8 / 18
2 : 10年後
現在、ココ。2
しおりを挟む
「.........よし、こんな感じか?」
多分、これはこれを言ってるんじゃね?ってかんじで推理して書き連ねたメモから、これこそは正解だろうと思われる言葉を選んで繋いでやっとこさ書き上げられた手紙の翻訳。
ただ、エルドーはまだ納得出来ていないのか眉間のシワが消えない。
アハハ、分かるよその気持ち。
「本当に意味が分からなかった...。」
「きっと、私達よりも学が無いのね...この人って。」
「貴族って回りくどい言い回しとかするらしいけど、これは回りくどいっていう段階じゃないぞ?
意味不明過ぎるからな?」
エリザとスーザンは疲れて机に突っ伏してて、エルドーは呆れて頭を抱えてる。
あまりにもワケわからないもんだから、1人よりも良いかと皆を巻き込んだ挙げ句にそんなにも悩ませてしまってゴメンよ。
「解読するのに、3日もかかってしまったねー。」
想像以上にかかったなぁー...取り敢えず、お茶淹れたから飲みませんか?
はい、お茶菓子なら甘いのがここにありますよー。
あぁ、今ここにいないシュゼフは、ある程度解読出来た頃に、突然真顔でお父さんとお母さんに宛てた分厚いお手紙を書き始めて、凄味を忍ばせた笑顔で出しに行きました。
あの顔、何を書いたのかねぇ?
「ま、雨季は食堂も暇だから、良い暇潰しにはなったんじゃない?
さて、大分待たせちゃっただろうけど、王子様にお返事を書きますかねー。」
「うん、王子様も、こんなのを読まされて頭が痛かっただろーなぁー。」
それね!
あまり親しくない国からの、それも知らない人からの唐突な手紙に驚きつつも警戒しつつも読んでみたら、こんなワケわからない内容で、困惑と共にきっと心配してくださっていることでしょう。
そんな優しい王子様の心労を、少しでも取り除いてあげないとね!
にしても、私が家を出てから、もう10年も経ってるのに今更何なの?て感じだよねー。
あ、手紙の内容はね?一応多分だけども...
──────────
そちらでリミューズ食堂を経営しているのは私達の娘である。
娘と共に私達から奪った全てを返してもらおう!
──────────
的なことが書いてあるみたい。
いや、私は自分の意思で出ていっただけでこの国の王子は何も奪ってないし、そもそも全てってなに?って感じなんだけど...。
まぁ、この食堂も今では結構繁盛しててさ?
どっかからその噂を聞き付けたんじゃないかなぁ?とは思うんだけどね。
─────回想
あれは、3年くらい前にエルドーと買い出しをしていたときのこと。
兄との視察の途中に拐われて、奴隷として売られる直前になんとか逃げ出したらしいんだけど、ろくに食べられてなかったみたいで道の端っこで行き倒れてた男の子を拾ったのよ。
で、結構仕立ての良い綺麗な服を着てるからお貴族様かもってことで、そういう面倒に巻き込まれたくない派のエルドーが気絶している男の子を背負って騎士もいる詰所に連れていって、押し付けて厄介払いしようかなぁと考えてたのよー。
だけどさ?運んでる間もずーっと、少年のお腹がグゥグゥ鳴ってるのよ!
肌はカサついてるしお腹も空かせてるっぽかったから、私よりも幼い訳だしってエルドーが不憫に思って詰所でちゃちゃっとご飯を作ったわけ。
で、貪るように食べてる少年を見た騎士がこっそりと、
『この方は王子様だぞ。』
って教えてくれたの。
少年にとって私達は命の恩人ってことで王宮からの謝礼金とかが入るらしく、保護者枠であるスーザンとシュゼフが呼ばれたのよ。
王宮からの迎えが来るまでに、安心して食べられる方が良いだろうってことで騎士様に頼まれて詰め所に何度か差し入れをしたからか、エルドーとスーザンの料理が気に入ったらしく、また食べたいっていう怨念染みた手紙が届いたんだよねー...毎日。
あの時は、少し怖かったなぁ...ホラーかい!ってツッコんだよね。
あ、脱線しちゃった...でね?
王宮に帰った王子様がこの領地に来なくても食べられるようにってことで、王都に2号店を出したのー。
私達の住んでる街を治めているお貴族様が、権利書関係とかもきっちりとしてくれたし、諸々のお金とかも出してくれました。
『王都に2号店があれば、このスープがいつでも飲める!
王子様、万歳!!』
って喜んでたよ?
バレバレだったけど、お忍びでよく来てたもんねー。
─────回想終わり
スパイスカレーって、絶妙に食欲を刺激するじゃん?
フッフッフッ!自分も食べたいから、2年もかけて開発しましたとも!
ドロドロだとご飯が欲しくなるから、サラサラのスープにしたの。
あぁ、どうしてこの世界にはご飯が無いのー!!
