、リリーは一人しか知らない。
「っローザ!!!」
やっと会えた、愛しい私のローザ。
「ろーざぁ、あいたかったのぉ」
ぐずぐずと鼻をすすっては、歓喜の涙を流した。
しばらく会わないうちに背が高くなってしまったローザに目一杯、背伸びをして抱きついた。
勢い余ったのか、そのまま二人とも芝生に倒れ込んでしまった。
雨上がりの露と花の匂いがふんわり薫る。
「リリー様、俺も会いたかったです。こんなにお痩せになられて、可哀想に・・・」
そう言って、リリーの頬を優しく触れてはては、首筋までその手を撫で下ろす。
ローザはこの仕草が癖のようだった。
ローザの上にリリーが乗っかてしまっているままなのにリリーは全く気付かず、ローザの胸元に顔を埋めては、泣きぐずった。
優しく頭を撫でながらもう片方の手で背中をぽんぽんとリズム良く叩かれると、眠くなっていく。
''眠い''と感じるのは久しぶりで、リリーはその欲望に逆らえず、すやすやと眠ってしまった。
────────────────────────────────✍︎
1日2回更新!
こんばんは。
リリー様は病み期ですね。
この時期で再婚って王様はかなりのアホのようです。
次はローザ視点での更新となります。
では、また┏○ペコ
目は真っ赤になって腫れていない時などないし、白金のサラサラの髪は整えられることなく、ボサボサのままだった。白かった肌は青白く不健康な血色になって、身体は痩せこけていった。
毎日泣いて、毎日叫んだ。
赤ん坊のように喚いては、母を求めた。
ローザは近衛隊の訓練合宿に出掛けていて、リリーは夜も一人だった。
湯浴みをして下さい、ご飯を食べて下さいなどとメイド達に懇願されても、まるで人形のようにベッドから動かなかった。
一人娘を心配した、王様はリリーに寂しい思いをさせてはいけないと、新しい王妃を娶った。
だが、逆効果だった。
王妃の連れ子はリリーより一歳年下で、随分と甘やかされて育ったのか、とっても我儘だった。
リリーのような綺麗な白金の髪が欲しいと言っては、リリーの髪を裁縫ばさみでザクザク切った。
リリーのような綺麗な金色の目が欲しいと言っては、リリーの目を針で抉り取ろうとした。
どんなに理不尽な暴行を受けても、リリーはただただ無関心を貫いた。
頑張って伸ばした髪を切られても、目のすぐ近くに針を向けられていても、どうでもいいと言うように虚空を見つめていた。
────そんなある日だった。
''ローザが帰ってきた'' そんな報せが耳に入った。
何ヶ月ぶりか、リリーは表情に変化を見せた。
お世話をしてくれていたメイドの制止を押し退けては、部屋から飛び出て廊下をふらつきながらも、走った。
曲がり角を曲がったその瞬間、誰かにぶつかってしまった。
「きゃあっ」
ぶつかった相手は、最近できたと言う妹らしい。
初めて、その姿をはっきりと目に写したリリーだったが今はそれどころじゃなかった。
「ごめんなさい」
リリーはそう言うと、妹の横からすり抜けて走り去った。
(ローザッ!ローザ、ローザ!!会いたい!!!)
それだけを思い、懸命に走った。
城の廊下から見る景色は雨上がりのようで、青い空には大きな虹がかかっていた。
引き止めようとする衛兵の声を無視して、門前の庭園近くまで来た────が、ローザはいない。
「ろーざ・・・いないのぉ??」
涙がボロボロとこぼれ落ちた。
勝気だった少女の面影は無くなっていた。目を擦っては、情けなく泣いた。
「ローザ、ローザ、ローザァ!!」
冬は過ぎて、春になっていたらしく、花が綺麗に咲き誇っていた。
春風が優しく吹いて、花びらが舞う。
「リリー様、お呼びですか?」
風のごとく颯爽と現れ、優しい声でリリーの呼び掛けに応えてくれる。
そんな人、リリーは一人しか知らない。
「っローザ!!!」
やっと会えた、愛しい私のローザ。
「ろーざぁ、あいたかったのぉ」
ぐずぐずと鼻をすすっては、歓喜の涙を流した。
しばらく会わないうちに背が高くなってしまったローザに目一杯、背伸びをして抱きついた。
勢い余ったのか、そのまま二人とも芝生に倒れ込んでしまった。
雨上がりの露と花の匂いがふんわり薫る。
「リリー様、俺も会いたかったです。こんなにお痩せになられて、可哀想に・・・」
そう言って、リリーの頬を優しく触れてはては、首筋までその手を撫で下ろす。
ローザはこの仕草が癖のようだった。
ローザの上にリリーが乗っかてしまっているままなのにリリーは全く気付かず、ローザの胸元に顔を埋めては、泣きぐずった。
優しく頭を撫でながらもう片方の手で背中をぽんぽんとリズム良く叩かれると、眠くなっていく。
''眠い''と感じるのは久しぶりで、リリーはその欲望に逆らえず、すやすやと眠ってしまった。
────────────────────────────────✍︎
1日2回更新!
こんばんは。
リリー様は病み期ですね。
この時期で再婚って王様はかなりのアホのようです。
次はローザ視点での更新となります。
では、また┏○ペコ
応援ありがとうございます!
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