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一章
魔力暴走を止めてみよう 2
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凄まじい音と光がリリーから放たれていた。
ローザは暗器を袖からストンと自分の両手へと六本落として、ギュッと握ぎり閉めた。
「フェネア!!捕縛の結界を維持したまま影に戻れ!!後は俺がやる!」
「は、はぁっ!?正気かよ!!?お前一人でこの暴走止めれんのかよ!?」
「だから、結界の魔力供給止めないでよって言ったんだけど?」
喋りながらも、ローザは魔法を組んでいく。
即席の魔法ではない。いつかこうなってしまうのではないかと想定した時に準備していたものだが、少しばかりタイミングが早すぎた。
塵や瓦礫にまみれて、気絶している女二人がローザの視界に少しだけ入った。
「くっそ・・・余計な事してくれたな」
こればっかりは、ダリアや皇妃を恨まずにはいられなかった。
今はあまり余裕は持てない状況下であったが、悪態は止まらずにローザの心中は荒れに荒れていた。
光の斬撃を避けては、ブツブツと詠唱を続ける。
魔力を込めた呪符を暗器に括りつけてリリーの周辺へと六本投げ刺した。
「おい!戻ったぜ!ローザネリア、後は結界保持だけで良いんだな!?」
「あぁ、任せたよ!」
──────さあ、ここからが本番だ。
目を瞑って、気を集中させる。
目を瞑れば、ローザの脳裏にはリリーとの思い出が鮮やかに浮かんだ。
荒れ果てていた心を落ち着かせて、深く息を吸った。
(絶対に救い出してみせよう。リリー様は俺の全てなんだから・・・)
ローザとリリー、二人を中心にして風が渦巻く。
互いの魔力がぶつかり合っては、衝撃波や稲妻のような閃光が走る。
渦巻く煙幕の中ちらりと一瞬だけリリーが垣間見えた。
──────今だっ!!!
ローザはカッと目を見開き、両手を重ねた。
「【癒せ】!!!」
ローザがそう叫ぶと先程投げた暗器がエメラルド色に発光して六本が共鳴し合い、六芒星を型どった。
暴風が吹いて、辺りの瓦礫や庭にあった木々や花々諸共、吹き飛ばしていく。
ローザはリリーへと一気に間合いを詰めた。
激しい向かい風とリリーの強い魔力に当てられて、ローザの服や頬に傷が走る。
(─────────っ後、もう少しっっ)
エメラルド色に包まれたローザの右手がリリーの持っている絵本に近づく。
そして、ローザの手が絵本へとやっと届いた。
地面には六芒星を型どるために刺した暗器が轟々と緑に燃える。暗器に括りつけた対象者の魔力を抑える呪符が限界を迎えそうだった。
絵本の題名はやはり『永遠の愛』であった。
リリー様は絵本をお妃様に頂いてから何年経ったのだろうか。まるで触れたら割れてしまう物のように大切に大切に扱っていたのだろうか。その絵本の表紙には涙のシミが幾つも落ちていた。
ローザはスラリと剣を腰から抜いて構えた。
ローザの表情は切ない色に染まっていた。今にも風に吹かれて羽のようにどこかに飛んで行ってしまうみたいだった。
ローザの手にグッと力が入った。
無情にも、なんの遠慮もなく剣は絵本へと刺さった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ バ キ ッ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
張られていた結界が割れた音が辺りに轟いた。
風と魔力はリリーとローザに集まっていくようにぐるぐると猛り狂った。
凄まじい鳴動がしたかと思うと、凪いだように無音になった。
────────────────────────────…………
「・・・・・・おい、ローザネリア・・・・・・大丈夫か?」
黒いモヤからフェネアが顔をひょいと出した。
リリーの魔力暴走はようやく終わったようだった。
リリーを抱き締めるようにして、ローザが地面に佇んでいた。リリーの肩に顔を埋めてその表情は見て取れない。
フェネアは不安に駆られてローザに手を近づけようとした。
「───────お、お前・・・・・・」
ローザはフェネアの手が近づく寸前に顔を上げていた。
ローザの表情は切なかった。
だが、涙を緩やかに流すその表情は狂気に溢れていた。
「嗚呼、嗚呼、やっとだ。やっと、やっと俺だけのものだ」
ローザの涙がポタリとリリーの目元に落ちた。
ローザは自分の涙をリリーの肌に広げるようにして拭い取った。
泣きながら狂気に歪み笑う姿は悪魔が慄く程、恐ろしく、そして美しかった。
「ふふっ、あはははははは・・・・・・・・・」
笑い声が閑散とした後宮に響く。
壊れたように笑っては、ローザの涙がポタポタと抱きかかえているリリーの白い肌に落ちていく。
「リリー様、リリー様、リリー様リリー様リリー様・・・・・・。俺は絶対に貴方から離れない。たとえ貴方が死んでも、絶対に・・・・・・」
─────────────────片時も離れず、貴方に愛を、俺自身全てを捧げましょう。
それが俺の『永遠の愛』だから。
もし、その愛が狂気に満ちていても・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
────────────────────────────────✍︎
更新が遅すぎた。
でも、連休ありがとう。
では、また┏○ペコッ
ローザは暗器を袖からストンと自分の両手へと六本落として、ギュッと握ぎり閉めた。
「フェネア!!捕縛の結界を維持したまま影に戻れ!!後は俺がやる!」
「は、はぁっ!?正気かよ!!?お前一人でこの暴走止めれんのかよ!?」
「だから、結界の魔力供給止めないでよって言ったんだけど?」
喋りながらも、ローザは魔法を組んでいく。
即席の魔法ではない。いつかこうなってしまうのではないかと想定した時に準備していたものだが、少しばかりタイミングが早すぎた。
塵や瓦礫にまみれて、気絶している女二人がローザの視界に少しだけ入った。
「くっそ・・・余計な事してくれたな」
こればっかりは、ダリアや皇妃を恨まずにはいられなかった。
今はあまり余裕は持てない状況下であったが、悪態は止まらずにローザの心中は荒れに荒れていた。
光の斬撃を避けては、ブツブツと詠唱を続ける。
魔力を込めた呪符を暗器に括りつけてリリーの周辺へと六本投げ刺した。
「おい!戻ったぜ!ローザネリア、後は結界保持だけで良いんだな!?」
「あぁ、任せたよ!」
──────さあ、ここからが本番だ。
目を瞑って、気を集中させる。
目を瞑れば、ローザの脳裏にはリリーとの思い出が鮮やかに浮かんだ。
荒れ果てていた心を落ち着かせて、深く息を吸った。
(絶対に救い出してみせよう。リリー様は俺の全てなんだから・・・)
ローザとリリー、二人を中心にして風が渦巻く。
互いの魔力がぶつかり合っては、衝撃波や稲妻のような閃光が走る。
渦巻く煙幕の中ちらりと一瞬だけリリーが垣間見えた。
──────今だっ!!!
ローザはカッと目を見開き、両手を重ねた。
「【癒せ】!!!」
ローザがそう叫ぶと先程投げた暗器がエメラルド色に発光して六本が共鳴し合い、六芒星を型どった。
暴風が吹いて、辺りの瓦礫や庭にあった木々や花々諸共、吹き飛ばしていく。
ローザはリリーへと一気に間合いを詰めた。
激しい向かい風とリリーの強い魔力に当てられて、ローザの服や頬に傷が走る。
(─────────っ後、もう少しっっ)
エメラルド色に包まれたローザの右手がリリーの持っている絵本に近づく。
そして、ローザの手が絵本へとやっと届いた。
地面には六芒星を型どるために刺した暗器が轟々と緑に燃える。暗器に括りつけた対象者の魔力を抑える呪符が限界を迎えそうだった。
絵本の題名はやはり『永遠の愛』であった。
リリー様は絵本をお妃様に頂いてから何年経ったのだろうか。まるで触れたら割れてしまう物のように大切に大切に扱っていたのだろうか。その絵本の表紙には涙のシミが幾つも落ちていた。
ローザはスラリと剣を腰から抜いて構えた。
ローザの表情は切ない色に染まっていた。今にも風に吹かれて羽のようにどこかに飛んで行ってしまうみたいだった。
ローザの手にグッと力が入った。
無情にも、なんの遠慮もなく剣は絵本へと刺さった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ バ キ ッ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
張られていた結界が割れた音が辺りに轟いた。
風と魔力はリリーとローザに集まっていくようにぐるぐると猛り狂った。
凄まじい鳴動がしたかと思うと、凪いだように無音になった。
────────────────────────────…………
「・・・・・・おい、ローザネリア・・・・・・大丈夫か?」
黒いモヤからフェネアが顔をひょいと出した。
リリーの魔力暴走はようやく終わったようだった。
リリーを抱き締めるようにして、ローザが地面に佇んでいた。リリーの肩に顔を埋めてその表情は見て取れない。
フェネアは不安に駆られてローザに手を近づけようとした。
「───────お、お前・・・・・・」
ローザはフェネアの手が近づく寸前に顔を上げていた。
ローザの表情は切なかった。
だが、涙を緩やかに流すその表情は狂気に溢れていた。
「嗚呼、嗚呼、やっとだ。やっと、やっと俺だけのものだ」
ローザの涙がポタリとリリーの目元に落ちた。
ローザは自分の涙をリリーの肌に広げるようにして拭い取った。
泣きながら狂気に歪み笑う姿は悪魔が慄く程、恐ろしく、そして美しかった。
「ふふっ、あはははははは・・・・・・・・・」
笑い声が閑散とした後宮に響く。
壊れたように笑っては、ローザの涙がポタポタと抱きかかえているリリーの白い肌に落ちていく。
「リリー様、リリー様、リリー様リリー様リリー様・・・・・・。俺は絶対に貴方から離れない。たとえ貴方が死んでも、絶対に・・・・・・」
─────────────────片時も離れず、貴方に愛を、俺自身全てを捧げましょう。
それが俺の『永遠の愛』だから。
もし、その愛が狂気に満ちていても・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
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更新が遅すぎた。
でも、連休ありがとう。
では、また┏○ペコッ
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