切実にご飯が欲しい...もち米も可。
馬とか牛とかの飼育用の試料とかになってたりしないかなと期待してはみたものの、今のところ出会えてないんだよー...悲しい。
*
多分、これはこれを言ってるんじゃね?ってかんじで推理して書き連ねたメモから、これこそは正解だろうと思われる言葉を選んで繋いでやっとこさ書き上げられた手紙の翻訳。
ただ、エルドーはまだ納得出来ていないのか眉間のシワが消えない。
アハハ、分かるよその気持ち。
「本当に意味が分からなかった...。」
「きっと、私達よりも学が無いのね...この人って。」
「貴族って回りくどい言い回しとかするらしいけど、これは回りくどいっていう段階じゃないぞ?
意味不明過ぎるからな?」
エリザとスーザンは疲れて机に突っ伏してて、エルドーは呆れて頭を抱えてる。
あまりにもワケわからないもんだから、1人よりも良いかと皆を巻き込んだ挙げ句にそんなにも悩ませてしまってゴメンよ。
「解読するのに、3日もかかってしまったねー。」
想像以上にかかったなぁー...取り敢えず、お茶淹れたから飲みませんか?
はい、お茶菓子なら甘いのがここにありますよー。
あぁ、今ここにいないシュゼフは、ある程度解読出来た頃に、突然真顔でお父さんとお母さんに宛てた分厚いお手紙を書き始めて、凄味を忍ばせた笑顔で出しに行きました。
あの顔、何を書いたのかねぇ?
「ま、雨季は食堂も暇だから、良い暇潰しにはなったんじゃない?
さて、大分待たせちゃっただろうけど、王子様にお返事を書きますかねー。」
「うん、王子様も、こんなのを読まされて頭が痛かっただろーなぁー。」
それね!
あまり親しくない国からの、それも知らない人からの唐突な手紙に驚きつつも警戒しつつも読んでみたら、こんなワケわからない内容で、困惑と共にきっと心配してくださっていることでしょう。
そんな優しい王子様の心労を、少しでも取り除いてあげないとね!
にしても、私が家を出てから、もう10年も経ってるのに今更何なの?て感じだよねー。
あ、手紙の内容はね?一応多分だけども...
──────────
そちらでリミューズ食堂を経営しているのは私達の娘である。
娘と共に私達から奪った全てを返してもらおう!
──────────
的なことが書いてあるみたい。
いや、私は自分の意思で出ていっただけでこの国の王子は何も奪ってないし、そもそも全てってなに?って感じなんだけど...。
まぁ、この食堂も今では結構繁盛しててさ?
どっかからその噂を聞き付けたんじゃないかなぁ?とは思うんだけどね。
─────回想
あれは、3年くらい前にエルドーと買い出しをしていたときのこと。
兄との視察の途中に拐われて、奴隷として売られる直前になんとか逃げ出したらしいんだけど、ろくに食べられてなかったみたいで道の端っこで行き倒れてた男の子を拾ったのよ。
で、結構仕立ての良い綺麗な服を着てるからお貴族様かもってことで、そういう面倒に巻き込まれたくない派のエルドーが気絶している男の子を背負って騎士もいる詰所に連れていって、押し付けて厄介払いしようかなぁと考えてたのよー。
だけどさ?運んでる間もずーっと、少年のお腹がグゥグゥ鳴ってるのよ!
肌はカサついてるしお腹も空かせてるっぽかったから、私よりも幼い訳だしってエルドーが不憫に思って詰所でちゃちゃっとご飯を作ったわけ。
で、貪るように食べてる少年を見た騎士がこっそりと、
『この方は王子様だぞ。』
って教えてくれたの。
少年にとって私達は命の恩人ってことで王宮からの謝礼金とかが入るらしく、保護者枠であるスーザンとシュゼフが呼ばれたのよ。
王宮からの迎えが来るまでに、安心して食べられる方が良いだろうってことで騎士様に頼まれて詰め所に何度か差し入れをしたからか、エルドーとスーザンの料理が気に入ったらしく、また食べたいっていう怨念染みた手紙が届いたんだよねー...毎日。
あの時は、少し怖かったなぁ...ホラーかい!ってツッコんだよね。
あ、脱線しちゃった...でね?
王宮に帰った王子様がこの領地に来なくても食べられるようにってことで、王都に2号店を出したのー。
私達の住んでる街を治めているお貴族様が、権利書関係とかもきっちりとしてくれたし、諸々のお金とかも出してくれました。
『王都に2号店があれば、このスープがいつでも飲める!
王子様、万歳!!』
って喜んでたよ?
バレバレだったけど、お忍びでよく来てたもんねー。
─────回想終わり
スパイスカレーって、絶妙に食欲を刺激するじゃん?
フッフッフッ!自分も食べたいから、2年もかけて開発しましたとも!
ドロドロだとご飯が欲しくなるから、サラサラのスープにしたの。
あぁ、どうしてこの世界にはご飯が無いのー!!
切実にご飯が欲しい...もち米も可。
馬とか牛とかの飼育用の試料とかになってたりしないかなと期待してはみたものの、今のところ出会えてないんだよー...悲しい。
*
2
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
その断罪、三ヶ月後じゃダメですか?
荒瀬ヤヒロ
恋愛
ダメですか。
突然覚えのない罪をなすりつけられたアレクサンドルは兄と弟ともに深い溜め息を吐く。
「あと、三ヶ月だったのに…」
*「小説家になろう」にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる